配信日時 2023/05/19 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話:世界の秘密兵器編】米国がウクライナにF16を供与しない理由(1) 加藤喬(元米陸軍大尉)

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戦争、選挙、金融…
世界中のあらゆる事件をネタに…
常に裏で利益をむさぼるある集団がいた…

国際情勢のあらゆる事象の背後には、
常に彼らの存在が見え隠れすると
国際関係学者の藤井厳喜先生は言います。


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こんばんは!エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。

今回は、
WW2でドイツ国防軍が使用。WW2で最も知られた兵器
の1つであり、生産停止後も独自の存在感を発揮し
続けた伝説の名銃・MP38&MP40サブマシンガンです。

『MP38&MP40サブマシンガン』
アルハンドロ・デ・ケサダ (著), 床井 雅美 (監修),
 加藤喬 (翻訳)
2022/5/12 発行
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武器オンチの日本人に
特におススメです。

さてきょうの記事。

加藤さんの健筆が光ります。
登場人物がみなイキイキしています。

ではさっそくどうぞ。


エンリケ

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加藤大尉の軍隊式英会話:世界の秘密兵器編   
  Takashi Kato

米国がウクライナにF16を供与しない理由(1)


加藤喬(元米陸軍大尉)

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□老兵の慧眼──田舎町に暮らす「勇者たち」

 在郷軍人会というのは第2次世界大戦、朝鮮戦争、
ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク・アフガニスタン
戦争などの復員兵を含む退役将兵の福利と親睦をは
かる団体です。米連邦議会に公認された非利益組織
で、アリゾナ最南端の小コミュニティにも支部があ
ります。


 当地に落ち着いて間もなく、隣人の退役海軍大佐
が在郷軍人会の昼食会に招いてくれました。ワチュ
ーカ陸軍基地に近い集合場所は何の変哲もないレス
トラン。いたって凡庸な装飾や調度が、かつて日本
にもあった大衆食堂を思わせます。


 我々が着いたころにはすでに20人ほどが歓談し
ていました。服装は十人十色ですが、皆、ベトナム・
ベテラン(ベトナム戦争復員兵)とかリタイアー
ド・ネイビィ(退役海軍)とかの刺繡が入った野球
帽をかぶっているので在郷軍人会の集まりだと分か
ります。ゆるりとした立ち居振る舞い、度の強い眼
鏡、そして補聴器から察するに、おそらく全員80歳
代。20歳以上年長の軍人たちを前に、いささか場違
いな感じがしました。


「近所に引っ越してきたカトー大尉だ。湾岸戦争の
ベテランだ」。大佐がそう紹介すると、皆、帽子の
つばに指をかけ会釈します。こちらもお辞儀で返し
席につきました。聞こえてくる会話の端々から、話
題は健康がすぐれぬ戦友の近況に始まって射撃や釣
りにパン焼きのコツ伝授、乗馬の醍醐味、仔犬飼育
の秘訣、政治談議、スマホを使った家族写真自慢な
ど多岐にわたっていることが分かります。なかでも
興味を惹かれたのは、大佐と退役砲兵が交わした次
のやり取りです。


 「この間、前から欲しかったスイス製の競技用拳
銃を手に入れたんだ。しかもタダだ。どうやったと
思う?」
 「お前さんのことだから、射撃大会で優勝でもし
たんだろう?」
 「違う。ワイフと賭けをしたんだ」
 「賭け?」
 「家内が『トランプ再選は間違いない』って言う
からさ、『いや、負ける。もし勝ったらカリブ海ク
ルーズに連れて行ってやる。もし負けたら・・・』
って具合。案の定、トランプは再選されなかった」
 「なぜトランプが負けると思った? 4年間いい
仕事をしたのに」
 「確かにいい仕事をした。公約通りアメリカを強
くもした。だが、選挙制度そのものに疑いを向けた
のが致命傷になった。あれで無党派票が離れてしま
った」


 筋金入りの愛国者で頑迷な保守に見えた老兵が、
並みいるテレビ評論家らを凌駕する慧眼でトランプ
氏の言動を評価していた事実に、意外さと軍の先輩
への頼もしさを感じました。


 そうこうするうち、年若いアジア人女性が注文を
取りにやってきました。「いつものやつを」。そう
言う常連らの定番はベトナム料理。たしかに彼女の
目鼻立ちはDLIベトナム語学科の同僚を彷彿とさせ、
厨房から聞こえてくるオーナーと店員らのやり取り
もベトナム語のようでした。


 「この店は家族経営でね。もう長いんだ」


 大佐の説明で合点がいきました。おそらくはハノ
イ陥落を受けアメリカに逃れてきた政府軍の軍人と
家族が、流れ流れてこのメキシコ国境の片田舎に根
を下ろしたのでしょう。ベトナム戦争終結から40年
以上。彼の地で戦った米兵らがベトナム人の営むレ
ストランに集い、孫ほど年の離れたベトナム人ウェ
イトレスに愛でる視線を送り、ベトナム料理に舌鼓
を打つ様子に、わたしはひとしきり感じ入りました。
そして、次の言葉が脳裏に浮かんだのです。


 「自由とは一世代で失われてしまうものだ。自由
とは子供らに血統として伝えることはできない。自
由とは戦って初めて得られるものであり、守り続け
なければならないものだ。同様に子供らも、自由を
勝ち取り守っていかねばならない」 (ロナルド・
レーガン)


 アメリカが今も「自由の国」であるのは、こんな
田舎町にも暮らす「勇者たち」のお陰。ベトナム軍
事介入は多くの米民間人にとって極めて不本意な戦
争でしたが、若き日の彼らは家族や友人そして恋人
など銃後の人々の自由を守るために、個人的賛否の
情にかかわらず、与えられた義務を全うしたのです。

