配信日時 2023/12/22 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話:世界の秘密兵器編】未来兵器シリーズ(1)――統合視覚増強システム    加藤喬(元米陸軍大尉)

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アルハンドロ・デ・ケサダ (著), 床井 雅美 (監修),
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2022/5/12 発行
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こんばんは!エンリケです。

本日より、まもなく兵士らが手にするであろう
新たな兵器と技術に焦点を当てた
「未来兵器シリーズ」
がスタートします。
初回のテーマは「統合視覚増強システム」です。

ではさっそくどうぞ。

エンリケ

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加藤大尉の軍隊式英会話:世界の秘密兵器編   
  Takashi Kato

未来兵器シリーズ(1)――統合視覚増強システム

加藤喬(元米陸軍大尉)

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□宇宙と物質の起源を極める──人類オデッセイの
水先案内人

我々は平素「無限」(∞)という表現を何気なく
使います。「無限のエネルギー」や「無限の可能性」
には前向きで楽天的な響きを感じます。ところが、
宇宙の開闢(かいびゃく)や物質の根源を探求する
物理学の世界では「無限」は極めて厄介な存在なの
だそうです。

数式に∞が入り込むと計算不能になり、意味をなさ
なくなってしまうからです。∞の出現はまた、理論
が袋小路におちいりつつある兆候でもあると言いま
す。

 20世紀初頭、天文学者の間では「宇宙は不変で定
常的」という考え方が主流でした。しかし1929年、
宇宙論の基礎を築いた米天文学者エドウィン・ハッ
ブルが「宇宙が膨張している事実」を観測で明らか
にしました。

この発見から「宇宙はかつてより小さく高密度な状
態だった」と推定されるようになり、後年、138億年
前には宇宙の全物質とエネルギーが一点に凝縮して
いたとするビッグバン理論につながったのです。こ
の宇宙開闢、つまりビッグバンの瞬間が特異点で、
重力は無限大で素粒子はサイズがない無限小の点、
すなわちゼロまで収縮されていたと考えられていま
す。

したがって特異点は数式で表すことができず、あら
ゆる物理法則は破綻するといわれています。ちなみ
に同様の物理学崩壊は、ブラックホールの中心でも
起こるそうです。

 物理学が陥った苦境を解消すると期待されたのが
「ひも理論」です。素粒子をサイズゼロの点ではな
く振動する紐(ひも)だとする考え方です。これに
よってビッグバンやブラックホールの極限状態を数
式で表すことが可能になり、宇宙の全事象を説明す
る万物の理論になると脚光を浴びました。

しかし、ひも理論が成立するためには、縦横高さに
時間を加えた4次元世界ではなく10次元の多様体が
必要となります。数学的には正しくても、我々が住
む現実の宇宙を描写する理論ではないわけです。

 非凡な数学的洞察で知られるプリンストン大学物
理学教授のエドワード・ウィッテンや科学啓蒙家と
しても著名なカク・ミチオ博士ら、世界トップレベ
ルの物理学者が数十年にわたり次元数の削減に取り
組んできましたが、今のところ、ひも理論が陥った
袋小路からの抜け道は見つかっていません。

 にもかかわらず、宇宙と物質の本質に迫ろうとす
る科学者らの努力は続いています。英名門校マンチ
ャスター大学のブライアン・コックス博士は「時空
の創発」という考え方を提示し、「空間と時間は既
成の特性ではないのかも知れない」と述べています。
「時空はこれまで当然だと思われてきたような『宇
宙のあらゆる事象が起こる既存(きぞん)の容器』
ではなく、より基本的な何かから生み出されるもの
かもしれない」と言うのです。

 従来の宇宙論では、∞の出現によって「ビッグバ
ン以前」を問うことはできません。ビッグバンの瞬
間に物理法則が破綻するため、特異点を超えた時空
の存在を推測する術がないからです。つまり、「ビ
ッグバンの前」という質問自体が意味をなさなくな
ってしまうのです。

 対照的にコックス教授の視点は、これまで定義を
必要としない大前提だった空間と時間に関し、改め
て「時空とは何なのか?」と考察するきっかけを与
えてくれるものです。時空の理解を深める道程の先
に、ことによると、∞からの出口が潜んでいるのか
もしれません。

 宇宙と物質の起源を極めることは、そこから生ま
れ出た人間自身の本質と向き合うことでもあります。
この意味で、∞の向こう側を目指す科学者らは、人
類オデッセイ(帰郷の旅)の水先案内人なのです。
知的探求心を灯し続ければ、戦渦にまみれた暗黒世
界でも、道に迷わず生きていくことができます。



