配信日時 2024/12/25 09:00

【陸軍砲兵史-明治建軍から自衛隊砲兵まで(93)】自衛隊砲兵史(37) 74式戦車の解説     荒木 肇

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おはようございます、エンリケです。

「陸軍砲兵史」の第93回目。
本連載今年最後の配信です。

「戦車」と聞くと、力強い装甲や威圧感ある姿を思
い浮かべる方も多いでしょう。しかし、その背後に
は、科学技術の粋を集めた工夫と、人命を預かる真
剣勝負の世界があります。

今回のテーマは「戦車の射撃」。
仮想戦記のクライマックスともいえる戦車隊の突
入シーンを通じ、装備開発の背景や運用現場のリ
アルな姿に迫ります。

たとえば、戦車砲の弾速が毎秒1500メートル(約マ
ッハ5)に達する事実をご存じですか? 

目に見える標的を狙う直接射撃、見えない敵を撃
つ間接射撃。そこには、精密な測量と統制の技術
が結集しています。

さらに、戦車砲弾の種類ごとに異なる役割や設計
意図も必見です。串に刺したフランクフルトソーセ
ージのような「装弾筒付翼安定徹甲弾(APDSFS)」、
驚異的な貫徹力を発揮する「成形炸薬弾(HEAT)」。
これらの工夫は、ただの兵器ではなく、技術者たち
の挑戦そのものです。

また、日本独自の地形に適応した74式戦車の姿勢制
御機能や、兵器開発の哲学に触れる一節も興味深い
内容です。「持たされた物で最善を尽くす」。その
言葉には、兵士たちの覚悟と誇りが込められていま
す。

荒木さんの連載は、単なる軍事知識ではなく、兵器
に込められた人間の物語を描きます。年末のこの時
期にこそ、ぜひ一読を。来年も引き続きお楽しみ
に!


エンリケ


追伸

次回配信は、来年1月8日の予定です。



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陸軍砲兵史-明治建軍から自衛隊砲兵まで(93)

自衛隊砲兵史(37) 74式戦車の解説



荒木 肇

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□戦車の射撃

 いよいよ仮想戦記の最大の見せ場である戦車隊の
突入です。どのように企画された装備が、どのよう
にして戦場で生かされるのか、まさに開発者も、製
造者も、用兵者もその存在そのものをかけた戦い、
しかも貴重な人命を預けた結果が出ます。

 ところで、火砲の射撃は直接と間接の2つに分け
られます。直接射撃とは目に見える標的を撃つこと
です。戦車砲こそ、その典型的なものでしょう。弾
のスピードはとても速く、およそ毎秒1500メー
トル(約マッハ5)などというものです。だから2
000メートルや3000メートルという距離なら、
1秒ちょっとという時間で砲弾は目標に届きます。

間接射撃というのは観測者がいて、その指示に従っ
て砲手は見えない敵を撃つことになります。いまの
自衛隊の砲身砲の射程は約40キロメートルにもな
りますから、目標、観測者、射撃する砲(戦砲隊)
の互いの位置関係を正確に測量し、さまざまな条件
を統制して撃ちます。


▼装弾筒付翼安定徹甲弾(APDSFS)

 戦車の砲弾には、装弾筒付翼安定徹甲弾(APD
SFS)と成形炸薬弾(HEAT)と粘着榴弾(HE
P)の3種類があります。

まず、装弾筒、翼安定という言葉から気がつかれま
すか。徹甲弾というのは「装甲を貫徹する」から徹
甲です。たいへん古い言葉で明治時代から使われて
います。それに翼がついて安定させるということか
ら、撃ちだされた弾が旋転するわけではないことが
想像されるでしょう。

ご承知のようにL7A1の砲腔には施条(ライフリ
ング)があります。それに弾の帯が食い込み、弾体
が回転し、そのジャイロ効果で飛翔が安定しますが、
装弾筒という言葉があるのです。装弾筒をサボーと
いいますが、弾が細すぎるので砲身の口径と同じそ
れが付いています。ただし、これは砲口を出ると同
時に、空気抵抗で3つにばらけるようにしてありま
す。細い芯だけが飛ぶのです。この砲弾の採用で、
61式戦車にあった砲口制退器がなくなりました。

61式と74式の砲口の外観上の違いが、この砲口
制退器の有無です。61式の砲口や75式155ミ
リ自走榴弾砲のそこにも着いています。これは砲の
射撃時の反動を軽減する役割を荷っていました。発
射薬の燃焼ガスが激しく噴出します。それを砲口制
退器にぶつけることで、砲身に前進する力が加わり、
砲身が後退する力を減らします。また、爆風偏向器
ともいい、発射ガスを横にそらし、周辺の土埃(つ
ちほこり)が巻き上がるのを防ぐ機能があります。

ところが、これがあるとサボーと干渉してしまう、
そこでAPDSFSを撃つ砲には砲口制退器があり
ません。では、最新の16式機動戦闘車はどうかと
いうと、砲身先端部に砲口制退用の穴が開けられて
います。

市川文一元武器学校長の名著『不思議で面白い陸戦
兵器』(並木書房・2019年)にはこの砲弾につ
いて優れた喩えが使われていました。「串に刺した
フランクフルトソーセージ」だというのです。この
串の部分が弾で、ソーセージがサボーだといいます。


