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こんばんは、エンリケです。
「ライター・渡邉陽子のコラム」。
こんかいは第464号。
「斬首作戦」の真の意味など、
わが国の主権者としてわきまえておかねばならぬ
事柄を伝えてくれるありがたい内容ですね。
さっそくどうぞ。
エンリケ
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『ライター・渡邉陽子のコラム (464)』
日本周辺国の軍事力状況(3)
渡邉陽子(ライター)
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こんばんは。渡邉陽子です。先日、海上自衛隊第61航空隊のC-130R
に同乗して硫黄島に行ってきました。先月訪れた対馬同様、自衛隊
の取材をしている者としていつかは行きたいところのひとつでした。
上空から見た摺鉢山は荒涼としていて、海岸線の美しい海の色と対
照的でした。輸送部隊の取材だったので島内を巡る時間はありませ
んでしたが、英霊に水を捧げてきました。
オリンピックの総合馬術で日本代表が92年ぶりにメダルを獲得しま
したね。バロン西も喜んでくれているのではないでしょうか。
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■日本周辺国の軍事力状況(3)
韓国の軍事力についての続きです。
ただし韓国海軍の兵士の士気は高いです。といっても私がもっとも
親しく付き合いがあったのは将官や佐官以上のクラスなので多少主
観的になるかもしれませんが、彼らは非常に優秀でしっかりしてい
ました。それなのに韓国国民には陸軍ほど受け入れられていないの
で、「なんか疎外されている。尊敬されてない気がする」とぼやい
ていました。
日本では「韓国の軍艦は日本と戦うために製造している」という論
調が目立ちますが、予算要求上、韓国海軍は、北朝鮮シナリオでは
艦艇などの予算が計上できないのだと思います。「日本の海上自衛
隊が持っている」というと予算が通るそうで、私は実際に韓国海軍
士官から「ありがとう」と何度もお礼を言われたことがあります
(笑)。
また、北朝鮮を脅威と思っていない風潮が韓国国民にはありますが、
韓国軍は違います。世論も保守系は「日韓GSOMIAが破棄され
なくてよかった」とはっきり言っています。日本に対する根深い
「恨」の感情は相変わらずですが、北朝鮮をここまで軽く見る大統
領は間違っているとの声は高まっているのです。韓国軍にとっての
敵は、自衛隊ではなく北朝鮮軍です。
さて、2013年の北朝鮮による3回目の核実験は、当時の日米韓
三カ国の軍の情報組織にとって大きなインパクトがありました。こ
れで北朝鮮が弾頭1トン以上の核兵器を保有できると認識し、次の
朝鮮戦争は「核戦争下で行なわれる」という情勢判断に変わりまし
た。
その結果、これまでの米韓合同軍が保有している作戦計画では対応
しきれないとして、当時のオバマ大統領と朴槿恵大統領が2015
年に策定したのが「作戦計画5015」です。
従来の作戦計画は、北朝鮮による韓国侵攻を一旦韓国で受け止め、
その後反撃するというものでした。しかし5015では、北朝鮮に
よる核兵器や弾道ミサイルによる軍事攻撃など、韓国に対する武力
行使の兆候が確認された場合、30分以内に北朝鮮の核・ミサイル関
連基地など700カ所以上を一斉に空襲するという先制攻撃と斬首
作戦が加味されたと言われています。
ちなみに斬首作戦は金正恩を暗殺することとよく報じられますが、
これは間違った解釈です。「斬首」とは首を胴体から切り落とすこ
とで、本来の5015の意味は「核ミサイルの発射ボタンを持つ金
正恩(首)と現場部隊(胴体)との指揮系統を断ち切る」というこ
とです。最初の30分で電波妨害なども含め、核ミサイル発射の命令
が現場部隊にいかないようにしつつ、同時に事前情報に基づく関係
部隊700カ所を一斉に空襲するので、図上演習をするといつも5
日で終わってしまうと韓国軍高官のOBは言っていました。
仮にソウルに撃ち込まれて火の海になっても地下に潜るから平気だ
と、韓国の外務省の元高官は言っていました。青瓦台も作戦司令部
も全部地下で作戦指揮できるそうです。
こうなると在韓米軍にとっては、開戦当初に実施する空爆こそがメ
インミッションということになります。そしてそのためだけに存在
するのなら、韓国本土にアメリカ兵が常駐する必要はなく、日本ま
で引き上げたいというのがアメリカの本音です。韓国の陸軍兵力は
強大ですから、「空爆後の陸戦は、南北の陸軍同士でやってくれ。
そこにアメリカ兵を巻き込むな」と。
僕がアメリカにいた2001年、当時のラムズフェルド国防長官が
やろうとした軍改革がまさにそれでした。在韓米軍司令官を在日米
軍司令官に兼任させ、安全な日本から指揮をとる。韓国軍の作戦指
揮システムはアメリカのものだから、韓国軍はコントロール下にあ
りそれで十分というわけです。そうすれば韓国にTHAADを配備
する必要もありません。
システムで縛って韓国軍を支配下に置き、自国の兵力は引くが米韓
同盟関係自体は変わらない。これがアメリカの望む本音なのだと思
います。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
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