配信日時 2023/02/27 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(207)】 「基盤的防衛力構想」は先人の知恵     桜林美佐(防衛問題研究家)

--------------------
「青天を衝け」渋沢栄一は何をしたのか?
↓  ↓  ↓  ↓  ↓
http://okigunnji.com/url/80/

---------------------------

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

戦争、選挙、金融…
世界中のあらゆる事件をネタに…
常に裏で利益をむさぼるある集団がいた…

国際情勢のあらゆる事象の背後には、
常に彼らの存在が見え隠れすると
国際関係学者の藤井厳喜先生は言います。


http://okigunnji.com/url/168/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

おはようございます、エンリケです。

207回目の「美佐日記」です。

きょうも読み応え十分です。

さっそくどうぞ。


エンリケ



◆桜林さん司会のyoutube番組、チャンネルくらら
「陸海空 軍人から見た」シリーズの第二弾が本
になりました! オススメです。
「陸・海・空 究極のブリーフィング - 宇露戦争、
台湾、ウサデン、防衛費、安全保障の行方」
 → https://amzn.to/3W8D7vg


◆桜林さんの新番組がYoutubeで始まっています。
くわしくは<おしらせ>でどうぞ!


◆220825、桜林さんの新刊が出ました!
「危機迫る日本の防衛産業 (産経NF文庫)」
https://amzn.to/3AmED3b


◆日ごろの楽しみのひとつ
桜林さん司会のyoutube番組、チャンネルくらら
「陸海空 軍人から見たロシアのウクライナ侵攻」
がなんと本になりました!
 → https://amzn.to/3OlbU49
おめでとうございます!!

くわしくは文末<おしらせ>でどうぞ。

◆桜林さんの「自衛官の心意気」(PHP)が文庫化さ
れ「本音の自衛隊」(産経NF文庫)として再出版
されてます! 桜林さんならではの、他では得難い
「何か」が手に入る名著です。

未読の方はこれを機会にぜひどうぞ!
https://amzn.to/3Kzuwvi
「心意気」を読んだ方は、文庫でもう一冊!
https://amzn.to/3Kzuwvi
※著名人も推薦!


◆桜林さんの不朽の傑作
『誰も語らなかった防衛産業』の文庫版が、
潮書房光人新社から
『誰も語らなかったニッポンの防衛産業』
という名で出ました!

まだの方はぜひご一読を。
https://amzn.to/3avtwJe
すでに読んだ方も、文庫でもう一冊!
https://amzn.to/3avtwJe
※メチャメチャ売れてます!


----------------------------------
『自衛官が語る災害派遣の記録』に続く、第2弾
『自衛官が語る海外活動の記録』(桜林美佐監修・
自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
ーンの安全確保をめぐって新たな自衛隊派遣が行わ
れているこの時期にタイミングを合わせたような出
版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
苦労をして、任務をこなしてきたか、25人の自衛
官のリアルな体験記です。

https://amzn.to/38gvhr1
----------------------------------


ご意見・ご感想はコチラから
 ↓
https://okigunnji.com/url/7

───────────────────────

桜林美佐の「美佐日記」(207)

「基盤的防衛力構想」は先人の知恵

桜林美佐(防衛問題研究家)


───────────────────────

おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、207回目となりま
す。

 とうとうロシアによるウクライナへの軍事侵攻が
始まって1年が過ぎました。トルコ・シリアの大地
震で亡くなった人は現時点で4万7000人にまで
増え、コロナ発生以降の世界はどれほどの生命を失
ったのかと考えると暗澹たる気持ちになります。

 すでに他界した私の父親は占いをしていて202
3年をピークに世界人口の多くがいなくなるという
予言?めいたことをよく言っていました。私は全く
聞く耳を持っていませんでしたが、どうも当たって
しまっているようで複雑な心境です。もうこのあた
りで悲しみを止めて下さいと祈るばかりです。

