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おはようございます、エンリケです。
275回目の「美佐日記」。
わが徴兵制に関する桜林さんの考察は、
わが自衛隊、国防、安全保障の本質をとらえた
内容で、深い示唆を与えてくれます。
桜林さんは、自衛隊がプロフェッショナル集団であ
ることを指摘し、徴兵制の導入に対する冷静な見解
を示しています。
さらに、欧州諸国での徴兵制復活の動きにも触れ、
わが将来を見据えた国際的な視点も提供されて
います。
このコラムを通じ、防衛や安全保障の在り方を
考える一助としていただければと思います。
ではさっそくどうぞ!
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自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
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版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
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桜林美佐の「美佐日記」(275)
短期間で隊員が入れ替わる「徴兵制」では精強な自
衛隊は作れない
桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、275回目となりま
す。
この日記が配信されるのは、すでに衆院選の結果が
出ている月曜ですので、どんな状況になっているの
か、現時点では分かりませんが、とりあえず今回も
自衛官の処遇について考えていこうと思います。
最近よく「徴兵制についてどう思うのか」と問わ
れることがあるのですが、私はその度になぜそんな
ことを聞くのだろうと不思議でなりませんでした。
ただでさえ防衛予算は増えたとはいえ、物価高で
結局かなりの目減りをしている中で、どのようにコ
ストを賄うのかと思いますし、今現在でも希望する
人が全て自衛隊に入れるわけではなく、試験に受か
らず諦める人もいるのに、そのハードルを取り払う
ということは、大幅な質的低下を招くことになって
しまいます。
自衛隊における徴兵制の可能性については平成2
8年度の「防衛白書」で以下のように言及されてい
ました。
「徴兵制度は、わが憲法の秩序の下では、社会の
構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照
らし当然に負担すべきものとして社会的に認められ
るようなものではありません。わが国において徴兵
制を採用することは、兵役といわれる役務の提供を
義務として課されるという点にその本質があり、平
時であると有事であるとを問わず、憲法第13条、第
18条などの規定の趣旨からみて、許容されるもので
はないと考えます。」と。
そして、
「このような憲法解釈を変更する余地は全くなく、
いかなる安全保障環境の変化があろうとも、徴兵制
が、本人の意思に反して兵役に服する義務を強制的
に負わせるもの、という本質が変わることはありま
せん。したがって、今後とも徴兵制が合憲になる余
地はありません。」とも言っています。
私が深く納得したのは次の文言です。
「また、自衛隊は、ハイテク装備で固めたプロ集団
であり、隊員育成には長い時間と相当な労力がかか
ります。短期間で隊員が入れ替わる徴兵制では、精
強な自衛隊は作れません。」 と。
本当に、その通りで、自衛隊は選ばれた人たちな
のであり、国防のプロフェッショナル集団です。プ
ロではない人まで入隊させて国を弱めるようなこと
をしては意味がないのです。
イギリス出張でつくづく感じたのは、各国が様々
な処遇改善策を行っているのですが、そもそも軍に
入ることは自分を成長させるためという意識が根底
にあることです。
ちょっとの間、困難の中に身を置き、自分を高めた
上で社会に出て行くほうが世の中で高く評価される
土壌があることです。
これは「チャレンジ」なのだと皆さん口を揃えます。
軍歴「あり」か「なし」かは、それだけでその人の
値段を決めることにもなるのです。
その意味では最初から「国のため」といった崇高
なものを掲げなくても「自分のため」でも全く問題
ないのです。「ワンランク上に挑戦しよう」という
意欲が溢れれば、国は自ずと輝くということなので
しょう。
一方で、ロシアによるウクライナ侵略以降、欧州
諸国では徴兵制を復活させている国も出てきていま
す。
リトアニア、オランダ、ポーランド、ラトビア、
クロアチア、デンマーク、そしてノルウェーやスウ
ェーデンでは女性にも兵役を義務付けています。た
だし、多くの国が、兵役か社会奉仕を選べるようで
すので、必ずしも強制的なものではないようです。
日本においてもし真似をするなら、例えば成人し
た時に、何らかのチャレンジの選択ができる、とい
う性質の制度ではないかと感じています。
今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。
皆様にとって素晴らしい1週間となりますように!
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(さくらばやし・みさ)
桜林さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)、
「陸海空 軍人から見たロシアのウクライナ侵攻」
(ワニブックス)、『軍産複合体~自衛隊と防衛産
業のリアル』(新潮選書)
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