配信日時 2024/01/25 05:08

【本の紹介】『陸・海・空 軍人によるウクライナ侵攻分析 - 日本の未来のために必要なこと』小川清史元陸将 伊藤俊幸元海将 小野田治元空将 桜林美佐 チャンネルくらら

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『陸・海・空 軍人によるウクライナ侵攻分析 -
 日本の未来のために必要なこと』
小川清史元陸将 伊藤俊幸元海将 小野田治元空将
 桜林美佐 チャンネルくらら
https://amzn.to/3RZlcWc
定価:1,650円
発売日:2022-07-27 
発行:ワニブックス



おはようございます、エンリケです。

この本は、いまもつづいている、チャンネルくらら
さんが配信している名作ネット番組を緊急出版とい
う形で書籍化したものです。
出版を決断した版元さんに深く敬意を表します。


これを読むと、あなたの頭の中にある「ウクライナ
侵攻」の姿がまるで違って見えてくるでしょう。
もちろん正鵠を射た方向でです。だから超オススメ
です。

地上戦だから小川閣下の評価解説を最重視するのは
もちろんですが、海空軍の動向抜きで妥当な見方も
得られません。

ただ、経験したからわかりますが、三者のはなしを
上手に取りまとめ、読み手聞き手に分かりやすく整
理するのは想像以上に大変なことです。

でもそこはさすがの桜林美佐。絶妙の司会ぶりで、
適宜適切な質問やコメントを通じて読み手聞き手が
知りたい方向に対話の帆を向け、舵を切り、
三軍の解説をバランスよく取りまとめています。
読み手の理解を深く広くしてくれている桜林さんの司
会っぷりも見どころです。見事な船頭さんです。

編集者さんの項目立ても実に詳細で綿密でつかみや
すいです。


ですから、ウクライナ侵攻で国民が知りたいことは
ほぼすべて網羅されている印象です。

意外かも知れませんが、陸海空三軍の将官が、一般
人向けに現在進行形で軍事作戦を解説し、語り合う
本はこれまでなかったように思います。

その意味で実に新鮮だし、心ある日本人に読んでほ
しい本です。というか、ロシアの脅威を直接浴び続
けている我が国では、全国民が手に取る必要がある
内容と思います。


著者はこの方々です

【著者略歴】
小野田治(おのだ おさむ)
昭和29年生まれ。神奈川県横浜市出身。防衛大学
校第21期生(航空工学専攻)。航空自衛隊幹部学
校指揮幕僚課程。防衛研究所一般課程。主要職歴(
自衛隊)航空幕僚監部防衛課長、第3補給処長、第
7航空団司令兼百里基地司令、航空幕僚監部人事教
育部長、西部航空方面隊司令官、航空教育集団司令
官(最終補職)。退職時の階級は「空将」。ハーバ
ード大学シニア・フェロー。東芝インフラシステム
ズ(株)顧問。(一社)日本安全保障戦略研究所上
席研究員。(一社)平和・安全保障研究所理事。コ
ールサイン「Axe」。


伊藤俊幸(いとう としゆき)
昭和33年生まれ。愛知県名古屋市出身。防衛大学
校第25期生。機械工学専攻。筑波大学大学院修士
課程修了、修士(地域研究)。主要職歴(自衛隊)
 潜水艦はやしお艦長、在米国防衛駐在官、海幕情
報課長、情報本部情報官、海幕指揮通信情報部長、
第二術科学校長、統合幕僚学校長を経て、海上自衛
隊呉地方総監(最終補職)。退職時の階級は「海将」
金沢工業大学大学院(虎ノ門キャンパス)教授(専
門:リスクマネジメント、リーダーシップ・フォ
ロワーシップ)。日本戦略研究フォーラム政策提言
委員、日本安全保障・危機管理学会理事、全国防衛
協会連合会常任理事、趣味:ゴルフ、ウオーキング、
オペラ歌唱。


小川清史(おがわ きよし)
昭和35年生まれ。徳島県出身。防衛大学校第26
期生、土木工学専攻・陸上自衛隊幹部学校、第36
期指揮幕僚課程。米陸軍指揮幕僚大学留学。主要職
歴(自衛隊)第8普通科連隊長兼米子駐屯地司令、
自衛隊東京地方協力本部長、陸上幕僚監部装備部長、
第6師団長、陸上自衛隊幹部学校長、西部方面総
監(最終補職)。退職時の階級は「陸将」。現在、
日本安全保障戦略研究所上席研究員。日課として、
毎朝マンデリン(珈琲)をドリップで淹れること。
趣味イラスト描き。