 自分の父親のサイキックパワーにも驚きますが、
もっと驚かされるのは日本のニュースです。

「パンダのシャンシャンが中国に帰国」ということ
で、上野動物園に駆けつけた人たちが涙ながらにイ
ンタビューに応じたり、パンダ模様の服の人たちが
映し出されているではありませんか。

 いえ、これも立派なニュースなので、報じるのは
いいのですが、パンダにまつわる人々の思い出とか
パンダへの思いとか長々と流す必要があるのか?!
と。

 都が中国側に支払う「レンタル料」はパンダ2頭
につき年間1億600万円で、子どもが生まれたら
年間6700万円を支払うのだそうです。言うまで
もなく都民の税金です。

 よく総合火力演習の日は「〇億円の弾薬を使用し
た」などと報じられますが、それならばパンダ様に
消費した税金もちゃんと伝えて欲しいものです。

 日本に初めて中国のパンダ「ランラン」「カンカ
ン」が来たのは1972年のことです。祖父母が上
野動物園にも連れて行ってくれました。

 そしてその4年後の1976年、当時の防衛庁・
自衛隊にもある画期的な出来事がありました。わが
国初の「防衛大綱」が閣議決定されたのです。

 初めてのパンダ、そして初めての防衛大綱、70
年代という時代の特徴がこうした事々に見て取れる
気がします。

その初大綱の中で打ち出されたのが「基盤的防衛力
構想」です。

 改めてご説明しますと「基盤的防衛力」とは、平
時は十分な警戒態勢をとり、限定的かつ小規模な侵
略にも対処することができ、情勢の変化に応じて新
たな態勢に円滑に移行し得る防衛力を意味していま
した。

 三木内閣によるもので、経済成長著しい日本に警
戒感を持つ諸外国に対し、自らが力の真空となって
地域を不安化させないための「必要最小限度」の防
衛力を整備するという方針です。

 最近気になるのは、今回の3文書決定にあたり、
この「基盤的防衛力構想」の悪口?のような評価を
耳にすることが少なからずあったことです。

 もちろん、安全保障環境が劇的に変化している現
実を無視してこれを事実上継続させてしまったこと
は問題があると思いますが、そのうちに自衛隊関係
者にも「こんなもの」といった拙劣な施策であった
かのような言い方をする人が出てきたのは心外です。

 「基盤的防衛力」が生まれた頃はデタント(米ソ
冷戦の緊張緩和)の時代でした。

脅威がないという前提でありながら、防衛力を維持
していくこと、国民の理解を得ることが、どれほど
大変だったか。

「必要最小限」の防衛力にとどめ、必要となればエ
クスパンド(拡大)させるという考え方は当時とし
て最適な答えだったのではないでしょうか。

 そして、過去の関係者たちは将来困らないように、
なんとかギリギリのところで防衛力整備をしてき
たのではないでしょうか。

 こうした時代でありながら、将来に防衛力を強化
できる「余地を残す」という意味では、今以上に知
恵を使い、深く考えられたものだったと思います。

 自衛隊の存在そのものが現在よりはるかに厳しい
環境にあった過去の関係者たちに私たちは本来、足
を向けて寝られないと言っていいのではないでしょ
うか。

 「脅威対抗型」への転換は、プーチンや習近平あ
るいは金正恩がこれを先導してくれたのです。

 そして今一度、上野動物園の映像を見て下さい。
パンダに熱狂する人々の姿は70年代と変わらず、
依然としてデタントのままです。

 私が前回の日記で「国民保護」を陸上自衛隊側か
ら声高に言い出すことに懸念を持ったのは、こうし
た世間との認識ギャップがあるからです。

 前回の話はどうもあまりピンとこない方が多かっ
たかもしれませんし、今の時代そんな消極的なこと
ではいけないとお叱りを受けるかもしれませんが、
これまで誠心誠意、力をふり絞って災害派遣に従事
してきた全ての自衛官の奉仕に報いるためにも「私
たちがあなたたちを守ります」といったある種の「
誤解」を招く表現に危険な響きを感じてしまうので
す。

