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知られざる重要組織「自衛隊警務隊」にスポットを
当て、警務隊とは何か?の問いに応えるとともに、
警務隊で修練されている「逮捕術」を初めて明らか
にしたこの本は、小平学校の全面協力を受けて作ら
れました。
そのため、最高水準の逮捕術の技の連続写真が実に
多く載っています。それだけでなく、技のすべてを
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のです!
自衛隊関係者、自衛隊ファン、憲兵ファンはもちろん、
武術家、武道家、武術ファンにも目を通してほしい
本です。
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おはようございます、エンリケです。
「陸軍砲兵史」
の第72回目。
読み応えある内容です!
さっそくどうぞ。
エンリケ
メルマガバックナンバー
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陸軍砲兵史-明治建軍から自衛隊砲兵まで(72)
自衛隊砲兵史(18) ソ連軍侵攻す
荒木 肇
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□ご挨拶
東北の方々のご災厄に心からお見舞い申し上げます。
新幹線も復旧、運転再開までかなりの日数がかかる
ようです。道路も、橋も、インフラの損壊が大きい
ようで、この夏のお暮らしを思うと、心が痛みます。
どうか御身大切に。
▼第2師団A号計画
第2師団(旭川)はオホーツク海正面に上陸侵攻
するソ連地上軍の規模を1ないし2個自動車化狙撃
連隊を想定していました。このソ連軍独特の部隊の
特徴を見ると、防空戦闘能力の高さが挙げられます。
連隊には自走対空砲ZSU-23-4とSA-9をも
つ防空中隊があり、連隊本部にSA-7個人携帯SA
M1個分隊を持っていました。ZSU-23-4は2
輌のペアで運用して、連隊の先導大隊、または第1
梯隊の防護を行ないます。SA-9は連隊の第1梯隊
と第2梯隊の間に位置し、連隊指揮所、連隊固有の
砲兵大隊と隷属部隊と配属部隊の直接防護を任務と
しました。
ZSU-23-4はクローラー付きのPT76戦車の
上に23ミリ対空機関砲4連装をレーダーと共に並
行装備しています。発射速度は1門あたり200発
/分といわれました。低空目標には威力を発揮しま
す。SA-9は車載式の近距離地対空ミサイルで、3
輌の装甲兵員輸送車の車体に4連装発射機を載せて、
レーダー車、指揮車とともに1個小隊を構成しまし
た。SA-7は携帯式で1966年頃から配備を始め
ます。赤外線ホーミングで目標を追尾し、射程は8
00~3700メートル、385メートル/秒で飛
びました。
防空分隊はふつう中隊長が直に掌握し、無線が通
じなくても音声や視号通信で射撃指揮をします。そ
のため中隊長の所在位置からあまり離れません。当
時の陸自連隊戦闘団とは比較にならないくらいの強
力な防空戦力でした。
この後、陸自は個人携帯対空ミサイル、スティン
ガーなどの導入、短射程のSAM(地対空ミサイル)、
自走対空機関砲などの開発に努めます。しかし、1
979年当時は、そのいずれもなかったのです。
▼防禦陣地等の設定
全般作戦計画はすでに出来あがっています。年度
計画で、さまざまな想定に対応するのが軍隊の常識
です。防禦陣地の細部まで出来あがっていました。
海岸から防禦陣地までの戦闘要領(これを前地の戦
闘という)も決まっています。ただし、問題はオホ
ーツク海正面には市街地や民有地が多く、部隊の実
配置、陣地構築等は「法的な裏付け」が必要です。
これを市町村役場などに交渉を任せることはでき
ません。ひそかに地権者と接触して、状況を説明し、
細部を漏らすことはできませんが、許可を得てから
築城資材や器材を集積します。3週間の準備期間が
あれば戦闘団すべてを地下に潜らせることができる
が・・・と木元氏は書かれています。
実際にできることはFRPを使った簡易掩体を構
築することぐらいでした。FRPとは強化プラスチ
ックの掩体カバーのことです。たとえば機関銃用掩
体を掘削して、上部のFRPのカバーをかけて、そ
の上部に土を1メートルあまり積み上げれば、相当
な強度になるということでしょう。連隊戦闘団はこ
うした簡易だけど、かなり強力な防禦陣地を築ける
ほどのFRPを持っていました。
前地の戦闘のために、戦車や自走砲の直接配置は
できません。予定位置を偵察し、戦闘要領を現地で
確認して予行することは可能です。25連隊戦闘団
は、74式戦車、74HSP、75HSPを天北峠
西側(上音威子府~峠までの5キロ)と咲来峠南側
5キロに推進して、前方展開がいつでも可能なよう
な態勢を取りました。
▼地域住民のために
連隊戦闘団の作戦地域には4つの町がありました。
浜頓別町、中頓別町、枝幸町、歌登町です。ここに
は多くの住民が住んでいます。被害を及ぼすわけに
は行きません。できることならソ連軍が上陸する前
に住民を避難させるのが当然ですが、当時はそうし
た有事法制がまったくなく、自衛隊ができることは
ほとんどありませんでした。せいぜいが幹部がそれ
ぞれの町役場を訪れて、事情を説明し、協力を求め
ることしかなかったのです。
枝幸町の役場近くには、当時は旭川地方連絡部枝
幸地域事務所がありました。広報官3人がそこには
詰めて、募集や退職した自衛官の再就職支援などを
行ないます。木元氏の小説では、地域事務所長の陸
曹長の案内で副連隊長が町役場を訪れました。
会議室に待っていたのは、町長、助役、収入役と
枝幸警察署長、消防署長でした。すでに陸自の臨戦
態勢のことは一般にも広く知られていました。戦車
が鉄道で稚内方面に送られていること、資材や弾薬
なども集積されていることなどです。副連隊長は、
この場だけのオフレコですがと前置きして5人に話
します。戦争になる可能性がかなり高いこと、それ
を決めるのはソ連政府であること、いますでに揚陸
艦や貨物船の集結がほぼ終わったように見えること、
このことから侵攻はかなり近いと判断させることで
した。
次回はさらに息をのむ事態が展開します。
(つづく)
(あらき・はじめ)
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●著者略歴
荒木 肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。
著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか─安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!─昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊─自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。
『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
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