配信日時 2024/08/20 05:08

【本の紹介】『インテリジェンス用語事典』川上高司(拓殖大学教授)監修 執筆:樋口敬祐、上田篤盛、志田淳二郎

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誰が言ったか忘れましたが、、

<レファ本ほど大切な本はない>

とのことば。

非常に印象に残っています、、、


おはようございます、エンリケです。

レファ本とは辞書や事典の類の本で、
それを見れば妥当で正確な知識や概念の理解ができ
ます。

どんな分野でも、言論を形成するうえで不可欠のも
ので、これがないとことばが生まれず、ことばがな
いところに言論は生まれず、言論なきところに思考
は生まれません。こういう世界では意義ある行動の
居場所がなくなります。

ことばや言論界が劣化すると、政治やビジネスとい
った実践する世界も劣化するのはこういう原理が
あるからです。

その意味で文学や言論界、学会、論壇は、ことばを
培い育むという国家・社会・民族の土台ともいうべ
き存在であり、極めて重要なものです。

わが国が今迎えている危機の本質はここが劣化の一
途をたどっているところにこそある、と私は感じて
います。


『インテリジェンス用語事典』は、情報分野の専門
用語や概念について解説したレファ本であり、現代
社会においてますます重要性が高まる情報戦略や
インテリジェンスに関心のある人なら必読の書です。

川上高司氏(拓殖大学教授)が監修し、メルマガで
おなじみの樋口敬祐氏、上田篤盛氏、志田淳二郎氏
が執筆を担当しています。
情報分野に特化した専門家が集結しており、高度な
専門知識を持った人も納得できる内容になっていま
す。

スパイ活動や諜報、防諜などの用語から、インテリ
ジェンス分野の理論や技法、組織、歴史などの概念
まで、広範囲にわたる情報分野の用語が網羅されて
います。

各項目には、詳細な解説や用例、関連する概念、
専門用語の意味や背景、歴史的な背景などが記載さ
れ、専門家に必要な情報は網羅されています。

情報分野で使われる専門用語を一つずつ丁寧に解説
する点が特徴的であり、情報分野に精通している人
には非常に有用な書籍と言えます。

ただし、専門用語の解説が非常に詳細なので、初心
者には少し難解な内容となっているかもしれません。


国家国民が真剣に考えなきゃいけない分野に不可欠
なのは国を思う真摯な思いと能力に裏打ちされた
「基本書」と「用語集」です。

軍事や国防の世界に定評と権威あるレファ本を作っ
てほしい、との希望と念願をわたしはずっと持ち続
けております。

防衛や安保の世界ではそれなりの本は出ているよう
ですが、軍事や国防の世界では耳にしたことがあり
ません。

個人的に、戦略研究学会さんに大きな期待を寄せて
いる分野のひとつがそれです。今後を期したいとこ
ろです。

インテリジェンスの世界にもすでに「意義と価値あ
る基本書」は存在します。しかし価値ある用語集が
ありませんでした。

インテリジェンスが、わが国が速やかに取り組む
必要に迫られている分野のひとつであることは衆目
の一致するところです。

ところがこれまで、国語の用語集が存在しませんで
した。


これまで

インテリジェンスを語る
「ことば」はなかった

といって過言ではないのです。



『インテリジェンス用語事典』
川上高司(拓殖大学教授)監修
執筆:樋口敬祐、上田篤盛、志田淳二郎
四六判444ページ
並木書房
 https://amzn.to/3sA5UeF 
※インテリジェンスに関心興味ある方は必携。



■インテリジェンス用語事典

そんななかこのたび、インテリジェンスの世界で
画期的な事典ができましたのでお知らせします。


先日、樋口さんがメルマガで案内されていたとおり
です。

この事典がわが国インテリジェンスの飛躍的一歩に
なることは間違いありません。

項目の一番最初は「数字」。その次が「英数字」。
その後に国語の項目が「ア」から始まります。

ふつう、英数字や数字の項目はいちばん最後に来が
ちなので、この本は使い勝手がいいです。
使う人ならこの価値はよくわかるでしょう。


これをお読みのあなたは
とにかく早く手に入れてください!


■誰が書いたのでしょう?