 ちなみに、5月12日付『タイム』誌の表紙を岸田
首相が飾るにあたり、外務省の抗議で「岸田総理は
日本を真の軍事大国にしようと願っている」との副
題が電子版から削除されたとか。日本の国内事情を
無視した煽情的なタイトルとは言え、中露を敵に回
した日本の存立に軍事大国の実力が必要なのは事実。
あえて横槍を入れる必要はなかったとわたしは思い
ます。


ふと、国防という責務に背を向ける外務官僚らを、
「勇者あっての自由の国」を体現した老兵たちがど
う見るかと自問しました。老いてなお洞察鋭い復員
兵らの目に「国の存在意義と目的を逸脱した亡国の
振る舞い」と映ったとしても驚くにはあたりません。
 
 
▼米国がウクライナにF16を供与しない理由(1)

兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるため
には相手より優れた武器を持たねばなりません。兵
器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく続
いているのはこのためです。よく指摘される武器の
効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を抜
かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝ち」
の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な破壊
力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手放せ
ない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏面が
「抑止力」なのです。
加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞれ
の武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を考
えていくことにします。
今回から数回にわたり、ウクライナへの軍用機供与
をめぐる裏事情を取り上げます。第1回はウクライ
ナ側が求める米軍戦闘機です。

「ウクライナは自国領土で我々に代わって米兵に戦
って欲しいとは一度も頼んでいない。ウクライナ軍
将兵は米国製戦車や飛行機を自ら扱えることを保証
する」

 昨年12月、米連邦議会に乗り込んだゼレンスキー
大統領は並みいる上下両院議員を前にこう豪語しま
した。その言葉通り、同氏は後日バイデン大統領を
説き伏せ、M1エイブラムス主力戦車を供与するとの
言質(げんち)を取りました。しかし、同様にウク
ライナが再三要求してきたF16戦闘機に関しては、な
ぜかバイデン氏も国防総省も色よい返事をしていま
せん。

F16は優れた空戦性能を持つ第4世代戦闘機として1
970年代後半に登場し、現在までに4600機以上生産さ
れたベストセラー。元来は軽量小型戦闘機でしたが、
度重なる改良によって対地攻撃にも威力を発揮する
多用途機に進化しており、露空軍の主力機スホイ35
やミグ31と互角に戦える性能だといわれています。

つまり、航空優勢確保と対地攻撃を同時に達成でき
るF16は、膠着した戦況を一変させるゲーム・チェイ
ンジャーになる可能性がある訳です。ゼレンスキー
大統領が示唆するウクライナ陸軍の反攻作戦を成功
させるには、F16投入が不可欠なのです。

仮に露軍が一挙に国境まで押し戻されれば、ロシア
領土への戦火拡大を恐れるプーチン大統領が戦術核
を使用するかもしれません。実際、核戦争へのエス
カレーション懸念が、米首脳部にF16供与を渋らせる
原因だとされてきました。

しかし今回のビデオによると米政府が見せる躊躇の
裏側には、もっとありきたりで純技術的な理由もあ
りそうです。たとえば米軍機に不慣れなウ軍パイロ
ットの訓練にかかる時間。F16は飛ばすだけなら数か
月で事足りるが、任務をこなす技量を習得するには
1年かかるからです。

ワランダー国防次官補がソ連時代からウクライナに
ある「レガシー航空機」の役割を強調した背景には、
パイロットと整備要員の「機種転換訓練」に時間が
かかるという事情があるのです。


教材ビデオ:
3 reasons #f16fighter is not coming soon to #U
kraine ! - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=dFH9_7sCNj0&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=303

(本エピソードは1:52から始まります)
 

基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
legacy(レガシー)遺産、伝来のもの、旧式になっ
たもの
trained on(トレインド オン)〜で訓練されてい

maintain(メインテイン)維持する 保守管理する

シナリオ(カウンターを2:26に合わせてくださ
い)

Wallander said, “Legacy Soviet aircraft have
been helpful to the Ukrainians because their p
ilots are trained on those aircraft, they know
 how to use them, know how to maintain them.”

ワランダー国防次官補は「ソビエト時代からある航
空機はウクライナの助けになってきた。それは同国
のパイロットがこういった航空機で訓練されてきた
からであり、また、運用方法と保守管理を熟知して
いたからだ」と述べた。

(今回のビデオは 2:36まで続きます)

英語一言アドバイス:
legacy は元来「遺産」とか「長く使われてきた技術」
を意味します。しかし昨今「旧式になった」とか
「時代に合わない」という意味合いでも頻繁に使わ
れるようです。たとえば legacy media は新聞雑誌、
テレビなど、ネット以前のマスコミを指し「旧態依
然としたメディア」というやや否定的な含みを感じ
ます。本ビデオの場合は「ソビエト時代からある航
空機」でよいと思います。

発音サイト:
legacyの発音 legacy - Google 検索
https://onl.bz/qeynG2F

参考サイト: F16戦闘機 F-16 (戦闘機) - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/F-16_(%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F)

スホイ―35戦闘機 Su-35 (航空機・初代) - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/Su-35_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F%E3%83%BB%E5%88%9D%E4%BB%A3)

ミグー31戦闘機 MiG-31 (航空機) - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/MiG-31_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)


(かとう・たかし)



●著者略歴

加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT─あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK─47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン』(いずれも並木書房)がある。


追記

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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm

『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X 

『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share



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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。

 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。

 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。 
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac" 
と表現します。

 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。

加藤 喬
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三井・三菱財閥をわずか一代で超えた男の経営學
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