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「青天を衝け」渋沢栄一は何をしたのか?
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
http://okigunnji.com/url/80/
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戦争、選挙、金融…
世界中のあらゆる事件をネタに…
常に裏で利益をむさぼるある集団がいた…
国際情勢のあらゆる事象の背後には、
常に彼らの存在が見え隠れすると
国際関係学者の藤井厳喜先生は言います。
↓
http://okigunnji.com/url/168/
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おはようございます、エンリケです。
あなたも、
インテリジェンスのプロフェッショナル・樋口さん
(元防衛省情報本部分析部主任分析官)に聞きたい
こと、書いてほしいこと、ありますよね?
コチラからお知らせください。
https://okigunnji.com/url/7
さてきょうの記事は、
「ウクライナ情報戦争と戦争PR会社」というテーマ
の1回目。ウクライナ情勢を背景にした宣伝戦とPR
会社の役割について探求します。
宣伝戦は、政治や軍事戦略の一環として、現代社会
においてますます重要になっています。
現在進行形で展開中のウクライナ戦争で宣伝戦は
いかに実行されているか?PR会社はそのなかでどの
ような戦略を取っているか?を本記事を通してわき
まえることで、近未来のわが勝利に貢献できるわが
情報戦力の基盤を培えます。
きょうの記事では、
前半で、プロパガンダについて、後半で、PR戦略
の役割について具体的に掘り下げています。
それにしても冒頭の10法則。
プーチンはことごとく実践してますね。
さっそくどうぞ。
樋口さんに聞きたいことがあれば、
いつでもこちらからどうぞ。
https://okigunnji.com/url/7/
エンリケ
おたよりはコチラから
↓
https://okigunnji.com/url/7/
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ウクライナ情報戦争(18)
ウクライナ情報戦争と戦争PR会社(1)
-PR会社にも勝利のための戦略が必要-
樋口敬祐(元防衛省情報本部分析部主任分析官)
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□はじめに(戦争プロパガンダの10の法則)
1.われわれは戦争をしたくはない
2.しかし敵側が一方的に戦争を望んだ
3.敵の指導者は悪魔のような人間だ
4.われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な
使命のために戦う
5.われわれも意図せざる犠牲を出すことがある。
だが敵はわざと残虐行為におよんでいる
6.敵は卑劣な兵器や戦略を用いている
7.われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被
害は甚大
8.芸術家や知識人も正義の戦いを支持している
9.われわれの大義は神聖なものである
10.この正義に疑問を投げかける者は裏切り者で
ある
これは第一次世界大戦中に英政府が行った戦争にお
けるプロパガンダの手法を分析して、政治家アーサ
ー・ポンソンビー卿が『戦時の嘘』(1928年)にお
いて10の法則としてまとめたものです。
そして、2015年に出版された『戦争プロパガンダ10
の法則』において、著者のアンヌ・モレリは、この
法則が第二次世界大戦、その後の戦争でも繰り返さ
れてきたことを説明しています。
プロパガンダの伝達手段は大きく進化しましたが、
この法則の大部分は、色褪せることなくウクライナ
戦争において、より迅速かつ大規模に活用されてい
るのではないでしょうか。
今回から複数回に分けて戦争におけるPR会社の役割
などについて述べてみたいと思います。
▼プロパガンダを担う組織とは
ウクライナのゼレンスキー大統領は、コメディアン
出身ということもあり、SNSやテレビ、ビデオなど
の媒体を介して動画で訴えることが得意です。そ
の裏には優秀なスピーチライターなどもいるのでし
ょうが、それらの広報戦略を考えているはPR会社
