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こんばんは！エンリケです。

「日本の第６世代戦闘機」の４回目です。

きょうの冒頭文も必読ですね。

さっそくどうぞ。

エンリケ

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加藤大尉の軍隊式英会話：世界の秘密兵器編　　　
　　Takashi Kato

日本の第６世代戦闘機（４） 

加藤喬（元米陸軍大尉）

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□社会分断を目論むウォーキズム運動

　先月末、日米ほぼ同時にトランスジェンダーをめ
ぐる騒動がありました。日本では『トランスジェン
ダーになりたい少女たち』を扱う書店への放火を予
告する脅迫と、アメリカではバイデン大統領がキリ
ストの復活を祝うイースターを「トランスジェンダ
ー認知の日」に重ねたことで激化したリベラル対保
守の対立です。


　トランスジェンダーとは「自分の身体が自らの性
自認と一致しない」、もっとかみ砕いて言えば、
「生まれたときの性別と自分が感じる性別が異なる」
人々を指し、支援グループによれば一般人口の1.7パ
ーセントにあたる性的少数者です。


昨今、「トランス女性は『女性専用空間』を侵害す
る」とか「トランス選手は『スポーツの公平性を乱
す』」といった主張をよく耳にするようになりまし
た。マスコミに溢れる情報の真偽はひとまず置くと
して、今回日米で起きた出来事は、より包括的な視
点から考えるべきだと思います。放っておくと、文
化、伝統、習慣といった「国の箍（たが）」が外れ
てしまう恐れがあるからです。以下、私感を述べま
す。


　現在アメリカでは、ウォーキズムが社会の隅々に
蔓延（はびこ）っています。ウォーク (woke) とは
「目覚めた」とか「気づいた」を意味し、元来は
「人種差別の存在に目覚め、反対する運動」のこと
でした。それがいつの間にか、米建国史、自由競争、
資本主義経済、アメリカン・ドリーム、実力本位の
大学入試と雇用制度などを「白人特権の結果」と声
高に糾弾するアイデンティティ政治にすり替えられ
てしまいました。


ウォーキズムはまた、トランスジェンダーを含む少
数派に「弱者意識」と「被害者意識」を植え付け、
白人男性を「抑圧者」として蔑視する「逆差別」の
一面があります。異性愛者白人社会と伝統的家族制
度を敵視する風潮がもてはやされる昨今、「性別は
男と女のふたつである」などと口にしようものなら、
すぐさま「差別者」として「キャンセル」されてし
まいます。異性愛者や白人男性に対する差別は「容
認できる差別」とする毒のある世相を助長している
のもウォーキズムです。


　ウォーキズムの台頭に対し、南アフリカから米国
に移民しアメリカン・ドリームを体現して見せたイ
ーロン・マスク氏は、


　「多様性、公平、社会的一体性などというと聞こ
えがよいが、実際には人種、性別、性的志向に基づ
く差別であり、実力本位社会を否定するものだ。単
に弱者（筆者注：少数派）であるからといってそれ
故に善であるとする風潮はなくすべきだ。全く馬鹿
げている」（『エポック・タイムズ電子版』2024年
1月24日付）


と述べています。この発言を自分の体験になぞらえ
て解釈すると以下のようになります。


　1991年の湾岸戦争当時、わたしは陸軍武器科の中
尉になったばかりでした。サウジアラビアの砂漠に
駐屯中、訳あって中隊長が解任された折、大隊指揮
官の中佐は年功で上の士官ではなくわたしを中隊長
代理に任命しました。この決断が「カトー中尉は少
数民族だから」という理由で下されたものだと仮定
してみましょう。より豊富な体験と優れた決断力、
人徳、そこから生まれる統率力をもったベテラン中
尉らを差し置き、「アジア人」すなわち「肌の色」
でわたしが優先されたのだとしたら、中隊内の人間
関係に人種を軸とした齟齬が生じ、その結果、命令
系統は確実に劣化したはず。またストレスのかかる
状況下、経験不足から誤った判断を下したかも知れ
ません。


戦場でいざというとき仲間や部下らが動かなければ
即、命取りになり、それは取りも直さず大隊将兵全
員を危機にさらすことを意味します。軍での昇進や
指揮官の選択といった決断は実績と能力、つまり実
力本位で為されるべき理由がここにあります。


