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いあなたへ、
INF条約をめぐる状況把握が正確に頭に入る、
日本語で書かれた格好のツールを手にしませんか?
『新たなミサイル軍拡競争と日本の防衛』
森本敏 、高橋杉雄 (編著)
戸崎洋史、合六強、小泉悠、村野将 (著),
並木書房
2020/9/3発行
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おはようございます、エンリケです。
この本は、読む人を選びます。
INF条約
9M729
大戦略
GLCM
の意味がわからないなら、
読む必要ありません。
読まれてます?
ここまで来ているということは、
4つの言葉を理解されているということですね?
ではすすめましょう。
世界は多極化した。
なんてしたり顔でいう人がいます。
ぶっちゃけて言うと、世界は弱肉強食時代に戻った。
ということではありませんか?
とくに先年の米ロ間のINF条約失効は重要です。
中距離ミサイルのタガが完全に公式に外れたことを
意味し、すでに我が周辺でも中距離ミサイルは作り
放題になっています。
この危険を認識すらできず備えてもいないわが国朝
野は、祖国を極めてリスクが高い状況に放り込んで
います。
「強さ」の面で一頭地を抜いた米は、露や中共とい
う挑戦者に対処する「新たな状況」に対応すべく
「ポストINF時代」に向けた戦略・思考・アイデアを
出してはじめています。
「巡航ミサイル」「弾道ミサイル」を核心とした、
各軍種と共同統合して行う作戦構想もそうです。
この現実は、同盟関係を持つわが国と直結するもの
であり、必要な決断を我が国が求められるのは時間
の問題ではないでしょうか?
わが国は新しい時代にどういう責任を果たして、
いかに世界の安保に現実的具体的に貢献するのでし
ょうか?
真剣に考えなきゃいけない時代にもう入っているの
ではないでしょうか?
わが国が果たすべき安保上の役割はあまりにも大きく、
あまりにできていない。頭の中から今の時代に変え
ていかないと手遅れになるかもしれません。
この本は、
そんな状況を綿密多角的に考察考究した、
わが国を代表する安保研究者たちが、ポストINFとい
う状況はいかなるものか?を総合的に世に問うため
コロナ禍のなか脳髄を絞って作り上げた、すくなく
とも10年は古びることのない傑作論文集です。
いまはミサイルを知らずに安保防衛軍事は語れない
時代ですが、この本は「現代ミサイル入門」として
の価値もあります。
スペックよりも重要な「ミサイルの意味合い・用兵」
に目を向けた解説がわかりやすいです。
今世間が騒いでいる、
「敵基地攻撃能力」
が実際は何を意味しているのか?
もこの本を読めばわかります。
では中身を見ていきましょう。
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はじめに(一部)
冷戦を記憶している世代にとって、中距離核戦
力(INF:Intermediate-Range Nuclear Forces)
条約は特別の意味を持つ。当時の世界における最大
の恐怖は、膨大な数の核弾頭を突きつけ合っていた
米ソ間で全面核戦争が勃発し、人類が絶滅してしま
うことであった。特に1980年代は、米ソの中距
離核ミサイルの配備に加え、ヨーロッパではNAT
O軍が核戦争を想定して行なった演習「エイブル・
アーチャー」を実施したり、アジアではソ連による
大韓航空007便撃墜事件が発生するなど(いずれ
も1983年)、軍事的緊張が極度に高まった。
一般社会でも、アメリカでは核戦争後の社会を
描いたテレビ映画「ザ・デイ・アフター」が大反響
を呼び、日本でも、米ソの全面戦争を描いたアニメ
映画「198X年」(長い間入手困難だったが、現
在はアマゾンプライムで視聴可能)が公開されるな
ど、核戦争の恐怖を皮膚感覚として感じざるを得な
かった時代であった。
その恐怖の中心にあったのが中距離核ミサイル、
すなわちソ連のSS‐20と米国のパーシングIIであ
った。INF条約とは、まさにその双方のミサイル
を廃棄し、歴史の流れを変えた条約であった。
INF条約締結のわずか2年後の1989年には、
米国のブッシュ(父)大統領とソ連のゴルバチョフ
書記長が冷戦終結を宣言したマルタ会談が行なわれ、
その後ほどなくしてベルリンの壁が崩壊した。こう
