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「青天を衝け」渋沢栄一は何をしたのか?
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戦争、選挙、金融…
世界中のあらゆる事件をネタに…
常に裏で利益をむさぼるある集団がいた…
国際情勢のあらゆる事象の背後には、
常に彼らの存在が見え隠れすると
国際関係学者の藤井厳喜先生は言います。
↓
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こんばんは、エンリケです。
本連載のアーカイブサイトができました。
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過去記事をすべて格納してますので、
ブックマークに入れ、折に触れ読んでみてください。
66回目の配信です。
第4編「『強靭な国家』をつくる」というかたち
の3回目です。
ショッキングな題名です。
あなたはどうしますか?
では今日の記事、さっそくどうぞ
エンリケ
◆本連載のバックナンバーはこちらで
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我が国の未来を見通す(66)
『強靭な国家』を造る(3)
「世界で最初に飢えるのは日本」なのか(その1)
宗像久男(元陸将)
───────────────────────
□はじめに
「戦争はおろかである」ことに異論を唱える人はい
ないと思いますが、歴史をみれば、人類がこれまで
行なってきた行為の数々は、後で振り返れば、戦争
に限らず“おろかなことの繰り返し”だったともい
えるでしょう。
何を言いたいかと言いますと、これらの“おろかな
こと”は、“これから先も繰り返される”というこ
とです。ドイツ哲学者のヘーゲルの言葉に「我々が
歴史から学ぶことは、人間は決して歴史から学ばな
いということだ」という有名なフレーズがあります。
だからこそ「歴史は繰り返す」とか「歴史は韻を踏
む」などと言われるのでしょう。
それにしても、この“おろかなことの繰り返し”の
例として、今なお自作自演かどうかは不明ですが、
ドローンによるクレムリン攻撃とその直後、「ウク
ライナの攻撃だ」と発表したロシア政府のリアクシ
ョンが挙げられると考えます。
その理由は、(1)あの程度の大きさのドローンはウク
ライナからモスクワまでの500キロ以上も飛ぶわ
けがない、(2)クレムリンのどこかに命中したとして
もあの程度の弾頭では被害は軽微であり、(どこに
いるかも不明な)プーチンを狙えるわけがない、(
3)本当に狙うのなら、6日後の「戦勝記念日」当日
の方がより可能性がある、(4)命中シーンを狙ってい
たかのような映像はあまりにタイミングが良すぎる、
(5)仮にウクライナから飛翔したとして、その間に発
見も対処もできないロシアの防空能力は無きに等し
い、またロシア国内に潜入して発射したとしたら、
それを許すロシア警備体制はお粗末である、などな
ど不思議なことが次から次に沸き上がってくるから
です。
自作自演か国内の反プーチン派の“仕業”だったと
しても、ドローン攻撃は、最近高まりつつある反戦
気分に対して、再び「祖国防衛」を訴える手段とし
て格好の材料だったことでしょう。実際に、9日の
「戦勝記念演説」において、プーチンはドローン攻
撃には全く触れずして、「先人たちが多大な犠牲を
払ってナチズムから人類を救った。欧州列国はその
事実を忘れている」として、祖国防衛を強調しつつ、
ウクライナ侵略の正当性を主張しました。
つまり、仮に自作自演だとして、後日、そのことが
バレることは先刻承知の上だったとも想像できます。
それよりも、戦勝記念演説という絶好の機会に、
「いかに自らの判断の正当性を国民に訴えて(大多
数の国民の)共感を得るか」を最優先したのでしょ
う。
このような“おろかなことの繰り返し”は歴史上枚
挙に暇がありません。一連の報道に接しながら、私
は、改めて「これこそが『人類の歴史』そのものな
のだ」と考えていました。
我が国には「溺れる者は藁をもつかむ」という、ま
さに本事件の本質を物語るようなことわざがありま
す。真剣に自作自演したとすれば、その狙いは“
藁”ではなく、“丸太”だったのかも知れません。
軍事パレードには旧式戦車1両しか参加しなかった
ことも話題になりましたが、「できなかった」とい
うのが事実なのでしょう。まさに、“溺れる者”と
表現することがぴったりのようなロシアの実情、そ
してプーチン大統領の“胸の内”を想像してしまい
ます。
その延長で、「危険水域が近づいている」との不安
も頭から離れません。“おろかなことの繰り返し”
の延長で、核兵器のボタンを押す可能性があるから
です。本文でも取り上げていますが、核戦争が“お
ろかさ”の範疇でないことは明らかです。今こそ、
人類はこぞって、“おろかさ”を超える核戦争が勃
発しないようにあらゆる知恵を出し、行動しなけれ
ばならない時が近づいているのかも知れません。本
当に“手遅れになる”前に。
▼『世界で最初に飢えるのは日本』発見!