 国の主権を守る有事対応と災害派遣を同時にこな
してくれるかのような期待感を持たせていいのかど
うか、ということでもあります。

 もう一つ、ついでに言わせて頂くと、よく陸上自
衛隊の部隊などで「精強化する」という言葉を聞き
ますが、存外、世の中の人々はピンときていません。

 これも繰り返しになり申し訳ありませんが、多く
の日本人にとって「陸軍種の力を抑えることは良い
こと」という感覚があります。これはマスコミでは
明らかです。防衛省内でもそうした考え方があると
言っていいかもしれません。

 予算査定でも「陸に勝たせない」状態にしておか
ないと、全てが上手くいかないのです。財務省でも
読売新聞でもそういう人は許されません。陸軍が強
い状態は日本にとっては禁忌です。

それをよく分かっていた人たちが、行間に含ませた
りして兵力を維持してきたからこそ今があるのでは
ないですか? 陸上自衛隊が力を持つ状態は様々な
勢力が潰しにかかります。だからこそ、そうならな
いように、常設統合司令部の設置についてもそうで
すが、細心の注意を払いながら、国を守る努力をし
なくてはならないと思うのです。
 
 う~ん、こんなことを書いても、分かってもらえ
ますかね・・・・。

 今週も最後まで読んで頂きありがとうございまし
た!皆様にとって素晴らしい1週間となりますよう
に!


<おしらせ>

●スタッフが英語圏の方たちでコミュニケーション
に苦労しているYouTube企画『Boei Cafe』慶応大学
教授で元内閣官房参与の谷口智彦さん、元国家安全
保障局次長の兼原信克さんに続き、最新版は松川る
い参議院議員が登場しています。
そして、私がお相手しているのですが、収録時に通
信が乱れてしまい音声だけになっています。とほほ
・・。
https://www.youtube.com/channel/UCzO7HYpVqnrnCAdlaq7bRwg


●「軍事情報」でもご紹介頂いた新しい本『危機迫
る日本の防衛産業』(産経NF文庫)発売中です。
ぜひよろしくお願いいたします!
https://amzn.to/3AmED3b


●YouTubeチャンネルくらら「陸海空 軍人から見たロ
シアのウクライナ侵攻」の書籍版も、ワニブックスから
絶賛発売中です!
 https://amzn.to/3HPqAa3

そして、12月20日に第二弾も発売されました!
「軍事情報」でも書評を配信して頂きありがとうござい
ます! https://amzn.to/3W8D7vg
 

●月刊誌『丸』にて「誰も知らないニッポンの防衛産
業」連載中です。
https://amzn.to/2XnvrIy


(さくらばやし・みさ)



桜林さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
このURLからお知らせください。

https://okigunnji.com/url/7/

 
【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)、
「陸海空 軍人から見たロシアのウクライナ侵攻」
(ワニブックス)--------------------
三井・三菱財閥をわずか一代で超えた男の経営學
↓↓
http://okigunnji.com/url/80/

--------------------

PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個
人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
上のサービス(携帯サイトを含む)で紹介させて頂
くことがございます。あらかじめご了承ください。


最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。

-----------------------------------------
メールマガジン「軍事情報」
発行:おきらく軍事研究会
(代表・エンリケ航海王子)

メインサイト:
https://okigunnji.com/

問い合わせはこちら:
https://okigunnji.com/url/7/

メールアドレス:
okirakumagmag■■gmail.com(■■を@に置
き換えてください)
------------------------------------------

購読解除はこちらで
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com


---------------------------

投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。
その他すべての文章・記事の著作権は
メールマガジン「軍事情報」発行人に帰
属します。

Copyright(c) 2000-2023 Gunjijouhou.All rights reserved