配信日時 2023/10/22 05:08

【本の紹介】『中国に勝つための地政学と地経学』 佐藤正久(著)

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『中国に勝つための地政学と地経学』は、佐藤正久
氏による著書で、日本が中国との戦略的競争に勝利
するための地政学的・地経学的アプローチを提唱し
ています。

著者の佐藤参議は言います。

「日本国民はもっと中国の脅威を認識すべきだ。そ
の点を国民に発信することが今の私の最大の務めだ
と考えている」

外交、安全保障、経済安全保障の最前線に立つ現職
の自民党外交部会長・佐藤正久参議が日本人の知ら
ない「今」日本列島に迫っている危機を余すことな
く伝える本です。


おはようございます、エンリケです。

本書は、日本の立場から中共の地政学的・地経学的
な戦略を分析し、日本の地政学的・地経学的な強み
を生かしながら、中共との競争に勝つための具体的
な戦略を提示しています。具体的には、日本が海洋
国家であることを生かした外交戦略や、国土の地理
的な特徴を活かした経済政策などが提言されていま
す。

また、本書では中共の戦略や現状についても詳細に
分析されており、中共の経済発展や軍事力増強に伴
い、わが国が中共との競争で勝利するには、単な
る経済力でなく、地政学的・地経学的な視点が必
要であることが強調されています。

佐藤氏は、長年にわたって国際情勢や外交、地政学
と不可分一体の幹部自衛官として国防安保の専門家
として活躍してきました。
本書でもその豊富な知識と分析力を発揮しています。
また、説得力のある具体的な提言が多数含まれてお
り、わが国が中共との競争で勝利するため必要な視
点や戦略を理解する上で、非常に役立つ一冊です。


本著のテーマの一つ「地経学」。

インテリジェンス研究家・上田篤盛さんによれば

<近年は、地政学リスクに加え得て地経学リスクを
考慮する必要性が強調されるようになりました。こ
れは、経済的依存度が政治・外交・安全保障上の政
策に及ぼす影響と、逆に政治・外交・安全保障の影
響が経済性政策や経済活動に及ぼす影響を考察せよ
というものです。>

(211012配信 「武器になる「状況判断力」(13)」
状況の特質を把握する より)


日本人に隠されている真のチャイナクライシスとは
何なのでしょうか?
中共に勝つための地政学と地経学とはどういうもの
でしょうか?

明日のビジネス、国際状況を読むには「安全保障」
を知ることが不可欠な時代がついにやってきました。

この本は、
イラク復興支援群先遣隊長として陸自初の海外展開
成功の地ならしをした殊勲者であり功労者でもある
佐藤正久参議(元一等陸佐、元7普通科連隊長)の
手になる「中共という脅威にいかに対峙するか?」
の解説書です。

今の国防の「リアル」を伝える一般人向け啓蒙書で
す。

正直、胸が苦しくなるような記述もありますが、
これが我々が今直面している現実なんだ、というこ
とをこの本を通じてつかみとってほしいです。

気づかなかった、知らなかった、思いもよらなかっ
た脅威の数々。

いま生きる日本人がわきまえておかなきゃいけない
心構えを培ってくれる本として、いまこの本以上の
存在はない気がします。


非常に残念なことですが、
一般人レベルで「中共という脅威」をきちんと理解
把握対処しなければならない時代に
すでに入っています。

「日常生活レベル」で意識する必要がある時代にす
でに入っています。

わが国は独裁国家でも、エリート階級が国を引っ張
る国でもなく、国民主権の国であり、国民がきちん
と脅威を理解把握認識しておかないと、その代弁者
でしかない政治が今と違う対応をとることができま
せん。

これによりいまわが国は、国家レベルで危機対応の
ために動けない国になっています。

そんな状況でグローバリズムの真っただ中に丸裸で
放り込まれているわが国。
「一手間違うと国を失う」危うい時代にすでに入っ
ています。


本著を読むと、
自分のなかにある国防軍事安保と
いま祖国が対峙している国防軍事安保のあいだに
相当なズレがあることを、あなたは認めざるをえな
いでしょう。


『中国に勝つための地政学と地経学』
著者  佐藤正久
発行  徳間書店
出版年月日  2022/02/02
判型・ページ数  四六版・248ページ
https://t.co/WS54laVwvd


