配信日時 2024/07/16 08:00

【情報戦を生き抜くためのインテリジェンス(10)】日本には「忍者」がいた!──情報収集のスペシャリスト      樋口敬祐(元防衛省情報本部分析部主任分析官)

-------------------------------------------
今後の配信が不要の場合は
下記より解除して頂けます
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com
-------------------------------------------
Audible会員なら、数多くのオーディオブック、
ポッドキャスト、限定コンテンツを月額1,500円で
好きなだけ聴き放題できます。まずは30日間の
無料体験を始めませんか? 
https://amzn.to/42ZaOnl
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「青天を衝け」渋沢栄一は何をしたのか?
↓  ↓  ↓  ↓  ↓
http://okigunnji.com/url/80/

---------------------------
哲學ツーリズム
http://okigunnji.com/url/187/
-------------------------------
松下村塾から沢山の「天才」が生まれた秘密
http://okigunnji.com/url/208/
-------------------------------
おはようございます、エンリケです。

インテリジェンスのプロ・樋口さん(元防衛省情報本
部分析部主任分析官)がお届けする
『情報戦を生き抜くためのインテリジェンス』
の10回目。

縦軸から学ぶ大切さを改めて感じさせ
られます。

くわしくは本文でどうぞ。


エンリケ



◆最新刊
『ウクライナとロシアは情報戦をどう戦っているか』
https://amzn.to/3SxjoWJ

───────────────────────

情報戦を生き抜くためのインテリジェンス(10)

日本には「忍者」がいた!──情報収集のスペシャ
リスト


 樋口敬祐(元防衛省情報本部分析部主任分析官)

───────────────────────

□はじめに
 
本メルマガの(8)で、「情報」という言葉が、い
つ頃から使われだしたかについて書きました。

1876年出版の日本陸軍の翻訳教範『仏國歩兵陣
中要務實地演習軌典』の訳者、酒井忠恕陸軍少佐が
仏語の訳語として「情報」を使用したのが始まりで
した。

当時の「情報」は軍(兵)事用語として使われまし
たが、その意味するところは、「しらせ」だとか
「敵の様子」といった概念でした。ですから、その
概念自体は古くからありました。

敵などの様子を組織的に集める我が国初の情報機関
は、日本書紀にも表れる馬飼部だという話もメルマ
ガ(7)において書きました。

組織的な情報機関というのは、戦いに備えて必要で、
戦いが起こるたびに大きく発展・充実、逆に平時に
は縮小または消滅するのがパターンのようです。

その視点から見ると、我が国の戦国時代における忍
者衆(忍者の集団)の活躍・衰退が、すぐに連想さ
れます。

そこで、今回は忍者をテーマに記述しようと思いま
す。

▼インテリジェンスから見た「忍者」研究

戦国時代諸国の大名たちは、必死になって隣国など
の情報を収集し、政略や戦略を巡らしました。

その情報収集要員として活躍したのが忍者です。忍
者に関する研究は、従来は一種の際物扱いでしたが、
1990年代中頃からやっと基礎研究がなされるように
なってきました。2018年には国際忍者学会も設立さ
れるなど学術的研究も進展しているようです。

陸軍中野学校を設立する際にも、テキストを作るた
め忍者の研究など(*)も真剣になされたとしてい
ます。

(*そのほか、明石元二郎の帰国報告書を基にした
「落花流水」なども研究された。)

筆者は、忍者研究は際物としての扱いではなく、イ
ンテリジェンスの研究の一つとしてもっと注目すべ
きだと思っています。

忍者の基礎的研究の参考文献の一つとされる『武家
名目抄』によれば、忍者の「忍」とは敵地に「忍び
入る」ような任務を行なう者たちの総称で、身分的
には低い人たちだったようです。

忍者の出自には、大きく二種類があるといいます。
(1)庶民の中から軍役として徴発され、「忍」の任
務を命ぜられた者、(2)野武士、強盗などの中から
見いだされ、扶持(主君からの俸禄)を与えられた
者、とに分けられるようです。

さらに別の呼び名として、「透波」「乱波」「かま
り」「草」などがあり、その由来がそれぞれの任務
を象徴しているようです。

「透波/素破」(すっぱ):人を欺き、素行不良で、
言動に一貫性や整合性がない者。嘘つき
「乱波」(らっぱ):騒がしく動き回ることで、敵
を翻弄する者
「かまり」:敵地にかまり(うずくまる、屈(かが)
まる)敵情を探る者
「草」:昼夜を問わず、藪、原、叢に身を隠し、敵
の様子を窺う者

と、ヒューミント活動の基本的な事項が網羅されて
います。

その他にも「伺見(うかみ)」「間者(かんじゃ)」
「隠密(おんみつ)」「奪口(だっこう)」「軒猿
(のきざる)」「聞者役(ききものやく)」「黒は
ばき」「物見」「早道之者(はやみちのもの)」
「三ツ者(みつもの)」「間士(かんし)」など、
地方によりさまざまな異称があったようです。

ちなみに「透波(すっぱ)」が目にも止まらぬ早わ
ざで情報を得るさまから、「すっぱ抜く」という言
葉が生まれたとされています。

資料を見ると、忍者は戦時における戦国大名たちに
重宝されたものの、織田信長の全国統一の際には、
敵対勢力に回ったため信長は伊賀衆、甲賀衆の忍者
集団を排除しようとしました。

