配信日時 2025/05/28 09:00

【陸軍砲兵史-明治建軍から自衛隊砲兵まで(113)】 自衛隊砲兵史(59) 北方重視転換     荒木 肇


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知られざる重要組織「自衛隊警務隊」にスポットを
当て、警務隊とは何か?の問いに応えるとともに、
警務隊で修練されている「逮捕術」を初めて明らか
にしたこの本は、小平学校の全面協力を受けて作ら
れました。

そのため、最高水準の逮捕術の技の連続写真が実に
多く載っています。それだけでなく、技のすべてを
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自衛隊関係者、自衛隊ファン、憲兵ファンはもちろん、
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おはようございます、エンリケです。

「陸軍砲兵史」の113回目。

湾岸危機とソ連崩壊――激動の90年代前半を
縦横に描く内容です。今回も「歴史の臨場感」
と「防衛の論点」が詰まった一本です。

さっそくどうぞ


エンリケ



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陸軍砲兵史-明治建軍から自衛隊砲兵まで(113)

自衛隊砲兵史(59) 北方重視転換



荒木 肇

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□湾岸危機が起きる

 1990(平成2)年8月2日の未明、イラク軍
がクウェート領内に侵攻します。約6時間後には首
都クウェートも制圧されました。紛争の直接の引き
金は、7月18日にイラク政府はクウェートがイラ
ク国内の原油を盗掘していると非難をしたことです。

 しかし、イラク大統領のフセインの真意は、クウ
ェートの領土と富を奪おうとしたのでした。また、
ペルシャ湾岸での影響力を強めようとしたこともあ
ります。その意図は、まず8月8日のクウェートを
併合するといった宣言、28日にはクウェートを1
9番目の州とするという布告で明らかになっていき
ます。

 要するに、とにかく言いがかりをつけて、次には
実力行使という侵略国家の常套手段です。

 これに対して、国連の安全保障理事会は、即時無
条件撤退を求める決議を採択し、米英などの西側諸
国はイラクを非難する声明を発します。ソ連もイラ
クへの武器援助を停止すると発表しました。

 6日には安保理は経済制裁を決議し、7日にはア
メリカ、8日にイギリス、10日にはアラブ首脳会
議がサウジアラビアへの派兵を決定します。一方で
イラクは17日に、国内の西側外国人を人質として
対抗します。


▼多国籍軍がイラクを空爆する

 1991年1月、国連の撤退要求の期限が15日
に切れました。17日、アメリカ軍を主力にした多
国籍軍が、イラク領内とクウェート領内に展開して
いるイラク軍や軍事拠点を空爆します。「砂漠の嵐」
作戦の始まりです。前年の危機から1年経って、と
うとう戦争が始まりました。

 アメリカ軍の他、英国、サウジアラビア、クウェ
ートの航空機数百機が行動します。ハイテク兵器を
駆使して、イラクの軍事施設や航空基地を徹底して
破壊しました。制空権を握り、その後も徹底的な航
空攻撃が行なわれます。イラクもまた地対地ミサイ
ル・スカッドをイスラエルやサウジアラビアに撃ち
込みます。


2月15日には、イラクはクウェートからの条件付
き撤退を表明しました。ところが、アメリカはこれ
を認めずに24日には、ついに地上戦に突入します。
26日にはクウェートはついに解放され、28日に
は全軍が戦闘を停止しました。4月11日、国連安
保理はイラクの恒久停戦受諾を正式に承認し、湾岸
戦争はいったんの決着を見ます。

▼ついにソ連邦消滅

 「8月クーデター」が起きました。19日朝6時
のことです。モスクワのテレビ放送はゴルバチョフ
大統領が病気になり、ヤナーエフ副大統領が職務を
代行し、国家非常事態委員会が設置されたことを伝
えました。

 エリツィンらロシア共和国首脳は、この事態を不
当なクーデターだと宣言し、国民に決起を訴えます。
翌日にはレニングラード(現サンクト・ペテルブル
ク)やモスクワで、多数の市民がクーデターへの反
対集会を開きました。22日にはゴルバチョフも軟
禁状態を解除されてモスクワに帰還します。

 エリツィンは23日、ロシア共和国内での共産党
の活動を禁止しました。24日にはゴルバチョフは
書記長を辞任、党中央委員会には自主的な解散を要
請し、共産党資産の全面的接収を命じます。ソ連共
産党は解散の時を迎えました。この日、ウクライナ
も独立を宣言し、国家保安委員会(KGB)も3分
割されて解体が進みます。

 12月21日、バルト3国とグルジアを除く、1
1の共和国の首脳がカザフスタンのアルマ・アタに
集まり、独立国家共同体(CIS)の創設を宣言し
ました。ソビエト連邦の存続の道を断たれたゴルバ
チョフは25日に大統領を辞任します。69年に及
んだソ連はここに幕を閉じました。

