配信日時 2024/08/08 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (465)】日本周辺国の軍事力状況(4)     渡邉陽子(ライター)

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こんばんは、エンリケです。

「ライター・渡邉陽子のコラム」。
こんかいは第465号。

台灣をめぐるはなし。
こういう視座も必要ですね。

さっそくどうぞ。


エンリケ

追伸
来週の配信はお休みです。


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『ライター・渡邉陽子のコラム (464)』

 日本周辺国の軍事力状況(3)
 


  渡邉陽子(ライター)

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こんばんは。渡邉陽子です。伊藤氏による日本周辺国の軍事力状況
の解説、今週は最後の台湾です。インタビューで伊藤氏から台湾の
話を聞いたときはいささかショックを受けたことを今もよく覚えて
います。取材時と現在では、民進党の総統が、米国からは「蔡総統
よりも強硬な独立派」とみなされている頼清徳氏に交代して状況も
変わっていますが、そもそも当の台湾人は台湾の未来をどうしたい
と思っているのか、改めて考えさせられます。



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■日本周辺国の軍事力状況(4)

中国は統一朝鮮軍を利用して尖閣を取る前に、まずは台湾を取って
いるかもしれません。ただそのシナリオはさすがにアメリカが許し
ませんから、尖閣を取ってみて、アメリカがあまり出てこないよう
なら「よし、次は台湾に行こう」いうケースならば考えられます。
実際、中国は10年以上前から中国本土に台湾の空港や市街地を完全
に模した訓練場を作って、そこで定期的に戦闘訓練をしています。

ところが肝心の台湾人には危機感がありません。軍隊も海軍陸戦隊
(海兵隊)以外は中国と本気で戦う気がないのではと感じます。私
も以前は中国からの日本の防波堤として、日本と共に中国に対抗し
てくれると思っていたのですが、実際に台湾の軍関係者と話をして
みて、その考えに疑問を覚えるようになりました。

そもそも台湾軍は国民党の軍隊ですから、退官後将軍クラスなどは、
台湾ではなく中国本土(メインランド)に住んでいます。中国も台
湾も「ひとつの中国」と思っていますが、特に国民党から来た人た
ちは「そもそも国民党がメインでひとつなんだ」という意識なので、
台湾に追いやられたけれど「メインランドこそが自分たちのもの」
と今でも思っています。だから退官後はメインランドに「戻る」と
いう発想になるのです。

2008~2016年に中国国民党主席だった馬英九が親中を推し
進めたのは、国民党の本音です。むしろ日本好きな李登輝だけが別
だったのだと思います。
また、台湾軍は今の民進党政権を嫌っています。その理由が「軍に
口出しするから」。国民党は軍が作成した人事案に対して総統府は
「了解」と言うだけなのに、民進党は「注文をつけてくるから最低
だ」というのです。
こんな調子ですから、仮に日本と統一朝鮮がトラブったとしても、
台湾は高みの見物を決め込むでしょう。もっとも、軍事力が十分で
ありませんからなにもできません。台湾も自分たちの国力の限界を
わかっていて、中国と戦うこと自体をあきらめてしまっているよう
なところがあるのです。
また、中国とこのような関係がある台湾を、アメリカが心底から信
用するはずがありません。アメリカでは2018年に台湾旅行法が
成立し、アメリカの高官が台湾へ自由に行き来できるようになりま
した。ところが2019年の段階でまだ誰も行っていないのです。
アメリカが台湾に渡す戦闘機もF-16と古い機種、要は信用していな
いのです。

今回の総統選挙で蔡英文氏が再選しましたが、これは香港の事案が
他人ごとではないと台湾人が感じたからです。それでも中国と本気
で戦うということは軍も含め、誰も真剣に考えていません。だから
富裕層はシンガポールや米国に土地や家屋を購入し、国籍さえ取得
している人もいるように、なにかあればただちに国を捨てて移住す
る気でいるようです。
私から見ると、台湾は「アメリカがこちら側にいることでぎりぎり
抑止は働いているけれど、その抑止が消えたら台湾は瞬間で消えて
なくなる」と観念しているように見え、同時に、「でも抑止力があ
る限りは絶対に戦争にはならない」という楽観的平和主義に傾いて
いる気がします。ですからそんな台湾に過剰な期待をする一部の日
本の人たちは、もう少し冷静な判断をする必要があると思っていま
す。


(つづく)


(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。

2016年6月、デビュー作
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2022年、
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