配信日時 2024/07/21 05:08

【本の紹介】『米軍から見た沖縄特攻作戦 ─カミカゼ vs. 米戦闘機、レーダー・ピケット艦』 ロビン・リエリー著 小田部哲哉訳

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『米軍から見た沖縄特攻作戦 ─カミカゼ vs. 米戦闘機、レーダー・ピケット艦』
ロビン・リエリー著
小田部哲哉訳
判型・ページ数:A5判420ページ
発行日 :2021.8
発行:並木書房
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おはようございます、エンリケです。


「特攻機の戦果を誰がどんな形で確認していたのだ
ろう?」

という疑問を持ったことはありませんか?


・あなたは「レーダー・ピケット(RP)任務」とい
う言葉を聞いたことがありますか?

・あなたは「レーダー・ピケット(RP)任務」をご
存じですか?

・あなたは、特攻攻撃でもっとも損害を受けた米海
軍の艦艇がレーダー・ピケット(RP)任務にあたっ
た艦艇だったことを知っていますか?


もし気になるなら、読み進めてください。

この本を読む最大の意義は、
大東亜戦争当時に「レーダー・ピケット(RP)任
務」というものがあったことを知ること、そして、
わが特攻機の行動と最期を米戦闘記録をつうじて再
現することにあります。

これまで明らかにされることのなかった、出撃後の
日本軍機の行動とその最期を米軍の戦闘日誌、戦闘
報告などに基づき克明に再現しています。

知られざる特攻作戦の実像を明かしてくれる貴重な
記録・資料といってよいでしょう。

沖縄戦で日本陸海軍機の特攻の損害を最も受けたの
は空母・戦艦でなく、沖縄本島周辺の21か所の海域
に配置された駆逐艦や各種小型艦艇などのレーダー・
ピケット艦艇だったのです。

配置された206隻のうち29パーセントが沈没・
損傷し、戦死者1348人、負傷者1586人とい
う甚大な被害を出しました、、、、、


ではこのノンフィクションの内容を見ていきましょう。

(著者のことば)より
<カミカゼ攻撃は、気の狂った者が命令した狂信的
な任務ではなかった。アメリカ人に日本侵攻が高く
つくことを示して、侵攻を思い止まらせる唯一理性
的で可能な方法だった。この考えで、日本人は多く
の航空機とパイロットを片道攻撃に投入した。カミ
カゼの数は、フィリピンの時よりもはるかに多かっ
たので、アイスバーグ作戦の防空計画は不十分なも
のになった。戦闘機指揮・管制駆逐艦の防空強化に
役立つと考えられた武装小型艦艇だったが、その優
位性を活かせる場面が少なかった。
これから述べることは、ほぼ間違いなく第2次世界
大戦で最も困難な海上任務の1つに携わった人々と、
艦艇と海軍・海兵隊・陸軍の航空機、そして戦闘がど
のように展開したかを再現したものである。>

(訳者のことば)より
<日本の特別攻撃隊に関する書籍の場合、その多く
が描いているのは、基地を発進するまでの状況であ
る。帰還を想定していない特別攻撃隊の特殊性など
から、発進後の米艦艇・戦闘機との交戦状況とその
最期を記載したものはわずかである。本書は、米軍
の目を通したものであるが、日本軍機の搭乗員が何
とか米艦艇に突入しようとして、米軍の戦闘機およ
び艦艇の対空砲火を避ける行動をとり、どのような
最期を遂げたかを明らかにしてくれる。
  特別攻撃隊員の中には、自ら進んで、国・家族
を守るため特別攻撃隊員を志願した者もいる。一方
、死を望まないものの置かれた立場上、特別攻撃隊
員として出撃するしかないと考えた者もいる。いず
れの場合であれ、特別攻撃隊員になることが決まっ
た以上、いま自分ができること、すべきことは敵艦
に突入することだけだ、と言い聞かせて出撃したで
あろう。本書が描いている日本軍機の飛行状況から、
そのような任務達成の使命感、その一方で任務を
果たさずに撃墜されることの懸念を読み取ることが
できる。もちろんこれは通常攻撃の隊員も同じ思い
であっただろう。>


◆著者のことば(一部)

