配信日時 2024/03/01 20:00

プーチンプロファイリングが記されている冒頭文は必読です。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が出ました。
今回は、
WW2でドイツ国防軍が使用。WW2で最も知られた兵器
の1つであり、生産停止後も独自の存在感を発揮し
続けた伝説の名銃・MP38&MP40サブマシンガンです。

『MP38&MP40サブマシンガン』
アルハンドロ・デ・ケサダ (著), 床井 雅美 (監修),
 加藤喬 (翻訳)
2022/5/12 発行
https://amzn.to/3yvXWrj
※武器オンチのあなたやわたしに特におススメ


こんばんは!エンリケです。

プーチンプロファイリングが記されて
いる冒頭文は必読です。

さっそくどうぞ。

エンリケ

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加藤大尉の軍隊式英会話:世界の秘密兵器編   
  Takashi Kato

軍用AI(3)

加藤喬(元米陸軍大尉)

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□プーチンは「裏切り」を許さない

アレキサンドル・リトビネンコ
アンナ・ポリトコフスカヤ
エフゲニー・プリゴジン
マキシム・カスモニフ

 読者諸氏はこれらの名前から何を連想するでしょ
うか?

 リトビネンコ氏は元KGB(旧ソ国家保安委員会)の
中佐。2006年、亡命先の英国で毒殺。
 ポリトコフスカヤ氏はロシア人女性ジャーナリス
ト。2006年、モスクワの自宅で射殺。
 プリジコン氏は傭兵集団ワグネルの胴元。2023年、
搭乗していたビジネスジェット機が墜落し死亡。
 カスモニフ氏はロシア軍のヘリコプターパイロッ
トで2023年ウクライナに亡命。2024年、移住先のス
ペインで射殺。

 これらの人々には不審死のほかに今一つ共通点が
あります。プーチン大統領と袂を分かち、同政権の
腐敗ぶりやウクライナ侵攻を批判していたことです。
つい先日、この死亡者リストに政治活動家でプーチ
ン批判急先鋒のアレクセイ・ナワリヌイ氏が加わり
ました。身の危険を顧みず、プーチン氏や政権与党
幹部らの蓄財を告発したり、ロシア版「アラブの春」
を目指したりしていたことは世界中で知られていま
す。2020年、神経剤ノビチョクによる毒殺未遂事件
でドイツに搬送され療養していましたが、翌年には
逮捕覚悟でロシアに帰国。即刻拘束され、その後、
「良心の囚人」として服役生活を続けていました。

2月22日、ロシア当局は「死因は自然死」とする死
亡診断書を発行しましたが、プーチン政権による殺
害、ノビチョクの長期的影響、北極圏に位置する監
獄の過酷な環境、繰り返された独房入りによる心身
消耗などが取り沙汰されています。
 
 それにつけても思い出すのは、2018年に行なわれ
たインタビューで交わされたプーチン大統領の発言
です。

「あなたは人を許すことができますか?」そう問わ
れた同大統領は
「ダ(はい)」と答え、そしておもむろに
「が、すべてではありません」と付け加えたのです。
「何を許すことができないのですか?」
 間髪を入れず飛び出した言葉は
「裏切り」

 KGB出身の絶対権力者が見せた冷徹な本性に、「不
審死を遂げた人々の陰にプーチン大統領がいたとし
ても何ら不思議はない」と納得したものです。

 では、「独裁者」プーチンの目に日本はどう映っ
ているのか? 平和条約締結や北方四島返還を念頭
に経済協力と資源共同開発などを根気強く続けてき
た日本政府は、ウクライナ戦争を機に対ロ経済制裁
を発動。欧米寄りの立場を鮮明にしました。プーチ
ン氏一流の理屈から、それを「裏切り」と見ている
のではないか、との懸念です。

自身柔道八段の腕前で、かつて北方領土返還交渉で
は歯舞、色丹二島の返還を「柔道で言う引き分けだ」
として妥協を提言したプーチン大統領でしたが、本
年一月には北方領土訪問に言及し対日強硬姿勢に転
じています。そのうえラブロフ外相には「領土問題
は存在しない」と発言させ、メドベージェフ前大統
領にも「日本は恥ずべき対米従属を行なっており、
岸田首相は切腹するしかない」との暴言を吐かせて
います。そのうえ平和条約交渉も一方的に中断を宣
言。プーチン氏の心変わりを示唆する事例には事欠
きません。
 
 政界に転ずる前、プーチン氏はロシア公安保安庁
(KGBの後身)の大佐まで上り詰めた諜報のプロでし
た。前述の通り熟達した武道家でもあります。なら
ば、圧倒的に強い相手と対峙した場合、負けると分
かった戦いは挑まないでしょう。相手の火力や力量
を正確に推し量り、勝敗の確率を天秤にかけ進退を
決める修練、すなわち「間合いの取り方」が深くし
み込んでいるからです。

この読みが正しければ、日本がとるべき道も自ずと
見えてきます。米国大統領選の結果に右往左往せず、
「日本は日本人の手で守る決意」を固め、究極の抑
止力を身に着けることです。