さて、だいぶ前になりますが、書店で『世界で最初
に飢えるのは日本』を見つけた時はとても驚きまし
た。「驚いた」という意味は、まずはこのタイトル
です。コロナの影響やウクライナ戦争の結果もあっ
て、現時点でも、世界には我が国などよりも食料確
保がままならず、現に国民の多くが飢餓に苦しんで
いるような国々があると考えますが、そのような国
々よりも、まず我が国が“世界で最初に飢える”と
言っているのです。
私は、本メルマガをしたためるために、農業・食料
問題についてかなり調べました。その結果、この問
題が一向に話題にならないことを含めて、我が国の
将来の食料確保の可能性についての不安感が増大す
るばかりでしたが、この書籍の著者は、私など以上
に我が国の食料問題に危機意識を持っていることが
わかりました。なおかつ、著者はかつて農林水産省
に勤務し、大学の農学部で教鞭をとっておられるな
ど、れっきとしたこの道のプロである鈴木宣弘氏で
した。
それがわかった瞬間に、私自身は、程度の差はある
けれども、自分と同じような危機意識を持つ方がお
られることがわかり、自分だけの危惧ではなかった
ことにある種の安堵感を持ったことも間違いありま
せん。しかも書籍を読み解くうちに、「確かに」と
ガッテンがいく分析やデータをたくさん発見しまし
た。
第2編の「農業・食料問題」の補足として、本書を
中心に、我が国の農業・食料問題の先にあるものを
“見える化”してみましょう。ぜひ読者の皆様もぜ
ひ一緒に考えてみてください。
▼「最初に飢えるのは日本」の理由
本メルマガ第2編「農業・食料問題」の中で、(1)我
が国の農業従事者約130万人のうち約70%が6
5歳以上で、あと10年もすれば、これら高齢従事
者がリタイアし、農業従事者は70~80万人ほど
になるとか、(2)我が国の食料自給率はカロリーベー
スで約38%しかなく、先進国で最低の住準になっ
ていることなどについて紹介しました(それ以外の
話題について興味にある方はぜひメルマガ第2編を
確認してみてください)。
今回は、別な視点から我が国の農業食料問題をチェ
ックしてみようと思います。
まず、上記の書籍のタイトルについて著者の鈴木氏
は、米国ラトガーズ大学の研究者らが「局地的なの
核戦争が勃発した場合、直接的な死者は2700万
人だが、『核の冬』による食料生産の減少と物流停
止による2年後の餓死者は、食料自給率の低い日本
に集中し、世界全体で2.55億人の餓死者のうち
約3割に相当する7200万人が日本の餓死者と推
定した」ことからはじまり、「仮に核戦争を想定し
なくとも、世界的な不作や国同士の対立による輸出
停止・規制が始まれば、日本人が最も飢餓に陥りや
すい可能性がある」ことを強調して警鐘を鳴らすた
めにこのような書籍名にしたようです。
ここでいう「核の冬」とは、「核戦争によって地球
上に大規模な環境変動が起きて人為的な氷期を発生
する」として大気学者リチャード・ターコや宇宙物
理学者カール・セーガンなどによって1980年代
に提唱されたものです。つまり、これまで何度か起
きているような火山の大規模噴火などと同様、ある
いはそれ以上の重大な影響が出るとしているのです。
瞬時に2700万人も犠牲者が発生し、地球レベル
の気候に影響を及ぼすような核戦争ですから、かな
り巨大な「戦略核爆弾」が飛び交うような状況を想
定していると考えます。
昨今のウクライナ戦争の今後の行方などによっては
そのような状況も想定されなくはないですが、鈴木
氏はこれらを含めて、我が国が世界の中で最も早く
飢える可能性があることはけっして“絵空事”では
く、このままだとこうなる危険がある理由として、
我が国の食料自給率はカロリーベースの約38%で
はなく、種とか肥料の海外依存度を考慮すると、1
0%に届かないのが現実であるとした上で、農業の
現場の疲弊が深刻化していることを取り上げていま
す。
そして、「『お金を出せば輸入できる』ことを前提
にした『食料安全保障』はすでに破綻している」と
して、「不測の事態に国民の命を守ることが『国防』
とすれば、国内の食料・農業を守ることこそが防衛
の要、それこそが安全保障だ」と言い切っています。
全く同感です。
のちほど詳しく総括しようと考えていますが、この
「お金を出せば食料は輸入できる」との考えは、同