監修者の川上高司先生は、業界に詳しい方なら誰も
がご存じの方ですね。


執筆者のお三方は、

現在木曜日配信中の連載
「情報機関はインテリジェンスの失敗をどう克服し
てきたか」
著者の樋口敬祐さん

インテリジェンスに関する連載を過去提供くださっ

上田篤盛さん

ハイブリッド戦争の連載を過去提供くださった
志田淳二郎さん


メルマガではおなじみの方々です。


◆監修者・執筆者プロフィール

川上高司(かわかみ・たかし)
1955年熊本県生まれ。拓殖大学教授、中央大学
法学部兼任講師、NPO法人外交政策センター理事
長。
大阪大学博士(国際公共政策)。フレッチャースク
ール外交政策分析研究所研究員、世界平和研究所研
究員、RAND研究所客員研究員、海部俊樹総理政策秘
書、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部
教授、拓殖大学海外事情研究所所長・教授などを経
て現職。
著書に『トランプ後の世界秩序』(共著・東洋経済
新報社)、『2021年パワーポリティクスの時代』
(共著・創成社)、『無極化時代の日米同盟』(ミ
ネルヴァ書房)、『日米同盟とは何か』(中央公論
社)、『アメリカ世界を読む』(創成社)他。


樋口敬祐(ひぐち・けいすけ)
1956年長崎県生まれ。拓殖大学大学院非常勤講師。
NPO法人外交政策センター事務局長。元防衛省情報
本部分析部主任分析官。防衛大学校卒業後、1979年
に陸上自衛隊入隊。95年統合幕僚会議事務局(第2
幕僚室)勤務以降、情報関係職に従事。陸上自衛隊
調査学校情報教官、防衛省情報本部分析部分析官な
どとして勤務。その間に拓殖大学博士前期課程修了。
修士(安全保障)。拓殖大学大学院博士後期課程修
了。博士(安全保障)。2020年定年退官。
著書に『国際政治の変容と新しい国際政治学』(共
著・志學社)、『2021年パワーポリティクスの時代』
(共著・創成社)。

上田篤盛(うえだ・あつもり)
1960年広島県生まれ。株式会社ラック「ナショナル
セキュリティ研究所」シニアコンサルタント。防衛
大学校卒業後、1984年に陸上自衛隊に入隊。87年に
陸上自衛隊調査学校の語学課程に入校以降、情報関
係職に従事。防衛省情報分析官および陸上自衛隊情
報教官などとして勤務。2015年定年退官。著書に
『中国軍事用語事典』(共著・蒼蒼社)、『戦略的
インテリジェンス入門』『中国が仕掛けるインテリ
ジェンス戦争』『武器になる情報分析力』『情報分
析官が見た陸軍中野学校』(並木書房)、『未来予
測入門』(講談社)他。

志田淳二郎(しだ・じゅんじろう)
1991年茨城県生まれ。名桜大学(沖縄県)国際学群
准教授。中央ヨーロッパ大学(ハンガリー)政治学
部修士課程修了、中央大学大学院法学研究科博士後
期課程修了。博士(政治学)。中央大学法学部助教、
笹川平和財団米国(ワシントンDC)客員準研究員、
拓殖大学大学院非常勤講師などを経て現職。専門は、
米国外交史、国際政治学、安全保障論。著書に『米
国の冷戦終結外交─ジョージ・H・W・ブッシュ政権
とドイツ統一』(有信堂、第26回アメリカ学会清水
博賞受賞)、『ハイブリッド戦争の時代』(並木書
房)他。