▼未来兵器シリーズ(1)――統合視覚増強システム

兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるため
には相手より優れた武器を持たねばなりません。兵
器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく続
いているのはこのためです。よく指摘される武器の
効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を抜
かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝ち」
の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な破壊
力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手放せ
ない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏面が
「抑止力」なのです。
加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞれ
の武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を考
えていくことにします。

 人類の歴史は兵器開発の歴史でもあります。ヒト
は人力を超える速さ、強さ、視覚、認識力、そして
本来人間にはなかった飛行能力、潜水能力などを実
現してきたのです。

 今回から数回にわたり「未来兵器シリーズ」と称
し、近い将来兵士らが使うであろう新兵器と技術を
取り上げます。初回はIntegrated Visual Augmenta
tion System(統合視覚増強システム:IVAS)に焦点
を当てます。

 1963年に放映された米SFテレビドラマシリーズ
『アウターリミッツ』(邦題『ウルトラゾーン』)
に「未来から来た兵士」というエピソードがありま
した。ヘルメットに組み込まれたスピーカーの指令
に従って行動し、腕時計型レーダーで索敵する未来
歩兵を描いたものです。兵士がハイテク装備と一体
化して戦場を駆けめぐるというアイデアは、実用化
されつつあるIVASを先取りした感があります。

 現在試験中のIVASは兵士のヘルメットに取り付け
るヘッドセットで、これによってバイザーに赤外線
暗視画像や3D地図、経路図などを投影することが
できます。つまり、現実空間に仮想空間を重ね合わ
せる最先端技術で、拡張現実テクノロジーとも呼ば
れます。
機能としては航空機のヘッドアップディスプレイや
F-35戦闘機用複合現実型ヘルメット(5000万円弱)
に似ていますが、IVASは兵士が身に着ける完全独立
タイプで機体や車両から下車しても作動します。ま
た、さまざまな既存のヘルメットに取り付けられる
モジュラー式なので特注の必要がなく比較的安価
(150万円弱)です。

 もうひとつの特徴は、第4世代戦車や装甲車に装
備される全周囲カメラや自己診断機能と一体化する
利便性。これによって、装甲車両内部から外の様子
を「透視」したり、戦場で重大な故障が起きる前に
「診断・保守整備」ができます。

 現実の「未来兵士」登場はすでに時間の問題かも
知れません。


教材ビデオ:

 The Future of Warfare (youtube.com)
https://x.gd/kpJ15
(本エピソードは1:54から始まります)


基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
modular(モジュラー)モジュール式の ユニット式

integrate(インテグレイト)一体化する 
keep an eye on(キープ アン アイ オン)に目
を光らせる 見守る

シナリオ(カウンターを2:26 に合わせてくださ
い)
This technology is also modular, which means t
hat it can be integrated into existing platfor
m and equipment to give soldiers 360-degree vi
sion inside armored vehicles and keep a closer
 eye on maintenance and repair requirement.
(統合視覚増強システムのテクノロジーはモジュー
ル式で、既存の兵器システムや装備と一体化できる。
これによって、兵士は装甲車両の車内から全周囲を
見渡したり必要な整備や修理により緊密に注意を払
ったりすることができる)
(今回のビデオは2:40まで続きます)

英語一言アドバイス:
 modularとは「基本になる部品を組み合わせた」と
いう意味で、もっと自然に訳せば「ユニット式の」
になります。モジュラーもすでに外来語として定着
しているようです。兵器の場合は、基本部品の組み
合わせによって多様な扱い方ができるシステムを指
します。

発音サイト:
modularの発音 How to pronounce modular | HowToPronounce.com
https://x.gd/ouoQo

参考サイト:

統合視覚増強システム 統合視覚増強システム - Wikipedia
https://x.gd/nRpPO

ウルトラゾーン The Outer Limits (1963 TV series) - Wikipedia
https://x.gd/y60Cg

『未来から来た兵士』 The Outer Limits (1963)
S 2 E 1 "Soldier" / Recap - TV Tropes
https://x.gd/HoTFj


(かとう・たかし)


●著者略歴

加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT─あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK─47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン』(いずれも並木書房)がある。

追記
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
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『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
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ブックレビューの投稿はこちらから
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。

軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。

 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。

 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。 
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac" 
と表現します。

 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。

加藤 喬
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