配信日時 2025/05/27 08:00

【短期連載】 チャットアプリ・シグナルによる米国軍事情報漏洩 事件(2) (シグナルゲート)     樋口敬祐(元情報本部主任分析官)


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おはようございます、エンリケです。

先日連載終了した、樋口敬祐さんの『情報戦を生き抜くためのインテリジェンス』。連載を元にした新刊本『インテリジェンスの教科書(1)』の刊行が決定しました。

『インテリジェンスの教科書(1)近現代日本の情報戦史』
著:樋口敬祐(元情報本部主任分析官)
発行:並木書房
発売日:2025/6/5
版型・ページ数:四六判296ページ
価格:2420円(税込)
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そんな樋口さんの、最新の機密漏洩事件も交えた刺激的な短期連載の2回目です。

エンリケ


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短期連載

チャットアプリ・シグナルによる米国軍事情報漏洩
事件(2)
(シグナルゲート)



樋口敬祐(元情報本部主任分析官)

───────────────────────

□はじめに

前回の続きです。今回は情報漏洩に対する米政府等
の対応等について述べます。


▼秘密区分に関する大統領令

秘密区分の指定等に関する根拠となる最新の大統領
令は、オバマ政権時に発出されました。大統領令13
526号 国家安全保障に関する機密情報(2009年12月
29日)の要点を抜粋すると次のようになります。

第1.2条「秘密情報のレベル(段階区分 Classific
ation Levels」」
・「機密(Top Secret)」とは、その不正開示が国
家安全保障に極めて重大な損害を与えると合理的に
予測され、当初の分類権限者が特定または説明でき
る情報に適用

・「極秘(Secret)」とは、その不正開示が国家安全
保障に重大な損害を与えると合理的に予測され、当
初の分類権限者が特定または説明できる情報に適用

・「秘(Confidential)」とは、その不正開示が国家
安全保障に損害を与えると合理的に予測され、当初
の分類権限者が特定または説明できる情報に適用

第1.3条「情報を分類する当初の権限(Classificat
ion Authority)」
当初、以下の者のみによって行使することができる。
(1)大統領及び副大統領
(2)大統領が指名する機関の長及び職員
(3)この権限を委任された米国政府職員

第1.4条「秘密分類区分(Classification category)」
秘密指定の対象となる情報は、上記「秘密情報のレ
ベル」の規定に基づき、不正な開示により国家の安
全保障に損害を与えると合理的に予測される場合で、
かつ、次のいずれかに該当するものでなければなら
ない。
(a) 軍事計画、兵器システム、または軍事作戦
(b) 外国政府情報
(c) 諜報活動(秘密活動を含む)、諜報源または情
報方法、または暗号解読
(d) 機密情報源を含む米国の外交関係または対外活

(e) 国家安全保障に関連する科学的、技術的、また
は経済的事項
(f) 核物質または核施設を保護するための米国政府
のプログラム
(g) 国家安全保障に関連するシステム、施設、イン
フラストラクチャ、プロジェクト、計画、または保
護サービスの脆弱性または能力、または
(h) 大量破壊兵器の開発、生産、または使用

となっています。

▼ トランプ政権の反応、対応等

(1)トランプ大統領・ホワイトハウス

・3月24日のシグナルゲート(シグナルによる情報
漏洩事件)では、バンス副大統領らはウォルツ氏の
更迭をトランプ大統領に提案したが、トランプ氏は、
ウォルツ氏に責任はないと擁護していました。その
後ウォルツ氏は、大統領補佐官として続投も、政府
内には辞任論がくすぶっていた。しかし、4月1日
にウォルツ氏らが、業務にGmailも使用していたこと
が報じられ議論が激化しました。

・3月25日、トランプ大統領は「私の理解では機密
情報はなかった」とヘグセス国防長官を含む政権当
局者がシグナルのグループチャットで軍事計画を議
論したことは、軽微な違反にすぎないと主張しまし
た。