▼冷戦が終わった、その後の防衛力整備

 「51大綱(昭和51年)」から10年が経った
1986(昭和61)年からの防衛力整備計画は単
年度予算方式でありながら、5カ年の見積もり(た
だし、3年ごとに見直しをかける)による「中期防
衛力整備計画」が策定されました。以後の整備計画
はこの「中期防」によって行なわれていきました。

 最初の中期防(61中期防)は1986年から9
0年、昭和61~65(平成2)年度を対象にしま
す。陸上自衛隊は、この期間に火力と機動力の強化
に努めます。中期防の「別表」に定められた主要装
備の数は、戦車約1040輌、主要特科装備数は同
970門でした。なお自走砲も門で数えます。した
がってこの数は牽引砲と自走砲の合計です。

 この時期に登場した国産装備品は、87式自走高
射機関砲、89式装甲戦闘車、89式小銃、90式
戦車などがあります。野戦特科の装備では88式地
対艦誘導弾(SSM-1)、対迫レーダ装置JMP
Q-13、対砲レーダ装置JTPS-P16などが制
式化されました。
また155ミリ榴弾砲FH70、203ミリ自走榴
弾砲が採用されて、旧式化した牽引砲との換装も進
んでいきます。

▼大規模武力紛争の可能性は低くなる

 わが国周辺では、ソ連邦の解体があり、極東ロシ
ア軍の動向にも変化が見られました。新生ロシアは
日本への直接侵攻の可能性も低くなります。これま
で主敵と考えてきたソ連軍がなくなって、北方重視
だった陸自も再構築する必要があると考えられまし
た。

 また同時に、我が国内でも保守勢力から分離した
新勢力の与野党合同の政権誕生など、政治体制の変
化もありました。これも防衛力の見直しを加速させ
ることになります。1990(平成2)年に策定さ
れた「03中期防(平成3~7年度対象)」では、
防衛力を増強も縮小もしないというスタンスでした
が、92年になって計画は下方に修正されました。

 1992年には大きな転機になる法律ができます。
自衛隊初の国際貢献活動は、海自の掃海部隊による
ペルシャ湾への派遣が初めてでした。これは、クウ
ェートが国際支援に感謝する声明を発したときに、
わが国がその対象から省かれていたことが話題にな
ったことと関係があると思います。

 当時、「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」という
言葉が語られました。わが国は、クウェートの危機
に対して、金を出すことで貢献したと官民そろって
思っていたのです。実際、イラクを攻撃した多国籍
軍の費用にも、わが国が醵出したものがかなりの額
が含まれていたのです。

ところが、世界の多くの国では、こうしたわが国の
姿勢は軽蔑され、当事者のクウェートからは感謝も
されていないことが明らかになりました。「ブーツ
・・・」というのは、「実力行使をする部隊が実際
に汗や血を流す」という意味でした。


「国際平和協力法」、「国際緊急援助隊の派遣に関
する法律」の改正とPKO法で知られる「国際連合
平和維持活動等に関する法律」が成立します。これ
により、同年9月から、陸自部隊によるカンボジア
での国連平和協力業務(PKO)が実施されました。

▼マルナナ(07)大綱が出る

 1995(平成7)年、「07大綱」が策定され
ます。これは「コンパクト化」、「合理化」、「効
率化」をうたったものでした。「機能の充実、質的
向上」、「多様な事態への効果的対応、弾力性の確
保」という目標が出されました。91年の長崎県・
雲仙普賢岳噴火災害、95年の阪神・淡路大震災な
どの自然災害に加えて、同年には「地下鉄サリン事
件」、97年には「ロシアタンカー遭難重油流出事
故」などの特殊災害にも部隊派遣が行なわれました。

 国防の危機は去った、だから自衛隊には何でもさ
せようという気運が高まったのは、このあたりから
とわたしは思っています。
 


(つづく)


(あらき・はじめ)


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●著者略歴

荒木肇(あらきはじめ)
1951(昭和26)年、東京生まれ。横浜国立大
学大学院教育学修士課程を修了。専攻は日本近代教
育制度史、日露戦後から昭和戦前期までの学校教育
と軍隊教育制度を追究している。陸上自衛隊との関
わりが深く、陸自衛生科の協力を得て「脚気と軍隊」、
武器科も同じく「日本軍はこんな兵器で戦った」を、
警務科とともに「自衛隊警務隊逮捕術」を上梓した
(いずれも並木書房刊)。陸軍将校と陸自退職幹部
の親睦・研修団体「陸修偕行会」機関誌「偕行」に
も軍事史に関する記事を連載している。(公益社団
法人)自衛隊家族会の理事・副会長も務め、隊員と
家族をつなぐ活動、隊員募集に関わる広報にも協力
する。近著として『自衛隊砲兵─火力戦闘の主役、
野戦特科部隊』を予定。

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