配信日時 2024/12/10 08:00

【情報戦争を生き抜くためのインテリジェンス(31)】敵とではなく国内で対立する各情報機関      樋口敬祐(元防衛省情報本部分析部主任分析官)

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おはようございます、エンリケです。

インテリジェンスのプロ・樋口さん(元防衛省情報本
部分析部主任分析官)がお届けする
『情報戦を生き抜くためのインテリジェンス』
の31回目です。

今回は、戦前から戦中にかけて、日本の情報機関が
どのように進化し、また苦闘してきたかを紐解きま
す。内閣情報部や外務省調査部といった国家情報機
関が、外交や戦略策定の要として設立されながらも、
既得権益や省庁間の対立により骨抜きにされていく
様子は、まさに「情報戦の内側」を明らかにするも
のです。

例えば、内閣情報部が山本五十六の推進で設立され
るも、軍令部の反発で軍事情報が限定され、宣伝機
関へと転落していく顛末。さらに、外務省の調査部
が、満洲事変後の陸軍との駆け引きを経て設立され
るも、軍と外務省の情報共有が進まず、戦略情報が
軽視された現実。これらのエピソードから浮かび上
がるのは、国家のインテリジェンス機能がいかにし
て政治的力学に翻弄されてきたか、という問題です。

現代の情報戦にも通じる教訓と興味深い歴史的事実
が詰まったこの記事は、情報を武器として扱う全て
の読者にとって必読の内容です。歴史に隠されたも
う一つの真実を探求し、あなたの視野を広げてみま
せんか?

さっそくどうぞ。


エンリケ



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情報戦争を生き抜くためのインテリジェンス(31)

敵とではなく国内で対立する各情報機関


 樋口敬祐(元防衛省情報本部分析部主任分析官)

───────────────────────

□はじめに

今回は戦前、戦中の軍以外の情報組織、なかでも内
閣と外務省の情報機関について考察します。インテ
リジェンス機関は、これまで説明したように戦うた
めに必要な情報を収集するところから始まりました。
しかし、日本が国際社会においても活動するように
なると、外交政策や総合的な戦略策定の必要などか
ら、軍事情報のみならず政治、外交などに関する情
報も収集して分析する必要が生じてきました。

一般的に、各省庁の情報を集約すれば、国家として
の総合的な政策や戦略を立てるのに役立つと考えら
れます。しかし、設立の経緯などから見ると設立当
時から各省庁の既得権益や思惑などがあり、最初か
ら軋轢があったようです。


▼内閣情報委員会から内閣情報部、情報局へ

内閣情報委員会は、1936(昭和11)年に各省の広報宣
伝部局の連絡調整を行なうため設立されましたが、
1937年9月25日、連絡調整のみならず各省所管外の情
報収集や広報宣伝を行なうために内閣情報部へと改
編されました。
 
内閣情報部は、山本五十六海軍次官と元南京総領事
の須磨弥吉郎の肝いりで設立され、陸海軍省、内務
省、外務省、通信省から人材を派遣し、それまで各
組織が別個に収集していた情報を集約し、総合的な
判断や戦略立案に役立てるためでした。

イギリスやドイツのような強力な情報組織をつくり
官邸に直結する中央情報機構として機能することが
期待されていました。

しかし、この組織の設立に対しては、各省庁から反
発がありました。しかも設立を推進したお膝元であ
る海軍と外務省の反発が強かったといいます。むし
ろ、陸軍は冷淡で「やれるものならやってみろ」と
いう反応でした。陸軍の情報収集能力に自信を持っ
ていたため、内閣情報部を軽く見ていたようです。

特に、海軍に関する情報収集は自分たちの専権事項
だと思っていた軍令部第3部の反応は激烈でした。
山本海軍次官が事前に根回しして了承していたはず
の野村直邦軍令部第3部長が軍内の反発を受ける形
で「内閣情報部で扱う情報は、政治経済情報に限定
する必要がある。軍事情報はこれまでどおり第3部
の専権とさせていただきたい」と申し入れる始末で
した。

それでも、内務省出身の横溝光暉情報部長時代は、
官邸のブレーンとして上手く機能していたようです。
しかしながら、横溝部長が岡山県知事(官選知事*)
に就任したのをきっかけに、内閣情報部は「情報局」
へと改編されました。

(*:都道府県の知事が選挙で選ばれるようになっ
たのは、地方自治法が成立した1947年からで、それ
以前は、内務省を中心として、中央官庁から派遣さ
れた人物が知事に就任していました。)

情報部が情報局へと格上げになりましたが、その実
態は軍などによる内閣情報部の骨抜きとなった形で
す。

1940年12月6日の「情報局官制」(勅令第846号)に
より情報局は設立されましたが、この際、出版統制、
報道・芸能への指導取締の強化が追加されました。
しかし、業務については、追加された業務が主軸と
なり、情報局は官邸のブレーンとしての中央情報機
構という役割よりも単なる宣伝機関へと変貌してい
きます。

発足当初は、総裁及び次長の下に、第1部(企画担
当:企画・情報・調整)、第2部(報道担当:新聞
・出版・放送)、第3部(対外担当:報道・宣伝・
文化)、第4部(検閲担当:検閲・編集)、第五部
(文化担当:施設・映画演劇・文芸・事業)及び官
房(二課)からなる5部・17課体制(160余名)でし
た。