◆著者略歴

佐藤正久
政治家。参議院議員(当選3回)。1960年、福
島県出身。1983年に防衛大学校応用物理学科を
卒業(27期)、翌84年に帯広の第4普通科連隊
に配属。1996年に国連PKOゴラン高原派遣輸
送隊初代隊長を務め、98年にカンザス州のアメリ
カ陸軍指揮幕僚大学を卒業。そして2004年、「
戦闘区域かどうか」の議論を経て派遣が決定した湾
岸戦争直後のイラクに、先遣隊長として派遣。メデ
ィアの窓口となり、その冷静な状況分析と合わせて
「ヒゲの隊長」として人気となる。 2007年、
第21回参議院議員選挙で初当選。12年、第2次
安倍内閣で防衛大臣政務官を務める。2019年第
25回参議院議員通常選挙で3選。 2020年1
0月、自由民主党政務調査会外交部会長に就任。2
018年に発生した韓国海軍レーダー照射問題や習
近平政権で膨張主義に変貌した中国の南シナ海、東
シナ海への進出、2020年からのコロナ禍や、2
021年8月のアフガニスタン脱出問題などについ
て危機管理、外交・安全保障の専門化としてメディ
アで解説・提言を行っている。 最新の解説、情報
を発信するTwitterのフォロワーは45.4万人。


◆内容

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「安全保障」や「国防」は日常生活から遠いところ
にあるものだった。
だがついに「軍事力」というパワーが日本経済を揺
るがす時代に突入した。
安全保障や経済安全保障を理解することが、これか
ら先の経済、あるいはビジネスを予測するためにも
必要になってしまったのだ。

 その理由は中国だ。

 かつての中国と、習近平政権の中国はまったく違
う。膨張主義を隠さず軍事一辺倒の実効支配だけで
はなく、経済圏構想「一帯一路」を通じて経済圏・
情報圏を拡大し続けている。
 もはやアメリカ一国では対抗できないほどの「脅
威」は日々増大。自由主義陣営も「地政学」と「地
経学」をミックスさせながら、中国への抑止力を高
めているのが現実だ。

「地政学」とは地理学と政治学を合成した言葉で、
国際政治を考察する上で地理的条件を
重視する学問である。「地理」の「地」が使われて
いることから「国家のパワーは領土の
広さ」と誤解されやすいのだが、海が物流の鍵であ
ることから地政学とは「領海」やシーレーンも含め
て考えられなければならない。

「地経学」とは地政学的な目的を、経済を使って達
成しようという新たな学問だ。中国の「一帯一路」
はまさに「地経学」の実践である。
 この「中国の脅威」を正確に評価するためには日
本列島を「地政学」的に考え、その価値を理解しな
ければならない。

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ここまで「国防安保のリアル」を伝えてくれる本も
珍しいです。



それではこの「いまの国防の現リアルを伝える書」
の中身を見ていきましょう。

◆目次

第1章 地政学から見た日本列島の価値
 日本が意識していない現実的な危機
 安全保障と向き合う時代が来てしまった
 「逆さ地図」でわかる日本列島の価値
 朝鮮半島を無視することはできない
 左派政権で防衛費が伸びる理由
 台湾と日本は連ならなければならない
 相手の立場から考えるのが安全保障の本質
 日台による対中戦略交渉はすでに始まっている

第2章 アフガニスタンを見れば明日の日本がわか

 自ら敵を作り、その敵を倒し、再び敵を作るアメ
リカ
 アメリカの同盟関係が問われている
 自分の国は自分で守れ
 難民へのスクリーニング
 救出作戦の深層
 自衛隊機出動の内幕
 ミッション失敗のバックグラウンド
 国際社会での信頼獲得に必要なのは「良心」だ
 すべての国がタリバーンに負けた
 日本のインテリジェンスの限界
 イギリスに学べ
 台湾有事はこれ以上のパニックになる
 インフラ整備の優先順位は戦略的観点から
 6年以内に有事が起こるリスク

第3章 「345+11」中国多重包囲網
 中国は日本に多面戦をしかける
 中国の嫌がることに先手を打った日本
 戦略対話を防衛安全保障は連動する
 鍵はインド
 オーストラリアへの「静かなる侵略」
 原子力潜水艦は外交
 原潜のターゲットは中国
 潜水艦問題でわかる外交の暗喩
 日本のAUKUS加盟は
 345包囲網+11
 TPPは中国を受け入れるのか
 経済協力体から新・安全保障体制の構築へ