■4年にわたる時間を、、

現在、インテリジェンスの世界は、インテリジェン
スの世界はニード・トゥ・ノウからニード・トゥ・
シェアに移っています。

そんな時代に顕れた、専門家たちが結集して4年にわ
たる月日を費やし紡ぎあげたインテリジェンスの基
礎知識を網羅した「用語集」の誕生。

心から嬉しく頼もしく思う次第です。



これまでインテリジェンスの世界は、
個人個人の職人的技芸に頼るブラックボックス部分
が多い業界でした。

そのため一般人にとっては敷居が高く、特別な能力
を持つ人でないと語ってはいけないんだろうな、と
思わせる壁を感じさせる世界でした。

関心ある人が、定評ある基本書や入門書を読んでも

基礎知識や用語理解があやふやなため、誤解を起こ
したり、理解が進まなかったりしていました。

その場で誤解を解き、理解の妨げとなる知識不足を

う術がなかったからです。

しかし「インテリジェンス用語事典」が出た今、
そういう時代は終わったといえます。


■大学受験に

インテリジェンスを理解するための基礎知識満載の
このレファレンスブックには、コンピュータ技術を
意味する「情報」もきちんと取り上げられています


大学受験科目の1つに「情報」が入る今後、この事
典は受験生たちが手に取り目を通すレファ本になる
ことでしょう。

これからさきの「わが情報」に本著がもたらす価値
は計り知れないといって差し支えありません。

情報分析のプロが執筆している点も、画期的かつ極
めて価値あることと思います。

もう一度執筆者を紹介しておきます。


樋口敬祐(ひぐち・けいすけ)
1956年長崎県生まれ。拓殖大学大学院非常勤講
師。
NPO法人外交政策センター事務局長。元防衛省情
報本部分析部主任分析官。防衛大学校卒業後、197
9年に陸上自衛隊入隊。95年統合幕僚会議事務局
(第2幕僚室)勤務以降、情報関係職に従事。陸上
自衛隊調査学校情報教官、防衛省情報本部分析部分
析官などとして勤務。その間に拓殖大学博士前期課
程修了。修士(安全保障)。拓殖大学大学院博士後
期課程修了。博士(安全保障)。2020年定年退官。
著書に『国際政治の変容と新しい国際政治学』(共
著・志學社)、『2021年パワーポリティクスの時代』
(共著・創成社)。

上田篤盛(うえだ・あつもり)
1960年広島県生まれ。株式会社ラック「ナショナル
セキュリティ研究所」シニアコンサルタント。防衛
大学校卒業後、1984年に陸上自衛隊に入隊。87年に
陸上自衛隊調査学校の語学課程に入校以降、情報関
係職に従事。防衛省情報分析官および陸上自衛隊情
報教官などとして勤務。2015年定年退官。著書に
『中国軍事用語事典』(共著・蒼蒼社)、『戦略的
インテリジェンス入門』『中国が仕掛けるインテリ
ジェンス戦争』『武器になる情報分析力』『情報分
析官が見た陸軍中野学校』(並木書房)、『未来予
測入門』(講談社)他。

志田淳二郎(しだ・じゅんじろう)
1991年茨城県生まれ。名桜大学(沖縄県)国際学群
准教授。中央ヨーロッパ大学(ハンガリー)政治学
部修士課程修了、中央大学大学院法学研究科博士後
期課程修了。博士(政治学)。中央大学法学部助教、
笹川平和財団米国(ワシントンDC)客員準研究員、
拓殖大学大学院非常勤講師などを経て現職。専門は、
米国外交史、国際政治学、安全保障論。著書に『米
国の冷戦終結外交─ジョージ・H・W・ブッシュ政権
とドイツ統一』(有信堂、第26回アメリカ学会清水
博賞受賞)、『ハイブリッド戦争の時代』(並木書
房)他。


インテリジェンスに関心興味ある方は必携です。


『インテリジェンス用語事典』
川上高司(拓殖大学教授)監修
執筆:樋口敬祐、上田篤盛、志田淳二郎
四六判444ページ
並木書房
 https://amzn.to/3sA5UeF 
※情報分析のプロがひも解くインテリジェンスを理
解するための基礎知識!



編著者の樋口さんはこうおっしゃっています。

<この事典は、初めてインテリジェンス業務に関わる
実務担当者やインテリジェンス研究の初学者を念頭
に置いて、陰謀論的なあやふやな用語を排除して、
わかりやすい説明と解説を心がけた。インテリジェ
ンスに関する文献の中から、使用されている用語を
抽出し、略語や俗語などを含めて掲載し、インテリ
ジェンス的な意味を一義的に記述し、その解釈を加
えることに尽力した。記述した内容は、すべてオー
プンソースに基づくものであり、できるだけ調査時
点での最新の資料を盛り込むように努めた。>

(「編著者のことば」より)


