配信日時 2025/05/20 08:00

(新)【短期連載】 チャットアプリ・シグナルによる米国軍事情報漏洩事件(1)     樋口敬祐(元情報本部主任分析官)


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おはようございます、エンリケです。

先日連載終了した、樋口敬祐さんの『情報戦を生き抜くためのインテリジェンス』。連載をまとめた新刊本『インテリジェンスの教科書(1)』の刊行が決定しました。

『インテリジェンスの教科書(1)近現代日本の情報戦史』
著:樋口敬祐(元情報本部主任分析官)
発行:並木書房
発売日:2025/6/5
版型・ページ数:四六判296ページ
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そんな樋口さんの、最新の機密漏洩事件も交えた刺激的な短期連載が開幕します!

エンリケ


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短期連載

チャットアプリ・シグナルによる米国軍事情報漏洩事件(1)



樋口敬祐(元情報本部主任分析官)

───────────────────────

□はじめに

昨年5月から約1年間にわたり連載しました「情報
戦争を生き抜くためのインテリジェンス」をもとに
まとめた『インテリジェンスの教科書(1)近現代
日本の情報戦史』がようやく6月初めに刊行の運び
となりました。すでにAmazonなどで予約募集が始ま
っています。ご興味のある方はぜひお申し込みいた
だければ幸いです。

『インテリジェンスの教科書(1)近現代日本の情報戦史』
著:樋口敬祐(元情報本部主任分析官)
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最近のインテリジェンスに関連して気になった事象
がありましたので何回かに分けて配信させていただ
きます。

▼米軍によるイエメンのフ―シー派に対する攻撃の
概要

トランプ大統領は、米国が3月15日(土)、イラン
の支援を受けるフーシ派民兵が支配するイエメンの
数十カ所の標的に対して大規模な軍事攻撃を実施し
たと発表。米当局者らによると、攻撃は紅海北部に
いる空母ハリー・S・トルーマンの艦載機や、同地域
の基地から発進した空軍の攻撃機、武装ドローンに
よって行なわれました。(3月15日ニューヨークタ
イムズ)

▼フ―シー派攻撃計画について情報漏洩発覚

3月24日、アトランティック誌編集長のジェフリー
・ゴールドバーグは、「3月15日、米軍がイエメン
全土のフーシ派の拠点を爆撃する2時間前(午前11
時44分)に、ピート・ヘグセス国防長官が私に戦争
計画をテキストで送ってきたので知っていた。その
計画には、兵器のパッケージ、標的、そして時期に
関する正確な情報が含まれていた」と述べました。

しかし、その細部内容までは報道していませんでし
た。同日、ヘグセス国防長官は、ゴールドバーグの
計画の漏洩に関する記事について記者から質問され
た際、「誰も戦争計画をテキストメッセージで送っ
ていなかったし、それについて私が言えることはそ
れだけだ」と答えました。また、ゴールドバーグ氏
に対し「欺瞞的で信用できない」と評しました。

ゴールドバーグ氏は、その経緯について攻撃開始前
の3月13日、マイケル・ウォルツ米大統領補佐官
(当時)がトランプ政権高官の攻撃調整のために作
成した「フーシPC小グループ(Houthi PC(*)sma
ll group)」というチャットアプリ・シグナルのグ
ループチャットに追加されたとしています。

しかし、当初ゴールドバーグ氏は、そのような秘密
の内容が事前に自分に共有されるはずはない、いた
ずらかフェイクだと思っていたそうです。ところが、
チャットの内容どおりにイエメンでの攻撃がなされ
たため、本物だと確信したとされます。

(*PC(Principals Committee)は、閣僚級委員
会の略称で、PCには通常、閣僚やホワイトハウス
の高官が参加する。ワシントンで開催される会議の
中でも最も機密性の高い会議の1つで、通常はホワイ
トハウスのシチュエーションルームで開催される。
たとえ暗号化されたアプリであっても、民間のアプ
リを使って開催することは想定されていない)

▼アトランティック誌チャット内容の全文を掲載

トランプ政権の情報漏洩事案を軽視する姿勢やゴー
ルドバーグに対する否定的コメントを受けてアトラ
ンティック誌は、グループに参加のCIAの職員名
(1名)を除く全文を3月26日公開。チャットには
ヘグセス氏やバンス氏に加えて、ルビオ国務長官、
ラトクリフCIA長官、ギャバード国家情報長官ら
政府高官18人が参加していました。

▼ヘグセス国防長官による身内への情報漏洩も発覚

4月20日、ニューヨークタイムズ紙によると、ヘ
グセス氏(*)は、フ―シー派に対する攻撃につい
て、妻や兄弟らのグループチャット「国防/チーム
ハドル」にも書き込んでいます。このグループチャ
ットは同氏が長官就任1カ月前に立ち上げていたもの
です。

(*ヘグセス氏は保守系のFOXニュースで司会者を8
年間務めた退役軍人。妻ジェニファー氏はFOXニュー
スの元プロヂューサー、兄フィル氏とその個人弁護
士のティム・パーラトーレ氏はともに国防総省に勤
務)

グループチャットには、身内のほかに側近も加わっ
ていました。ニューヨークタイムズ紙によれば、側
近がシグナルでの作戦情報のやりとりは危険だと警
告したものの、この行為を継続していたと伝えてい
ます。

しかも、この内容は「フーシPC小グループ」に書き
込んだものと同じで、ほぼ同じ時刻に送信されたも
のとされています。

国防総省のパーネル報道官は、報道をめぐり声明を
出し「シグナルには機密情報は一切、含まれていな
い」と主張しました。「ニューヨークタイムズ紙を
はじめ、ゴミのような記事を繰り返し流すフェイク
ニュースは、不満を抱える元従業員を唯一の情報源
として記事を書いている」と記しました。(4月20
日、ニューヨークタイムズ)