(広告代理店)(注1)だと考えられています。
(注1:PR会社と広告代理店とは明確に言えば異
なっているが、本稿ではほぼ同義語として使用)
先回のメルマガでは、サイバー戦においてロシアの
攻撃が低調だったというわけではなく、ウクライナ
が英米の協力を得ながら官民挙げて対抗しているた
め、ロシアのサイバー攻撃が大したことがないよう
に見えているとの話を書きました。
しかし、PR会社の戦いでは、その数や資金面など
でウクライナがロシアを圧倒しているようです。
ロシアの軍事侵攻から2月24日で丸1年になりますが、
ウクライナ政府は、その直後からウクライナのPR会
社バンダ・エージェンシーに広告を依頼しています。
バンダが考えたキーワードは「勇敢さ」です。強大
な侵略者に立ち向かう勇敢さをアピールし、欧米諸
国からの軍事支援を引き出そうとするPR戦略です。
バンダは、大国ロシアに対し果敢にも徹底抗戦を掲
げるウクライナの象徴としてゼレンスキー大統領を
前面に押し出し、「勇敢さ」をアピールするキャン
ペーンを2022年4月上旬に開始しました。
4月7日、ゼレンスキー大統領の力強い抗戦意思を示
す動画をSNS上で発信しました。同大統領は「”勇
敢さ”こそが私たちのブランドなのです。」「”勇
敢さ”こそが私たちです。」とロシアに立ち向かう
勇敢さをアピールしています。
さらに国際社会に対しても「(国際社会は)勇敢に
決断しなければなりません」と訴えています。
当時、ウクライナは兵器が圧倒的に不足していてい
ました。欧米からの兵器、弾薬の支援が必要でした。
しかし、欧米各国は大規模な軍事支援は、ロシア
を刺激すると危惧し、特に大型の兵器供給には後ろ
向きでした。
そこで、バンダはウクライナのように欧米も勇敢に
立ち向かって欲しいと「BE BRAVE LIKE UKRAINE」
のメッセージを世界20カ国、140都市の看板や電光
掲示板に展開し、国際世論に訴えました。
バンダ・エージェントのドミトリー・アダビは、
「”勇敢なウクライナ人が、怪物に立ち向かう戦い
だ”と、世界の人々に認識してもらい、心から共感
してもらいたかったのです。世界中の人々がウクラ
イナのために団結するよう促したのです」と語って
います。
その狙い通りPR直後から、ツイッターで「ゼレンス
キー大統領」「勇敢さ」を語る投稿が前日の200件
程度から1600件以上へと急増しました。
4月8日イギリス政府は160億円の軍事支援を発表。
9日にはジョンソン首相がウクライナを電撃訪問し
経済支援の追加も表明しました。(イギリスによる
ウクライナの債務保証は7億7000万ポンド(約1246
億円))
続いてアメリカ政府も大型兵器の支援を決断し10
00億円規模の支援を行いました。
バンダのPR戦略が、まさに欧米各国の背中を押す効
果があったと専門家は見ています。ウクライナの軍
事専門家オレグ・ジダーノフは「言葉は時に、弾丸
や砲弾よりもずっと重く強い。この戦争には”勇敢
さ”というイデオロギーなしで勝つことは不可能だ」
と述べています。
▼ロシアのウクライナ侵攻前から始まっていた別の
PR戦略
2022年10月12日、ニューヨークで開催された年間の
PRキャンペーンを称える表彰式で、カーブ・コミュ
ニケーションズ(KARV Communications) は、エネ
ルギー協会であるウクライナ石油ガス産業雇用者連
盟(UFEOGI) のために2021 年半ばから1年にわた
る活動に対して、PR News からプラチナ「Best in
Show」賞を受賞しました。
このイベントでは300以上のPR会社(広告代理店)
が応募し、その中から優秀賞が選ばれます。ファイ
ナリストには、コロナ禍で悪化した子供たちのメン
タルヘルスを改善させようといったキャンペーンな
どもありましたが、それらを抑えてカーブ・コミュ
ニケーションズが年間大賞に選ばれました。
カーブ・コミュニケーションズのチームは、2021年
夏ころ、ウクライナ国営ガス会社など、石油・ガス
企業が加盟するエネルギー協会から依頼を受け、ノ
ルド・ストリーム 2 (NS2) パイプラインの稼働を
許可することは、ヨーロッパと世界の利益に反する
という見解を広めようと努めてきました。
このパイプラインは、ロシアにとって大きな武器に
なり、ヨーロッパはエネルギーをウラジーミル・プ
ーチンに完全に依存することになると懸念していた
からです。
アメリカはもともと、2014年のロシアのクリミア併