-----------------------------------
 米軍が作成した報告書と戦後の文献は、カミカゼ
を「自殺(suicide)パイロット」としており、本
書では便宜上「自殺」の言葉を使用している。しか
し、「自殺」は特別攻撃を行なった者の行為に対す
る表現としてふさわしくないと考えている。
  国土が侵攻される状況に直面した時、軍国主義
の日本政府は、家と家族を守る唯一の方法は、航空
機、舟艇、その他の武器を使って自らの体を米艦艇
に突入させることが最も効果的だとして特別攻撃を
行なう者を説得した。
  日本軍パイロットの多くはこの政府の主張が正
しいとは思っていなかったが、彼らは男性がしばし
ば戦場で見せる行為を実践した。命令に従い、家族、
友人、そして国のために自分自身を犠牲にしたの
だ。これは自殺とはまったく異なる。
  特別攻撃隊員の行為を自殺と記載している報告
を必要上引用しているが、最初にこれを区別してお
くことは重要だと考えている。日本人でこの任務を
自殺と考える者はいない。この方法を「必要に迫ら
れた特別兵器」と考えている。私は自殺と表現する
ことに同意できないが、すべての公式記録が自殺を
使用しており、表現を変えると混乱が生じるため、
この言葉を使わなくてはならない。
  陸軍航空本部長だった河辺正三大将は、戦後の
米軍の尋問に対して次のように語った。
「連合軍は、カミカゼ攻撃を『自殺』攻撃と呼んで
いる。これは誤解であり、これを『自殺』攻撃と言
われることは不快である。彼らは『自殺』ではない。
自殺をしようと思って任務に就いたパイロットは
いない。彼らは自分自身を、祖国のために敵艦隊を
少しでも破壊することのできる人間爆弾と考えてい
た。これを名誉あることと考える一方で、自殺は名
誉なことだと考えなかった」(1)
  この尋問に対して、ラムセイ・D・ポッツ陸軍
大佐は「このような行為を表現できるほかの言葉が
ないので、『自殺』と言っていた」と述べた。

(1) Lt.Gen. Masakazu Kawabe USSBS Interrogation # 277.2 November 1945 P
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◆目次

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著者のことば 1
翻訳にあたって 6

序章 レーダー・ピケット(RP)任務 13

 沖縄侵攻「アイスバーグ作戦」13
  ピケット艦艇が攻撃目標になった 15
  陸上レーダー施設の必要性 17
  過労と神経衰弱 20
  最も困難な任務 21

第1章 駆逐艦と武装小型艦艇 23

 さらに激しいカミカゼ攻撃を予想 23
  戦闘空中哨戒(CAP)との調整 24
  レーダー・ピケット艦艇(RP艦艇)の概要 25
  機動砲艇 28
  ロケット中型揚陸艦 29
  大型揚陸支援艇LCS(L)Mk.3 31
  駆逐艦 34
  敷設駆逐艦(DM)40
  掃海駆逐艦(DMS)40
  護衛駆逐艦(DE)41
  RP艦艇の戦術 42
  効果的なCAPの運用 46
  友軍誤射 47
  カミカゼに対する戦術 48

第2章 航空戦闘 51

 戦闘空中哨戒(CAP)51
  CAPの戦闘機部隊組織 53
  海兵戦闘飛行隊が沖縄に到着 58
  サンダーボルトが伊江島に到着 64
  救難作業 67
  米軍の航空機 68
  FM-2ワイルドキャット 68
  F4Uコルセア 70
  F6Fヘルキャット 73
  P-47Nサンダーボルト 75
  F6F-5Nヘルキャット 76
  P-61ブラック・ウィドウ 76
  日本軍機と米軍機の比較 77
  カミカゼ 80
  天号作戦 82
  日本海軍航空隊 88
  日本陸軍航空部隊 91

第3章“地獄の戦い”始まる 96

 1945年3月24日(土)96
  3月26日(月)96
  3月30日(金)98
  3月31日(土)99
  4月1日(日)100
  4月2日(月)102
  4月3日(火)103
  4月4日(水)106
  4月5日(木)107
  4月6日(金)109
  4月7日(土)123
  4月8日(日)126
  4月9日(月)128
  4月10日(火)129
  4月11日(水)129
  4月12日(木)130
  4月13日(金)154

第4章 彼らは群になってやって来た 159

  4月14日(土)159
  4月15日(日)161
  4月16日(月)164
  4月17日(火)183
  4月18日(水)185
  4月20日(金)187
  4月21日(土)187
  4月22日(日)188
  4月23日(月)193
  4月24日(火)194
  4月25日(水)194
  4月26日(木)195
  4月27日(金)〜28日(土)195
  4月29日(日)〜30日(月)204

第5章 死んだ者がいちばん幸せだった 210

 5月の概況 210
  5月3日(木)〜4日(金)210
  5月5日(土)〜6日(日)245
  5月7日(月)〜9日(水)246
  5月10日(木)〜11日(金)247

第6章 心からの「よくやった」266

 サンダーボルトが到着 266
  5月12日(土)〜14日(月)266
  5月15日(火)〜19日(土)270
  5月20日(日)〜22日(火)279
  5月23日(水)〜25日(金)280
  5月26日(土)〜31日(木)290
  5月のRP艦艇状況 301

