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『明治の御代 御製とお言葉から見えてくるもの』
勝岡 寛次(著/文)
発行:明成社
四六判320ページ
発行:2012年7月
https://amzn.to/35b7onq
おはようございます、エンリケです。
『明治の御代 御製とお言葉から見えてくるもの』
は、勝岡寛次氏による明治天皇の御製やお言葉を集
めた書籍であり、明治時代の歴史や文化について深
く掘り下げた作品です。
明治天皇の御製やお作りになった詩や文章、日記、
漢詩やお言葉を収録しています。これらの文書を通
して、明治天皇の御人柄や当時の社会情勢、国家運
営に対する思いなどを垣間見ることができます。
著者は、御製やお言葉を分類し、それぞれに対して
解説や考察を行っています。当時の社会情勢や文化
的な背景を説明し、明治時代の様相を理解する手が
かりを提供してくれています。
特に、明治天皇の人柄や思想、信仰に関する部分は、
非常に興味深いです。
本書最大の魅力は、明治時代の歴史や文化につい
て深く掘り下げた内容にあります。膨大な数の御製
やお言葉を収録、分類し、解説・考察するなかで、
明治天皇の人物像や当時の社会情勢、国家運営の思
想などを深く理解できます。
わが国の歴史分類の1つに、
『日本文学史』で小西甚一さんが挙げた
古代(5世紀ごろ〜8世紀ごろ)、
中世(9世紀ごろ〜19世紀中ごろ)、
近代(19世紀後半〜)
というものがあります。
各時代の特徴として挙げられるのは
古代=日本的
中世=シナ的
近代=西洋的
という点です。
この本を取り上げようと思ったとき
頭にまず浮かんだのは、この分類と特徴でした。
これによれば、
中世から近代への転換点が明治維新
となるのでしょう。
明治維新は、わが国にとってまさに文明史的転換で
あったことがわかる気がします。
明治という時代については、偉大な時代だったとか
暗黒だったとか、、、、とかく煽情的、感情的(エ
モーショナル)に語られ、扱われている気がします。
戦後イデオロギーとの整合性を図る無理がそういう
扱いに表れている感も持ちます。
時代背景への正鵠を射た把握なしに、
単なる羅列や評論で時代の核をつかめるはずもあり
ません。
明治という時代の核をつかむには
明治大帝抜きでできるはずもありません
明治大帝を理解するには、
御製や勅語抜きでできるはずもありません。
列強が植民地化を進め、わが周辺諸国の独立が脅か
されていたなか、
なぜわが国だけがいち早く近代化を成し遂げ、世界
の大国の一角を占めるに至ったか?
その核に何があったのか?
こういう根本的な問いに応えてくれるのが、
明治大帝百年祭の記念として出版された本書です。
明治大帝御製、勅語、貴重な絵画等を軸に明治とい
う御代を描き出し、
読み手に伝えてくれます。
それでは内容を見ていきましょう。
◆目次
まえがき
第一章 明治天皇と六大巡幸
ご誕生前後/孝明天皇の睦仁親王/孝明天皇と明治
天皇の行幸/王政復古の大号令と五箇条の御誓文/
初めての大阪行幸と東京行幸/ご学問とご修養/宮
廷改革と西郷隆盛の薫陶/六大巡幸(1) 西国巡幸(
明治五年)/六大巡幸(2) 奥州巡幸(明治九年)/
西郷隆盛の死と明治天皇/六大巡幸(3) 北陸・東海
巡幸(明治十一年)/勤倹の勅語と教学聖旨/六大
巡幸(4) 山梨・三重・京都巡幸(明治十三年)/六
大巡幸(5) 北海道・秋田・山形巡幸(明治十四年)
/六大巡幸(6) 山陽道巡幸(明治十八年)/六大巡
幸に共通するもの/ご巡幸のもたらしたもの
第二章 大日本帝国憲法と明治天皇
大日本帝国憲法の淵源としての尊皇思想と公議思想
/民撰議院設立建白書と漸次立憲政体樹立の詔/聖
徳涵養と天皇親政運動/明治天皇とグラント将軍/
自由民権運動の日本的特質/明治十四年の政変と「
国会開設の勅諭」/岩倉の「憲法綱領」と伊藤博文
の欧州憲法調査/華族制度及び内閣制度の創設/伊
藤・井上の欧化政策とその破綻/井上毅の日本主義
的転回と憲法草案の起草/枢密院での憲法審議と明
治天皇/欽定憲法の「欽定」ということ/大日本帝
国憲法は、外国の憲法の模倣ではない/大日本帝国
憲法の発布
第三章 教育勅語と明治天皇
明治天皇が受けられた教育/明治初年の教育と欧化
主義の影響/明治天皇と教学大旨/『幼学綱要』の