じく自給率の低いエネルギーの確保にも用いられ、
国防に関しては、「憲法があれば、我が国の平和と
独立は維持できる」とする考え方と“根っこは同
じ”と私は思っています。
▼ここまで危険水域にある食料自給率
それではまず、改めて、我が国の食料自給率、その
延長で食糧危機に至る可能性などについて、鈴木氏
の指摘ポイントを活用しながら“見える化”してみ
ましょう。
まず私たちは、現在、世界中でかつてない規模の食
料危機が迫っていることを知る必要があります。2
022年6月、WFP(国連世界食糧計画)とFA
O(国連食糧農業機関)が『ハンガーホットスポッ
トーWFP-FAO急性食料不安に対する早期警告』
という報告書を発表し、「新型コロナウイルスの拡
大やウクライナ戦争の影響などにより、世界20カ
国以上で深刻な飢餓が発生する」と“警告”しまし
た。
このような報告書は今回初めてではなく、「世界同
時多発食料危機」が現実の世界でも切羽詰まった問
題となっているのです。実は、あまりの深刻さから、
“気候変動を恰好な武器とする陰謀説”とささやく
人たちもいるのですが、あえて今は触れないでおき
ましょう。
問題は、「我が国がこの迫りくる食料危機から逃れ
られるか」にあることは間違いないでしょう。繰り
返しますが、我が国の食料自給率はカロリーベース
で38%ですが、鈴木氏は次の理由で「これは楽観
的な数字だ」としています。
たとえば現在も将来も自給率ほぼ100%の米につ
いて具体的に考えてみましょう。米は、現代の慣行
農法(農薬・化成肥料使用)だと1反(300坪)当り7
~8俵(1俵=60kg)の収穫を期待できますが、こ
れに対し、自然農(無農薬無肥料)だと良くできて4
俵ほどに下がります。つまり、化学合成肥料を使え
なくなれば単位面積当たりの生産量はおおむね半分
くらいになるといわれています。栽培や収穫のため
の時間や稼働させる機械の燃料消費は面積当たりで
はそれほど変わらないので生産効率はもっと下がる
ことになります。
我が国は、この化学肥料の原料の資源に乏しく、3
要素といわれる尿素、リン酸アンモニウム、塩化カ
リウムのほとんどを輸入に頼っているのが現状です。
まず尿酸は、自給率はわずか4%のみで、残りはマ
レーシア(47%)、中国(37%)、サウジアラ
ビア(5%)などから輸入しています。リン酸アン
モニウムや塩化カリウムに至っては、どちらも自給
率ゼロですべて輸入に依存しています。リン酸アン
モニウムの輸入は、なんと中国がダントツの90%
で、残りがアメリカ(10%)からです。塩化カリ
ウムの輸入は、カナダが第1位の59%ですが、残
りはロシア(16%)、ベラルーシ(10%)から
と続きます。
「化成肥料がダメなら有機肥料や堆肥を使えばいい
じゃないか」との考え方あると思いますが、有機肥
料も見事なまでに輸入依存の状態が現実です。
有機肥料の代表格は、米ぬか、油粕、そして牛糞や
鶏糞などの各種家畜糞堆肥などです。確かに、米ぬ
かは精米の後に田んぼに散布されます。しかし、大
量に使えば、畑に使う分はなくなるという問題があ
ります。大豆や菜種油から食用油を絞った後の“絞
りかす”の油粕については自給率が5%程度で、油
用につかわれる大豆はほぼ100%が輸入で、菜種
油用の菜種(ナタネ)についても99.9%は輸入に
頼っています。つまり、油粕も輸入に依存している
状況なので輸入が止まれば入って来なくなります。
ちなみに、油用の大豆や菜種のほとんどは遺伝子組
み換え品種といわれています。
このような現状から、鈴木氏は、米の“実質的な自
給率”は11%程度と見積もっています。同様に、
現在自給率80%の野菜は、肥料に加えて種の自給
率も考慮すれば実質8%程度で。2035年頃は4
%に減少すると見積もっています。また、自給率3
8%の果樹は実質4%、将来は3%に減少、自給率
61%の牛乳・乳製品は実質26%、将来は12%
に減少、自給率36%の牛肉は実質9%、将来は4
%に減少するなど、“ほぼ壊滅的な状況になる”と
不安感を隠しません。
さらに最近、鳥インフルエンザで話題になっている
鶏卵については、現時点の自給率は97%ですが、
鶏の主たる餌になっているトウモロコシの自給率は
ほぼゼロです。しかも、コロナ禍の後、中国が爆買