・4月21日、トランプ大統領はヘグセス氏に対し全
幅の信頼を置いていると述べ、国防長官に対するい
かなる懸念も「時間の無駄」と述べました。

(2)パム・ボンディ司法長官の発言

3月27日、「それは機密情報ではなく、不注意で公
開された繊細な情報だった」とし、刑事捜査が行な
われる可能性は低いとの見方を示す。

(3)国防総省

・国防総省の監察総監代理は4月3日、ヘグセス国
防長官がシグナルを使って軍事作戦の機密事項を議
論していた件について調査を開始したと発表。(HA
FFPOST 2025年4月4日金曜日)

・ヘグセス氏の首席顧問だったダン・カルドウェル
氏や次席補佐官のダリン・セルニック氏、ファイン
バーグ国防副長官の首席補佐官のコリン・キャロル
氏も情報漏洩に関わったとして4月18日ヘグセス
氏に解任された。3人は、解雇が「不当」との声明
を発表。(4月23日 日経新聞)

▼政府外の監視団体(アメリカン・オーバーサイト)
の対応

・超党派の監視団体「アメリカン・オーバーサイト
(*)」は、トランプ政権の高官らがシグナルを政
府の公務に使用していたことに対し訴訟。

(* アメリカン・オーバーサイトは、真実、説明
責任、民主主義を推進するために、市民の政府記録
に対する権利を守る超党派の非営利監視団体。2017
年3月の発足以来、連邦、州、地方の政府機関から
何万もの文書を入手し、公開してきた。同機関によ
って発見された記録は、議会の調査、調査報道、パ
ートナー組織の個別の活動に役立っており、その活
動は全国で何百ものニュース記事で取り上げられて
いる)

・3月27日、コロンビア特別区連邦地方裁判所は、
アメリカン・オーバーサイトの申し立てを認め、ウ
ォルツ大統領補佐官の他、ヘグセス国防長官、ベセ
ント財務長官、ルビオ国務長官兼公文書管理官代理、
ギャバード国家情報長官、ラトクリフCIA長官を含む
私的アプリを使用していた可能性のある職員の3月
11日から15日までのすべてのシグナル・メッセージ
の保存を命じました。

▼コメント

大統領令13526号にそって考えれば、ヘグセス長官が
流した情報(前回の原稿参照)は、イエメン攻撃の
手段や時期を明らかにした軍事作戦に関する事項で
あり、フ―シー派が傍受して何らかの対応をとる可
能性を考えれば、国家安全保障に「極めて重大な損
害を与えると合理的に予測」されたと思います。

ですから、少なくとも攻撃開始前では機密情報にあ
たると考えられます。

しかし、この事案発生当初から、法的に秘密を分類
できる権限を最優先で有するトランプ大統領が、
「私の理解では機密情報はなかった」と解釈を示し
ています。司法長官もすぐにその考えに追随するよ
うな発言をしています。

したがって、漏洩したのは機密情報ではないという
方針が貫かれており、トランプ政権下でこれ以上こ
の問題が発展することは考えにくい状況でした。

次回は、まとめとしてシグナルゲートの結末を述べ
たいと思います。


(つづく)

 


(ひぐち・けいすけ)



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【著者紹介】

樋口敬祐(ひぐち・けいすけ)
1956年長崎県生まれ。拓殖大学大学院非常勤講師。
元防衛省情報本部分析部主任分析官。防衛大学校卒
業後、1979年に陸上自衛隊入隊。95年統合幕僚会議
事務局(第2幕僚室)勤務以降、情報関係職に従事。
陸上自衛隊調査学校情報教官、防衛省情報本部分析
部分析官などとして勤務。2011年に再任用となり主
任分析官兼分析教官を務める。その間に拓殖大学博
士前期課程修了。修士(安全保障)。拓殖大学大学
院博士後期課程修了。博士(安全保障)。2020年定
年退官(1等陸佐)。著書に『2020年生き残りの戦
略』(共著・創成社)、『2021年パワーポリティク
スの時代』(共著・創成社)、『インテリジェンス
用語事典』(共著・並木書房)、『ウクライナとロ
シアは情報戦をどう戦ったか』『インテリジェンス
の教科書(1)近現代日本の情報戦史(近刊)』
(並木書房)



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