配信日時 2024/03/08 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話:世界の秘密兵器編】イスラエルの軍用AI(1) 加藤喬(元米陸軍大尉)

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こんばんは!エンリケです。

今日から、イスラエルの軍用AIがテーマです。
要注視ですね。

さっそくどうぞ。

エンリケ

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加藤大尉の軍隊式英会話:世界の秘密兵器編   
  Takashi Kato

イスラエルの軍用AI(1)

加藤喬(元米陸軍大尉)

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□アメリカは実力本位の国でいい
──アメリカの伝統的価値を蚕食するウォーキズム──

アメリカは実力本位の国。出自がモノをいう英国や
年功序列の日本としばしば対比されます。私見です
が、「人種、性別、信仰、性的志向、政治理念など
にかかわらず、本人の才能と実績で評価が決まる」
国柄がアメリカの神髄でしょう。

たとえば軍隊では、自分の背後を安心して任せられ
る兵士なら、男であるか女であるか、肌が黒いか黄
色いか、ゲイかストレートか、キリスト教徒かイス
ラム教徒か、新兵か古参兵か、共和党か民主党か、
などは全くの些末事(さまつごと)。兵士の真価は
本人が切磋琢磨した能力と技能、そして信頼性で決
まるのです。

 この実力主義は機会均等と自由競争のうえに成り
立っています。米社会では誰もが等しく成功への機
会を与えられます。この同一のスタートラインから
各人が努力し才能を開花することで、それぞれの高
みを目指すことができるのです。

したがって、競い合った結果として生じる「格差」
は万人が潔く認めるべき「功績」で、社会に還元さ
れたり公平の名のもとに是正されたりするものでは
ありません。人々を誘(いざな)って止まないアメ
リカン・ドリームとは、個人の大志、励み、能力が
報われる実力本位システムのこと。それゆえに、ハ
イテクベンチャー企業の草分けマイクロソフトとア
ップル、インターネットの覇者グーグルおよびフェ
イスブック、そして実体経済の雄テスラとスペース
Xなどはいずれもアメリカで起業されたのです。

 「多様性、公平、社会的一体性などといった言葉
は聞こえがよい。が、実際には人種、性別、性的志
向に基づく差別であり、実力本位社会を否定するも
のだ」(『エポックタイムズ電子版』2024年1
月24日付)

 そう発言するのは他でもないテスラ、スペースX
両社の最高経営責任者イーロン・マスク氏。彼は続
けます。

 「単に弱者(著者注:少数派)であるからといっ
て、それゆえに善であるとする習慣はなくすべきだ。
全くのナンセンスだ」

 同氏が言及しているのはウォーキズムのことです。
ウォーク(woke)とは「目覚めた」「気づいた」を
意味する言葉で、元来は人種的偏見と差別の存在を
認め反対する運動のことでした。ところがいつの間
にか、民族的、性的少数派に「平等な結果」を与え
ない政策、教育プログラム、評価制度、雇用などは
すべて人種差別だと断じるポリコレ運動や、白人特
権や異性愛者主流社会を糾弾するアイデンティティ
政治にすり替えられてしまいました。

昨今の米社会に、実力ではなく、肌の色や性自認に
よって採用や評価が決まる風潮が蔓延(はびこ)っ
ているのはこのためです。またウォーキズムは、少
数派に「弱者意識」や「被害者意識」を植え付け、
白人を「抑圧者」として敵視する逆差別の一面があ
ります。

異性愛者白人社会と伝統的家族制度を蔑(さげす)
む風潮が生まれた結果、昨今では、性の多様性に疑
問を投げかけようものならすぐさま「差別者」のレ
ッテルを張られます。異性愛者や白人男性に対する
差別は「容認できる差別」などというすさんだ世相
を助長しているのもウォーキズムの特徴です。

わたしは人生の大半をこの多民族国家で過ごしてき
ました。ですから、多数派少数派を問わず同胞の人
権を守り、各々の発言に耳を傾けることにやぶさか
ではありません。とは言うものの、多様性尊重なる
錦の御旗の陰に隠れ、アメリカの伝統的価値や社会
制度を蚕食(さんしょく)するウォーキズムには違
和感を覚えます。「米社会を内側から分割し、制圧
する」方便なのではないかとの疑念が拭えないから
です。

 そういえば昨今、日本の文化やしきたりを守ろう
としない一部外国人の無法な振る舞いのニュースを
耳にするようになりました。外国人との共生社会を
美化する一方、地域住民の窮状は報道しないマスコ
ミの態度と、無礼外人への苦言を即「差別」と断じ
る世相にはウォーキズムに通じる危うさを感じます。