編纂/小学校教則綱領と小学校教員心得/明治二十
年前後の教育の混乱/勅語起草のきっかけとなった
地方長官会議/教育に関する「箴言」の編纂開始/
法制局長官井上毅の起草/起草に際しての元田永孚
との協力/教育勅語の内容(首文)/教育勅語の内
容(本文)/教育勅語の内容(末文)/明治天皇と
教育勅語/教育勅語の御下賜とその影響/教育勅語
の世界的評価/教育勅語渙発の歴史的意義
第四章 日清・日露戦争と明治天皇
国軍の基礎を築いた西郷隆盛と明治天皇/西南戦争
と竹橋事件/軍人勅諭と明治天皇/陸海軍大演習と
明治天皇/海軍の発展と明治天皇/日清戦争と戦局
の推移/広島大本営の明治天皇/日清戦争の歴史的
意義/三国干渉から日露戦争へ/日露開戦と明治天
皇の御苦悩/彼我の戦力差と旅順港閉塞作戦/困難
を極めた旅順攻囲戦と乃木希典/奉天会戦と大山巌
/日本海海戦と東郷平八郎/明治天皇と日露戦争/
ポーツマス講和会議と凱旋式/日露戦争の世界史的
意義
第五章 明治の外交と領土問題
幕末の領土問題/安政の不平等条約/明治新政府の
外交方針/岩倉使節団と条約改正予備交渉の蹉跌/
寺島宗則と条約改正交渉の失敗/沖縄県の設置(琉
球処分)/対朝鮮外交と日朝修好条規/樺太千島交
換条約と「蛍の光」/井上馨と鹿鳴館外交の破綻/
大隈重信の条約改正交渉と、その挫折/大津事件と
明治天皇/陸奥宗光と領事裁判権の撤廃/尖閣諸島
と台湾の領土編入/明治中期の対朝鮮外交/日英同
盟の締結/竹島の領土編入/樺太の国境画定/韓国
の保護国化/韓国併合と明治天皇/小村寿太郎と関
税自主権の回復/第六章 明治天皇と明治の祭祀/
孝明天皇から明治天皇に継承された敬神の心/宮中
祭祀の再興と歴代天皇陵の荒廃/近代皇室祭祀の原
点・神武天皇祭の成立/孝明天皇後月輪山陵の造営
と先帝祭の成立/宮中三殿の成立/新嘗祭と大嘗祭
/明治天皇と祭祀の復興/明治天皇と祭祀の新設/
明治天皇と伊勢神宮(1)──毎朝御代拝/明治天皇と
伊勢神宮(2)──四方拝及び「政始」/明治天皇と伊
勢神宮(3)──例幣使・公卿勅使と賢所神嘗祭の創始
/明治天皇と伊勢神宮(4)──遷宮勅使/明治天皇と
伊勢神宮(5)──歴史上初めての神宮ご親拝/明治天
皇と熱田神宮/明治天皇と橿原神宮/明治天皇と吉
野神宮/明治天皇と湊川神社/明治天皇と靖国神社
/明治天皇は祭祀に不熱心だったのか?/明治天皇
の祭祀への出御の実際
終章 明治の終焉
明治天皇の崩御/明治天皇と乃木希典/明治天皇の
世界的評価/明治の御代と現代
あとがき
明治天皇略年表
◆著者略歴
勝岡寛次(かつおか・かんじ)
昭和32年、広島県生まれ。
早稲田大学第一文学部卒、早稲田大学大学院博士課
程修了。
現在、明星大学戦後教育史研究センター勤務、皇學
館大学非常勤講師。著書に『抹殺された大東亜戦争』
『沖縄戦集団自決—虚構の「軍命令」』『これだけ
は知っておきたい日中問題20のポイント』『これだ
けは知っておきたい日韓問題20のポイント』(とも
に明成社)、『韓国・中国「歴史教科書」を徹底批
判する』(小学館文庫)、監修本に『日本人なら知
っておきたい近現代史50の検証』『教科書から見た
日露戦争』(展転社)などがある。
いかがでしょうか?
明治時代の文化や思想に精通している人向けの内容
なので、初心者には少し難しいかもしれません。
いま我々が直面するさまざまな課題をいかに克服する
か?の物差し、羅針盤として、
いまこそ心ある日本人が手にしたい内容を持つ価値
ある本です。
きょう紹介したのは、
『明治の御代 御製とお言葉から見えてくるもの』
勝岡 寛次(著/文)
発行:明成社
四六判320ページ
発行:2012年7月
https://amzn.to/35b7onq
でした。
追伸
総じて、「明治の御代 御製とお言葉から見えてく
るもの」は、明治時代に関心がある方にとって、非
常に興味深い内容となっています。明治天皇の思想
や当時の社会情勢について深く掘り下げたい方にお
すすめの書籍です。
改めて、強くそう感じます。
読みやすい文面もうれしい限りです。
『明治の御代 御製とお言葉から見えてくるもの』
勝岡 寛次(著/文)
発行:明成社
四六判320ページ
発行:2012年7月
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