いしていることもあって、世界中で価格が上昇して
おり、日本が買い負けるリスクも高まっています。
そもそも鶏のヒナはほぼ100%輸入に頼っていま
す。
前述した肥料の中で特に気になることは、中国にリ
ン酸アンモニウムの90%、尿酸の37%をゆだね、
塩化カリウムもロシアやベラルーシに合わせて26
%も頼っていることです。このことは、我が国の米
作の“生殺与奪の権利”をこれらの国々に預けてい
ることを意味します。
このような現実を知れば、肥料の製造メーカー関係
者や政府(農林水産省)の“危機意識の欠如”が手
に取るようにわかります。だいぶ前のレアアースの
輸出規制の例を引くまでもなく、現に、中国では国
内需要の増加から原料の輸出規制を始めています。
また、ロシアやベラルーシもウクライナ戦争の勝利
追求のために「敵国・日本」に輸出制限を行なって
おり、この状況が続けば今後の調達に見通しが立た
なくなる可能性があるでしょう。
このウクライナ戦争でも、ウクライナ北東部にハル
キウにある「シードバンク」がロシアの攻撃によっ
て多大な損害を受けています。「シードバンク」と
は、植物などの種子の遺伝情報を保存する施設で、
ウクライナの施設は世界最大級のもので、16万種
以上の種を保管していたといわれます。
この損害自体はあまり話題になっていませんが、
「種を制する者は世界を制する」という言葉あるよ
うに、種は農業を営む上で必須の要素です。国民生
活を守るためにも、種などの農業生産の必須要素は、
自前で供給する体制を構築する必要があるのは明白
です。
また昨年、ウクライナ戦争の最中、ウクライナがオ
デーサ港から黒海経由での穀物、特に小麦の「輸出
規制」を“武器”として揺さぶりをかけ、世界の食
料供給を混乱させました。ロシアとウクライナは、
小麦の一大生産地、両者で世界の小麦生産の約3割
を占めていますのでその影響は極めて大きなもので
した。ウクライナの反撃はこのような事態の再現の
可能性が拡大することを意味し、FAOなどの報告
書はこのような事態の到来に警鐘を鳴らしているの
です。
我が国は、小麦については米国、カナダ、オースト
ラリアから輸入していますので、直接的な影響は少
ないかも知れませんが、これらの国へも今や世界中
から「買い注文」が殺到し、すでに「食料争奪戦」
の様相を呈しています。
余談ですが、世界の穀物市場では、最近の記録的生
産の結果、穀物在庫も8億トン弱となり、過去最高
水準に積み上がっています。しかし、世界の穀物在
庫の過半(小麦の51.1%、トウモロコシ68.8%、コ
メ59.8%)は中国国内の在庫となっています。
中国は、2008年の世界食糧危機以降、いち早く
将来の不足に備えて食糧戦略を打ち出し、2009
年には国家食糧備蓄政策として「3つの保護」(農家
利益の保護、食糧市場安定の保護、国家食糧安全の
保護)を着々と実行して来ました。
この事実について、「中国主導による新たな『食糧
を武器』にする企て」との分析もありますが、中台
問題などと絡めて、その事実をしっかり分析する知
る必要があるでしょう。
私たちは、食料そのものの争奪戦に加え、肥料や種
の争奪戦もすでに始まっているとの認識を持つ必要
があるのです。この続きは次回にしましょう。
(つづく)
(むなかた・ひさお)
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【著者紹介】
宗像久男(むなかた ひさお)
1951年、福島県生まれ。1974年、防衛大学校卒業後、
陸上自衛隊入隊。1978年、米国コロラド大学航空宇
宙工学修士課程卒。陸上自衛隊の第8高射特科群長、
北部方面総監部幕僚副長、第1高射特科団長、陸上
幕僚監部防衛部長、第6師団長、陸上幕僚副長、東
北方面総監等を経て2009年、陸上自衛隊を退職(陸
将)。日本製鋼所顧問を経て現在、至誠館大学非常
勤講師、パソナグループ緊急雇用創出総本部顧問、
セーフティネット新規事業開発顧問、ヨコレイ非常
勤監査役、公益社団法人自衛隊家族会理事、退職自
衛官の再就職を応援する会世話人。著書『世界の動
きとつなげて学ぶ日本国防史』(並木書房)
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