第7章 勇気の代償 303

 6月の概況 303
  6月1日(金)〜2日(土)303
  6月3日(日)〜7日(木)304
  6月8日(金)〜12日(火)317
  6月13日(水)〜17日(日)328
  6月18日(月)〜22日(金)328
  6月24日(日)337
  6月25日(月)337
  6月30日(土)339
  7月1日(日)339
  7月2日(月)〜13日(金)340
  7月14日(土)342
  7月29日(日)343
  7月30日(月)〜31日(火)347
  8月1日(水)〜6日(月)347
  8月7日(火)〜8日(水)348
  8月9日(木)〜13日(月)348
  8月15日(水)349

第8章 RP艦艇がこうむった大きな損失 351

  損失は許容範囲内である 351
  カミカゼ攻撃の特性 351
  日本軍パイロットの経験不足 353
  武装小型艦艇の不適切な運用 353
  任務に適していない艦艇の配置 355
  不適切なRPSの戦力 357
  陸上レーダーの早期設置に失敗 359
  乗組員の疲労 360
  訓練時間の不足 362
  RP艦艇が多くの艦艇を損害から救った 363

資料1 レーダー・ピケット(RP)任務における
艦艇の損害 365
資料2 沖縄のレーダー・ピケット(RP)任務に
就いた艦艇 368
資料3 日本軍機 RPS攻撃に使用された機体 371
資料4 機体識別(海軍省海軍情報部)373
資料5 日本軍飛行場と主要用途 380

脚注 382
参考文献 396
翻訳で利用した主な引用・参考文献 419

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◆著者略歴
Robin L. Rielly(ロビン・L・リエリー)
1942年生まれ。沖縄戦当時、父親がLCS(L)-61に乗
艦していたことから、USS LCS(L) 1-130協会で約
15年間歴史研究を行なう。1962〜63年、海兵隊員と
して厚木で勤務。シートン・ホール大学修士課程卒
業。ニュージャージー州の高校の優等生特別クラス
で米国史、国際関係論を32年間教え、2000年退職。
本書を含め日本の特攻隊、米海軍揚陸作戦舟艇関係
の本を5冊執筆。『Kamikaze Attacks of World 
War II』『Mighty Midgets At War』『American 
Amphibious Gunboats in World War II』『Kamika
ze Patrol』。空手に関する著書も多く、International 
Shotokan Karate Federationで技術副委員長を務め
るかたわら自ら空手を教えている。現在8段。

◆訳者略歴
小田部哲哉(おたべ・てつや)
1947年生まれ。三菱重工業(株)の航空機部門で勤
務。退職後は月刊誌『エアワールド』に「アメリカ
の航空博物館訪問記」を、月刊誌『航空情報』に「
アメリカ海兵航空隊の歴史」をそれぞれ連載したほ
か、ヘリコプター関連記事を月刊誌『Jウイング』
に掲載した。母方の伯父が第14期海軍飛行専修予備
学生出身の神雷部隊爆戦隊員として鹿屋から出撃、
未帰還となったことから航空機や航空戦史に関心を
寄せていた。


いかがでしょうか?

昭和20年(1945年)4月に始まった米軍の沖縄侵
攻作戦。これにともない米海軍は、沖縄に上陸した
陸軍、海兵隊、海軍艦艇を守るため、沖縄周辺海域
に21か所のレーダー・ピケット・ステーション(RP
S)を設定し、レーダー・ピケット艦艇(RP艦艇)
を配置しました。

わが陸海軍機は、沖縄米軍を攻撃するにしてもその
前にRP艦艇に探知されます。そのためまずRP艦艇を
攻撃する必要がありました。

それだけではありません。大型艦(空母や戦艦、巡
洋艦)には損傷しか与えられませんが、RP艦艇のよ
うな小型艦艇なら撃沈できます。
そのため、RPSに配置された駆逐艦と小型艦艇部隊が
わが軍機最大の目標になったのです。

淡々とした記録が、胸に迫ります。

これまでほとんど明らかにされてこなかった
帝国陸海軍の特攻機の最期を、敵の戦闘日誌、戦闘
報告等に基づいて詳細克明に描き出した作品。

あなたにも、あなたのお知り合いにも読んでいただ
きたいです。

心からおススメします。


今回ご紹介したのは、

『米軍から見た沖縄特攻作戦─カミカゼ vs. 米戦闘機、レーダー・ピケット艦』
ロビン・リエリー著
小田部哲哉訳
判型・ページ数:A5判420ページ
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でした。


エンリケ

追伸

希少な戦闘詳報。
沖縄特攻作戦の模様を米軍側が記録したもの。
航空総攻撃、菊水作戦など「特攻」の実像と
戦果確認に資する資料的価値を持つ。
特攻で散った勇猛果敢な英霊を思い、感謝と
慰霊の涙が止まらない。

『米軍から見た沖縄特攻作戦─カミカゼ vs. 米戦闘機、レーダー・ピケット艦』
ロビン・リエリー著
小田部哲哉訳
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