配信日時 2023/12/16 05:08

【本の紹介】『未来予測入門ー元防衛省情報分析官が編み出した手法ー』 上田篤盛 講談社現代新書

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おはようございます、エンリケです。

一般人が、一般的な課題に取り組む際、
安保分野のプロの情報分析手法をいかに活用するか、
できるか?を案内する本です。なかでも、親子対話
形式のケーススタディが誠に画期的でわかりやすく、
めちゃくちゃ面白くさらりと読めました。

『未来予測入門ー元防衛省情報分析官が編み出した手法ー』
 講談社現代新書
 2019/10/16発売


まずは目次から。


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はじめに

第1章 未来予測とは何か
 未来は主観的なものである
 未来予測は外れるのが当たり前
 なぜ当たらないのか?
 未来予測のポイント

第2章 情報分析とは何か
 インフォメーションとインテリジェンス
 3つのインテリジェンスと情報分析
 インテリジェンス・サイクル
 情報分析の基本的な実施要領
 分析&作成における3つの過程
 仮説を立てて検証する

第3章 未来予測のための情報分析ツール
 未来予測の手順
 未来を予測するための9つの分析手法
 (1)「問い」の再設定
 (2)アウトサイド・イン思考&フレームワーク分析
 (3)システム思考
 (4)クロノジー分析
 (5)マトリックス分析
 (6)アナロジー思考
 (7)ブレーンストーミング&マインドマップ
 (8)4つの仮説案出
 (9)シナリオ・プランニング
 バックキャスティングとフォアキャスティング
 未来シナリオの3つのモデル
 カルマンフィルタ法の応用
 情報分析の手法をどう活用するか


第4章 未来予測ケーススタディ1 将来有望な職種・スキルとは?
 戦略テーマと「問い」を設定する
 アウトサイド・イン思考&フレームワーク分析を使う
 マトリックスによる影響分析─世界のトレンドが日本の与える
 影響とは
 未来において高まる職業ニーズとは?─システム思考により構
 造図を作成する
 どんなスキルを身につけるべきか?

第5章 未来予測ケーススタディ2 「未来のベストセラーを特
定せよ」
 「問い」を設定する
 「問い」の再設定に取り組む
 縦の比較で現状分析する
 横の比較を実施する
 再び縦の比較を実施する
 クロノロジーを作成する
 マトリックス分析を実施する
 アナロジー思考により未来のベストセラーを探す
 マインドマップを作成して企画会議に


第6章 未来予測ケーススタディ3 2030年の暮らし方・働
き方を予測する
 3つのシナリオ 4つのシナリオ
 ドライビング・フォースを特定する
 4つの仮説を評価して肉付けをする
 カルマンフィルタ法で未来を予測する
 未来に向けた準備


おわりに


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4章〜6章が本書の白眉です。

父と娘、息子の対話形式で、
「情報分析手法を実際にどう使うか?」
をわかりやすく案内しています。


「問い」に対する「答え」を導き出す。

それが情報分析手法を人生に活かすことです。
情報のプロが使う手法が、自分の人生と
つながっている証左です。

また、情報のプロが記した一般向け情報教養本で、
ストーリーが使われた解説は、私が知る限り本書が
初めてでしょう。

ストーリー作りってのは実はむつかしいものです。
上田さんも、相当苦労して作られたんじゃないだろうか?
と推察します。


さて上田さんのインテリジェンス本で特筆される
特徴の一つが「読み手が情報分析スキルを使えるよう
になる」という点です。

第一作以来刊行された本に一貫して流れている
上田さんならではと言ってもよい特徴で、
「上田スピリッツ」と名付けて差し支えないといえます。

本著にもこのスピリッツはもちろん流れており、
その道のプロの意見を待つのでなく、
自分で結論を導き出す国民になるためのスキルを
コンパクトな新書でありながら、惜しみなく教えてくれます。


さきほど、

<4章〜6章が本書の白眉です。>

と書きました。


ここではもうひとつ、


<すべての情報分析は「質問=問い」の設定から
開始される>(P33)


という名言についてお伝えしようと思います。



そもそもあなたは、
分析したいことに対する「問い」を持っていますか?

分析して何を達成したいのでしょうか?


ちなみに私のばあい、
ここが極めてあいまいでした。

だから、

常に拡散してしまい、
収拾がつかなくなる

という流れをいつも辿ってきたわけです。


私が上田さんの既刊書を通してイチバン学んだの
は実はこの点でした。

「適切な問いがなければ、適切な分析はできない」

ということです。


逆にいえば

「適切な問いがあれば、適切な分析につながる」

ということなんでしょう。


本著でも上田さんは

<情報分析は必ず「問い」の設定から始めるべきであり、
未来に関する予測もその例外ではない>(P42)

とおっしゃっています。


実はこの点こそ、
われわれ一般人の情報分析で、
最も欠けているところではないか?
と感じてなりません。



そのために不可欠な

「情報分析するときの、適切な問いの作り方」

を解説した書は、私が知る限りこれまでなかった気がします。

少なくとも私は、
上田さんの著作でこのことを初めて知り、
いろんな情報分析、未来予測へのチャレンジの場で
意識できるようになりました。

こんかい、この本の42P〜45Pを読み、
腑に落すことができたように感じます。

もちろん本著でも
分かりやすく案内されています。


さきほど、

<すべての情報分析は「質問=問い」の設定から開
始される>(P33)

と書きました。



ここでは、

上田さんのご著書
『武器になる情報分析力』
と本著を比べてみたいと思います。


ひとことでいえば、
『武器になる情報分析力』が対象とする課題は安保問題
『未来予測入門』のそれは個人の身の回りの問題
という感じでしょうか。

使うツールや手法はカブるのですが、

さっきお伝えした

「問い」

が違うわけです。


戦略テーマが違えば問いも変わる。
着眼点も微妙に変わってくる。

上田さんというプロが、
痒いところに手が届く感じで
細やかに解説しているから
そのあたりの違いをつかめるんですね。

両書ともに読んだ人なら、
わかるはずです。

私も含めた一般人は、
もちろん安保戦略問題に関心はあります。
でも、自分の将来をはじめとする身の回りのこと
の見通しも持っておきたいですよね。


『未来予測入門ー元防衛省情報分析官が編み出した手法ー』
は、軍事ファンやマニアではない人向けに書かれています。

その点で物足りない人もいらっしゃるかもしれません。
が、その分、語り口がひじょうにわかりやすいんです。

ファンやマニアの方も、
情報分析の基礎の基礎が定着できる点でおススメなんですね。
だから、あなたにもぜひ一読してほしいなあ、と
思っています。

この本を手に取って、
あなたの実人生に活かしてみませんか?


アマゾンかお近くの書店でイマスグ手に入れてください。


『未来予測入門ー元防衛省情報分析官が編み出した手法ー』
 講談社現代新書
 上田篤盛(うえだ・あつもり)著
 ISBN:9784065145807
 2019/10/16発売
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エンリケ


追伸
上田さんが紹介された情報分析手法を現実に活かすこと
については、実を言うと、個人的にイチバン役立ったのは、
WEBページ作りのときでした。
意外ですか?でも実に役立ってます。

たぶん、知的な課題ならどんな対象でも対応できるスキル
なので、「こんなことは〜」といわずに、一度本書を紐解いて
気になっていたことを分析してみてはいかがでしょう?

『未来予測入門ー元防衛省情報分析官が編み出した手法ー』
 講談社現代新書
 上田篤盛(うえだ・あつもり)著
 ISBN:9784065145807
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