配信日時 2023/05/26 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話:世界の秘密兵器編】米国がウクライナにF16を供与しない理由(2) 加藤喬(元米陸軍大尉)

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こんばんは!エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。

今回は、
WW2でドイツ国防軍が使用。WW2で最も知られた兵器
の1つであり、生産停止後も独自の存在感を発揮し
続けた伝説の名銃・MP38&MP40サブマシンガンです。

『MP38&MP40サブマシンガン』
アルハンドロ・デ・ケサダ (著), 床井 雅美 (監修),
 加藤喬 (翻訳)
2022/5/12 発行
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武器オンチの日本人に
特におススメです。

さてきょうの記事。

退役海軍中佐の姿・風貌・人柄・人生が
手に取るようにつかめますね。
さすが加藤さん、という感じです。

ではさっそくどうぞ。


エンリケ

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加藤大尉の軍隊式英会話:世界の秘密兵器編   
  Takashi Kato

米国がウクライナにF16を供与しない理由(2)


加藤喬(元米陸軍大尉)

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□退役海軍中佐が口にした謎かけの言葉

昨今アメリカで「プレッパー」とか「サバイバリス
ト」と言えば、共和党支持層や保守派との関連で語
られるサブカルチャーです。文字通り解釈すると
「破滅的状況に備え、生き延びるヒト」。しかし米
主流メディアの報道に慣らされてきた人は、2021年
1月6日の連邦議事堂襲撃事件で注目を浴びた「反政
府の民兵組織」を連想するのではないでしょうか?
 かく言うわたしも、銃弾薬と食料を備蓄して政府
崩壊後の生き残りを図る「自警団」だと思っていま
した。が、アリゾナ最南端の片田舎に住むようにな
って以降、その実像がいくらか見えてきました。そ
のきっかけをくれたのがある退役海軍中佐でした。

「キミ、日本人だね?」

 そう聞かれたのは公営射撃場に通い始めて間もな
い頃。声の主はプラチナブロンドと見紛う白髪を刈
り込んだ、人好きのする顔立ちの紳士。射撃コート
には海軍水上戦闘士官の徽章が縫い付けてあります。

「ぼくは第7艦隊勤務時代、横須賀に住んでいたん
だ。退役後、自前のヨットで日本を再訪した。お気
に入りの国を家内に見せてやりたかったものでね」

 こんな会話からたちまち意気投合し、ほどなく射
撃やリローディング(実包を手作りする作業)の助
言を受けるようになりました。後日、中佐宅に招か
れた際、広いガレージに整然と置かれたリローディ
ング装置や銃弾薬ロッカー、そして大量の水や軍の
携帯食料がぎっしり納められた収納庫に目を見張っ
たものです。

 「ヨット好きの中佐が、なぜまた海はもちろん天
然の湖もないアリゾナに引っ越して来られたんです
か?」

 水を向けると彼はしばし黙考し、答えました。

 「万が一に備えるため、かな」

 「地震や津波とかですか?」

 「いや、天災というより、大規模な戦争や社会崩
壊が心配でね。勤務地だった軍港がある西海岸も東
海岸も、大都市ではあっという間に秩序と治安が失
われる。だから土地が広く人口の少ない南東部を選
んだんだ」

 「中佐はサバイバリスト?」

 水と食料の備蓄に目をやって問うと、

 「いや、せいぜい駆け出しのプレッパーかな。治
安と通信網が回復するまでの数週間から数か月、手
元の食料で食いつなぎ、無線で仲間と連絡を取って
治安状況を把握する。暴徒が来るようなら共に武器
を取って身を守る。つまり万が一のための『命綱』
は準備してある・・・その程度だよ」

 「サバイバリストはその上を行っていると?」

 「あの連中は政府が完全に崩壊することを前提と
している。土地を耕し、家畜を育て、救急医療を学
び、自分たちだけで生きていく術を身に着けようと
いう筋金入りだよ。レガシー・メディアはサバイバ
リストの護身術や銃器、地下核シェルターといった
センセーショナルな点にだけ焦点を当て、平時から
『政府に銃を向ける過激集団』のレッテルを貼るが、
それは正当な評価ではないと思う」

「と言うと?」

「タカシはポスィ・コミタス法を知っているだろ
う?」

「ああ、民警団法ですね。米国内の治安維持に連邦
軍を使うことを禁じた法律だと聞いています」

「その通り。独立戦争当時、英国王ジョージ3世は
植民地だったアメリカを武力で制圧しようとした。
この教訓から、米国人は自国政府が自国民に対し軍
を動員することの危険を悟った。つまり民警団法は
一般市民が政府の横暴に抵抗する権利、すなわち
『抵抗権』を守るための法律だと言える。今日のサ
バイバリストが武装するのも抵抗権を維持するため。
とすれば、反政府主義の過激派というレッテルは必
ずしも正しくないだろう」

「市民の抵抗権行使と反政府活動は似て非なるもの、
だと?」

中佐はいつになく生真面目な面持ちで頷きました。

 実はこの会話、パンデミックが始まる以前に交わ
されたものです。その後3年に及んだ政府による自
由の制限と昨年勃発したウクライナ戦争は、中佐の
「社会崩壊の危機感」を大きく煽ったようです。

 「しばらく家内とアラスカに行ってくる。土地探
しだ」

 とのメールを最後に連絡が途絶えました。「プレ
ッパーからサバイバリストへの格上げか?」そう先
達の身の上を案じましたが、数か月後、飄然と戻っ
てきた中佐は以前にも増して射撃に打ち込むばかり。
その一心さに、事の顛末を問うのは憚(はばか)ら
れました。あるとき、ふと射撃の手を休め、