▼徹甲弾の貫徹力

 徹甲弾とは、装甲を射貫、貫徹するためのもので
す。そのためには、まず硬いこと、次に重いこと、
先端の面積が小さいこと、弾速が高いことが要求さ
れます。軟らかい弾では食い込む前に自分が割れて
しまう。重く、先端面積が小さいというと釘のよう
な形状が最もふさわしい。同じ重さなら質量が大き
い物質が最適です。タングステンや劣化ウランなど
はその条件にぴったりでしょう。もっとも劣化ウラ
ンは安全性を考えると使用を慎重にせざるを得ませ
ん。

 弾速を高くするにはどういう方法が考えられるで
しょうか。高性能の装薬(発射薬)を開発し、その
燃焼によって生じるガスを弾底に十分に当てる必要
があります。そうなると大きな口径を要求され、砲
そのものが大型化、堅牢化してしまいます。それを
避ける、そこにサボー(装弾筒)が生まれた理由が
ありました。

 ところが旋転しないと弾は安定して飛びません。
そこで細長い弾の後ろに翼を付けることにしました。
市川さんの言葉を借りれば「ダーツの矢」です。こ
の矢は装甲に命中すると、自分も熔けながら中に突
き進みます。

▼成形炸薬弾(HEAT)

 この弾種は第2次世界大戦頃から実用化された
「モンロー効果」を生かしたものです。成形という
言葉の通り、炸薬に円錐状の窪みを作ります。その
後方から点火すると、爆発の衝撃が一点に集中して
強い穿孔力(せんこうりょく)が生まれます(モン
ロー効果)。この円錐状の窪みに金属を貼り付ける
と、これがメタルジェットとなって前方に噴出して
穿孔力がさらに高まりました(ノイマン効果)。こ
のメタルジェットは大変高速で毎秒7~8キロメー
トルです。

 さらに金属表面に、この弾が命中すると衝撃波が
生まれます。これが裏面の金属を剥離(はくり)さ
せて飛び散らせる結果をもたらします。このことを
ホプキンソン効果といいますが、裏面が剥離するた
めに金属の厚さの影響を受けにくくなっています。

▼粘着榴弾(HEP)

榴弾(りゅうだん)という言葉も歴史は古く、もと
もとは柘榴(ざくろ)のように割れる、中には種子
が見られるように炸薬を詰めた砲弾を言います。こ
の粘着榴弾は、その名前が示すように弾頭は薄く軟
らかくできていて、装甲表面にへばりつくように密
着します。ただし、目標に貼りつく粘着性があるわ
けではないと市川氏は注意しています。密着した炸
薬が起爆すると、その衝撃波が伝わってホプキンソ
ン効果を発揮し、装甲の裏側(つまり乗員室など)
を剥離飛散させます。

▼油気圧式懸架(けんが)装置

 懸架装置とはサスペンションのことです。60年
代までは、世界でもほとんどの戦車がトーションバ
ー方式を採っていました。細長い金属棒の先端を固
定しておいて、反対側の先端に力を加えると反発し
ます。それをスプリングの代わりに使いました。第
2次世界大戦で戦ったドイツのタイガー戦車などが
使ったことは有名です。アメリカのM4戦車などは
大きなスプリングを使っていました。

70年代に入ると油気圧式のサスペンションが採用
されるようになりました。スプリングの代わりには
ガスの弾力性を使い、ショックアブソーバーの役割
はガス(気)と一緒に封入されたオイル(油)が果
たします。

 油圧ポンプを使ってオイルの圧力を変えられガス
圧も変えられるので、路面の凹凸の衝撃の吸収力に
優れています。この機能を使うと、車高を上下した
り、左右に傾けたりすることができました。これを
姿勢制御といいますが、わが74式が注目されたの
は、その優れた性能と砲安定装置の高性能でした。

 広い平原や見通しの良い地形で戦う欧州向けの戦
車と異なります。わが陸自の戦車は狭く、急峻な山
坂や起伏の大きい地形もある日本内地で戦います。
姿勢制御は後方を持ち上げれば砲は普通より俯角
(下向き角度)を大きくでき、前方を高くすれば砲
の仰角も大きくできるのです。また、左右姿勢も制
御すれば、斜めの地形からも水平にあるような射撃
が可能になります。

 よく防護力がとか、速力がとか、その他もろもろ
の話からどこの戦車が強いとか、陸自の戦車は弱い
とか語る人もいますが、兵器は想定された戦場で、
様々な条件を克服して兵士たちが命をかけて使う物
です。大東亜戦前に作られた映画ですが、2人の海
軍士官が話していました。「あれも欲しいし、こう
も使える兵器があったらいいな」という1人に相手
が答えます。「いつの時代でも同じさ。いいものは、
欲しい物はいっぱいある。でも、俺たちはいま持た
されている物で最善をつくさねばならないんだ」
(つづく)

 今年も1年間お付き合いありがとうございました。
 年初は8日より再開する予定です。
皆様どうぞ良いお年をお迎えください。




(つづく)


(あらき・はじめ)


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●著者略歴

荒木  肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。

著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか─安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!─昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊─自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。


『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
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