高校では「情報科」が必修科目となっており、20
25年の大学入学共通テストからは「情報」が出題
教科に追加されることが決まってます。

ところがわが国で「情報」への認識はきわめて低い
です。

国語でいう「情報」は、英語でいう「インフォメー
ション」と「インテリジェンス」双方の訳語として
使われているので、意味が混在しています。

ところが欧米有識者の間で両者明確に区別されてい
ます。
欧米問いの情報共有や交換等を積極的に展開してゆ
かねばわが生存は危うくなる可能性が高いです。

状況を正鵠を射た形で判断し適切な行動につなげる
には、インテリジェンスの知識は不可欠¥といえま
しょう。

この、本邦初の画期的な「インテリジェンス用語事
典」は、自衛隊情報分析官を長く務めた専門家らが
中心となり、インテリジェンスの業界用語・隠語、
情報分析の手法、各国の情報機関、主なスパイおよ
び事件、サイバーセキュリティ関連用語など、イン
テリジェンスを理解するための基礎知識を多数の図
版をまじえて1040項目収録。わが国初のインテ
リジェンス用語事典!

プロが作った、プロの使用に耐えうる、一般に公開
された本格仕様のインテリジェンスレファ本です。

慣習にあたられた川上先生はこうおっしゃっていま
す。

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◆監修者のことば

 社会のデジタル化は急速に進んでいる。世界各国
でCovid19の拡散防止のためロックダウンがなされ、
わが国でもたび重なる緊急事態宣言の発令で、IT化、
AI化に拍車がかかり、働き方改革も進行している。
それにともないITの関連用語も日常的にマスコミや
SNSなどに溢れるようになった。
  教育界においてもDX(デジタルトランスフォー
メーション)が加速している。2017年度から小学校
にプログラミング教育が導入された。高等学校では
すでに2003年度から「情報」が必修科目となり、20
22年度の高校の新学習指導要領では、「情報」が、
プログラミングなどを学ぶ必修科目「情報I」と選
択科目「情報II」に再編されるなど、情報やデジタ
ルに関する教育は深化・高度化している。さらに、
文部科学省は2025年1月の大学入学共通テストから、
新教科として「情報」を新設することを決定した。
  その一方で、日本における「情報」に関する認
識はまだまだ低い。たとえば、日本語の「情報」と
いう言葉は、英語の information 及び intelligence
 の両者の訳語として使われているため、それぞれの
意味が混在している。つまり、欧米の有識者の間で
は明確に区別されている両者の使い分けがなされて
いないのが現状である。(「インテリジェンス」
「インフォメーション」の項参照)
  また、わが国では学術的研究もほとんど行われ
ず、国際政治や政治学といった社会学の分野でも
「インテリジェンス」の研究は重要視されなかっ
た。いやむしろ、まともな研究の対象とすらされて
こなかった。
  しかしながら、諸外国においては、情勢分析を
行う上で「インテリジェンス」に関する知識は必要
不可欠であり、大学の教育でも専門教育の中に広く
取り入れられている。また、アメリカの大学生には
就職先としてCIAやFBIなどのインテリジェンス関係
の政府機関や民間企業は人気が高い。
  2001年9月11日に発生した米国同時多発テロ
(9.11テロ)は、インテリジェンス機関に問題が
あったのではないかという議論が起こり、インテリ
ジェンスの強化が訴えられ、インテリジェンス機関
が拡大された。また、それと同時に、学術面からも
9.11テロを境に「インテリジェンスの失敗」の研究
も盛んに行われるようになった。
  そうした流れから諸外国の大学ではインテリジ
ェンス関連の学部の新設が急増している。しかしな
がら、わが国においてインテリジェンスを教育科目
として教えているところは、私が教鞭をとる拓殖大
学大学院を除き、ほとんど皆無であるのが実情であ
る。
  それでもわが国でもインテリジェンスに関する
教科書的な書籍が出版されるようになってきた。た
とえば『インテリジェンス入門─利益を実現する知
識の創造』(北岡元著)、『インテリジェンス─機
密から政策へ』(元CIAの分析官マーク・ローエン
タール著、茂田宏監訳)、『インテリジェンスの基
礎理論』(小林良樹著)、『戦略的インテリジェン
ス入門』(上田篤盛著)などである。しかし、イン
テリジェンスに関する事典はなかったため、実務面
でも、また国際政治を学ぶ上でも本格的な用語事典
が求められていた。
  そのような中にあって、本書『インテリジェン
ス用語事典』の刊行は画期的なことである。拓殖大
学大学院や中央大学大学院などの私のゼミ生や卒業
生などを中心に議論を重ね、4年越しにインテリジ
ェンスに関する事典が完成した。サイバー関連用語
についても、サイバーセキュリティ会社の専門家に
協力や執筆をいただいた。
  インテリジェンスは、わが国において諸外国の
ように研究が進んでいる分野ではないので、研究者
や読者の意見を得て、さらに充実させる必要性があ
ることは十分認識している。本事典は初学者の参考
になると思料しており、今後の研究の礎になること
を期待している。