4月21日、ヘグセス氏は、「不満を抱えた元職員
が匿名の情報を流して、評判をおとしめようとして
いる。私には通用しない」と述べました。軍事作戦
を親族に伝えたという報道は解雇した元側近らがリ
ークした「フェイクニュース」であると主張しまし
た。

▼チャットの内容

ヘグセス国防長官は、3月15日にグループチャット
で、フーシ派に対する実際の攻撃の約2時間前、次
のようにチャットしました。

「現時点(11時44分米東部時間):気象良好、米軍
中央司令部によれば攻撃準備完了」

「1215:(米国東部時間): F-18の発進(第1次攻撃
パッケージ(*))」

(*パッケージには、海軍の F-18 戦闘機を含む攻
撃に使用される人員と武器が含まれる。報道によれ
ば、F-18は空母ハリー・トルーマンから発艦)


「1345: トリガーベース(*)の第一撃開始 (標的
テロリストは既知の場所にいるので時間通りに到着
するはずー攻撃ドローン (MQ-9)も発進」

(*トリガーベース(攻撃):攻撃実行のための具
体的な発動条件が設定された攻撃、「たとえばF-18
が目標空域到着後→地上部隊から夜間に『携帯電話
のLED点灯』という視覚信号を確認 → 確認次第ミサ
イル発射」という流れの場合、トリガー条件:LED点
灯を視覚確認した時点というもの。今回は、テロリ
ストが建物内に入ったのを何らかの形で確認した場
合に、実際の攻撃が発動されることになっているこ
とが推測される。MQ-9は武装されたドローン、トマ
ホークは艦艇発射型巡航ミサイル)

「1410: F-18の追加発進(第2次攻撃パッケージ)」

「1415: 攻撃ドローンがターゲットを攻撃(これは、
最初の爆弾は確実に投下される。それ以前の「トリ
ガーベース」ターゲットは保留)」

「1536:F-18第2次攻撃開始ー海上配備型トマホーク
ミサイル第一撃も発射」

「続きは後日(タイムラインごと)」

「現在、OPSEC(作戦上の保全)については特に問題
はない」

「我々の兵士たちに幸運を」

▼3月15日の13:48以降の関連チャット

(ウォルツ氏はこれらのメッセージが4週間後には消
える設定にしている)

・ウォルツ:「副大統領。ビルは崩壊した。複数の
人物を特定。ピート(ヘグセス)、クリラ(中央軍
司令官)、インテリジェンス・コミュニティーは素
晴らしい仕事ぶり」

・副大統領:「なに?」

・ウォルツ:「入力が早すぎた。第一攻撃目標─フ
ーシ派のミサイル責任者─が、ガールフレンドのい
る建物に歩いて入っていったのがはっきり確認でき
た。そして、建物は今崩壊した」

・副大統領:「素晴らしい」

・ウォルツ:「絵文字」

3月15日、17:14

・マルコ・ルビオ国務長官:「ピート(ヘグセス国
防長官)とその部下はいい仕事をした」

・ウォルツ:「MAL(*)にいるチームも良い仕
事をした」
(* 略語の意味不明)

・SM(ホワイトハウス副首席補佐官スティーブンミ
ラーか?):「素晴らしい仕事だ。力強いスタート
だ」

・ヘグセス:「中央軍は、素晴らしい仕事をしてい
る。今夜は攻撃がさらに数時間続く。明日完全な初
期報告書を提出するが、現在までのところ、攻撃作
戦の遂行は予定通り」(以下略)

▼コメント

このような攻撃に関して、ヘグセス国防長官が、
「標的のテロリストは既知の場所にいる」と述べて
いることから、攻撃目標であるミサイル責任者の居
場所を事前に捕捉していたことが推測されます。ま
たその人物(チャットではガールフレンド)が、特
定の建物に入っていったのをリアルタイムで確認で
きたと述べています。このことからは、その建物を
監視しているスパイや要員がその近くにいることを
示唆しています。

監視員がそれらのことが攻撃前に明かされるのは危
険であるため、本来であればこれらの内容を情報共
有するのであれば、機密扱いが妥当で、どうしても
必要であれば、特別の回線を使って通信するのが妥
当です。ましてや、民間の通信系を使うことなどは、
通常であれば考えられません。

次回は、これらへの情報漏洩に対する米政府等の対
応などについて述べてみたいと思います。


(つづく)

 


(ひぐち・けいすけ)



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【著者紹介】

樋口敬祐(ひぐち・けいすけ)
1956年長崎県生まれ。拓殖大学大学院非常勤講師。
元防衛省情報本部分析部主任分析官。防衛大学校卒
業後、1979年に陸上自衛隊入隊。95年統合幕僚会議
事務局(第2幕僚室)勤務以降、情報関係職に従事。
陸上自衛隊調査学校情報教官、防衛省情報本部分析
部分析官などとして勤務。2011年に再任用となり主
任分析官兼分析教官を務める。その間に拓殖大学博
士前期課程修了。修士(安全保障)。拓殖大学大学
院博士後期課程修了。博士(安全保障)。2020年定
年退官(1等陸佐)。著書に『2020年生き残りの戦
略』(共著・創成社)、『2021年パワーポリティク
スの時代』(共著・創成社)、『インテリジェンス
用語事典』(共著・並木書房)、『ウクライナとロ
シアは情報戦をどう戦ったか』『インテリジェンス
の教科書(1)近現代日本の情報戦史(近刊)』
(並木書房)



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