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『神は賽子を振らない: 第32代陸上幕僚長 火箱芳文の半生』
渡邉陽子 (著),、火箱芳文 (監修)
発行:株式会社アルゴノート
発行日:2022/3/17
寸法:12.8 x 1.3 x 18.8 cm
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おはようございます、エンリケです。
東日本大震災時の初動。
72時間が勝負と言われる人命救助。
この人の”異例の指示”がなければ、
あれほど多数の人命が救われることはなかったでし
ょう。
腹を切る覚悟で目の前の事態に対処。
「即動必遂」を実践した頼もしいリーダー。
これこそ真のエリートの姿と思うのは私だけでしょ
うか?
いま、その方が主役のオーラルヒストリーが世に出
ました。
本著を読んで、自衛隊と自衛官に寄り添い、共に国
を盛り立て、祖国日本の悠久の発展に生きてゆこう
とする日本人が増えるよう心から望みます。
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エンリケ
『神は賽子を振らない: 第32代陸上幕僚長 火箱芳文の半生』
渡邉陽子 (著),、火箱芳文 (監修)
発行:株式会社アルゴノート
発行日:2022/3/17
寸法:12.8 x 1.3 x 18.8 cm
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『神は賽子を振らない: 第32代陸上幕僚長 火箱芳
文の半生』は、火箱芳文元陸将の人生を追った自叙
伝的な書籍です。
木曜日の連載「ライター・渡邉陽子のコラム」著者・
渡邉陽子さんの最新刊です。
彼女の真骨頂を堪能できる本ではないでしょうか?
主人公は、東日本大震災当時の陸幕長・火箱芳文元
陸将。
火箱芳文氏は、様々な要職を歴任し、第32代陸上幕
僚長を務めた方(元陸将)です。
本書では、火箱氏が陸上自衛隊に入隊し、どういう
軌跡で幕僚長に昇進したか、そして各級で補された
現場でいかに眼前の任務に取り組んだかについて描
かれています。
本書最大の特徴は、火箱さんが幹部陸上自衛官とし
て任務をこなしながら抱いた「人としての思いやり」
や「信念」について、詳しく語られている点にあり
ます。
例えば、災害派遣活動に従事する際、現地の被災
者たちとコミュニケーションを取ることが重要であ
るという考え方や「自分が正しいと思うことを徹
底して実行する」という姿勢などが、細かく描写さ
れています。
また、火箱さんが入隊した頃の時代背景や勤務での
裏話なども興味深く、わが防衛の現場の空気を深く
知ることができる書籍となっています。
詠めば読むほど、等身大の自衛隊と自衛官、その仲
間たちへの理解と共感が広がる作品です。
現役退役軍人・ご家族の方はもちろん、
一般企業のサラリーマンとそのご家族も共感できる
ところ多いです。
まずは内容をご覧ください。
目次
はじめに
第一章 自衛官人生の始まり
第二章 第一線部隊勤務と上級幹部登竜門への挑戦
第三章 第一空挺団中隊長と陸幕広報室
第四章 上級司令部幕僚として、学生として
第五章 北方最前線部隊、第三普通科連隊長
第六章 孤独な人事業務と初めての中部方面隊
第七章 陸上自衛隊に近づいてきた海外
第八章 作戦基本部隊の師団のトップ、第一〇師団長
第九章 母校、防衛大学校の幹事(副校長)
第一〇章 二府一九県を束ねるメジャーコマンダーへ
第一一章 第三十二代陸上幕僚長の誕生
第一二章 東日本大震災、発生
第一三章 自衛官人生、最後の日々
あとがき
いかがでしょうか?
「はじめに」は渡邉さんが、「あとがき」は火箱さ
んが記されています。
『神は賽子を振らない: 第32代陸上幕僚長 火箱芳文の半生』
渡邉陽子 (著),、火箱芳文 (監修)
発行:株式会社アルゴノート
発行日:2022/3/17
寸法:12.8 x 1.3 x 18.8 cm
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おススメできる理由は3つです
1.伝記というより「自衛隊オーラルヒストリー」
だから
2.自衛隊・自衛官の仕事の現実がよく理解把握で
きるから
3.組織人として、ポジション変化に伴って直面す
る「壁」にいかに対処するか?
について意識、取り組みの着眼点を学べるから
まずは3番目から。
正直、これまで普通より多くの軍人伝を読んできた
私ですが、この本から受ける印象は、それらとは全
く異質のものです。
柔道好きなひとりの少年がいかにして陸自トップの
陸幕長に上り詰めたか?
という単純な出世物語に見えがちのこの本。実はそ
うではありません。
一軍人の軍務の記録というより、
目の前の状況を主人公はいかに捉え、対処したか?
を忌憚なく描き出した「教本」としての価値が大き
いです。
その描写の細やかさが本著最大の特徴かもしれませ
ん。
外から見れば出世、「万々歳!!」としか見えない
ポジションの上昇。
しかし新しいポジションに就くと、これまで見えな
かった課題や壁にぶつかるものです。
火箱さんもそうでした。
補職に就くごとに壁に直面します。
その時氏は、
いかに課題を捉え、
何を拠り所にし、
いかに克服したのか?
