配信日時 2024/07/11 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (461)】日本×統一朝鮮というシナリオ(7)     渡邉陽子(ライター)

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こんばんは、エンリケです。

「ライター・渡邉陽子のコラム」。
こんかいは第461号。

「日本×統一朝鮮というシナリオ」の
最終回です。

読み応え十分です!

さっそくどうぞ。


エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (461)』

 日本×統一朝鮮というシナリオ(7)
 


  渡邉陽子(ライター)

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こんばんは。渡邉陽子です。伊藤俊幸元海将の「日本×統一朝鮮とい
うシナリオ」は今回が最終回です。
先月、対馬に行ってきました。上対馬に行くと、天気が良ければ釜
山の街並みがよく見えるそうです。対馬から釜山まで約50キロ、福
岡よりも近いのです。韓国の先に北朝鮮があり、その先に中国があ
る。当然のことではありますが、現場に足を運んで改めて実感でき
ました。


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■日本×統一朝鮮というシナリオ(7)

朝鮮半島を中立にしておきたい。かつ、アメリカ兵はひとりも傷つ
けたくない。そこで韓国軍は米軍の作戦指揮システムで縛り、北は
ベトナム化する。在韓米軍司令官は在日米軍司令官が兼任する形に
して日本に下げる。そうやって朝鮮半島を緩衝材として中国とにら
み合うという構図が、アメリカの本音だと思います。

日本は日本で、わが国の領空、領海、領土を侵略させないことが重
要なことは言うまでもありません。そのため、昔から朝鮮半島をそ
の緩衝材として位置付けてきました。その朝鮮半島を抑えていたに
も関わらず、帝国日本軍はさらに最前線を日本から離したいと考え
た。それが満州国だったのです。

では、現代の自衛隊はどうすればいいのか? 海自は第7艦隊と一
緒に動き、日本周辺の公海で敵を排除する。空自は米空軍の戦闘部
隊とともに公海上の上空で敵を排除する。陸自は尖閣諸島防衛に注
力する。つまり、今の防衛力整備や行なっている訓練こそが現実的
な日本防衛の在りようであり、他国に日本を侵略しようとする気持
ちを起こさせない抑止力として機能するということです。

今の憲法、今の日米関係がある限り、これ以外の道はなく、最善の
方法でもあるのです。それを変えるならば米韓と同じように、日米
合同防衛として完全に一体化するという選択になりますが、それが
できないなら今の形しかないのでしょう。
付け加えれば、海上から日本に接近させないようにするため日本に
必要なこととしては、MDA(海洋状況把握)の機能をもっと向上
させることが挙げられます。

ここまで見てきたように、統一朝鮮が日本を攻撃するというシナリ
オは非現実的と考えますが、頭の体操としてシミュレーションする
ことには意味があると思います。
特に、各国がどれくらいの兵力を保有しているのか、それに対して
日本はどれほど対処する力があるのかといったことが明らかになり
ますし、各国の軍の組織、構造がわかれば、日本をめぐる安全保障
環境への理解はより深まります。お互いの戦力や兵力差を視覚化す
るという視点からも必要なことでしょう。

空域防衛、弾道ミサイル防衛、海上防衛、陸上防衛、この4種類の
作戦について、新たな分野である宇宙、サイバー、電磁波といった
クロスドメインという概念も加味したシナリオをひとつずつ検証す
るとよいのではないでしょうか。各種の防衛作戦の検証はこの本の
趣旨に合っていますし、「戦争は目的がないとやらない」というこ
とが客観的に理解できると思います。その結果、「日本×統一朝鮮」
という戦争が、実は「日本×中国」だという構図も見えてくることで
しょう。

来週からは伊藤氏による「日本周辺国の軍事力状況」をご紹介しま
す。


(日本×統一朝鮮というシナリオ  おわり)


(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。

2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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2022年、
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