拓殖大学大学院教授 川上高司

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編著者の樋口さんはこうおっしゃっています。


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◆編著者のことば

 近年は「インテリジェンス」に関連する書籍も多
く出版され、情報という意味での「インテリジェン
ス」という言葉も世間に市民権を得たと思っていた。
もちろん、本書を手に取っていただいた読者の皆さ
まは、安全保障、国際政治などに関心があり、「イ
ンテリジェンス」についてさらに理解を深めたいと
思われている方が大半だと思う。
  しかし、安全保障や国際政治にあまり関心がない
方にとっては、「インテリジェンス」が「情報」も
意味することは、あまり浸透していないようである。
試しに広辞苑でインテリジェンスと引いてみると、
「知能。知性。理知」が先に来て、次に「情報」と
なっている。また、インテリジェンス=諜報・スパ
イと思っている方も多いようである。
  私は、2020年に自衛官として定年を迎えたが、
1995年頃から20年以上にわたり自衛隊でインテリジ
ェンスに関わってきた。最初の頃は、現場で使われ
ているインテリジェンス関連の用語の意味がわから
なかった。旧軍で使われていた用語、アメリカで使
われている用語、隠語などが現場では当たり前のよ
うに飛び交い、そのつど意味を聞ける雰囲気ではな
かった。
  辞書で調べても、どうも現場のニュアンスと異
なる。まだインターネットも普及していない頃であ
る。そこで時間を見つけては先輩に尋ねるのだが、
聞く人によって微妙に解釈が異なることもわかって
きた。特に自分にとって衝撃的だったのは、外国の
インテリジェンス機関の人との雑談で、「日本の情
報関係者は、フュージョンとオールソース分析の違
いもわかってないので、説明に疲れる」と聞いたこ
とである(違いがあやふやな人は本書の該当項目を
参照されたい)。
  当時は、私も両者の明確な違いなど意識していな
かった。そのような経験からインテリジェンスに関
する用語集や事典がないかとかなり探したが、日本
語で記述されたものは皆無だった。もちろん、安全
保障やサイバーなどに関連して記述したものはあっ
た。また、スパイに関連した本の末尾に用語集らし
きものは見かけたが、あまり信憑性はなかった。イ
ンテリジェンスに特化した事典がいつか出版される
だろうと思い、日々の業務に打ち込んでいたが、刊
行されることはなかった。
  しびれを切らして、誰も出さないなら後輩たち
のために自分たちで作ろうと上田篤盛氏と意気投合
したのが、本書を出版するに至ったきっかけだった。
それまでに15年以上、2人とも自衛隊でインテリジ
ェンスに関わってきたので、お互いの知識や経験を
持ち寄ればなんとかなると思っていた。しかし、い
ざ取りかかると簡単なことではなかった。すぐに直
面した大きな問題は、次の3つである
。1つ目は用語集には必要だが、秘密扱いとされて
いる用語やトピックをどのように扱うか、2つ目は
秘密の解除やインターネットの普及によって最新の
データがどんどん更新されていること、3つ目はデ
ータの中に偽情報や誤情報が紛れ込んでいることで
ある。
  これらの問題に対処するためには、2人だけで
は、すぐに行き詰ってしまった。そこで私の大学院
の恩師である拓殖大学教授の川上高司先生に相談し
たのが、2018年のことである。インテリジェンスに
興味を示してくれた、当時中央大学法学部助教の志
田淳二郎氏や同大学の大学院生などと共に「インテ
リジェンス研究会」と称して定期的に集まり、イン
テリジェンス関連の読書会やインテリジェンスに関
連する用語について意見を出し合い作成を試みた。
  最初は軽易に使っている日本語の「情報」とい
う言葉の由来もわからなかったので、研究者に教え
を乞うたこともある。事典づくりに関しても素人の
集まりであったが、議論を重ねるうちに何とか形に
なってきた。
  本書は、初めてインテリジェンス業務に関わる
実務担当者やインテリジェンス研究の初学者を念頭
に置いて、陰謀論的なあやふやな用語を排除して、
わかりやすい説明と解説を心がけた。インテリジェ
ンスに関する文献の中から、使用されている用語を
抽出し、略語や俗語などを含めて掲載し、インテリ
ジェンス的な意味を一義的に記述し、その解釈を加
えることに尽力した。記述した内容は、すべてオー
プンソースに基づくものであり、できるだけ調査時
点での最新の資料を盛り込むように努めた。

