アパレル初!謎の1兆円未上場企業「SHEIN」の正体 中国発!Z世代を引きつける「理由」と「課題」は

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まず、SNSやグーグルトレンドを活用した「トレンド分析」と、企画・デザインにおける「AIの活用」により、毎日3000点以上の新商品をローンチする。これらの商品は、すべて「ミニマムロット(約100着)」で生産される。

生産は、「世界のアパレル工場」といわれる中国の広州において、約300の協力工場で生産されており、すべての工場にはSHEINオリジナルの「SCMシステム」がインストールされている。

ローンチした商品の売れ行きがよければ、システム上で在庫調整や生産指示が自動的に入る仕組みとなっており、デジタル上でつながった協力工場が、すぐさま増産に着手する。まさに「C2M(Consumer to Manufacturer)モデル」を実現している。

なお、上記の企画から生産・販売までに要するリードタイムは最短で3日となっており、最短2週間のZARA、1週間のboohooを上回る最短モデルとなっている。このような特徴を持つSHEINのモデルは、昨今「リアルタイムファッション」と呼ばれている。

これは、商品の企画からリードタイムまでの長さでファストファッションを分類する見方で、2000年代に成長したZARAやH&Mの「ファストファッション」が第1世代、2010年代に登場したboohooやASOSといったECベースの「ウルトラファストファッション」を第2世代、SHEINの「リアルタイムファッション」が第3世代となる。それぞれ第1世代が最短2週間、第2世代が1週間、第3世代はわずか3日でまさにリアルタイムだ。

いずれにせよ、受発注と生産がデジタルでリアルタイムにつながっていないと不可能なモデルだ。まさに生産から販売までデジタル化で先行する中国から登場した画期的なモデルといえよう。

「上場の報道」がある一方で、大きな「課題」も

さて、一部では「SHEINが近々上場する」とも報道があり、上場時の時価総額はアリババの2014年ニューヨーク証券取引所上場時を超えるとの期待さえある。

しかしながら、筆者の視点では、SHEINが上場、そしてサステナブルな成長を遂げるためには、「3つの課題」も垣間見える

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