　然るに昨今、医学会、法曹界、ビジネス界を含め、


「あらゆるアメリカの公共機関は代表数が不足して
いる少数派を採用し、昇進させようと一心不乱にな
っている」（ヒルスデイル・カレッジ機関誌『イン
プレイミス』２０２４年２月号）のが現状のようで
す。


民族的、性的少数者の頭数が不足している組織は即
刻「人種差別主義」のレッテルを貼られるからです。
誰しも「反差別」とか「公平」などという言葉に反
論はしづらいものです。


マスク氏の指摘通り、ウォーキズム運動は「多様性
尊重」や「平等」など耳当たりのいい言葉を「武器」
として使い、異なる意見を封じているのです。


　公平を期すために言うと、「トランスジェンダー
の人々は、他のすべてのアメリカ人が享受する本当
の自分として生きる自由に値し、また、そうする権
利がある」としたバイデン大統領の宣言は正しいと
思います。人生の大半をこの多民族国家で過ごして
きましたから、多数派、少数派を問わず同胞の人権
を尊重し、それぞれの主張に耳を傾けることにやぶ
さかではありません。


しかし同時に、性的志向、性別、肌の色は「能力」
でもなければ「実績」でも「徳」でもありません。
どうひいき目に見ても「弱者であり少数者であるか
ら善であり、したがって才能や実績にかかわらず社
会で重用されるべきだ」とのウォーキズム理論は無
理筋。にもかかわらず、武器となった「差別」「均
等」「多様性」などの言葉に恐れをなし、国防、医
療、法律、教育、ビジネス分野で採用レベルを下げ
た米社会は機能不全に陥りつつあります。


この真逆が権威主義国家。独裁者は少数派の人権は
もとよりアイデンティティ政治など歯牙にもかけま
せん。いい例が中国で、分断で弱体化するアメリカ
を尻目に科学・技術エリートの育成に努め、インド
太平洋地域はおろか宇宙での覇権獲得にむけ野心を
むき出しにしています。


閑話休題。異性愛者と性的少数者の確執をことさら
に煽り、伝統的家族制度を蔑（さげす）み、機会均
等と自由競争に基づく実力本位社会、すなわちアメ
リカン・ドリームを目の敵（かたき）にするウォー
キズムには強い危機感も覚えます。トランスジェン
ダーなど性的少数者と人種的少数者の守護者を装っ
てはいるものの、米社会を内側から分断し制圧する
策略なのではないかとの疑念が拭えないからです。


　翻って日本はいかに。　『トランスジェンダーに
なりたい少女たち』をめぐる脅迫騒動にもウォーキ
ズムの気配を感じます。まず、「トランスジェンダ
ーへの差別を扇動する」との主張は本書の内容を把
握していないことを示唆しています。そのうえ、
「同書の出版は中止すべきであり、発売した書店に
は火を放つ」との威力妨害は性的少数者への理解を
深めるものでないばかりか、これまでトランス問題
に無関心だった人々の購買意欲をもそそる結果にな
るのは必至。とすれば、犯人の真意は少数者の保護
ではなく、日本社会分断でしょう。
　
　ウォーキズム活動家の策略に乗せられぬためには
どうしたらいいのか？　カギは同性愛者やトランス
ジェンダーに目くじら立てなかった日本社会にあり
ます。宗教的正義感や政治ドグマに囚われない日本
人は、少数者を「ちょっと変わっているが、人それ
ぞれ」と受け入れてきました。「元々人数が少ない
のだから、角を立てず棲み分けすればよい」とする
懐の深さでもありましょう。この意味で、アメリカ
の有力日刊新聞『USAツデイ』３月３１日付に載った
あるトランス男性の言葉には共感が持てます。曰く、


　「わたしはトランス男性。私たちに秘密の計略な
どありません。あなた方に求めているのは、本当の
自分として生きさせてください、ということだけで
す」


　社会分断を目論むウォーキズム運動に惑わされず、
少数者各人の言葉に耳を傾け共存を目指すのが正道
です。


読者諸氏のお考えをお聞かせください。




▼日本の第６世代戦闘機（４） 

兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるため
には相手より優れた武器を持たねばなりません。兵
器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく続
いているのはこのためです。よく指摘される武器の
効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を抜
かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝ち」
の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な破壊
力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手放せ
ない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏面が
「抑止力」なのです。
加藤大尉の軍隊式英会話：兵器編」では、それぞれ
の武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を考
えていくことにします。

