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おはようございます、エンリケです。
217回目の「美佐日記」。
イイ話ですね。
しみじみ胸に迫ります。
こういう話をたくさん知ることが、
的を射た軍事理解、国際事情理解、国防理解、
安保理解につながっていくのだと感じました。
さっそくどうぞ。
エンリケ
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「陸海空 軍人から見た」シリーズの第二弾が本
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おめでとうございます!!
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『自衛官が語る海外活動の記録』(桜林美佐監修・
自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
ーンの安全確保をめぐって新たな自衛隊派遣が行わ
れているこの時期にタイミングを合わせたような出
版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
苦労をして、任務をこなしてきたか、25人の自衛
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桜林美佐の「美佐日記」(217)
心に響く恩赦を決心した比大統領の言葉
桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、217回目となりま
す。
連休はリフレッシュができたでしょうか? 自衛隊
関係者はUH60の事故がありましたので、休みにな
らなかった方も多かったと思いますし、またそうし
たなか、心から何かを楽しむということはなかなか
できなかったかもしれません。
それでも、薫風かおるこの季節に木々の間を歩いた
りできたのは本当にありがたいことでした。マスク
も気にせずに。
さて、最近フィリピンが一層身近な国になってきて
います。フィリピンと米国はフィリピン国内で米軍
が使用できる拠点を拡大していて、この2月に新た
に4カ所が増え、計9カ所となりました。
5月早々にマルコス比大統領が訪米し、バイデン大
統領との会談で両国のガイドライン策定も発表して
います。
フィリピンはバシー海峡を挟んで台湾に向き合う要
衝であり、日本にとっても台湾有事を見据えればま
すます重要であることは言を俟ちません。そのため、
自衛隊でも交流が活発化しています。
比島は大東亜戦争時の激戦地であり、日本の戦没者
だけでも51万8000人にのぼると言われます。
私もかつてPHPから出した『終わらないラブレター』
をいう本で日赤の看護婦さんから伺った比島での経
験を書きましたが、一見すると普通のおばあちゃま
たちが壮絶な記憶を持っていることに本当にショッ
クを受けました。
ルソン島の山林で終戦を迎えた方は、横にいる同胞
が爆撃で次々に死に、そのたびに亡骸を埋めては逃
げるという経験をし、奇跡的に帰国を果たしました。
その方は生涯独身を通し、当時92歳でしたが、ま
だお姉さんの介護をしているというので驚かされま
した。日赤出身の女性たちは、戦後も結婚せず看護
や介護に身を捧げる生き方をする方が多かった印象
があります。
今の私たちも様々な悲しい出来事にショックを受け
ていますが、当時知り合った看護婦さんたちの経験
ははるかに壮絶で、全ての人がPTSDになっておかし
くないレベルです。しかし彼女たちはむしろ輝いて
見え、会うと元気になったのはなぜなのでしょうか。
それは「奉仕」という行動が精神を弱らせなかった
ということなのかもしれません。戦後、自分だけが
生き残った罪悪感にさいなまれて悪夢を見ることも
あったとも聞きましたが、人に尽くす仕事の日々の
忙しさはそれを超越したのだと思います。
そういえば、コロナ禍の折に観たTV番組の中で、フ
ランスのある田舎街で親がコロナになり直接面倒が
見られなくなってしまい食べ物などを玄関に置くこ
としかできなくなった男性が、親の回復を祈りなが
ら同時に近所の別の老人の世話をし始めた様子を流
していたことがありました。論理的に考えれば、な
ぜ親と直接会えない状況で、別の人の世話をするの
かということになりますが、このあたりの奉仕活動
への感性、その意義に何か生きるヒントを見た気が
しました。
比島をはじめ、各地での慰霊活動は子や孫世代に受
け継がれているようですが、どうしても自衛隊では
十分に物語の継承ができていないことが多いのが残
念です。
例えば最近は「モンテンルパの伊藤さん」と言って
も誰ですか?という話になってしまいます。
モンテンルパの伊藤さんと言えば、陸軍士官学校56
期の伊藤正康・元陸将(元陸軍大尉)のことで、終
戦時には戦犯としてフィリピン・モンテンルパの刑
務所に収容されていました。
終戦から6年も経った1951年に、自身と同様に死
刑判決を受けていた仲間が処刑されます。残った同
僚を慰めようとやはり死刑判決を受けていた代田銀
太郎中尉が作った詩「ああモンテンルパの夜は更け
て」に伊藤大尉が曲をつけたのです。
そしてこの曲は翌年、渡辺はま子がレコード化し大
ヒット曲となりました。
その後、伊藤さんたちはキリノ大統領時代の特赦で
釈放されます。1953年に復員した伊藤さんは自
衛官として国に奉仕することを選択します。最後は
富士学校長としてその任を終えました。
恩赦を決めたエルピディオ・キリノ元大統領にも物
語があります。同大統領は戦時中、マニラの市街地
戦で妻と3人の子どもたちを日本軍に殺害されていま
す。
フィリピンでBC級戦犯として有罪判決を受けた将兵
のうち79人に死刑判決が下され、キリノ大統領も
死刑執行に署名していました。
しかし、「人を赦します」と祈りを捧げるクリスチ
ャンとしてキリノ大統領は悩み、とうとう恩赦を決
心するのです。これを契機に両国は1956年の国
交回復を実現します。
2016年には日比谷公園にキリノ大統領の慰霊碑
が建立されました。
「自分の子供や国民に、我々の友となり、我が国に
末永く恩恵をもたらすであろう日本人に対する憎悪
の念を残さないために、これを行うのである。やは
り、我々は隣国となる運命なのだ」
この恩赦を決心した大統領の言葉が心に響きます。
人間の傷を癒すのは、恨むことや悲しむことではな
い、何かのために尽くすことだと、教えられている
気がします。
今日も最後までお付き合い頂きありがとうございま
した。皆様にとって素晴らしい1週間となりますよう
に!
<おしらせ>
●スタッフが英語圏の方たちでコミュニケーション
に苦労しているYouTube企画『Boei Cafe』慶応大学
教授で元内閣官房参与の谷口智彦さん、元国家安全
保障局次長の兼原信克さんに続き、最新版は松川る
い参議院議員が登場しています。
そして、私がお相手しているのですが、収録時に通
信が乱れてしまい音声だけになっています。とほほ
・・。
https://www.youtube.com/channel/UCzO7HYpVqnrnCAdlaq7bRwg
●「軍事情報」でもご紹介頂いた新しい本『危機迫
る日本の防衛産業』(産経NF文庫)発売中です。
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シアのウクライナ侵攻」の書籍版も、ワニブックスから
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(さくらばやし・みさ)
桜林さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)、
「陸海空 軍人から見たロシアのウクライナ侵攻」
(ワニブックス)
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