配信日時 2023/10/20 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話:世界の秘密兵器編】戦車の時代は続く──KF51パンター(2) 加藤喬(元米陸軍大尉)

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アルハンドロ・デ・ケサダ (著), 床井 雅美 (監修),
 加藤喬 (翻訳)
2022/5/12 発行
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こんばんは!エンリケです。

世界はミレニアムレベルの大動乱期に入ってい
ますね。

これまでの価値観や常識ではとても図れないでき
ごとが頻発し、過去の価値観の中に生きているも
の・ことはすべて亡ぶ。

感覚としては、幕末でなく戦国時代に入りつつあ
る「価値観崩壊の動乱の時代」だろうと思います。

室町中期から江戸期にかけての
我が国の状況が地球上で再来しているようにみえ
ます。

では今日の記事をさっそくどうぞ。


エンリケ

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加藤大尉の軍隊式英会話:世界の秘密兵器編   
  Takashi Kato

戦車の時代は続く──KF51パンター(2)


加藤喬(元米陸軍大尉)

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□自らの非を認めぬバイデン大統領の悪癖

 10月5日、バイデン大統領は「国境の壁建設再開」
を発表しました。2021年の就任式当日、唐突に壁建
設を中止してから3年弱、いよいよ国境危機を認め
ざるを得ない状況に追い込まれたと早合点(はやが
てん)しましたが、然(さ)に非(あら)ず。「国
土安全保障省の『早急に壁を建設する必要がある』
との要請を受けたものだ」と強弁。

「壁は不法移民流入阻止に有効ではないのか?」
との問いには「壁は役に立たない」と自政権の国境
危機評価をあっさり否定して見せました。同日、ホ
ワイトハウス報道官も「不法移民流入を止めるには
壁よりもっといい方法がある」と述べており、自ら
の非を認めぬバイデン氏の悪癖がホワイトハウス全
体に蔓延(はびこ)っていることを露呈しました。

 アフガン撤退作戦の失態、米エネルギー自給体制
の自発的放棄、そして今回、イランのテロ支援を増
長させたとされる同国凍結資産60憶ドルの解除など
を見て思うのは「非を認めない者は間違いから学ば
ない」という世の常です。バイデン大統領が場当た
り的決断を繰り返し、国益を損なう理由はこの辺に
あるかと思います。

 米社会に広がりつつある厭戦世相を無視し、バイ
デン氏はウクライナ支援継続に固執。より強力な兵
器をゼレンスキー大統領に請われるまま供与してい
ます。

 後先考えぬバイデン大統領の言動は、モスクワの
強硬派にとって欧米敵視の気勢を上げる絶好のチャ
ンスになっており、「欧米に対する核の脅威をさら
に高め、彼らの意思をくじくのだ。ウクライナ支援
をやめないなら、NATO諸国に限定的核攻撃をかける
ことも選択肢だ」との極論まで飛び出しています。
 
またプーチン大統領自らもソチで行なわれた政治討
論会で、 「我々は新しい世界を築く使命を与えら
れた」として反米路線を強調。「ロシアは核実験禁
止条約を破棄することもあり得る」とも発言してい
ます。

さらにプーチン大統領は、原子力推進の核装備巡航
ミサイル(NATO名スカイフォール)が初の飛行実験
に成功したと公式発表しており、事実とすれば、理
論上無限の射程を持つ同巡航ミサイルは、露海軍の
原子力核魚雷(NATO名ポセイドン)と共に危険極ま
りない終末兵器となり得ましょう。
 
9月に極東ロシアの宇宙基地で行なわれた露朝会談
が示唆する「ロシアによる北朝鮮の弾道ミサイル開
発支援」も日米にとっては極めて不吉な兆しです。

 一連の露側言動を「はったり」で片づけるのは危
険だと思います。ウクライナ戦争で窮地に追い込ま
れたプーチン氏は、自業自得とは言え、「死中に活
を求める」精神状態に陥っているかもしれないから
です。核チキンゲームの相手が、和平を先導する意
思はもとより、使命感もビジョンも能力もないバイ
デン大統領ではなおさらです。

