配信日時 2024/02/29 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (445)】今こそ知りたい陸自の後方支援(3)     渡邉陽子(ライター)

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こんばんは、エンリケです。

「ライター・渡邉陽子のコラム」。
こんかいは第445号です。

兵站がテーマの記事3回目では、
7後方支援連隊1整備大隊隷下部隊の
紹介のつづきです。

さっそくどうぞ。


エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (445)』

 今こそ知りたい陸自の後方支援(3)
 
  渡邉陽子(ライター)

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こんばんは。渡邉陽子です。
先月がお正月を言い訳にちょっとだらだらしたり、インフルエンザ
で寝込んだりと生産性に欠ける日々を過ごしてしまったつけが回っ
たのか、あるいは単に仕事がのろいせいか(こちらの可能性が極め
て高いです)、今月は地獄の締め切り月間でした。半べそかきなが
らなんとか乗り越えたので、来週は第一音楽隊の定期演奏会や大好
きな喬太郎の落語を楽しんできます。


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■今こそ知りたい陸自の後方支援(3)

7後支の第1整備大隊隷下の部隊紹介の続きです。
火器整備隊で目にしたのは、目に見えない粉塵を吸い取るダクトの
音だけが響く部屋で、無反動砲の照準の調整をしている隊員です。
あらゆる火器で照準のズレは許されず、少しでもズレが生じた場合
はこの部屋で隊員がまさに「集中すると時間も忘れて」調整します。
取材時に作業していたのは陸士でしたが、ベテラン陸曹にも劣らな
い落ち着きと自信が感じられ、実に頼もしく感じました。ちなみに
この隊員も女性です。
火器整備隊長によると、好奇心旺盛な隊員は必然的に技術力が高く
なるそうです。武器科の隊員は武器学校に入校して整備を学びます
が、すべての機材を学ぶわけではなく、部隊に配属されて初めて扱
うという機材があることも珍しくありません。学校で学んだ基礎的
な技術をベースに、現場で先輩たちの整備技術を伝授してもらい、
それをさらに自分なりに磨いていくのです。

施設整備隊は第7師団隷下の施設大隊、通信大隊、飛行隊、化学防護
隊、師団部付隊、音楽隊などの部隊が保有する施設機材の整備を担
当しており、整備工場には諸部隊の各施設機材が整備のため格納さ
れていました。
取材時はちょうど第7施設大隊が装備する07式機動支援橋の車検に向
けた整備中(車検も駐屯地内の車検場で行なえます)で、92式地雷
原処理車の整備も行なわれていました。これらはいかにも施設部隊
ならではの装備品ですが、実は施設車両の多くは建設機材に関わる
もので、民間でも使用されているドーザや油圧ショベル、バケット、
グレーダ、さらにはチェーンソーや草刈り機、発電機などまで整備
の対象です。多岐にわたる装備品すべての整備をこなせるようにな
るまでには10年ほどかかるそうです。

通信電子整備隊ではちょうど局地無線搬送装置JMRCーC80の送
受信部の性能検査を実施しているところでした。これは共用通信所
と指揮所通信所の間の通信の接続をする機材で、通信電子整備隊が
保有している野整備試験装置JTM92で各機能の点検や性能試験、
故障の有無を調べます。
通信の構築は指揮そのもののため、有事の際はもちろん災害派遣の
現場でも不可欠なものであり、無線機などはそれだけ使用頻度が高
い分、おのずと故障も多くなります。通信機材を使用している部隊
が災害派遣の現場などで急に通信に不具合が生じたなどは、現地ま
で足を運んで修理することもあり、間接的にでも被災者の役に立て
ているという達成感があるといいます。

第1整備隊でもっとも小規模ながらとりわけ異彩を放っていたのは工
作回収隊です。壊れたものを修理するだけでなく、新たに作り出し
てしまうものづくり集団です。
工場で作業している姿を見ているだけでは、自衛隊の部隊というよ
り町工場といったほうがしっくりきます。もちろん腕前は確かなも
ので、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震でヒビが入ってしま
った7後支隊舎玄関のエンブレムも、工作回収隊がよりグレードアッ
プしたものを難なく作り上げました。「ここに傘立てがあるといい
な」という指揮官のつぶやきを耳にして、数日後にはその場所にで
きたての傘立てが置かれていたというエピソードも。このような匠
の職人集団がいるのが後方支援連隊なのです。

次週は第2整備大隊の部隊をご紹介します。


(つづく)


(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。

2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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2022年、
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