第4章 バイデン政権の憂鬱
 日米関係は冷えたのか
 大統領選勝利のために左派を取り込んだツケ
 左派勢力の台頭と増える予算案
 莫大な予算は国内にしか向かわない
 日米防衛協力ガイドラインの見直しと「まだら外
交」
 日豪・日英の円滑化協定
 FOIPとヨーロッパを結べるのは日本だけ
 地経学で考えるEUとFOIP
 メルケル退任でEU内の力学が転換

第5章 日本人が知らない中国の軍事技術の脅威
 ミサイルとAIを軸にした兵器開発
 防御不能のミサイル
 武装強化ドミノで先鋭化する朝鮮半島
 中国の極超音速ミサイルが狙うのは・・・
 空の新脅威への国防対応
 ネットワークという障壁
 社会管理とAI
 2020年に戦争の形が変わった
 AIを育てるもの
 国家主席自ら軍民学複合体制を主導
 殺人AIドローンが続々と開発されている
 中国に「軍縮」という概念はない
 「米軍AIは幼稚園レベル」
 人が脇役になる時代に

第6章 地経学を利用した日本の「シン」防衛構想
 
 岸田政権の安全保障政策
 外交ボイコットの是非
 盾なしでグローバリズムに放り込まれた日本
 次なる課題は「みなし輸出管理」だ
 経済安全保障の攻防強化を
 次世代の戦略物資とは
 日本のサプライチェーン移転政策
 防御構築から攻撃への転換
 日台経済安全保障2+2
 太平洋島嶼と中東欧に向かう日台経済安全保障
 アメリカに頼らない独自防衛の構築を




・イラク派遣に関して佐藤さんに今も残る「トゲ」
とは?
・軍事組織のリアルを知らない無知な人が陥る「現
場のワナ」とは?
・日本国民が安全保障への無関心が許されない時代
になったのは2013年。
・わが安保を確保するには半島の脅威を取り除く必
要がある。その理由は?
・在韓米軍がわが国にとって極めて大きな価値を持
つ理由とは?
・アフガンの姿は明日のわが国の姿です。どういう
ことでしょうか?
・ご存じですか?撤退作戦は、単に人を国外に送り
出すという単純なミッションではないことを、、、
・アフガンで起きたことは、台湾で起きることです。
それにはわが国が直接かかわるのです。おわかり
ですか?
、、、、、、、


さまざまな形でインテリジェンス能力のなさを暴露
しているわが国。

移民や難民受け入れこそが、わが国にとって最大の
インテリジェンス強化策になる、との見方に、実に
説得力を覚えます。

ビジネス、経済に必要だからでなくインテリジェン
ス面で、という点に新鮮さを覚えています。

文化文明の違う異分子といかに協力して信頼と情報
を得てゆくか?の基盤づくりは、わが国が最も苦手
とする「国家レベル最大の課題」かもしれません。


どちらかといえば硬い内容ですが、ビックリするほ
どすいすいすらすら読めます。

佐藤さんの深い理解と啓蒙経験の豊富さによるのか、
編集者が優秀なのかはわかりませんが、読み手とし
たら、幾度も読み返すことができる点に大きな価値
を覚えます。

この本には、必要で重要な内容が書かれています。

何度も何度も読むことで、国防軍事安保のリアルを
あなたの脳髄にしみ込ませることができます。


まさにいま読むべき本です。
超おススメです。


ご紹介したのは、

『中国に勝つための地政学と地経学』
著者  佐藤正久
発行  徳間書店
出版年月日  2022/02/02
判型・ページ数  四六版・248ページ
https://t.co/WS54laVwvd

でした



エンリケ


追伸

総じて、『中国に勝つための地政学と地経学』は、
日本が中共との競争に勝利するために必要な地政学
的・地経学的な視点と戦略を提案した、非常に興味
深く有益な書籍であると評価できます。

『中国に勝つための地政学と地経学』
著者  佐藤正久
発行  徳間書店
出版年月日  2022/02/02
判型・ページ数  四六版・248ページ
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