 「アラスカ行きはやめたよ」

 と独り言(ご)ちるように切り出しました。

 「『サバイバーは死者を羨む』1963年のJFK演説は
正鵠を射ている」

 謎かけの言葉を口にした中佐は、あの人好きのす
る笑顔に戻っていました。

 後日、1963年にジョン・F・ケネディ大統領が国民
に発したラジオ声明を聞く機会がありました。大統
領は同胞市民にこう語りかけています。

「全面核戦争は60分以下で終わる。現存する核兵器
で3億人のアメリカ人、ヨーロッパ人、ロシア人が
死滅しうる。それ以外の地域でも無数の人々が命を
落とすだろう。フルシチョフ書記長は『核戦争を生
き延びた人々は死者を羨むことだろう』と中華人民
共和国に警告した。なぜなら生存者は、核爆発と放
射能汚染で焼き尽くされた世界を引き継ぐことにな
り、その戦慄は想像を超えるものだからだ」(1963
年7月26日「部分的核実験禁止条約に関する国民向
け演説」から抜粋翻訳)
 
 
▼米国がウクライナにF16を供与しない理由(2)

兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるため
には相手より優れた武器を持たねばなりません。兵
器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく続
いているのはこのためです。よく指摘される武器の
効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を抜
かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝ち」
の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な破壊
力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手放せ
ない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏面が
「抑止力」なのです。
加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞれ
の武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を考
えていくことにします。
今回から数回にわたり、ウクライナへの軍用機供与
を巡る裏事情を取り上げます。第2回はデリケート
な米空軍戦闘機です。

旧ソ連時代に開発され、現在も露軍やウクライナ軍
などに配備されている戦闘機には米国製戦闘機には
見られない特徴があります。たとえばスホイ35、ミ
グ29、ミグ31などの前部着陸脚には、車輪を覆うケ
イジのようなものが付いています。これは滑走路上
のごみや異物を車輪が巻き上げることを防ぎ、エン
ジンを保護するためのものです(参考サイトに載せ
た写真を参照してください)。

また着陸脚そのものもF16やF15に比べ、かなり頑丈
なつくりになっていることが見て取れます。なぜ
か?

旧ソ連の辺境に位置する空軍基地では施設の維持管
理が行き届かず、滑走路はデコボコで異物が散乱し
ていたといわれています。つまり、そんな劣悪環境
でも故障せずに使える機体を追求した結果だと考え
られます。

対照的に、F16をはじめとする米空軍の「デリケート
な」戦闘機を運用するには、常時最良の状態に維持
された滑走路その他の基地施設が不可欠。仮にウク
ライナにF16を供与しても、旧ソ連当時と変わらぬ同
国の空軍基地ではエンジンや脚の故障が相次ぎ、ま
ともな運用は望めないということになるのです。

素人目にも、F16の脆弱そうな着陸脚と地面に近い空
気取り入れ口のレイアウトは、未整備の前進基地や
ウクライナ空軍の基地には向いていないことが分か
ります。

Krzesiny 3RB - F-16 (戦闘機) - Wikipedia 
https://onl.bz/FvJ4D3a

ちなみに、F16を保有する欧州諸国がウクライナへの
供与に傾き始めました。バイデン政権がF16の供与を
承認しても、ウクライナ空軍施設の改修改善も盛り
込む必要が出てきましょう。となると、また別の問
題が生じます。

教材ビデオ:
 3 reasons #f16fighter is not coming soon to #
Ukraine ! - YouTube
https://onl.bz/GiecXN4
(本エピソードは3:22から始まります)
 

基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
well-maintained(ウェル・メインテインド)よく整
備された
delicate(デリケイト)壊れやすい
landing gear(ランディング・ギア)着陸脚
take-off(テイクオフ)離陸

シナリオ(カウンターを3:25に合わせてくださ
い)
 
F16 like many other Western jets requires well
-maintained air bases.  The jet has delicate l
anding gear.

(西側の多くのジェット機同様、F16は良く整備され
た空軍基地を必要とする)
 
So a rough runway could result in problems dur
ing take-off and landings.

(したがって、滑走路がデコボコだと離陸および着
陸時に問題が生じる)

(今回のビデオは3:52まで続きます)

英語一言アドバイス:
日本語になっているギアは「歯車」ですが、この他
にも「道具」「用具一式」という意味もあります。
たとえばボクシングの練習や武道の組手で頭部を守
る被り物はheadgearと言います。同じように、航空
機が着陸する時に使う装置をlanding gearと呼びま
す。

発音サイト:
landing gearの発音 landing gear pronounce - Go
ogle Search
https://onl.bz/5wBA9in

参考サイト: F16戦闘機の空気取り入れ口(地面に
近いことに注目)Krzesiny 3RB - F-16 (戦闘機) -
 Wikipedia 
https://onl.bz/FvJ4D3a

スホイ―37戦闘機の前輪に見えるケイジ Sukhoi S
u-37 at Farnborough 1996 airshow - Su-35 (航空
機・初代) - Wikipedia
https://onl.bz/ch2vzKS

ミグー29戦闘機の前輪に見えるケイジ Why do Rus
sian fighter aircraft often have some kind of
cage around the nose wheel? - Quora
https://onl.bz/eKUBcTb

ミグー31戦闘機の前輪に見えるケイジ Ночны
е полеты истребителей-пер
ехватчиков МиГ-31 на Камча
тке 10 - MiG-31 (航空機) - Wikipedia
https://onl.bz/h25LdCL



(かとう・たかし)



●著者略歴

加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT─あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK─47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン』(いずれも並木書房)がある。


追記

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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm

『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X 

『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share



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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。

 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。

 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。 
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac" 
と表現します。

 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。

加藤 喬
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三井・三菱財閥をわずか一代で超えた男の経営學
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