配信日時 2024/03/27 09:00

【陸軍砲兵史-明治建軍から自衛隊砲兵まで(54)】 最後の量産された火砲 荒木 肇

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おはようございます、エンリケです。

「陸軍砲兵史」
の第54回目。

きょうも面白いです。

さっそくどうぞ。


エンリケ


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陸軍砲兵史-明治建軍から自衛隊砲兵まで(54)

最後の量産された火砲


荒木 肇

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□はじめに

 陸自の西方への備えは着々と進んでいます。第7
地対艦ミサイル連隊が編成完結を迎えました。装備
する12式地対艦ミサイルは、1991(平成3)
年から保有された88式地対艦ミサイルの後継です。
射程は「百数十キロメートル」と「自衛隊装備年鑑」
には公表されていますが、実際は300キロともい
われています。

 もともと6個連隊(各4個射撃中隊)あったもの
が1個減り、今回その欠番(第6連隊)をそのまま
に、第7地対艦ミサイル連隊となりました。沖縄県
の島々に中隊ごとに配置され、統一指揮をとる本部
が那覇に置かれて、北方に3個、東北方に1個、西
方に2個の6個連隊体制になります。

 12式地対艦ミサイルは野戦特科に所属しますが、
砲身のある火砲とは異なり、ユニークな存在です。
わが国に接近する敵艦船に攻撃を行ないます。山地
に設けた洞窟陣地に発射機や指令機関を隠しておい
て、沿岸に置いた監視システムが目標を通知します。
ミサイルは地上では事前にプログラムされた飛行経
路をとって海上に出ます。ジェットエンジンで低高
度を進み、敵のレーダー探知をかわし、防禦能力の
低い輸送船などを襲うのです。そのときには目標の
上空近くで急上昇し、突入します。

 この地対艦ミサイルの能力向上型が開発されてい
るようです。また、これまで2個連隊だった水陸機
動団に新しく1個連隊が加わり、兵力の増強がされ
ています。西方に睨みをきかせる動きです。陸自は
着実に抑止力としての存在を強めています。


▼機械化牽引の榴弾砲

 1926(大正15)年には、いよいよ装軌(ク
ローラー)牽引車によって曳かれる野戦榴弾砲の開
発が始まります。要求された性能は口径が15糎、
射程1万2000メートル、自動車牽引だから重く
なるのは仕方がないとされました。四駢(よんべん
・8頭のこと)もしくは自動車牽引ということにな
ります。

 火砲は重量が4トンにもなりました。少しでも重
量を軽くするために砲身は自己緊搾式単肉とします
が、やはり長射程を考えると砲架も揺架も強度を持
たせ、重量が増えるのは仕方がありませんでした。
馬は8頭を使っても軽快に運動などできません。そ
こで、自動車牽引の専用火砲とします。

 1933(昭和8)年末に設計を始め、翌々年の
35年9月に試製砲が完成しました。野戦砲兵学校
の実用試験でも合格、冬季北満試験でも良好な結果
を出します。部隊編成実用試験を行ない、1938
(昭和13)年5月に仮制式を制定されました。こ
の時代のずっと前から兵器はすべて厳寒の北満洲で
各種試験を行ないます。まさに陸軍の対ソ連戦の姿
勢がうかがわれる話です。


また、野戦火砲は必ず中隊規模の部隊編成で実用試
験を行ないます。野戦火砲は単独で行動することは
なく、移動、陣地進入、展開、射撃準備、射撃情報
収集、射撃指揮、観測、通信なども部隊単位です。
そこで、部隊編成で実際に試験を行ないました。

▼支那事変の勃発と投入

 1937(昭和12)年7月、支那事変が勃発し
ます。すでに完成していた8門の本砲は北支に送ら
れました。射程は大きく伸び、新しく開発した弾重
40キロの弾が好評でした。炸薬量も多く、爆発威
力も大きかったのです。

 こうしたことは素人には分かりにくいのですが、
10糎(105ミリ)級の弾は重量が16キロほど
でした。それが15糎になると40キロです。戦後
の火砲である陸自の使ったM2A1・105ミリ榴
弾砲の弾の有効範囲が20×30メートルでした。そ
れが155ミリ榴弾砲では同じく45×30メートル
にもなります。この有効範囲とは、その範囲にある
活目標、つまり人馬が50%以上死傷するという意
味です。


 さらに工兵の記録を読むと、「ベテラン兵士は塹
壕などにある限り10糎級では慣れることができる
し、直撃さえしなければ安心・安全である。ところ
が15糎クラスでは、その飛翔音、爆発音、さらに
は近距離の着弾でも、衝撃波や衝撃で塹壕の壁は崩
れ、生き埋めになる仲間も出て来る」などと、15
糎クラスの恐ろしさが語られます。

 また、大東亜戦争の末期には、15糎榴弾砲の被
害にあったアメリカ軍戦車の状況も報告されます。
直撃はもちろん戦車そのものを破壊し、車輌の至近
に着弾しても、その衝撃波でエンジンが破壊されて
しまう。15Hの正面には出ないようにということ
です。

 野戦重砲兵第1聯隊が装備火砲を、これまでの4
年式15榴から96式に替えたのは1938(昭和
13)年12月のことでした。翌14年6月にノモ
ンハン事変に動員下令されました。2個大隊4個中
隊16門が出動します。陸軍始まって以来、発の対
ソ連砲兵戦闘でした。脚が壊れた、塞環(そくかん)
が砂で融けて琺瑯になってしまい連続発射ができな
かったなどの悪評も残していますが、やはり長射程
による火制効果は高く、貴重な存在でした。

 総生産量は約440門でしたが、敗戦時まで生産
を続けました。こうした重砲が意外なほど生産が少
なかった背景には、やはり航空への傾斜が大きかっ
たということが挙げられるでしょう。次回は同時期
の新型火砲についてお話します。


(つづく)


(あらき・はじめ)


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●著者略歴

荒木  肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。

著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか─安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!─昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊─自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。


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された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
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