配信日時 2024/05/28 08:00

【情報戦を生き抜くためのインテリジェンス(3)】なぜ「TikTok」は、アメリカで問題視されているか?   樋口敬祐(元防衛省情報本部分析部主任分析官)

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おはようございます、エンリケです。

インテリジェンスのプロ・樋口さん(元防衛省情報本
部分析部主任分析官)がお届けする
『情報戦を生き抜くためのインテリジェンス』
の3回目。

きょうは、
若い世代で大バズり中の
「TikTok」
に関する考察です。

さっそくどうぞ。


エンリケ

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情報戦を生き抜くためのインテリジェンス(3)

なぜ「TikTok」は、アメリカで問題視されている
か?

 樋口敬祐(元防衛省情報本部分析部主任分析官)

───────────────────────

□はじめに

北朝鮮の国営中央テレビが4月17日に放送した金正
恩を称えるプロパガンダソングが、TikTokを通じて
西側Z世代のユーザーの間で大ブレイクしているそ
うです。(BBC、FNNプライムオンライン4月1
9日等)
 
BBCは、「西側Z世代のユーザーの大半は『米国
を壊滅させる』と誓い、何十発もの弾道ミサイルを
発射した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記を称賛す
る歌詞に全く気づいていない」と懸念を表明してい
ます。

北朝鮮の体制について少しでも関心や知識がある人
(特にZ世代よりも上の年代の人)であれば、BB
C同じような感想や危惧を持つことでしょう。

しかし、TikTokユーザー(=Z世代が多い)の中で
は、プロパガンダソングを「本当に素晴らしい曲」
「グラミー賞に値する」「最高にキャッチ―でディ
ストピア的」と称賛しているとされます。

なかには1974年から1982年頃まで活動し、世界的ヒ
ット曲を連発したスウェーデンのポップ・グループ、
ABBAに例えるコメントなどもあります。

まさに、エコーチェンバー現象であり、TikTokが、
Z世代を中心に影響力があるSNSであることを象
徴するような事象です。


▼TikTokの特徴

さて、ほかのSNSと比較した場合のTikTokの特徴
は、何でしょうか?

短尺動画を簡単に投稿/共有できるサービス
現在では、10分程度の動画も投稿できますが、元々
は3分未満の短い動画をアプリ内で簡単に撮影・編
集・投稿が一貫して行なえるように作られています。
人気の動画はいまだに15~60秒程度のようです。

おすすめ機能で好みに合ったコンテンツが簡単に視
聴可能
  ユーザーは動画を探す手間なくお好みのものが
入ってきます。おすすめ機能はユーチューブなどほ
かのSNSでも取り入れられていますが、TikTokは
その精度が特に高いとされています。短いがゆえに
好みの動画を次々と視聴できます。

ダンス、コスメ、グルメ、ハウツーものなどさまざ
まなジャンルがあり幅広く多様な好みに対応

誤情報が多い
一方で、誰でも手軽に投稿でき、短い動画が多いこ
とも要因となり、TikTokには誤情報が多いという問
題も指摘されています。

2022年9月、信頼性を評価する米メディア監視組織
「ニューズガード(News Guard)」のレポートによ
れば、新型コロナウイルス感染症、ウクライナ侵攻
などを検索すると、「上位に出てくる動画の約20パ
ーセントに、誤情報または誤解を招く主張が含まれ
ている」という結果でした。
 
▼アメリカの国民のTikTokに関する意識調査

TikTokのアメリカでのユーザーは1億7000万人とされ
ます。2023年のデータによれば1日当たりのアメリカ
人のSNSの平均利用時間は、TikTok 90分超、イン
スタグラム約60分、X 約30分とされます。

また、ABCニュースとIpsosによる世論調査(AB
Cニュース2024年5月7日)によれば、TikTokの売
却に賛成は51%、反対は46%でした。

仮に中国資本以外の企業に売却されない場合、TikT
okが禁止されることに対して賛成は53%、反対は44
%でした。

このように、国民全体で見れば半数以上がTikTokの
売却や禁止を支持しています。しかし、世代別、性
別、支持党別に見ればそこには分断や格差がありま
す。

禁止に賛成しているのは高齢者では70%ですが、30
代未満の成人では39%にすぎません。その、禁止に
反対が多い30代未満をさらに男女別にみると男性で
は52%ですが、女性では60%以上が禁止に反対して
います(30代以上では性別の顕著な差はありません)。

政党別では、バイデン支持者(民主党)は、禁止に
関して賛成と反対の比率が、おおむね半々ですが、
トランプ支持者(共和党)では、禁止に賛成の者が
60%を超えています。

これらからいえることは、TikTokはアメリカ国民全
体としては、禁止した方がいいという割合が過半数
を占めるものの、30代未満の若者層は禁止に反対と
いう割合が多い、つまりTikTokを支持している人が
多いということを表しています。

▼TikTokが問題視されている理由

多くのSNSのうちなぜTikTokがこのようにアメリ
カで問題視されているのかですが、大きくは次の3
点が挙げられます。

アメリカ人の個人情報データが中国政府へ提供され
る懸念が指摘されています。
 中国の国家情報法においては「いかなる組織や個
人も、国家の情報活動に協力しなければいけない」
と規定されている。つまり、いかなる情報も中国政
府からデータを渡せと言われたら、中国企業はそれ
に逆らえないということです。

TikTokの最大の強みは、利用者の関心にあわせた動
画を次々に表示するアルゴリズム(計算手順)だと
されます。ショート動画でユーザーの注意を引き続
けているのです。

ほかのSNSと比べてこのアルゴリズムの精度が強
すぎることが問題視されています。国民に与える影
響力が大きすぎるのではないかとアメリカ政府は懸
念しています。中国政府(中国共産党)の影響下に
あるTikTokにより、いつの間にか、共産党にとって
都合のよい情報操作が行なわれる懸念があるという
ものです。

子供の命や犯罪にかかわる有害なコンテンツを適正
化(モデレート)してないとの指摘
TikTokで流行したブラックアウトチャレンジ(自分
の首を絞めて失神するところを撮影してアップデー
トする)では、2021年から2022年にかけて少なくと
も15人以上が死亡したとされています。

一般的には以上の点ですが、TikTok禁止については、
アメリカの大統領選挙も大いに関連していると思い
ます。

次回は、その点も含めアメリカにおけるTikTok禁止
にいたる経緯と今後の動向について述べたいと思い
ます。


(つづく)



(ひぐち・けいすけ)



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【著者紹介】

樋口敬祐(ひぐち・けいすけ)
1956年長崎県生まれ。拓殖大学大学院非常勤講師。
元防衛省情報本部分析部主任分析官。防衛大学校卒
業後、1979年に陸上自衛隊入隊。95年統合幕僚会議
事務局(第2幕僚室)勤務以降、情報関係職に従事。
陸上自衛隊調査学校情報教官、防衛省情報本部分析
部分析官などとして勤務。2011年に再任用となり主
任分析官兼分析教官を務める。その間に拓殖大学博
士前期課程修了。修士(安全保障)。拓殖大学大学
院博士後期課程修了。博士(安全保障)。2020年定
年退官(1等陸佐)。著書に『2020年生き残りの戦
略』(共著・創成社)、『2021年パワーポリティク
スの時代』(共著・創成社)、『インテリジェンス
用語事典』(共著・並木書房)、近刊『ウクライナ
とロシアは情報戦をどう戦っているか』(並木書房)



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