1943年3月には第4部と第5部が合体し、新たに基本
事項の企画審議や大本営との連絡を担当する官房審
議室が設置されました。このように新たに連絡担当
室が設置されたということは、本来の連絡調整や情
報収集が上手く機能していないということを示して
いる証左だと考えられます。

1944年1月には、国内及び敵国動向調査を行なう戦
時資料室が新設されました。1945年4月の改正では、
陸軍省報道部・海軍省軍務局第4課・外務省及び大
東亜省の対外宣伝業務が情報局へと移管され、各省
ばらばらだった広報宣伝担当業務が一元化しました。

下部組織として日本新聞会や日本出版会、また外郭
団体として大日本言論報国会や日本編集者協会など
の組織を有していました。『写真週報』に代表され
る広報媒体の編集出版や、新聞雑誌の用紙統制も内
閣情報局が行ないました。

▼外務省の情報組織

1919年第一次世界大戦後のドイツとの講和条約を議
定するために開催されたパリ講和会議に、日本は西
園寺公望、牧野伸顕、珍田捨巳らを全権とする代表
を送りましたが、彼らは、南洋旧ドイツ領委任統治
問題や山東問題と並んで、人種的偏見問題について
も対処するようにとの訓令を受けていました。

牧野外務大臣は、会議において国際連盟規約の前文
に「各国の平等及びその国民に対する公正待遇の原
則を是認し」との文言を盛り込むよう提案し、出席
者16名中11名の賛成を得ました。しかし、議長であ
るウィルソン(T. Woodrow Wilson)米大統領は、こ
のような重要事項の決定には全会一致を要するとし
て、日本の提案を退けました。

このことは、日本の外交政策における大きな挫折と
して認識され、この経験が外務省改革につながりま
した。外交能力の向上やより現実的かつ効果的な外
交戦略の必要性が認識されました。そのために、情
報収集と分析の重要性、組織の効率化や専門性の高
い人材の育成などが求められるようになりました。

1921年には外務省に「情報部」が設置されました。
しかし、この名称と実態は異なり、情報部は情報収
集よりも広報宣伝を優先した広報担当部署でした。
この時期から、インテリジェンスに相当する分野は、
おおむね「調査」と呼ばれるようになっていました。

満洲事変(1931年)以降、外務省内の調査部設置問
題が政府全体の大問題となりました。それは犬養毅
内閣期の白鳥敏夫外務省情報部長が、参謀本部を持
つ陸軍省に対抗するためには「各部局から離れて毎
日々々の事務の処理に責任を持たず専ら外務省の事
務全般にわたって総括的に調査研究に没頭しうる」
機関として「政調部」の設置を提案したのが発端で
す。

この案は「考査部」と名前を変えて枢密院に提出さ
れましたが、そこでは、軍の独走を抑えるためには、
政府全体で外交参謀本部のような強力な機関が必要
との意見が出されました。外務省強化案と政府全体
での外交体制強化案とが対立する形が続きました。

結果として、1933年(昭和8)年末「調査部」を外
務省に設置する案で妥協に達しました。こうして、
1934(昭和9)年外務省における情報収集活動に特化し
た組織が設置されました。

しかし、政府としてはこの組織と軍の情報組織をそ
の後もうまく活用することはできなかったようです。
外務省と軍との関係については、第二次大戦中に陸
軍参謀本部情報参謀だった杉田一次氏は『情報なき
戦争指導』において、

「外務省は全世界に大公使館、総領事館を配置し、
世界的情報網を構成し優秀な陣容を要していた。従
って外務当局は世界情勢に最も通暁していたが、軍
の政治干与を嫌っていたのと、日本人特有のセクシ
ョナリズムに禍されて、外務省、陸海軍とも当事者
が胸襟を開いて相互に情勢を討議し研究することは
難しい風潮下にあった。

ことに上層部に至るに従ってますます困難なようで
あった。わが陸海軍に在っては各国軍同様参謀本部、
軍令部にそれ相応の情報部の陣容や情報網を構成し
ていたが、異なる仮想敵国の情報(特に作戦)努力
が傾注せられ総合的な政戦略情報は軽視されていた。
外務省の情報には軍事面がオミットされる傾向があ
った。(出先大公使館付武官が大公使をよく補佐す
ることなく、独断的な行為をなすものがしばしば見
られたために外務省と軍との関係が悪化することに
なった。)」と回想しています。

陸海軍省と外務省との当時の関係を示す、的確な感
想ではないでしょうか。

(つづく)

 


(ひぐち・けいすけ)



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【著者紹介】

樋口敬祐(ひぐち・けいすけ)
1956年長崎県生まれ。拓殖大学大学院非常勤講師。
元防衛省情報本部分析部主任分析官。防衛大学校卒
業後、1979年に陸上自衛隊入隊。95年統合幕僚会議
事務局(第2幕僚室)勤務以降、情報関係職に従事。
陸上自衛隊調査学校情報教官、防衛省情報本部分析
部分析官などとして勤務。2011年に再任用となり主
任分析官兼分析教官を務める。その間に拓殖大学博
士前期課程修了。修士(安全保障)。拓殖大学大学
院博士後期課程修了。博士(安全保障)。2020年定
年退官(1等陸佐)。著書に『2020年生き残りの戦
略』(共著・創成社)、『2021年パワーポリティク
スの時代』(共著・創成社)、『インテリジェンス
用語事典』(共著・並木書房)、近刊『ウクライナ
とロシアは情報戦をどう戦っているか』(並木書房)



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