 さて、アメリカの歴史研究家ロベルタ・ウールス
テッターは、1941年の日本軍の真珠湾攻撃を研究し、
多くの玉石混交の情報の中から、真に役に立つ情報
を探し出すことは困難であるとして、「ノイズとシ
グナルの問題」を指摘している。
  その後の科学技術の進歩はすさまじく、インテ
リジェンス機関が収集できる情報は、幾何級数的に
増加し、当時よりもはるかに膨大な情報を収集でき
るようになった。インターネットやSNSの発達で、
人々は情報の洪水に溺れそうになり、フェイクニュ
ースの海に漂っているといえるだろう。それはなに
も一般の人だけでなく、情報関係者も同じ状況であ
る。
  さらにインテリジェンス機関においては、情報
の収集だけでなく情報の分析すらも、もはや個人
の能力や経験に基づく職人的技術で何とか対応でき
るものではなくなっている。「群集の英知」を発揮
してこそ、良質のインテリジェンスを作成できる。
その際の共通理解の促進のために、この事典を活用
していただければ望外の喜びである。
  特に分析手法(中でも構造的分析技法)につい
ての項目をできるだけ盛り込んだのは、本書の大き
な特徴の1つである。構造的分析技法は、チームと
して分析する際に作業が分担しやすいこと、個人で
は陥りやすいバイアスを回避するためにも有益であ
るとされ、特に9.11テロ以降、欧米のインテリジ
ェンス機関においては、その活用が推奨されている
(「分析手法」「ストラクチャード・アナリティク・
テクニック〔構造的分析技法〕」の項参照)。

 本書の構成は、数字・英語・五十音順に用語を並
べ、それぞれの用語には一般的な訳語や意味に続い
て、簡単な解説を加え、末尾には矢印(⇒)をつけ
て関連用語がわかるようにした。
  本文において使用する用語については、できる
だけ統一するように努めたが、原文に使われている
用語、慣例的に使われている用語、文脈の中で適切
と思われる用語などを使用したため、必ずしも統一
されていないことをご容赦願いたい(インテリジェ
ンス機関と情報機関、諜報機関など)。
  諸外国のインテリジェンス機関については、略
語や通称を付記すると共に、できるだけ組織図を入
れることとした。同じ国においてさえ組織図の書き
方は、上から下、左から右へなど表現方法が異なり、
詳しい組織図や編成が明らかにされていない機関、
文章でのみで説明している機関など様々である。そ
れらをできるだけピラミッド型の組織図に統一して
記述し、比較しやすいように工夫した。
  本書が、インテリジェンスに関する誤解を解き、
インテリジェンスをより理解していただく基礎にな
ることを願っている。

拓殖大学大学院講師・樋口敬祐

-----------------------------------


いかがでしょうか?

樋口さんのご案内を読んで手に入れた人は、
もう一冊手に入れて、大切な方にプレゼントしてあ
げてください。

インテリジェンスを考え理解し把握する「ことば」
の知的土台は、この事典で培えます。

きょう手に入れたら成長が一日早くなります。


こういう言葉はあまり言いませんが


今すぐ手に入れてください!

一日も早くこの本の内容に目を通してください!

各種情報に接したとき、この事典を開いて照らし合
わせてください!

あなたのこれからの人生に計り知れない余沢をもた
らす価値ある一冊です。


心からおススメします。

『インテリジェンス用語事典』
川上高司(拓殖大学教授)監修
執筆:樋口敬祐、上田篤盛、志田淳二郎
四六判444ページ
並木書房
 https://amzn.to/3sA5UeF 
※インテリジェンスに関心興味ある方は必携。



エンリケ



追伸

総じて、「インテリジェンス用語事典」は、情報分
野に関心がある人には必須の書籍と言えます。
高度な専門用語が多数登場するため、初心者には
敷居が高いかもしれませんが、情報分野の専門家や
関心のある人には非常に有用な書籍です。

『インテリジェンス用語事典』
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