して名実ともに冷戦は終結し、米ソの全面核戦争に
よる人類滅亡の恐怖は去った。INF条約は、文
字どおり時代の分水嶺だったのである。
しかし、それから30年を経て、国際情勢は大
きく変動した、ソ連の条約上の義務を継承したロシ
アと米国については、INF条約の下で射程500
?5500キロメートルの地上発射型ミサイルの開
発・配備が禁止されていた一方、中国をはじめとし
て、インド、パキスタン、イラン、イラク、北朝鮮
、韓国などがその射程距離のミサイルを保有するよ
うになった。また、米ロ関係も2014年のクリミ
ア危機以後、著しく悪化した。さらにロシアがIN
F条約で禁止されているはずのミサイルを開発して
いるとの情報を米国が得たことを直接的なきっかけ
として、2019年8月2日にINF条約は失効し
た。
INF条約は、そもそも正式名称を「中射程お
よび短射程ミサイルの全廃に関するアメリカ合衆国
とソビエト連邦の条約」といい、核弾頭ではなくミ
サイルのみを規制する条約である。また、条約の当
初の署名国は米国とソ連の二か国でしかない。しか
し、INF条約は、冷戦の終結プロセスおよびポス
ト冷戦期の国際安全保障における重要な枠組みの一
つであったことは間違いなく、その失効は今後の国
際安全保障に大きな影響を及ぼすであろう。
本書は、そうした問題意識に基づき、INF条
約の失効後、すなわち「ポストINF条約」世界
における安全保障上の課題をいくつかの角度から分
析したものである。
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目 次
略語集 9
はじめに(高橋杉雄)13
INF条約破棄の背景と影響/現行のミサイル技術
/ミサイル迎撃システムの開発と課題/本書の構成
第1章 ポストINF時代の安全保障(森本 敏)29
INF条約失効がもたらすもの 29
INF条約の役割と機能/INF条約消滅後の課題
INF条約交渉とその成果 32
冷戦期の米ソ戦略兵器制限交渉/INF交渉の合意
と条約批准
米ロのINF条約違反と中国の対応 38
INF条約がもたらした影響/条約違反をめぐる米
ロの対立/台頭する中国の戦略とミサイル能力
戦略兵器システムとINFの関係 45
拡散する核戦力の脅威/START条約延長と米中
ロの思惑
ポストINF打撃システム配備に関する諸問題 49
INF条約失効後のミサイル開発/米国のINF射
程ミサイルの配備計画/中国に対抗するためのミサ
イル配備/報告書が示す米国のミサイル配備計画/
欧州、中東・湾岸地域へのミサイル配備の狙い/I
NF射程ミサイルの軍備管理の構想と問題点/多国
間交渉と中国の非対称的ミサイルの脅威
ポストINF打撃システム配備と日本の安全保障 61
ポストINF交渉に対する日本の原則/日本の安全
保障政策とその選択肢/日本が保有すべきミサイル
防衛システム
第2章 ポストINF時代の抑止戦略(高橋杉雄)72
「ポストINF条約時代」の到来
「INF条約時代」における抑止戦略の展開 74
「INF条約時代」における抑止概念の変化/精密
誘導兵器の発展と拡散:「精密誘導兵器レジーム」
の出現/「大国間競争の復活」と「INF時代」の
終焉
今後の抑止戦略におけるポストINF打撃システム 79
ポストINF打撃システムの軍事的な特徴/ポスト
INF打撃システムをめぐる論点の整理
ポストINF時代の戦略環境と抑止戦略 85
ポストINF時代のヨーロッパ/ポストINF時代
のアジア太平洋地域
ポストINF条約時代の抑止戦略の課題 94
「セオリー・オブ・ビクトリー」とポストINF打
撃システム/米国の「セオリー・オブ・ビクトリー
」/戦略的安定性を強化するための軍備管理
第3章 ポストINF時代の軍備管理(戸崎洋史)106
中距離ミサイル問題と日本の課題
核軍備管理の停滞と中距離ミサイル問題 109
核軍備管理をめぐる2010年代の動向/焦点とし
ての中距離ミサイル問題
「新しい枠組み」の課題と日本 119
「新しい枠組み」の論点/対象国とその安全保障利
益の調整/冷戦期以後の核軍備管理の目的/対象と
なる兵器システムをどのように規定するのか/軍備
管理交渉に消極的な中国
「新しい枠組み」に向けた軍備管理 135
戦略対話、リスク低減および透明性/能力面での軍
備管理の可能性/「新しい枠組み」の追求
第4章 NATO「二重決定」とINF条約(合六強)150