桜林美佐(さくらばやし みさ)
昭和45年生まれ。東京都出身、日本大学芸術学部
卒。防衛・安全保障問題を研究・執筆。2013年
防衛研究所 特別課程修了。防衛省「防衛生産・技
術基盤研究会」、内閣府「災害時多目的船に関する
検討会」委員、防衛省「防衛問題を語る懇談会」メ
ンバー等歴任。安全保障懇話会理事。国家基本問題
研究所客員研究員。防衛整備基盤協会評議員。著書
に「日本に自衛隊にいてよかった ー自衛隊の東日
本大震災」(産経新聞出版)、「自衛隊と防衛産業」
(並木書房)など多数。趣味は朗読、歌。




ではこの軍事インテリジェンス本の内容を見ていき
ましょう。

◆目次

はじめにー本書の説明

第一章 ウクライナ侵攻のプロの読み方
 なぜロシア軍はウクライナの制空権を奪えなかっ
たのか?
 ロシア軍が国会の制海権を握っている
 ロシア陸軍の進軍スピードは鈍かった?
 ロシア軍の動きは「ドクトリン」で読み解かない
とわからない
 サイバー戦の”失敗”を地上戦で取り返す?
 キエフ攻撃は軍事目標設定が難しい
 ウクライナ軍はなぜ善戦できたのか?
 ウクライナに戦闘機を供与しても有効活用できな
い?
 ロシア空軍の実力
 プーチンはおかしくなったのか?
 北方領土の東部軍がウクライナに投入された理由
 プーチンが「敗北」を宣言することはありえない
 「ウクライナの非武装化」「中立化」発言の呪縛
 キエフを攻めるロシア軍の士気が上がらない理由
 プーチンは核を使うのか?
 停戦に向けて求められる政治的な駆け引き
 プーチンが側近たちに寝首をかかれる可能性は?
 ロシア軍と旧日本軍の共通点はPDCA?
 画期的だった防弾チョッキとヘルメットの供与
 国会で”タブーなき防衛論議”を!
 国民保護法は今のままで大丈夫か?

第二章 ウクライナ侵攻一か月の分析
 ロシア軍はキエフとハリコフを落としてはいけな

 ロシア軍の将官クラスの戦死者が出ているのはな
ぜ?
 アメリカ空軍とロシア空軍では「用兵思想」が違

 ロシアが極超音速空対地ミサイルを使ったのは
 ”やり過ぎ”?
 ロシアの揚陸艦「サラトフ」撃沈の真相
 「戦争に善も悪もない」→「合法」と「違法」な
 らある
 ロシアは”言っていること”と”やっていること”
 が全然違う
 「ウクライナも悪い」論はナンセンス
 日本の”縦割り”では独裁国家のハイブリッド戦
 に対抗できない
 明日は我が身?日本にも迫る「合理的じゃない戦
 争」の危機
 ロシア軍の通信は杜撰?
 通信ひとつで部隊のレベルが丸わかり
 マリウポリを見捨てるべきか、死守すべきか
 クリミア侵攻後に”大化け”したウクライナ軍
 新しい国際機関がロシアとウクライナの”妥協点”?
 ロシア軍は化学兵器を使用するのか?

第三章 ロシアの北海道侵略に備えよ
 なぜこのタイミングで「総司令官」登場?
 ロシア軍はあえて女性や子供を狙っている?
 残虐行為はロシア軍の伝統的”戦術”
 ”格好の標的”である駅から避難民を逃すのは危険
 戦力の逐次投入がロシア軍の損害を大きくした?
 ウクライナ軍で活躍する優秀なドローン
 「エスカレーション抑止のためのエスカレーション」
 イギリスがウクライナに供与したハープーンミサ
 イル
 「ペルソナ・ノン・グラータ」で日本が示した強
 い意志
 武器供与を加速させるレンドリース方式の根拠は
 「自衛権」?
 ロシア軍の部隊配置が意味するものは?
 自衛隊は文明的手段の執行組織
 西側の軍事介入はありえるか?
 「あいつは何を考えているかわからない」も抑止
 効果がある
 国際社会は正しく権利を主張するものの味方
 もしロシアが北海道に侵攻してきたら
 自衛隊のトラウマ、ベレンコ中尉亡命事件
 ロシア兵たちはプーチン政権に”心”を縛られて
 いる?
 
