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おはようございます、エンリケです。
234回目の「美佐日記」。
東京五輪で「黙祷」があったことを、
この記事を読むまで知りませんでした。
それにしても、
「まさか」でしか反応しないできない
人・国に、危機対処はできませんね。
危機対処しないできない人、国は、
「僥倖」にすべてを委ね、誰かに責任転
嫁して生きてゆくしかありません。
ではきょうの記事、さっそくどうぞ。
エンリケ
◆桜林さんが、自衛隊制服について書いたフォー
サイト記事です。
「自衛官の制服はなぜ不揃いなのか――崩壊する
「防衛産業」の現場から」
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おめでとうございます!!
くわしくは文末<おしらせ>でどうぞ。
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『自衛官が語る海外活動の記録』(桜林美佐監修・
自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
ーンの安全確保をめぐって新たな自衛隊派遣が行わ
れているこの時期にタイミングを合わせたような出
版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
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桜林美佐の「美佐日記」(234)
他人事ではないパレスチナの戦火
桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、234回目となりま
す。
ハマスによるイスラエルに対する奇襲攻撃で現時
点でも激しい戦闘が続いています。日本の地上波ニ
ュースではイスラエルとパレスチナの関係という文
脈での解説が多いですが、その問題と今回のテロは
果たして同じ次元で語ってよいのかという気がして
なりません。
当時開催されていた音楽フェス、これは平和を願
う集会だったのだそうですが、その会場も襲撃され、
周辺では少なくとも260人の遺体が見つかったと
いいます。
SNSなどでは偽情報が多くなっていますので事実関
係は慎重に掌握していく必要がありますが、様々な
報道によれば、会場に空襲サイレンが鳴り、人々が
混乱する中、電気が遮断され、そこにハマスの車両
が現れ、武装したテロリスト100人余りが逃げよ
うとしていた参加者に向け銃を乱射したというので
す。
ハマスの車両で道が塞がれ、また音楽祭の場所も
遮蔽物のない砂漠地帯だったため、隠れる所がなか
ったといいます。
裸同然でトラックの荷台に載せられ拉致されたド
イツ人女性は暴行され手足を折られたとみられます。
SNS上では、武装勢力が彼女の頭に唾を吐きかけて
「神は偉大なり」と叫んでいる映像がアップされ、
女性の母親がこの画像を見て、タトゥーや髪型から
娘であることを確認したそうです。
他にも高齢者や子どもが連れ去られたり、子ども
まで無差別に殺害、家に侵入して庭にいた犬まで射
殺するなどの蛮行があったとされています。
イスラエルも同じようなことをしていたとか、パ
レスチナの人々を追いやっていることはいけないと
か、色々な解説が報じられていますが、いかなる理
由でもこのような犯罪が許されるものではありませ
ん。
音楽フェス会場から拉致され安否が分からない女
性がドイツ人であることは偶然なのだとは思います
が、イスラエルとパレスチナそしてドイツという関
連からは、かつてのミュンヘンオリンピック事件を
連想させられます。
これは「黒い9月」(ブラック・セプテンバー)
というパレスチナの過激派組織が1972年のミュ
ンヘン五輪で選手村に侵入しイスラエルの選手ら11
人を人質に取り、イスラエルの刑務所に収容されて
いるパレスチナ人などの解放を要求したものです。
「黒い9月」はその場で2人を射殺し、他の9人を国外
へ連れ出すため空港に向かうも、ドイツ警察による
作戦の失敗で残りのイスラエル人全員とドイツの警
官1人が死亡するという最悪の結果となったのです。
この時の銃撃戦で「黒い9月」のメンバー5人も死亡
しましたが、首謀者はその後イスラエルの「モサド」
が殺害したとされます。スピルバーグ監督の『ミュ
ンヘン』がこの事件を題材にしていますのでご存じ
の方も多いかと思います。
実は、2年前の東京オリンピックも、この事件とは無
縁ではありませんでした。2021年の東京オリン
ピック開会式では五輪史上初めて開会式においてこ
の事件の犠牲者への黙祷が行なわれていたのです。
これは、長年、開会式での黙祷を訴えて来た事件の
遺族の悲願だったといいます。49年間、オリンピ
ック開会式での犠牲者の追悼を求めてきましたが
「開会式にふさわしくない」と拒否され、事件から
50周年を前にようやく実現したものでした。
IOCのバッハ会長がドイツ人で「ホロコーストの加害
国」であったことからも、ユダヤ人が戦後のしかも
ドイツで行われた「平和の祭典」での虐殺行為に対
し相応の対応をするという責任を果たしたかったの
ではないかといった見方もあります。
いずれにしても、日本で開催されたオリンピックに
このような画期的な側面もあったことに驚かされま
す。
そしてさらに驚いたのは、昨年の9月にドイツ政
府と被害者遺族との間での補償がようやく合意した
ということです。
選手の親族たちは長年にわたり、ドイツの警備と警
察による救出の失敗を非難していました。そもそも
武装組織を選手村に侵入させてしまい、イスラエル
軍による支援は拒否、挙句に、ドイツ軍も出動しな
い、マスコミの報道で空港を取り囲んだ警察の存在
を察知したテロリストたちは後ろ手に縛られた人質
を射殺したのですから言い訳のしようがないでしょ
う。
しかし、日本としてもわが事と捉えてみると、もし、
同じような事件が起こったらどうしたのだろうかと
考えさせられます。
もちろん事件を起こさないことがまず大切ですが、
もし万が一起きてしまったら、当然、イスラエル軍
が日本に入って掃討作戦をする? そんなことは受
け入れられないでしょうし、自衛隊が出ていく?
これも当時のドイツ同様、法的な根拠が難しいでし
ょう。メディアの統制もとてもできそうにありませ
ん。
このように考えると、実際には日本も今回のハマス
によるテロに端を発するイスラエルとパレスチナの
戦火は決して他人事ではなく、国立競技場で起きて
いてもおかしくないものだったかもしれませんし、
もし起きたら、日本もドイツと同じような対応にな
りはしなかったか? そんなことを考えさせられる
のです。
昔の日本なら、外国人が歩いていたら目立っていま
したが、今はどうですか。今日も東京は外国人で溢
れています。
とにかく日本のニュースでは「憎悪の連鎖」に対す
る嘆きや、武力の応酬に対する批判ばかりですが、
これは残虐なテロであるという認識が必要だと思い
ますし、自国の危機管理体制についても考えを深め
てもいいのではないかと思います。
少なくともジャニーズ事務所問題をいつまでもトッ
プニュースにしている場合ではないはずです。
今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。
皆様にとって良い1週間でありますように。困難の中
にいる全ての人のために祈りあらゆる紛争の犠牲者
を悼みながら。
<おしらせ>
●月刊誌『丸』にて「誰も知らないニッポンの防衛」、
『SATマガジン』にて「桜の時評」連載中してい
ます。
(さくらばやし・みさ)
桜林さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
このURLからお知らせください。
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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)、
「陸海空 軍人から見たロシアのウクライナ侵攻」
(ワニブックス)
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