配信日時 2024/07/24 09:00

【陸軍砲兵史-明治建軍から自衛隊砲兵まで(71) 自衛隊砲兵史(17)】1つの可能性の物語     荒木 肇

-------------------------------------------
今後の配信が不要の場合は
下記より解除して頂けます
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com
-------------------------------------------
Audible会員なら、数多くのオーディオブック、
ポッドキャスト、限定コンテンツを月額1,500円で
好きなだけ聴き放題できます。まずは30日間の
無料体験を始めませんか? 
https://amzn.to/42ZaOnl
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「青天を衝け」渋沢栄一は何をしたのか?
↓  ↓  ↓  ↓  ↓
http://okigunnji.com/url/80/

---------------------------
哲學ツーリズム
http://okigunnji.com/url/187/
-------------------------------
松下村塾から沢山の「天才」が生まれた秘密
http://okigunnji.com/url/208/
-------------------------------

--------------------------
荒木さんの最新刊

知られざる重要組織「自衛隊警務隊」にスポットを
当て、警務隊とは何か?の問いに応えるとともに、
警務隊で修練されている「逮捕術」を初めて明らか
にしたこの本は、小平学校の全面協力を受けて作ら
れました。

そのため、最高水準の逮捕術の技の連続写真が実に
多く載っています。それだけでなく、技のすべてを
QRコードを通して実際の動画をスマホで確認できる
のです!

自衛隊関係者、自衛隊ファン、憲兵ファンはもちろん、
武術家、武道家、武術ファンにも目を通してほしい
本です。

『自衛隊警務隊逮捕術』
 荒木肇(著)
 https://amzn.to/34szs2W
-----------------------------------------

おはようございます、エンリケです。

「陸軍砲兵史」
の第71回目。

きょうも読みがいある内容です。

さっそくどうぞ。

エンリケ


メルマガバックナンバー
https://heitansen.okigunnji.com/

ご意見・ご感想はコチラから
 ↓
https://okigunnji.com/url/7/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

陸軍砲兵史-明治建軍から自衛隊砲兵まで(71)

自衛隊砲兵史(17) 1つの可能性の物語


荒木 肇

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


□ご挨拶

 暦では「大暑」だそうです。暑いわけですね。沖
縄県は台風の接近で史上空前の猛暑とかテレビで言
っていました。昨日は陸上自衛隊富士駐屯地の70
周年記念行事でした。時たまに太陽が雲に隠れると、
すうっと涼しい風を感じます。やはり標高が高いせ
いでしょう。

 その代わり、陽がさせば容赦なく暑さが襲います。
襲ってくるのはそれだけではありません。来賓の祝
辞、激励、お言葉です。国際情勢を説き、安全保障
環境の厳しさを語り、訓練に怠りなくと訓戒し、た
いてい最後は災害派遣云々です。いずれも大切なこ
とですが、武装し、襟に職種のマフラーを巻き、
「気をつけ」と「休め」を繰り返す隊員たち、なん
とも気の毒な思いに耐えません。

 体調を崩す隊員も散見され、それでも「暑いから、
これだけにします。おめでとう、そして毎日ご苦労
さん。終わり」という人が1人もいない。まあ、しゃ
べり、名を売るのが商売の政治家ですから、話をさ
せろと部隊や学校に要求するのも仕方ありません。

でも、処遇改善を約束する人はいましたが(民主党
政権時代は自衛官の社会的立場を上げると同じ舞台
で発言され、今は自民党です)、新しい戦い方や技
術、あるいは領域横断戦に言及する人は誰もおりま
せん。危機感がないのでしょう。あるいは隣の大国
から手が回っているのか。あるいは、そんなこと語
っても、レベルが低い我々には分からないと思って
いるのか。

最後のとどめは、またも災害派遣への言及でした。
しっかりやってくれというべき相手は、その担当者
である地方自治体であるのに。

▼可能性としての物語──道北戦争

 元自衛官・木元寛明氏の著作に『道北戦争197
9』という作品があります。氏は1968(昭和4
3)年に防衛大学校を第12期生として卒業され、
戦車指揮官を歴任され、2000(平成12)年に
退官され、2008(平成20)年からは著述に専
心されています。この作品は、陸自の青年士官たち
とその部下たちの物語です。

 物語は1979(昭和54)年の夏、オホーツク
海沿岸に始まります。
 
7月4日、午前4時、ソ連の原子力潜水艦から撃ち
出された巡航ミサイルは、道内の空自レーダー・サ
イト(稚内、当別、奥尻、網走、根室)と千歳基地
を襲いました。一瞬のうちに北海道の制空権はソ連
空軍のものとなります。
 
 同時に、稚内正面にはソ連海軍の巡洋艦、駆逐艦
などが現われて、声間海岸と抜海海岸に艦砲射撃が
行なわれました。

 道北の防衛担任は旭川に司令部を置く第2師団で
す。名寄の第3普通科連隊、遠軽の第25普通科連
隊、旭川に第9普通科連隊、同第2特科連隊、上富
良野の第2戦車大隊などが基幹部隊になります。第
一線兵団として新鋭装備がすぐに交付され、隊員の
充足率もきわめて高く、士気も旺盛でした。

 この年の春、沿海州やサハリンの各港に多くの艦
船が集結しているという情報が入ります。九州の資
産家などというふれ込みで枝幸(えさし)の漁協関
係者、港湾関係者と親しく付き合う人も目立ちまし
た。問題はその男の持つクルーザーがしばしばソ連
の港にも出かけていることです。また、すでに2年
も営業していますが、ラーメン屋も怪しい存在でし
た。警察の外事も目をつけていましたが、ついに牙
をむきます。