INF条約の形成と評価 150
冷戦期の「成功」事例
NATO抑止態勢の形成と変容 153
1950年代:核依存への道/1960年代:拡大
抑止の信頼性低下と核拡散への懸念/1970年
代:パリティの成立とその影響
ソ連のSS‐20配備と「グレーエリア問題」162
配備決定の背景/SS‐20をめぐる二つの評価/
カーター政権の消極的姿勢
「二重決定」をめぐる同盟政治 168
中性子爆弾問題をめぐる失敗/政策の転換と信頼性
回復の試み/「二重決定」に至る同盟協議
INF交渉からINF条約へ 179
交渉開始と争点/交渉再開から条約締結へ/INF
交渉における日本の役割/INF条約の教訓
第5章 ロシアにとってのINF問題(小泉 悠)201
「冷戦の亡霊」と21世紀型「大国間競争」201
条約違反をめぐる米ロの対立
ロシアのINF条約違反疑惑とは何か? 205
疑惑の浮上に至る経緯 /9M729をめぐる「同
一性」問題/ロシアによる「9M729」の公表/
9M729の配備状況/UAV、標的ミサイル、イ
ージス・アショアに関するロシアの主張
ロシアはなぜINFを必要としたか? 223
冷戦の亡霊/世界第2位の核超大国/台頭する中国
への脅威認識/「ユーゴ・ショック」/エスカレー
ション抑止論をめぐって/それでも残る疑問
INF条約後のロシアの核戦力 243
「鏡面的に対称的な措置」/想定されるポストIN
F打撃システムとその軍事的効用/ポストINF打
撃システムが日本に及ぼす影響
第6章 ポストINF時代の米国の国防戦略と戦力
態勢(村野 将)255
米ロ関係とINF問題 256
軍備管理・条約遵守問題としてのINF/ロシアに
よる条約違反の継続と対抗手段の模索
米中関係とINF問題 264
米国の国防戦略と戦力態勢の見直し/アジア太平洋
地域における陸上戦力の再評価/統合作戦構想の発
展とポストINF打撃システムの必要性
ポストINF打撃システムの軍事的効用と開発状況 273
ポストINF打撃システムのプログラム化/地上配
備型巡航ミサイル(GLCM)の利点と課題/地上
発射型対艦攻撃用トマホークの導入と運用構想/地
上発射型弾道ミサイルの利点と課題/地上発射型弾
道ミサイルの開発状況
ポストINF時代の米国と同盟国 288
ポストINF打撃システムと同盟国の課題/ポスト
INF打撃システムの運用シナリオ/ポストINF
時代の同盟国に求められる主体性
終章 ポストINF時代の日本の課題(高橋杉雄)300
ポストINF打撃システムの戦略的意義 301
ネットワークが支配する現代の戦いの様相/中国の
精密攻撃能力の強化/日本自身の問題としてのポス
トINF時代の安全保障/ポストINF打撃システ
ムと専守防衛/地上発射型ミサイルの非脆弱性を高
める方策
ポストINF条約における日本の抑止戦略:一つの
イメージ 311
軍備管理をめぐる中国の論点すり替え/ポストIN
F条約時代の「セオリー・オブ・ビクトリー」/対
中国の「セオリー・オブ・ビクトリー」/日米同盟
の「セオリー・オブ・ビクトリー」/ヨーロッパか
ら東アジアに移った議論の中心地域
■座談会──
総括:ポストINFの世界はどうなるか? 325
米国のセオリー・オブ・ビクトリー/冷戦期との類
似性/ロシアのセオリー・オブ・ビクトリー/ロシ
ア軍産複合体の影響力/中国のセオリー・オブ・ビ
クトリー/日本のセオリー・オブ・ビクトリー/米
中間の戦域打撃戦力のギャップ/精密誘導兵器とエ
スカレーション/ポストINF打撃システムと中国
/中国を軍備管理に引きずり出すには/中ロの軍事
協力/新たな軍備管理を求める欧州/地上発射型ト
マホークは有効か?/巡航ミサイルと中距離弾道ミ
サイルの組み合わせ/ポストINF打撃システム配
備の政治的問題
おわりに(森本 敏)380
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本著最大の特徴の一つが、
充実した執筆陣です。
わが国で最も信頼できる安保評論家・森本敏さんを
筆頭に、これから先の我が安保言論をけん引してい
く「恐るべき優秀な」一騎当千の研究者たちを、
まあ、見てください。
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執筆者略歴 385
森本 敏(もりもと さとし) 防衛大学校卒業後
、防衛省を経て1979(昭和54)年外務省入省