アメリカであれ日本であれ、「ことの是非を問う」
ことすら許さない盲目の正義感は厄介なもの。しか
しながら、ウォーキズムの風潮に流されず、母国の
歴史と風土に根ざした文化・伝統・習慣を守ること
は「差別」に非(あら)ず。そこで敢えて言います。

「アメリカは実力本位の国で良い。世界に一つ、一
民族一国家一文化の日本があって良い」


▼イスラエルの軍用AI(1) 

兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるため
には相手より優れた武器を持たねばなりません。兵
器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく続
いているのはこのためです。よく指摘される武器の
効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を抜
かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝ち」
の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な破壊
力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手放せ
ない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏面が
「抑止力」なのです。
加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞれ
の武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を考
えていくことにします。

昨年10月7日に始まったイスラエルとテロ組織ハマ
スの戦争では、2月29日の時点でガザ地区の死者が
3万人を超えたとの報道があります。

イスラエル国防軍は「ハマス殲滅のため、テロリス
ト戦闘員を標的にしている」と主張しています。客
観的に立証されてはいないものの、死者の内訳は民
間人が大半とする記事も散見されます。

一方、イスラエル軍当局は、ハマス掃討作戦でAI
が使用されていることを公式に認めています。「福
音」を意味するという「ハブソラ」と呼ばれるコン
ピューター・プログラムです。

今回から数回にわたり、イスラエル国防軍が本格投
入したハブソラに焦点を当て、AIが戦闘でどのよ
うな役割を果たしているのかを見ていくことにしま
す。

本動画によれば、ハブソラは「標的」を自動設定す
るプログラムです。生身の情報将校では到底対処し
きれない膨大なデータを短時間で処理し、空爆目標
をはじき出します。イスラエル軍は最初の35日間だ
けで1万5000もの標的を攻撃したとされ、この件数
は、人間のみに頼っていた頃の数字をはるかに上回
っています。

イスラエル軍の元情報士官が語ったところでは、

「ハブソラのお陰で『大量暗殺工場』を回すことが
可能になった」

とのこと。

つまり、ガザ地区の密集した住宅地に潜むテロリス
ト一人一人に照準を合わせることができるというの
です。しかも人目を惹くハマス幹部のみならず、下
級戦闘員も標的なのです。

問題は、テロリストの住宅を狙った精密爆撃でも超
過密状態のガザでは「巻き添え被害」が避けられな
い現実。隣人がハマス戦闘員であることを知らない
無垢の住人が、ある時なんの前触れもなく降ってき
た爆弾で殺傷される悲劇は想像に難くありません。

教材ビデオ:
 3 AI based weapons deployed by #israel agains
t #Hamas ! (youtube.com)
https://x.gd/evj3l

(本エピソードは1:54から始まります)

基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
carry out(キャリー アウト)行なう 実行する
strike(ストライク)攻撃する
operative(オペラティブ)工作員 作戦要員

シナリオ(カウンターを2:17に合わせてくださ
い)

 According to the sources, Habsora allows the 
IDF to carry out strikes even on residential h
omes where a single Hamas member lives, even t
hose who are low-level Haman operatives.

(複数の消息筋によると、ハブソラによってイスラ
エル国防軍はハマスの末端要員が住む住宅すら攻撃
することができるのだ)

(今回のビデオは4:06まで続きます)

英語一言アドバイス:
日本語になっているstrikeは野球の「ストライク」
と労働争議の「ストライキ」です。軍事用語では
「攻撃」「攻撃する」という意味にもなります。
「核攻撃」ならnuclear strike、「空襲」ならair 
strike と言った具合です。
 
発音サイト: 
strikeの発音 strike - Google Search
https://x.gd/fdZhT


参考サイト: イスラエル軍の標的設定AI「ハブソラ」
イスラエル軍のガザ攻撃で市民死者の激増の背景に
あるAI標的生成システム:イスラエルメディア調
査報道(川上泰徳) - エキスパート - Yahoo!ニュ
ース
https://x.gd/v7Ogf


アメリカン・ドリーム アメリカン・ドリーム - W
ikipedia
https://x.gd/OvKj0




(かとう・たかし)


●著者略歴

加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT─あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK─47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン』(いずれも並木書房)がある。

追記
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
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『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
 ⇒ https://okigunnji.com/url/7/
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/

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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。

軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。

 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。

 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。 
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac" 
と表現します。

 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。

加藤 喬
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