配信日時 2025/07/03 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (504)】神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(40)     渡邉陽子(ライター)


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こんばんは、エンリケです。

第504回目の「渡邉陽子のコラム」は、

「神は賽子を振らない
第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」

の40回目です。

「その時、まだ災害は起きていなかった——」
倒木が命を奪う前に、自衛隊が動いた。

きょうは、自衛隊災害派遣の“転機”となった
1991年をたどります。

さっそくどうぞ



エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (504)』

 神は賽子を振らない
第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(40)


  渡邉陽子(ライター)

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こんばんは。渡邉陽子です。先日、もがみ型護衛艦「ゆうべつ」が
大湊基地に配備されました。「ゆうべつ」の名としては2代目で、
初代の「ゆうべつ」には2009年に観艦式の取材で、1週間で3回乗
りました。日に日に荒れていく天気(泣)。観艦式当日、小さな護
衛艦は木の葉のように揺れに揺れ、「食べないともっと気持ち悪く
なるので少しでも食べてください」と差し出されたお弁当を一口飲
み込むのにも苦労したことを覚えています。ゆうばり型護衛艦の2
番艦だったので「(ゆうばり)メロン艦隊」という可愛い愛称がつ
いていました。無事に観艦式を終えて大湊に帰っていった翌年に除
籍となっています。その観艦式も今年度は開催しない可能性が高い
ですね。それほど日本を取り巻く環境は厳しく、海自の負担は大き
いということです。近いうちに初代ゆうべつに乗って観艦式を取材
した際の記事も、こちらでご紹介したいと思います。


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■神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(40)

さて、雲仙普賢岳では火砕流、雨が降れば土石流の危険がつきまと
っていたが、九州全体でも土石流の危険が高まっていた。梅雨の時
期は迫っているし、梅雨の後は台風の季節になる。
地盤のゆるんだ場所の倒木を放置しておけば、土石流、土砂流が発
生した際にそれらが凶器となって人命、財産、橋梁などに二次的被
害をもたらす危険が増す。これまでの災害派遣は、災害が発生して
から自衛隊に支援の要請をするのが常だった。しかし1991(平成3)
年の九州には「災害が起こる前に自衛隊を派遣して危険な倒木をあ
らかじめ伐採して処分してもらいたい」という政治の要求があった。
いわゆる予防派遣である。チェーンソーによる倒木の伐採は地元の
森林業者も行なっていたが、切断方向を誤ると大変危険で、死亡事
故も起きていた。
火箱は業務計画変更を起案し決裁を受け、西部方面隊の2万3000名が
1カ月間の予防派遣に従事できるようにした。施設科の隊員のみなど
と言っている余裕はない。職種を超えて「木こり教育」を実施した
後、山林の谷間にある木を伐採し、運び出し処分する災害派遣が始
まった。火箱は重松西部方面総監に付いて福岡、大分、熊本、佐賀
の現場を一緒に回った。訓練班長時代の写真がまったくないのは、
部隊長のように目立つ立場ではなく、こうしていつも担当幕僚に徹
する存在だったせいもある。
そしてその年の9月、台風17号、19号が相次いで北部九州に上陸。特
に19号は最大瞬間風速60m以上の暴風を記録するなど、福岡県、熊
本県、佐賀県、大分県に大きな森林被害をもたらした。各地の山林
では膨大な数の杉やヒノキが根元から倒れたり、途中から折損した
りして谷を覆っていた。このときから風による被害ということで
「風倒木」という言葉が広く使われるようになった。
火箱が勤務する熊本県の健軍駐屯地周辺も、19号のときは強風が吹
き荒れた。
 
駐屯地から官舎までは自転車で五分程度の距離だが、暴風はすさま
じく、とても自転車など乗れる状態ではない。家に向かう火箱の目
の前で電柱が倒れ、瓦が飛んでいる。帽子が飛ばされないようにし
っかりと押さえながらようやく帰宅すると、飛散防止のためガムテ
ープを貼った窓を、妻と息子たちが必死に押さえている。よく見れ
ばあまりの強風で、窓のサッシとガラスがしなって弓なりに反って
いるではないか。
「危ないから止めろ! こっちに来い!」
家族全員で奥の部屋に逃げ、そのまま一夜を明かした。幸い窓ガラ
スが割れることはなかったが、台風一過の外は惨憺たる光景だった。
もしも予防派遣が行なわれていなければ、山間部ではおそらく倒木
を含む土石流でさらに甚大な被害が出ていたことだろう。
振り返れば、雲仙普賢岳と風倒木台風というふたつの自然災害は、
自衛隊における災害派遣の転機になったと火箱は思う。自治体や大
学など関係機関との密な連携、いつ火砕流が発生するかわからない
状況で人々を避難させたり遺体を回収したりといった命がけの任務、
かつてないほどの長期にわたる派遣期間、そして災害が発生する前
に対処した予防派遣。 前例のないことばかりだったが、西方が、そ
して部隊が「前例がない」を言い訳にすることはなかった。そして
1995(平成7)年に起きた阪神淡路大震災における災害派遣で得た苦
い教訓によって、災害派遣に関する法整備が進むことになる。


(つづく)


(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。

2016年6月、デビュー作
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2022年、
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