第四章 マリウポリの攻防と旗艦「モスクワ」の沈没
 旗艦「モスクワ」撃沈でロシアはピンチ?
 黒海艦隊の司令官がクビになった本当の理由
 ウクライナ東部・南部の制空権はロシアの手に?
 飛行禁止区域の設定は「NATO対ロシア」の戦争
 おかしなタイミングで”単独投入”された空挺部隊
 ロシアはキエフを諦めて撤退したわけではない?
 戦争の「目的」と「エンドステート」の違い
 「マリウポリ」を制するものが戦局を制する
 ロシアの「組織的抵抗線」VS西側諸国の武器供与
 今後の目標をうかつに語れないゼレンスキー大統領
 ロシアの防御線に”風穴”をあければ交渉が有利に
 国際政治の目的を見失うことなく戦争をコントロ
 ールできるか
 外交に求められるのは摩擦を防ぐ「曖昧さ」のグ
 ラデーション
 目的達成では”全勝”していた日本の大東亜戦争

第五章 ウクライナ侵攻の今後
 プーチン大統領が冷静さを取り戻した?
 飛行機を飛ばさなかったのは天候が理由ではない?
 ロシアは戦争目的をほぼ達成した
 ロシア国民に「西側=ナチス」のイメージを与え
 たい
 ウクライナ軍が仕掛けた「見せる」ための反撃
 ロシアはこれ以上航空機を失うことを恐れている?
 ウクライナの戦闘機では利亜の最新戦闘機に勝て
 ない?
 参謀総長の最前線視察は何を意味する?
 ロシア軍の被害を拡大させた、ウクライナ軍の
 「積極機動防御」
 「戦車戦」と「機甲戦」は何が違う?
 戦車主体か歩兵主体化で変化する戦術
 大隊が砲兵部隊を抱えると実は大変
 連度の低い部隊はすぐに集まろうとする
 供与決定からわずか72時間で武器が届く
 ロシアのミサイルが枯渇する日は近い?
 ロシアはすでに極東に対する計画を作っている
 
 
おわりにー本書によせて 桜林美佐
 陸海空自衛隊は仲が悪いのか?
 意外な防大の効果
 日本人の感覚を変えたロシアによるウクライナ侵攻
 武器を持って戦うしかない
 偏らない防衛力の重要性を示された
 真の抑止力の意味
 国民保護の具体的方策も
 「平和を仕事にする」、それが自衛隊の仕事



いかがでしょうか?

これ見るだけで読みたくなるでしょ?


特に注目すべきは、
ロシアから見た三つの戦い
という視点。

なぜロシアは(3)の戦いに特化せず、(1)(2)
の戦いに手を染めたのか?
休戦交渉を見据えた際、ロシアの意図を正確に把握
する上で極めて重要なポイントとなるでしょう。

残念ながら日本国内は、朝野を挙げて両国の情報戦
にしてやられています。
そのあたりの具体事情もみえる本です。

小川閣下の、習近平にとっては願ったりかなったり
の紛争、との指摘や、小野田閣下によるロシアの航
空優勢に対する考え方の解説、また、キーウ攻略作
戦の意味と位置付けと評価など、国内メディアの影
響下にある環境ではまず得ることのできない数々の
知見を得られるのが実にうれしくありがたく、私の
ようなど素人でも目から鱗の記述がてんこ盛りです。

ロシアにとってのウクライナ首都キーウは、最重要
目標ではなく、キーウ攻略作戦は東部戦線の遅滞作
戦の意味しかないという「軍事文法」をわきまえる
と、国内報道等を鵜呑みにして現実を見誤ることが
ないと、ど素人にも気付かせてくれる内容です。

その他、ドクトリンに忠実に動いてるロシア地上軍
最前線、米式作戦用兵で動くウクライナ地上軍、ウ
クライナの航空優勢の実情などなど、現地事情の把
握に不可欠な戦闘状況、軍事事情の評価解説がプロ
中のプロの口を通して過不足なく得られる名著です。

伊藤提督(伝説の潜水艦乗り)の国際法ばなしも実
に面白く、役に立ちます。

黒海で露海軍軍艦が沈没しましたが、結局あれもミ
サイルでなく、人間の手作業で行われた特殊作戦だ
ったようです。そのあたりの話も興味深い。
提督の国際法ばなしも読み応えありです。


ご紹介したのは、

『陸・海・空 軍人によるウクライナ侵攻分析 -
 日本の未来のために必要なこと』
小川清史元陸将 伊藤俊幸元海将 小野田治元空将
 桜林美佐 チャンネルくらら
https://amzn.to/3RZlcWc
定価:1,650円
発売日:2022-07-27 
発行:ワニブックス


でした。


エンリケ


追伸

いまだから読む価値ある。
いましか読む秋はない。

そんな印象を持ちます。

『陸・海・空 軍人によるウクライナ侵攻分析 -
 日本の未来のために必要なこと』
小川清史元陸将 伊藤俊幸元海将 小野田治元空将
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