といったことが、この本には過不足なく絶妙なボリ
ュームで描き出されています。
現役、退役自衛官とその家族だけでなく、
一般企業で働くサラリーマンとその家族が
同じように共感できる内容が非常に多いです。
わたしが特に学びになったのは、
西方勤務時の火箱さんが後方支援への理解を深めて
ゆくところです。
もしかしたら、
こういった毎日の積み重ねが職業人の一生かもしれ
ません。
そんなことを感じました。
『神は賽子を振らない: 第32代陸上幕僚長 火箱芳文の半生』
渡邉陽子 (著),、火箱芳文 (監修)
発行:株式会社アルゴノート
発行日:2022/3/17
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つぎは
「2.自衛隊・自衛官の仕事の現実がよく理解把握
できる」
です。
なぜでしょうか?
渡邉さんの視座が、地を這うそれだからだと思いま
す。
おうおうにしてこの種のはなしでは
上空から仕事を俯瞰する視点が多いですが、
渡邉さんの記述は、ねじ一本、砂粒一粒の違いをく
っきり浮かび上がらせます。
だから、具体的に自衛隊の仕事をつかめるのです。
第一空挺団の普通科中隊長に補されたとき。
陸幕広報に補されたとき。
連隊長に補されたとき
師団長に補されたとき
・・・・
生涯を通じ、
主人公の何が変わって何が変わらなかったのか?
何を根底に意思決定していたのか?
といった、軍民問わない社会人としての知的基盤を
つかめます。
学びを得たい読み手は「自分に適合する部分」と
「ここは違う」ところを明確に区分できるわけです。
だから、
つかめそうでつかめない「無機質でつるつるした読
後感」を持ちがちな所謂軍人伝とはひと味もふた味
も違うコクと深みを味わえます。
そして最後のポイントが
「1.伝記というより「自衛隊オーラルヒストリー」」
です。
この本がもつおおきな特徴は、
「自衛隊のオーラルヒストリー」
という面です。
火箱さん個人の生涯を追いながら、描き出されてい
るものはわが危機に立ち向かい、そのための力をは
ぐくみ続けてきた自衛隊と自衛官の歴史です。
<高田や習志野の部隊にいたときは、まったく意識
していなかった広報の役目とその重要性。それがわ
かった上で働くと、これまで見えなかったものが見
えてくる・・・・>(P66)
<着任にあたり、火箱は一〇師団には三つの任務・
役割があると考えた。>(P135)
<陸幕広報で働き始めたばかりの頃、火箱は日々打
ちのめされた。>(P51)
などなど、
主人公がそう考えていた時、彼はどういう環境に置
かれていたか?がしっかり見えるから、今の自分に
応用しやすいです。
同種の仕事をする職業人の得られる学びは大きいで
しょう。
「陸幕長に上り詰めた田舎の少年奮闘記」
というビルディングロマンスというよりは、
主人公が生涯を賭け、全身全霊を捧げた
国防
という任務に彼が一軍人としていかに対処してきた
かの備忘録です。
彼が愛した
自衛隊
という組織がこれまで行い育んできたことの記録で
す。
彼が命を分け合った
全身全霊でご奉公し、使命感を果たしてきた
名もなき自衛官とその仲間たちの記録です。
こういったほうが、
私にはシックリきます。
巷にあふれる「俺様軍人伝」とはひと味違う「軍人
伝」
と著者の渡邉さんはおっしゃってますが、
讀んだ後のいま、私もそう感じます。
讀めば読むほど面白味が増えて深まってゆく
不思議なコクを持つ味わい深い本です。
総じて、『神は賽子を振らない: 第32代陸上幕
僚長 火箱芳文の半生』は、火箱芳文さんの人生と陸
上自衛隊について、詳細かつ興味深い内容が紹介さ
れた書籍です。国防安保軍事に興味のある人や、自
衛隊に興味のある人にとって非常に役立つ書籍となっ
ています。
おススメです。
『神は賽子を振らない: 第32代陸上幕僚長 火箱芳文の半生』
渡邉陽子 (著),、火箱芳文 (監修)
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エンリケ
追伸
現役自衛官とそのご家族の方には
「先輩自衛官の貴重な体験から抽出したエキスを今
に活かすよすがとして」
企業勤務の方とそのご家族の方には
「大組織を率いた人の、新人時代から組織を去るま
での各ポジションごとにおける意思決定や業務取組
みの記録を自分の仕事に活かす資料として」
読み甲斐と濃く深い味わいを覚える他で得難いよみ
ものです。
読み手の心に引っかかるところ多い
等身大の軍人の生涯と寄り添った希少なものがたり
です。
本著のような、聞き書きよみものの質は、
聞き手の力量と聞かれる人の人格がモロに顕れると
聞きます。
渡邉さんのプロの真骨頂を味わえるこの本は、
詠めば読むほど等身大の自衛隊と自衛官への共感と
理解が広がる、綿密で的を射た取材を基にした珠玉
の軍人伝であり、自衛隊史であり、教本です。
現役退役軍人・ご家族の方はもちろん共感するとこ
ろ多い内容でしょう。
自衛隊関連知識や部隊知識、陸自知識や各種用語の
説明もあり、陸自事典の側面もあります。
陸上自衛隊の現場を知り尽くしている聞き手と主役。
この二人でないと描き出せなかった風景の数々。
火箱さんの人生を通して、
自衛隊、自衛官、陸上自衛隊への共感と敬愛を感じ
る日本人が一人でも増えてほしい。
心からそう願ってやみません。
『神は賽子を振らない: 第32代陸上幕僚長 火箱芳文の半生』
渡邉陽子 (著),、火箱芳文 (監修)
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