 追いつめられれば飛びかかってくる独裁者と、自
らの非を認めぬ老大統領の組み合わせは、中東が戦
争状態に陥った今この時、米ロ両国民および日本を
含む全世界にとって不幸なことです。
 
▼戦車の時代は続く──KF51パンター(2)

兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるため
には相手より優れた武器を持たねばなりません。兵
器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく続
いているのはこのためです。よく指摘される武器の
効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を抜
かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝ち」
の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な破壊
力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手放せ
ない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏面が
「抑止力」なのです。
加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞれ
の武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を考
えていくことにします。

 「戦車の時代は続く」シリーズ、KF51パンター
の第2回は、同戦車の火力を取り上げます。

 KF51は現在主流の120ミリ砲より射程と貫通力が
格段に優れた130ミリ滑空砲を備えています。敵の砲
弾が届かないところから先制攻撃をかけられるとい
うことです。自動装填装置のお陰で迅速な射撃が可
能で装弾数は30発。敵機甲車両に対しては運動エネ
ルギーで装甲を貫く徹甲弾を、軽装甲車両や歩兵に
は爆発のタイミングを前もってプログラムできる空
中炸裂弾を発射します。

 特筆すべきは徘徊型兵器の運用能力でしょう。別
名自爆ドローンと呼ばれることからもわかるように、
パンターから放たれたHERO120ドローンは戦場上空を
長時間「徘徊」します。索敵中に高価値目標を発見
し、それが敵と判断されれば頭上から攻撃をかけま
す。戦車砲では届かない遠方の敵陣や、山陰に隠れ
目視できない敵戦車を仕留めることができるわけで
す。パンターは、直接照準による攻撃しかできなか
った従来型戦車とは「別次元の多用途性」を付加さ
れているのです。
 
教材ビデオ:
 Why the KF51 Panther MBT could be one impress
ive tank - YouTube
 https://onl.bz/5dw16XC
 
(本エピソードは1:28から始まります)
 
 
基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
loitering(ロイタリング)徘徊する うろつく
strike(ストライク)攻撃する
line of sight(ライン オブ サイト)照準線

シナリオ(カウンターを2:56に合わせてくださ
い)

On the other hand, the Rheinmetal’s partner U
Vision’s HERO 120 loitering munition can be i
ntegrated with the launcher for improved abili
ty of the KF51 to strike targets beyond the di
rect line of sight.

(一方、ラインメタル社と提携するUVision社が開発
したHERO120自爆ドローンはKF51に搭載可能で、同戦
車に目視距離外の標的を攻撃する能力を付加してい
る)

(今回のビデオは3:09まで続きます)

英語一言アドバイス:
 line of sightは照準器と標的を結ぶ直線のことで
す。したがって、小銃をはじめとする小火器や戦車
砲は直接照準火器と呼ばれ、目視した標的に向けて
弾丸、砲弾を発射します。

発音サイト: line of sightの発音
 https://onl.bz/irm7eAp

参考サイト:
ラインメタル社の広報ビデオ Panther KF51 main
battle tank | Rheinmetall
 https://onl.bz/zHn8wjd

KF51 パンター主力戦車
 https://onl.bz/A8KpFVF

ポセイドン核魚雷
 https://onl.bz/AE6hqu2

スカイファール原子力巡航ミサイル
 https://onl.bz/T6yV3bn

徘徊型兵器
 https://onl.bz/XE55ASz



加藤 喬(かとう・たかし)

元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に
参加。米国防総省外国語学校日本語学部准教授(20
14年7月退官)。著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞
作の『LT—ある“日本製”米軍将校の青春』(TB
Sブリタニカ)、『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブー
トキャンプ』『レックス 戦場をかける犬』『チュー
ズデーに逢うまで』『アメリカンポリス400の真
実!』『ガントリビア99の謎』『M16ライフル』
『AK-47ライフル』『MP5サブマシンガン』『ミ
ニミ軽機関銃』『MP38&MP40サブマシンガ
ン』(いずれも並木書房)がある。



(かとう・たかし)


●著者略歴

加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT─あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK─47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
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電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm

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『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share



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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。

 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。

 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。 
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac" 
と表現します。

 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。

加藤 喬
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