「裏切りを許さぬ」プーチン氏をも怯ませ躊躇させ
る殺気と技は、日本人の血に流れています。それを
対露抑止に使うか使わないかは、読者諸氏を含め日
本を母国とする人々次第です。



軍用AI(3) 

兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるため
には相手より優れた武器を持たねばなりません。兵
器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく続
いているのはこのためです。よく指摘される武器の
効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を抜
かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝ち」
の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な破壊
力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手放せ
ない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏面が
「抑止力」なのです。
加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞれ
の武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を考
えていくことにします。

 人類の歴史は兵器開発の歴史でもあります。ヒト
は人力を超える速さ、強さ、視覚、認識力、そして
本来人間にはなかった飛行能力、潜水能力などを実
現してきたのです。

『アルジャジーラ』の軍事担当記者アレックス・ガ
トポウラス氏のレポート「プロジェクト・フォース」
を教材とする「軍用AI」シリーズ最終回は、自立
型戦闘ロボットと倫理規定を取り上げます。

「責任能力」

殺人事件の裁判をめぐりよく耳にする言葉です。法
律上は「物事の是非や善悪を判断し、それに従って
行動する能力」を指します。もっと平たく言えば、
自分が考えていることやしようとしていることを認
識し、その良し悪しを決める力だと言えましょう。
その根底にあるのが「意識」。考えることについて
考えることです。

軍用AI、ことに攻撃ドローンのような自律型戦闘
ロボットの倫理規定を論ずる際に避けて通れないの
がこの点です。「機械に意識があるのか?」と言い
換えることもできましょう。

 著名な理論物理学者で科学啓蒙家としても活躍す
るミチオ・カク博士は『フューチャー オブ ヒュ
ーマニティー』(邦題『人類、宇宙に住む』斎藤隆
央訳 NHK出版 2019年)のなかでこの問題に触れて
います。世界最強の棋士と呼ばれた韓国のイ・セド
ル氏を破ったコンピューター囲碁プログラム「アル
ファ碁」について、

 「このマシンをポンとたたき、人間棋士相手に金
星を取ったことを褒めても何の反応も示さない。歴
史に残る科学的偉業を成し遂げたことを全く認識し
ていないからだ。実際、機械は自分が機械であるこ
とすら意識していない。今日のロボットは偶像化さ
れた加算器にすぎないのだ」

と述べ、「機械には意識がない」と結論しています。
哲学者や宗教家はもちろん、心理学、脳神経医学、
認知科学、コンピューター科学、そしてAI専門家
たちの間でも「我々自身の意識が何であり、どのよ
うに発生するのか」に関する統一見解はありません。
当然ながら、AI進化のある段階で意識が芽生える
のかどうか、仮にそうならどのぐらいの時間がかか
るのかも不明です。

機械に意識がないのなら、AIや自律型戦闘ロボッ
トに「責任能力」はあり得ません。近い将来、自律
型ロボットが民間人をテロリストと誤認して殺傷し
たとしても責任を問うことはできないということで
す。戦闘行為の結果に責任が伴わないとなれば、戦
渦に巻き込まれた人々の苦悶が増大するのは必至。
戦場における意思決定過程から人間指揮官を除外す
ることは、殺戮行為が制御不能になることにつなが
りかねないのです。

そもそも、物に過ぎないロボットを倫理規定でコン
トロールできると考えるのはナンセンス。わたしが
「戦闘ロボットの完全自律化は避けるべき」と考え
る所以です。


教材ビデオ:
 AI and the military: Friend or Foe? | Project
 Force (youtube.com)
https://x.gd/ONfcm
(本エピソードは5:15から始まります)

基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
killer (キラー)殺人者
worry(ワリー)懸念
code of ethics(コード オブ エスィックス)倫
理規定
work on(ワーク オン)取り組む
combatant(コンバッタント)戦闘員

シナリオ(カウンターを5:07 に合わせてくださ
い)

While they don’t exist now, “killer robots”
 are a worry for many. 

(現在はまだ存在していないが、「殺人ロボット」
は多くの人々が懸念している)

Codes of ethics are already being worked on fo
r when autonomous combatants undoubtedly begin
 to enter the war zone.

(自律したロボット戦闘員が戦場に現れる時のため
に、倫理規定設定への取り組みがすでに始まってい
るのだ)

(今回のビデオは最後まで続きます)

英語一言アドバイス:
combatantは「戦闘員」のことです。「非戦闘員」は
non-combatantになります。 
 
発音サイト:
combatantの発音 combatant - Google Search
https://x.gd/E6cDZ

参考サイト: 「裏切り者は許さない」プーチン発言
動画 Can forgive except for betrayal #vladimi
rputin #russia #shorts #trending #short #viral
 #shortvideo (youtube.com)
https://x.gd/psnMX

(かとう・たかし)


●著者略歴

加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT─あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK─47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン』(いずれも並木書房)がある。

追記
『MP38/40サブマシンガン』
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『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X 
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
 ⇒ https://okigunnji.com/url/7/
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/

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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。

軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。

 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。

 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。 
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac" 
と表現します。

 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。

加藤 喬
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