▼上富良野の第2戦車大隊

 大隊本部、本部管理中隊と4個中隊、74式戦車
60輌を装備し、人員は450名です。当時、最新
鋭の74式戦車の備砲の口径は105ミリ(英国ビ
ッカース社L7A1の日本製鋼によるライセンス製
品)です。他に連装(砲の隣に装備)の7.62ミ
リ機関銃、砲塔の上には50口径重機関銃がありま
す。
 
 砲塔は現有の90、10式戦車とシルエットが異
なりました。「避弾経始(ひだんけいし)」に優れ
た亀の甲羅に似た形状です。つまり、敵弾をガツン
と受け止めるのではなく、表面ではね返し、もしく
は滑らせてしまうという発想でした。車体は低く、
平たいのです。高さは2.25メートルしかありま
せん。61式戦車の3.12メートルと比べても、
約90ミリも違います。米軍から供与されたM41
軽戦車も2.73メートルでしたから、これよりも
低く、世界中でもスウェーデンの無砲塔S戦車に次
いで低いものでした。また、油気圧で作動するサス
ペンションのおかげで、さらに0.2メートル下げ
られました。

 備砲から発射される弾の初速はAPDSFS(装
弾筒付翼安定式徹甲弾)で1478メートル/秒と
いうものです。この弾を理解するには、串に刺した
フランクフルト・ソーセージを想像せよと書かれた
のは元陸自武器学校長の市川文一氏でした。ただし、
串の先端の尖ったほうが外に出ている状態になりま
す。串にあたる弾が小さすぎるので、装弾筒という
サボーが付いているのです。弾が砲口から出たとた
んに空気抵抗でサボーが3分割され、砲口近くに落
ちてしまい、細い弾だけが飛翔します。

▼侵攻してきたソ連戦車はT62

 T62は1963(昭和38)年に初めて海外に
存在が知られました。海外では東ドイツやポーラン
ド、チェコ、アラブ連合にも供与されています。砲
は西側のアメリカ軍M60、ドイツのレオパルト1、
スイスのPZ61、68などに装備されたビッカー
ス105ミリ砲より一回り大きい115ミリの滑腔
砲をもっていました。外形から見ると、砲塔の高さ
は砲が大きくなったのに高さは低く(2.28メー
トル)なっています。


 第2特科連隊第3大隊には75式155ミリ自走
榴弾砲を装備する2個中隊(10門)があります。
その他の3個大隊(第1、第2、第4大隊)には、
これまでの牽引式105ミリ榴弾砲8門(2個射撃
中隊)で編成されていましたが、列国の師団砲兵中
砲化(155ミリ)の波に合わせて火力が増やされ
ています。

 105ミリ榴弾砲M2A1は射程が1万1600
メートルです。破片効果は30メートル×20メート
ルで、155ミリ砲弾の45メートル×30メートル
とはずいぶん違います。最大射程も1万9000メ
ートルもあり、その効果は大きな違いがありました。

 また、方面総監直轄の上富良野にある第4特科群
第117特科大隊は4個中隊編制です。しかも各中
隊は75式HSp5門なので、大隊は20門の15
5ミリ砲をもっていました。有事には第2師団に配
属されて、戦闘団への直接支援火力の増強として使
われます。

 25連隊戦闘団の弱点は、その対空火力にありま
した。第2特科連隊第6大隊は高射専門部隊です。
L90といわれた35ミリの2連装高射機関砲をも
ちますが、戦闘団に支援をできるほどゆとりはあり
ません。元来、発射機2基、射撃統制装置、目標指
定機、電源機がセットになりますが、牽引式なので
機動力に乏しいことが指摘されました。

 次回は、陸自部隊の配備について、木元氏の記述
を紹介します。
 


(つづく)


(あらき・はじめ)


☆バックナンバー
 ⇒ https://heitansen.okigunnji.com/

荒木さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
このURLからお知らせください。

https://okigunnji.com/url/7/


●著者略歴

荒木  肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。

著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか─安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!─昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊─自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。


『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
「中央公論」2020年3月号
 https://amzn.to/31jKcxe



-------------------------------
松下村塾から沢山の「天才」が生まれた秘密
http://okigunnji.com/url/208/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Audible会員なら、数多くのオーディオブック、
ポッドキャスト、限定コンテンツを月額1,500円で
好きなだけ聴き放題できます。まずは30日間の
無料体験を始めませんか? 
https://amzn.to/42ZaOnl
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
-新感覚 教育メディア-
哲學ツーリズム 光を観る旅
http://okigunnji.com/url/187/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
三井・三菱財閥をわずか一代で超えた男の経営學
↓↓
http://okigunnji.com/url/80/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個
人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
上のサービス(携帯サイトを含む)で紹介させて頂
くことがございます。あらかじめご了承ください。


最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。

-----------------------------------------
メールマガジン「軍事情報」
発行:おきらく軍事研究会
(代表・エンリケ航海王子)

メインサイト:
https://okigunnji.com/

問い合わせはこちら:
https://okigunnji.com/url/7/

メールアドレス:
okirakumagmag■■gmail.com(■■を@に置
き換えてください)
------------------------------------------

購読解除はこちらで
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com


---------------------------

投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。
その他すべての文章・記事の著作権は
メールマガジン「軍事情報」発行人に帰
属します。

Copyright(c) 2000-2024 Gunjijouhou.All rights reserved