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こんばんは、エンリケです。
「ライター・渡邉陽子のコラム」。
こんかいは第412号です。
「第2師団冬季戦技競技会」の最終回です。
こういう視点で冬戦競を見たことなかったので
新鮮な内容でしたね。あなたはいかがでしたか?
では今日の記事、さっそくどうぞ。
エンリケ
追伸
著者多忙のため次週の配信はお休みです。
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『ライター・渡邉陽子のコラム (412)』
第2師団冬季戦技競技会(6)
渡邉陽子(ライター)
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こんばんは。渡邉陽子です。
5月28日は新潟県高田駐屯地の記念行事に行ってきました。高田駐屯
地は目の前を通ったことはありましたが、入門するのは初めてです。
スキー発祥の地としても知られており、自衛隊のバイアスロン大会
では北海道の強豪、名寄駐屯地を制して優勝することが多いです。
観閲行進や訓練展示では同じ第12旅団に新編された第12偵察戦闘大
隊のMCV(16式機動戦闘車)が参加。高田駐屯地にMCV初お披露目と
あって、4年ぶりの一般開放となった駐屯地は大いににぎわってい
ました。今週の私は日曜日の高田に始まり、大宮に上富良野、そし
て名寄と陸自取材ウイークです!
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■第2師団冬季戦技競技会(6)
先週、冬季戦技競技会の結果が3即機の総合優勝で、スキーの機動
能力はほかの連隊もほぼ同じゆえ、射撃が勝負を分けたとお伝えし
ました。
3即機はARM‘S訓練と呼ばれる射撃訓練を2年前から重点的に
実施しており、その成果が表れたともいえます。私も数回この訓練
を取材していますが、訓練検閲の状況終了後間髪を入れずとか、厳
冬の夜間とか、あえて隊員に負荷をかけて射撃訓練を行なっていま
した。隊員たちもつらかったと思います。けれど、取材を重ねるほ
ど「ここは水陸機動団?」と思うほど、射撃の練度だけでなく隊員
の射撃に対する「慣れ」を感じ、これこそ即機連のナンバー中隊の
隊員ではないかと感嘆したのでした。
山崎3即機連隊長は完全優勝という結果に、「今年度は改編初年度
でありながら大きな訓練に連隊全体で取り組んできたことから、特
に夏場の基礎体力をあげるための訓練はほとんどできませんでした。
そのような中、競技会に臨んだ隊員たちは土日や冬季休暇も練成に
励み、その他の隊員はさまざまな形でバックアップしてくれました。
連隊一丸となって勝ち取った優勝であり、本当に嬉しく誇らしく思
います」と語りました。
この取材で、第2師団冬季戦技競技会が「冬季の作戦行動に直結す
る戦闘戦技能力の向上を図るとともに、部隊の士気の高揚及び団結
の強化を図る」という目的にそったものであることはよく理解でき
ました。
地元との確かな信頼関係が構築されていることも一目瞭然でした。
そして何よりも、積雪寒冷地部隊の隊員たちの精強さを改めて認識
する機会となりました。
ただ滑れればいいわけではありません。ワックスの選択、新雪の進
み方、スキーをはいたままの射撃、効率的なアキオの曳行など、す
べて各部隊がこれまで積み重ねてきた練成で導き出した最適解であ
り、一朝一夕に習得できるものではありません。競技会における隊
員たちのモチベーションは非常に高く、「スキーがなければ戦えな
い部隊でこれだけスキーを扱える」という自負も感じられました。
積雪は敵の侵攻を防ぐ天然の要塞であす。車両は除雪なしに1mた
りとも進むことはできません。なすすべもなく立ち往生している敵
の最新装備品に、「官品スキー」を自在にあやつる北鎮師団の隊員
たちが音もなく忍び寄る……。敵にとってはとてつもない脅威です。
有事は季節も気象条件も選びません。ロシアの脅威も現実として存
在しています。積雪寒冷地部隊におけるスキーは娯楽でも余興でも
なく、ましてやごく一部の隊員のものだけでもなく、全隊員に必須
のスキルなのです。「こういう競技会が本当に必要なの?」という
自身が抱いていた疑問について、練成が部隊全体の練度の底上げに
つながるだけでなく他部隊と実力を比較できるこの競技会は意義が
ある、というのが取材で導いた結論です。
第2師団の広報担当者によると、現在の自衛隊では、今や各種競技
会だけに特化した隊員を抱える余裕はないという話でした。確かに、
自衛官の充足率は定員割れです。万一わずかながら残っていたとし
ても、消えゆく存在でしょう。
ゴール後に倒れ込んだ隊員にも、目標タイムに届かず涙を流してい
た隊員にも、小さな体で懸命に進んでいた女性隊員にも、雪深い北
方の地を守るすべての隊員に賛辞を送ります!
(おわり)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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2022年、
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