配信日時 2023/04/24 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(215)】 陸自の危機管理は盤石なのか──予備機の同行について検討を

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常に彼らの存在が見え隠れすると
国際関係学者の藤井厳喜先生は言います。


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おはようございます、エンリケです。

215回目の「美佐日記」。

いま、読むべき記事です。

さっそくどうぞ。


エンリケ



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桜林美佐の「美佐日記」(215)

陸自の危機管理は盤石なのか──予備機の同行につ
いて検討を


桜林美佐(防衛問題研究家)

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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、215回目となりま
す。

 まずは前回書いたNHKの力を活用する案に対し「ご
指摘のとおり、今回のような、なかなか状況がつか
めないでいる事故が起きたときは、日本放送協会さ
んには、積極的に情報提供していただき、真相が明
らかになるよう協力していただきたいと思います。
そういう姿勢は、日本放送協会さんの信頼を高める
ことになると思います。」と感想を頂きました。あ
りがとうございます!

 UH60の事故はその後も捜索が続けられ、5人の死
亡が確認されました。発生以降、心に霧がかかった
ような毎日にならざるを得ません。一方で、現場で
捜索に当たっている皆さんのことも気がかりです。
また、8師団や西方総監部の方々、あるいは市ヶ谷
にいる人たちも心身の消耗が案じられます。

 こんな時は「休めない」という心境になりがちで、
無理をしていることでしょう。坂本さんはそんな状
況になって欲しくないのではないかと思いますので、
どうか声をかけ合い頑張って自分を労わる試みもし
てもらいたいと思います。

 そして、もう一つ気になるのは、今後陸上自衛隊
に対する見方がどうなるか、です。当事者である陸
自は、今は10人もの仲間を失った悲劇の主人公で、
世の中が心から同情していますが、これから先もそ
れで許されるのかということです。

 いつも思い出すのは、知人が陸上自衛隊のヘリ体
験搭乗に参加した際に提出したアンケートの記述で
す。

 とても良い体験ができたことや、隊員の皆さんが
親切にしてくれました的なことが書かれていたのだ
と思いますが、私にとってインパクトが大きかった
のは、最後に書かれていたひと言でした。

 「ただ、手荷物検査がないのは心配でした」

 ご本人は海外での生活経験があり、もちろん信頼
してもらっていることは喜ばしいとしながらも、や
はりみんなが安心するためにも搭乗直前の本人確認
等チェックはあっていいのではないかということで
した。

 私も全く同感です。そのことは参加者を「疑う」
行為ではなく、危機管理の姿勢を示すことになるの
だと思います。
 
これは一つの事象ですが、他にもこうした細かい
「気になること」が各所で思い出され、いくつか積
み重なると、陸自の危機管理は盤石だったのか?と
いう疑問を生みかねないのではないかと考えてしま
います。

 そもそも陸自ヘリは南西防衛が主要課題になって
きてから、いつのまにか洋上の運用が増えているよ
うですが、このことは本来はそんなに容易なことで
はないのではないかという気がします。海は怖いも
のです。

 フライトレコーダー回収の上、調査が進まない現
状では何も分からないままですが、陸自の体制その
ものが責められることにならないことを願っていま
す。

 前回の繰り返しになりますが、やはり予備機の同
行についての検討は進めて欲しいです。2機とも落ち
たら同じだとか、そもそも人員も可動機体も限られ
ているのに「余計なことを言うな」と、また関係者
から文句を言われそうですが、もう今までのように
「限られた予算内で頑張らなければならない」貧乏
な発想から抜け出る時代に入っているのではないで
しょうか。

 この事故が起きた4月上旬から中国の空母群が台湾
海峡で演習を行い、米艦艇がそこで睨みをきかせて
いるという状態が実際にはすぐそばで現実のものと
なっていることを考えれば、すでに有事前夜の様相
になっていると言っても過言ではないでしょう。

 いつの間にか始まっている、という今の時代の有
事のあり様からすれば、今回亡くなった自衛官は最
初の「戦死者」なのです。

 日米の間に横たわる大海に奉げられた血の贖い、
だとすれば、自衛隊はこの事故を危機管理不足とみ
なされてはならない。私はそう思います。

今日も最後までお付き合い頂きありがとうございま
した。皆様にとって平和で和やかな1週間となります
ように。


<おしらせ>

●スタッフが英語圏の方たちでコミュニケーション
に苦労しているYouTube企画『Boei Cafe』慶応大学
教授で元内閣官房参与の谷口智彦さん、元国家安全
保障局次長の兼原信克さんに続き、最新版は松川る
い参議院議員が登場しています。
そして、私がお相手しているのですが、収録時に通
信が乱れてしまい音声だけになっています。とほほ
・・。
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(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)、
「陸海空 軍人から見たロシアのウクライナ侵攻」
(ワニブックス)




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