配信日時 2023/07/13 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (417)】F-4EJ配備部隊の歴史(5)     渡邉陽子(ライター)

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こんばんは、エンリケです。

「ライター・渡邉陽子のコラム」。
こんかいは第417号です。

「F-4EJ配備部隊の歴史」の最終回です。

戦闘機らしい戦闘機というイメージの同機ですが、
指摘されている通り、ライセンス生産の意義と整
備員のレベルの高さも忘れてはいけません。

これを機会に、ぜひそのあたりにも目を向けてほし
いですね。

ではさっそくどうぞ。


エンリケ


追伸
著者多忙のため、次週(7/20)の配信はお休みです。


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『ライター・渡邉陽子のコラム (417)』

 F-4EJ配備部隊の歴史(5)

  渡邉陽子(ライター)

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こんばんは。渡邉陽子です。F-4EJ配備部隊の歴史、今回が最終回と
なります。
局地的な豪雨や酷暑ですでに各地で被害が出ています。みなさまど
うかくれぐれもご自愛ください。


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■F-4EJ配備部隊の歴史(5)

さて、今や国内の上空を飛ぶファントムは見られなくなってしまい
ましたが、301号機と共に岐阜基地でラストフライトを行なった
431号機、F-4EJ改が今年2月18日、岐阜基地に隣接する岐阜
かかみがはら航空宇宙博物館に搬入されました。現在は1階A3ゾー
ンの機体近くから見学できるようになっています。また、航空自衛
隊浜松広報館には世界で最後に製造されたファントムである440
号機が展示されています。F-4EJからF-4EJ改へと改修さ
れたこの機体は第301飛行隊で運用され、「シシマル」の通称でファ
ントムファンに親しまれました。

そのほか、島根県の美保飛行場、福岡県のメタセの杜(築上町物産
館)でもF-4EJ改が展示されているほか、茨城空港公園ではF
-4EJ改とRF-4EJの2機を見ることができます。この2機は展
示から10年経ち塗装が色あせてしまったのですが、クラウドファン
ディングにより塗り直しの資金が集まり、地元の人のボランティア
によって昨年4月に塗り直しが完了しました。日の丸ファントムを見
られる貴重なところとして、ファントムファンが集うスポットにな
るでしょう。

第5世代戦闘機であるF-35A、空自の主力戦闘機であるF-15J/
DJ、日米共同で改造開発したF-2。現在の空自が運用している
3機種に負けないどころか凌駕する勢いで、ファントムのファンは多
いです。しかも熱いです。
40代以降の人なら、ファンになるきっかけが史村翔原作・新谷かお
る画のマンガ『ファントム無頼』であった可能性はかなり高そうで
す。1978年から約6年間「週刊少年サンデー増刊号」で連載され、フ
ァントムのパイロットとナビゲーターのコンビがさまざまな出会い
や経験を経て成長していく話で、今なお高い評価を得ている傑作で
す。余談ですが、あのマンガは本来もっと早くに完結される予定で
始まったものの、新たにかおる氏の描くファントムの完成度の高さ
から、編集部か原作者が「もっと長い連載に」と決めたという逸話
を耳にしたことがあります。

では『ファントム無頼』世代でない若者が、スマートな最新戦闘機
でなくファントムに惹かれる理由はといえば、重量感のあるスタイ
ルやアナログ感、つまり最新戦闘機と相反する部分がむしろ魅力な
のだといいます。たとえが適切かわかりませんが、最新技術の結晶
である新幹線もいいけれど、だからといってSLの魅力が失われる
わけではない、というところでしょうか。
そしてなによりも約半世紀にわたり日本の空を守ってきたというそ
の運用年数の長さは、ファントムファンを増やすことに直結してい
たのは間違いありません。それだけ長期間の運用を可能にしたのは、
三菱重工によるライセンス生産で国内での部品生産や整備が可能だ
ったという点が大きいと前述しましたが、それに加えて整備員の高
い技術があったことも忘れてはなりません。
日本におけるファントムの時代は終わりましたが、これからは人々
の記憶に残る名機として、歴史を刻み続けることでしょう。


(F-4EJ配備部隊の歴史 おわり)


(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。

2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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2022年、
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