。在米日本国大使館一等書記官、情報調査局安全保
障政策室長など安全保障の実務を担当。初代防衛大
臣補佐官、第11代防衛大臣(民間人初)、防衛大
臣政策参与を歴任。2016(平成28)年より拓
殖大学総長を務める。主な著書に『どうする? ど
うなる?「北朝鮮」問題』(共著、海竜社、201
8年)、『国家の危機管理』(共著、海竜社、20
17年)、『防衛装備庁—防衛産業とその将来』(
共著、海竜社、2016年)など。
高橋杉雄(たかはし すぎお) 防衛研究所防衛政
策研究室長。1977年早稲田大学大学院政治学研
究科修士課程修了。2006年ジョージワシントン
大学大学院修士課程修了。1997年より防衛研究
所。防衛省防衛政策局防衛政策課戦略企画室兼務な
どを経て、2020年より現職。核抑止論、日本の
防衛政策を中心に研究。主な著書に『「核の忘却」
の終わり:核兵器復権の時代」』(共著、勁草書房
、2019年)。
戸崎洋史(とさき ひろふみ) 日本国際問題研究
所軍縮・科学技術センター主任研究員。九州大学客
員教授、広島市立大学非常勤講師などを歴任。専門
は核軍備管理・不拡散、核戦略・抑止論など安全保
障問題。主な著書に『安全保障論─平和で公正な国
際社会の構築に向けて』(共編著、信山社、201
5年)、『NPT 核のグローバル・ガバナンス』
(共著、岩波書店、2015年)など。大阪大学大
学院国際公共政策研究科博士後期課程中途退学。博
士(国際公共政策)。
合六 強(ごうろく つよし) 二松学舎大学国際
政治経済学部専任講師。慶應義塾大学大学院法学研
究科後期博士課程単位取得退学。同大学法学研究科
助教などを経て、2017年より現職。専門は米欧
関係史、欧州安全保障。主な論文に「西ドイツの核
不拡散条約(NPT)署名問題と米国の対応 19
68〜1969年」(『GRIPS Discussion Paper』
18‐3、2018年)、「中性子爆弾問題をめぐる
同盟関係、1977?78年:カーター政権の対応
を中心に」(『国際情勢』第84号、2014年)な
ど。
小泉 悠(こいずみ ゆう) 早稲田大学社会科学
部卒業、同大学院政治学研究科修士課程修了(政治
学修士)。民間企業勤務、外務省専門分析員、国会
図書館調査員、未来工学研究所研究員などを経て、
現在は東京大学先端科学技術研究センター特任助教。
ロシアの軍事・安全保障政策を専門とする。主な
著書に『「帝国」ロシアの地政学』(東京堂出版、
2020年)、『軍事大国ロシア』(作品社、20
16年)など。
村野 将(むらの まさし) 米ハドソン研究所研
究員。岡崎研究所や官公庁で戦略情報分析・政策立
案業務に従事したのち、2019年より現職。マク
マスター元国家安全保障担当大統領補佐官らととも
に日米防衛協力に関する政策研究プロジェクトを担
当。専門は日米の安全保障政策、核・ミサイル防衛
政策、抑止論など。主な論文に「平和安全法制後の
朝鮮半島有事に備えて:日米韓協力の展望と課題」
(『国際安全保障』第47巻第2号、2019年9月)
など。
いかがでしょうか?
ポストINFのなか、
わが国が米とともに対中共で追及すべきことは何か?
への視野がクッキリしてきます。
専門家の手になる論文集なので、専門略語がたくさ
ん出てきます。たとえばLRHW(長射程極超音速兵器)
などですが、目次の後に「略語集」もありますし、
簡潔な解説も都度記されていますので、わずらわしさ
を感じません。
あなたのように勉強熱心な方には、
抜き書きをしてノートを作ることをおススメします。
この本は、少なくとも10年は古びない内容で、
この分野の古典、入門書、必須文献として残るのは
間違いありません。
ノートを作って抜き書きをする手間をかける価値が
あります。理解が飛躍的に進むこと請け合いです。
ここまできたあなたは、必ず読んでください!
心からおススメできます。
こんかい紹介したのは、
『新たなミサイル軍拡競争と日本の防衛』
森本敏 、高橋杉雄 (編著)
戸崎洋史、合六強、小泉悠、村野将 (著),
並木書房
2020/9/3発行
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でした。
エンリケ
追伸
ミサイルのスペックなんて、
本著を読んだ後からはじめて十分です。
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