　日本の第６世代戦闘機シリーズ最終回は、他機に
ないＦＸの最先端テクノロジーを取り上げます。

　軍事と国際関連ニュースに特化したオンライン新
聞『ユーラシア・タイムズ』2020年12月16日付によ
ると、ＦＸの機首に装備されるレーダーは、飛来す
るミサイルを無力化する指向性エネルギー兵器（DE
W）の役割も持つことになるとのことです。DEWとは
高度に収束されたエネルギーを標的に照射する兵器
の総称です。

レーダーとは本来、電波を目標に照射し跳ね返って
くる波を測定することで距離、方角、速度を測る探
知装置です。しかし使用する電波の種類によっては、
電子機器を破壊したり人や動物を殺傷したりする能
力も合わせ待っていることが知られてきました。Ｆ
ＸのDEWはこの副次効果を武器として使う初めての試
みです。

手元の資料では詳細が不明なので推測にすぎません
が、SF映画に登場する殺人光線のように標的を派手
に爆発させるものではなく、ミサイルや無人機に搭
載されたデリケートな誘導装置を過熱させ無力化す
るタイプではないかと思われます。

空対空ミサイルは１発数億円もする高価なものです
が、DEWは電源さえ確保できれば１回の照射にかかる
費用は無視できるほど少額という長所があります。
また装弾数に限りがあるミサイルや弾薬とは異なり、
電力が続く限り持続発射が可能です。そのうえ電波
は光速で移動しますから、DEWに狙われた敵は回避し
ようがありません。

三菱重工と川崎重工が開発中とされるDEWが実用化さ
れれば、ＦＸの火力は圧倒的なものとなり、したが
って、数で勝る敵にとってもしたたかな抑止力を発
揮することでしょう。今後のＦＸ開発から目が離せ
ません。

教材ビデオ:
 This New Japanese Fighter Jet Can Destroy Chi
na In 30 Seconds (youtube.com)

https://x.gd/PqUZc

（本エピソード９：５８から始まります）

基本語彙（カタカナ表記は大雑把なものです）
armed with（アームド　ウィヅ）〜で武装している
microwave weapon（マイクロウェーブ　ウェッポン）
マイクロ波兵器
disrupt（ディスラップト）邪魔する　破壊する


シナリオ（カウンターを１０：０１に合わせてくだ
さい）

The FX will be armed with a microwave weapon l
ike a laser directed energy weapon to disrupt 
an incoming missile.

（ＦＸは飛来するミサイルを破壊するレーザー指向
エネルギー兵器のようなマイクロ波兵器で武装する
ことになる）


（今回のビデオは最後まで続きます）

英語一言アドバイス：
laserはレーザー光線のことです。英語での発音はレ
イザーに近いでしょう。ちなみに、英語で剃刀のこ
とをrazorと言いますが、カタカナで書くと同じレイ
ザーになってしまいます。日本人には区別しにくい
LとRの発音ですので注意が必要です。発音サイトに
両方載せておきますので聞き比べてください。

発音サイト：
laserの発音 How to pronounce LASER in English 
(cambridge.org)

https://x.gd/rQ53K

rasorの発音　How to pronounce RAZOR in English
 (cambridge.org)

https://x.gd/khLC6

参考サイト： 
日本の次期戦闘機FX　次期戦闘機 (F-2後継機) - W
ikipedia

https://x.gd/wM9Ra


指向性エネルギー兵器　指向性エネルギー兵器 - W
ikipedia

https://x.gd/N3VPS



（かとう・たかし）


●著者略歴

加藤喬（かとう・たかし）
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授（2014年7月退官）。
著訳書に第３回開高健賞奨励賞受賞作の『ＬＴ─あ
る“日本製”米軍将校の青春』（TBSブリタニカ）、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『Ｍ16ライフル』『ＡＫ─47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『ＭＰ３８／４０
サブマシンガン』（いずれも並木書房）がある。

追記
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事（桜林美佐氏）：
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
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『レックス　戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
　⇒ https://okigunnji.com/url/7/
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/

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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。

軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代　(passage of
lines)　を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。

　同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は　"Repeat"　ではなく　"Say again"　です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。

　兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。　
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"　
と表現します。

　『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。

加藤　喬
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