配信日時 2024/06/05 09:00

【陸軍砲兵史-明治建軍から自衛隊砲兵まで(64)】 自衛隊砲兵史(10) 107ミリ重迫撃砲(1)    荒木 肇

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おはようございます、エンリケです。

「陸軍砲兵史」
の第64回目。

きょうの記事も本当に面白いです。

さっそくどうぞ。


エンリケ


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陸軍砲兵史-明治建軍から自衛隊砲兵まで(64)

自衛隊砲兵史(10) 107ミリ重迫撃砲(1)


荒木 肇

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▼迫撃砲にライフリングがないのは?

 迫撃砲(MOTOR)というのは、高い弾道で撃ち出し
て近距離までも射撃できる火砲です。もともとは日
露戦争でも使われました。最も進歩したのは第1次
世界大戦でした。加農は直射弾道で、榴弾砲は擲射
弾道でしたが、榴弾砲でもすぐ直前の敵は撃てませ
ん。弾道で考えると、はるか昔の臼砲に近くなりま
す。ただ、臼砲は大口径で要塞攻撃や、艦船を撃つ
のに使われました。

 迫撃砲の特徴はなんといっても閉鎖機がないこと
です。砲口から弾を落とすと弾尾についている装薬
に点火し発射されます(これを墜発式という)。砲
身内に弾と装薬を装填し、その後、火管で点火する
という手間が要りません。したがって発射速度がた
いへん高くなります。ただし、多くの迫撃砲には砲
腔内に施条(ライフリング)がありません。砲口か
ら落とすので、なるべくスムースに入るように考え
られたからです。

 では、どのように砲弾を安定飛翔するようにでき
たのでしょうか。迫撃砲の弾には安定翼がついてい
たのです。それで旋転するジャイロ効果がないのに、
頭部を先にして狙ったところに飛んでいきます。し
かし、それはやはり気象条件、特に風によって安定
度は左右されました。

▼陸軍と迫撃砲

 帝国陸軍でも、迫撃砲の有効性については気が付
いていました。陸軍は第1次世界大戦の研究に力を
注ぎます。多くの将校や研究者が派遣されました。
その成果は多くの文献に残っていますが、1918
(大正7)年夏には「特種兵器試験委員」が設けら
れ、各種の兵器、資材を学校や軍隊に使わせて、ど
う持たせて、どのように訓練するか、所要人員はど
れくらいかなどを研究し、報告しています。新しい
兵器は、どうしても編制、訓練などに関わります。

 研究をされた兵器には次のようなものがありまし
た。狙撃砲(機関銃陣地の銃眼を撃つ)、擲弾銃
(旧式小銃から擲弾を発射する)、榴弾、信号弾、
軽迫撃砲、防毒覆面(対ガス戦)、手榴弾、臨時高
射砲、毒ガス発射器、火炎発射器など。どれをとっ
ても欧州大戦で使われた新しい兵器ばかりです。

▼1920(大正9)年の「兵器研究方針」

 1919(大正8)年には陸軍技術研究本部が発
足します。翌年7月には研究方針が発表されました。
その中に、歩兵兵器という項があります。歩兵銃
(口径7.7ミリのもの、日露戦争で6.5ミリ弾
の威力不足がいわれました)、機関銃(増口径する)、
軽機関銃(歩兵銃の改正に合わせて7.7ミリ)、
歩兵砲(37ミリ、平射と曲射)、手榴弾(曳火手
榴弾)、銃榴弾(歩兵銃で発射する)とずらりと並
びます。


 軽迫撃砲は備考欄に書かれています。軽迫撃砲は、
迫撃砲兵器の中で研究する、ただし状況上歩兵に配
属することは戦術上の使用区分に委ねる・・・とあ
るのです。このことは興味深い意見でした。ピンポ
イントの射撃、少ない弾で精度の良い弾着で敵を制
圧するという砲兵の意見が強かったのでしょう。ど
んどん撃って面で制圧する迫撃砲は「あんなものは
火砲ではない」という気分があったようです。

▼曲射歩兵砲と迫撃砲

 歩兵が使える火砲はないか。これは世界大戦の欧
州戦場で「塹壕砲」として使われたものを参考にし
ました。フランスで開発された無施条のストークブ
ラン砲とドイツ軍が採用したライフリングがあった
軽迫撃砲を比較します。やはり精密な射撃ができる
ドイツ式を採用しました。金属と木を組み合わせた
底板をもっていたので、方向や高低の射角を精密に
できるということが魅力でした。

 口径は70ミリ、重量は63キロ、最低仰角43
度で最大射程は1550メートルでした。1922
(大正11)年に制式とされ、「十一年式曲射歩兵
砲」となりました。なぜ、迫撃砲としなかったとい
うと迫撃砲は火砲であり砲兵が使う。曲射歩兵砲は、
直射歩兵砲
と対になっており、どちらも歩兵大隊の編制内にあ
るからです。のちに迫撃砲は、砲兵の迫撃大隊とい
う部隊に装備されます。

▼墜発式と拉縄式

 この曲射歩兵砲の発射方式は「拉縄(りゅうじょ
う)」式というものです。現在の陸自装備の120
ミリ迫撃砲も、ふつうの墜発とこの拉縄式という発
火方法もとれます。砲弾を砲口から装填し、砲尾の
打ち鉄(うちがね)を拉縄(長いロープ)で引き発
火させました。

 射程は砲身の角度(俯仰角・ふぎょうかく)でも
調整しますが、撃針の覆いを上下させて薬室の容積
を変えることもできました。これはのちの89式重
擲弾筒の仕組みと同じです。

 砲弾は、弾底の装薬を収納した部分がガスで膨張
して、弾帯(だんおび・銅でできている)が施条に
食い込み、回転するものです。榴弾と発煙弾、照明
弾を撃ちました。

次回は昭和初めの迫撃砲事情について語ります。



(つづく)


(あらき・はじめ)


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●著者略歴

荒木  肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。

著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか─安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!─昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊─自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。


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された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
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