配信日時 2023/05/25 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (411)】第2師団冬季戦技競技会(5)   渡邉陽子(ライター)

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こんばんは、エンリケです。

「ライター・渡邉陽子のコラム」。
こんかいは第411号です。

「第2師団冬季戦技競技会」の5回目です。

ビックリです!!
きょうも面白いです。


さっそくどうぞ。


エンリケ



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『ライター・渡邉陽子のコラム (411)』

 第2師団冬季戦技競技会(5)

  渡邉陽子(ライター)

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こんばんは。渡邉陽子です。
先日、戸隠の中社から奥社まで歩いたのですが、鏡池を過ぎて15分
ほど歩いたところで子熊に遭遇しました。一度鏡池まで戻り始めて
間もなく、子熊がいた方向からひとりで歩いてきた男性が。「子熊
は向こうに行ってしまった」という情報を得て、さらに後からやっ
て来たご夫婦と私たち4名のグループ合わせて6名で改めて前進し
たところ、まだいたのです! ここでこのルートは断念、鏡池まで
戻って別ルートで奥社まで向かいました。
自衛隊の取材では北海道の山中も散々歩いてきたのに、まさか戸隠
の人の往来がある道で熊に遭遇するとは思ってもいませんでした。
もしも母熊がそばにいたらと思うと恐ろしくなります(子熊でも怖
いですが)。一生忘れられない戸隠ウォークとなったのでした。



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■第2師団冬季戦技競技会(5)

第3即応機動連隊の川東2尉によると、スタート時はアキオを引く
人員の邪魔にならないよう、走力の速い隊員を先頭に置くケースが
多いそうです。また、コースによっては滑るレーン、滑りが悪いレ
ーンがあるため、先頭はコース取りできる力のある隊員も選ばれる
そうで、いずれにしても先頭は実力者でしょう。
アキオは4人引き、5人引きと部隊によって曳行する人数が異なり
ますが、これも部隊の作戦によります。たとえば3即機は4人引き
を基準とし、状況によっては3人、あるいは2人でも曳行したとい
います。さらにポイントとなるところでは個人で滑走している人員
がストックでアキオ自体を後ろから押し、アキオを曳行している隊
員の肩にかかる負担を軽減する方法も実施しました。アキオを引く
といっても色々な方法があるのですね。

射撃は至近距離射撃、長射程射撃の順に実施し、隊員は各2発ずつ
射撃します。
立射で至近距離射撃を行なう際は小銃をストックで固定することが
認められており、雪を知り、雪に慣れている部隊ならではのスタイ
ルです。
コースの約4分の1を全力で滑ってきて肩で息をしている状態での
射撃ですが、この方法で命中率が確実に向上するそうです。時間短
縮のためスキーをはいたまま射撃するのも、スキーに慣れていなけ
ればたやすいことではありません。この技術を隊員たちが当たり前
のように修得できていることは、積雪寒冷地所在の部隊ゆえの強み
ではないでしょうか。

ちなみに射撃が命中したか一目でわかるよう、的には青い風船が付
けられていたので、射撃が終わるごとに割れた風船を付け替えます。
それは競技会を支援する隊員たちが行なうのですが、一面の雪のな
か、比較的年配の隊員が両手にたくさんの青い風船を持って小走り
で的に向かう様子がシュールで……。待機時間も長く寒さが凍みる
作業をしている相手に大変失礼ながら、「風船おじさん…」と笑っ
てしまったのでした。

話を戻して、Aグループは各連隊から2コ小隊、計8コ小隊が出走し
ましたが、タイムと射撃を合わせた点数で単純に成績が決まるわけ
ではありません。順位の上位4チーム、下位4チームに分けてそれ
ぞれに1~4位の順位をつけるので、5~8位の中でも熾烈な争い
が繰り広げられるのです。
つまり「うちはあまり早くないから勝利に貢献できない」となる小
隊は存在しないことになります。これは素晴らしい採点方法ですね。
必然的にどの隊員もこれ以上ないほど必死に滑走するので、ゴール
地点には汗まみれ洟まみれ(両手はストックでふさがっているので
流れるがままなのです)、全身から湯気が立ち昇らんばかりの状態
で飛び込んできます。しかもゴール直前には最後の上り坂があり、
まさに隊員たちは最後の力を振り絞って上ってきます。参加した隊
員によると、コースの左右から降り注ぐ応援の声には心底励まされ
るそうです。

競技の結果、部隊機動(射撃+機動)、個人機動の総得点がいちば
ん高かった3即機が総合優勝を飾りました。名寄駐屯地所在の第2
偵察隊もCグループで優勝したので、名寄の完全優勝です。
スキーの機動能力は各連隊とも互角と考え、激動後の射撃でいかに
命中精度を上げるか、さらに射撃前後の動作をいかに短時間で行な
うかに重点を置いて練成したことが勝因のひとつだということでし
た。

(つづく)


(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。

2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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2022年、
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