豊臣秀吉は、当初は伊賀衆、甲賀衆の力を活用しま
したが、天正13年(1585)、兵農分離政策をとっ
て彼らにも兵として任官するか、農民として先祖代
々居住していた地域内にとどまるかの選択を迫りま
した。
 
仕官を求めてよその地域に出て行った伊賀衆や甲賀
衆のなかに、卓越した諜報能力を評価されて服部正
成(通称半蔵*)のように幕府に仕えたり、諸藩に
召し抱えられる者たちが、忍者として生き残りまし
た。

(*服部半蔵は、江戸城半蔵門前に屋敷を構え、江
戸城の守備を固めた。彼は、八千石を領有する大身
旗本にまで登用され、与力三十騎・伊賀同心二百人
を束ねた。伊賀同心は、与力と同様に正成に預けら
れた下級武士だった。彼らは、表向きは鉄炮衆であ
りながら、主に諜報(秘密裏の情報収集)活動に関
与した。)

江戸時代に国内の統治が進むに従い、国内(各藩)
の情報収集(公儀隠密など)という任務を有してい
た忍者の役割も減少し、警備要員としての任務が主
体となり忍者の技術も廃(すた)れていきました。

また、鎖国政策がとられるようになると、日本は世
界から隔離され、外国からの軍事的・文化的侵略の
恐れもなくなりました。その反面、外国の情報は長
崎の出島などからしか得られないようになり、きわ
めて制限されました。しかし、そこには、忍者組織
の役割などありません。

一方で陸続きのヨーロッパでは、17世紀以来、国
外の動向に関する情報が乏しければ、国家の生存が
脅かされるという厳しい状況が続いていました。ヨ
ーロッパの各国は否応なしに対外情報が必要であり、
スパイ活動や暗号技術なども発達しました。

幕末になり、日本も西欧列強による侵略・植民地化
の危機が迫るとようやく諸外国の事情や周辺国につ
いての情報関心が高まっていきました。

戦争の発生を未然に防ぐため、また戦争を勝ち抜く
ために必要な知識が、インテリジェンスの本質的な
概念で、情報機関はそのために必要だったのです。

このように、情報機関は、戦争の準備、実行という
場を通じて急速に発展してきたものだと筆者は捉え
ています。


したがって、我が国において本格的で近代的な情報
組織が構築、拡充されていくのは、明治期以降だと
考えます。



(つづく)



(ひぐち・けいすけ)



◆最新刊
『ウクライナとロシアは情報戦をどう戦っているか』
https://amzn.to/3SxjoWJ


樋口さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
このURLからお知らせください。

https://okigunnji.com/url/7/




【著者紹介】

樋口敬祐(ひぐち・けいすけ)
1956年長崎県生まれ。拓殖大学大学院非常勤講師。
元防衛省情報本部分析部主任分析官。防衛大学校卒
業後、1979年に陸上自衛隊入隊。95年統合幕僚会議
事務局(第2幕僚室)勤務以降、情報関係職に従事。
陸上自衛隊調査学校情報教官、防衛省情報本部分析
部分析官などとして勤務。2011年に再任用となり主
任分析官兼分析教官を務める。その間に拓殖大学博
士前期課程修了。修士(安全保障)。拓殖大学大学
院博士後期課程修了。博士(安全保障)。2020年定
年退官(1等陸佐)。著書に『2020年生き残りの戦
略』(共著・創成社)、『2021年パワーポリティク
スの時代』(共著・創成社)、『インテリジェンス
用語事典』(共著・並木書房)、近刊『ウクライナ
とロシアは情報戦をどう戦っているか』(並木書房)



▼きょうの記事への、あなたの感想や疑問・質問、
ご意見をここからお知らせください。
 ⇒ https://okigunnji.com/url/7/

-------------------------------
松下村塾から沢山の「天才」が生まれた秘密
http://okigunnji.com/url/208/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Audible会員なら、数多くのオーディオブック、
ポッドキャスト、限定コンテンツを月額1,500円で
好きなだけ聴き放題できます。まずは30日間の
無料体験を始めませんか? 
https://amzn.to/42ZaOnl
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
-新感覚 教育メディア-
哲學ツーリズム 光を観る旅
http://okigunnji.com/url/187/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
三井・三菱財閥をわずか一代で超えた男の経営學
↓↓
http://okigunnji.com/url/80/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個
人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
上のサービス(携帯サイトを含む)で紹介させて頂
くことがございます。あらかじめご了承ください。


最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。

-----------------------------------------
メールマガジン「軍事情報」
発行:おきらく軍事研究会
(代表・エンリケ航海王子)

メインサイト:
https://okigunnji.com/

問い合わせはこちら:
https://okigunnji.com/url/7/

メールアドレス:
okirakumagmag■■gmail.com(■■を@に置
き換えてください)
------------------------------------------

購読解除はこちらで
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com


---------------------------

投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。
その他すべての文章・記事の著作権は
メールマガジン「軍事情報」発行人に帰
属します。

Copyright(c) 2000-2024 Gunjijouhou.All rights reserved