合に端を発する経済制裁をロシアに行い、NS2の完
成を阻止するため、運営する会社に制裁も行ってい
ました。
しかし、2021年バイデン政権が発足するとロシアと
の関係改善を目指す中で、アメリカ政府は、これら
の制裁を解除しました。
当時のアメリカのメディアでは、この問題は過小評
価されていました。カーブ・コミュニケーションズ
の社長のアンドリュー・フランクは、これは安全保
障につながる問題であり、世論を納得させ、議会に
働きかける必要がある事項だと考えていました。
そこで、2022年1月ロシアとウクライナの間で緊張
関係高まった時、強くアメリカ政府を批判するメー
ルをマスメディアに一斉に送るなど大規模なキャン
ペーンを行いました。
同時に外交委員会に属し、強硬派の共和党上院議員
(テッド・クルーズ)にも繰り返し接触するなどの
ロビー活動も行いました。
2月になって、ロシアがウクライナに侵攻したこ
とで、カーブ・コミュニケーションズがメディアに
提供するウクライナの情報やこのキャンペーンに注
目が集まりました。さらに、ウクライナへのPRの
協力の目的が、エネルギー安全保障の促進から、ウ
クライナのエネルギー協会とウクライナ政府の擁護
へと移行しました。
カーブ・コミュニケーションズのチームは、世界の
ガスおよび石油企業がロシアのカウンターパートと
の合弁事業から撤退するよう呼びかけるメッセージ
を作成し、ワシントン D.C. を拠点とする企業と連
携して議会のメンバーに働きかけました。
これらの努力の結果、ロシアの重要な個人に制裁が
課され、NS2 の運用承認が取り消され、プロジェク
トは事実上終了しました。
アンドリュー・フランク社長は、自分たちの戦略的
コミュニケーション活動の目的は、時には、自分自
身では共有できない人々の意見やストーリーを伝え、
増幅するのを助けることだとしています。
「カーブ(コミュニケーションズ) が、この恐ろ
しい戦争で非常に大きな被害を受けている人々を支
援するために行っているメッセージと米国/EUのメ
ディア対応活動が評価されたことは、信じられない
ほどの栄誉です。カーブ の賞は、「地政学的およ
び人道的危機の中でウクライナの物語を増幅する」
という 1年にわたるキャンペーンに対するもので
す」と受賞の喜びを表現しています。
そして2023年1月に報道されたNHKの特集のインタビ
ューに対しフランク社長は「情報戦は戦争という観
点からとても重要だ。何人かの有力な議員が、積極
的に私たちのメッセージを広げてくれたことがとて
も効果的だったと思う。私たちは、サイバー領域の
戦争の分野ではプレーヤーではないが、メディアで
メッセージを発信する能力では、一定の存在感を発
揮できた。とても誇りに思う」とも述べています。
さて、次回は戦争PR会社(戦争広告代理店)の歴
史(使われ方)を振り返ってみたいと思います。
ひぐちけいすけ(インテリジェンスを日常生活に役
立てる研究家)
樋口敬祐
1956年長崎県生まれ。拓殖大学大学院非常勤講
師。NPO法人外交政策センター事務局長。元防衛
省情報本部分析部主任分析官。防衛大学校卒業後、
1979年に陸上自衛隊入隊。95年統合幕僚会議
事務局(第2幕僚室)勤務以降、情報関係職に従事
。陸上自衛隊調査学校情報教官、防衛省情報本部分
析部分析官などとして勤務。その間に拓殖大学博士
前期課程修了。修士(安全保障)。拓殖大学大学院
博士後期課程修了。博士(安全保障)。2020年
定年退官。著書に『2021年パワーポリティクス
の時代』(共著・創成社)、『インテリジェンス用
語事典』(共著・並木書房)、
(つづく)
□出版のお知らせ
このたび拓殖大学の川上高司教授監修で『インテリ
ジェンス用語事典』を出版しました。執筆者は本メ
ルマガ「軍事情報」でもおなじみのインテリジェン
ス研究家の上田篤盛、名桜大学准教授の志田淳二郎、
そしてわたくし樋口敬祐です。
本書は、防衛省で情報分析官を長く務めた筆者らが
中心となり、足かけ4年の歳月をかけ作成したわが
国初の本格的なインテリジェンスに関する事典です。
2017年度から小学校にプログラミング教育が導入さ
れ、すでに高校では「情報科」が必修科目となって
います。また、2025年の大学入学共通テストからは
「情報」が出題教科に追加されることになりました。
しかし、日本における「情報」に関する認識はまだ
まだ低いのが実態です。その一因として日本語の
「情報」は、英語のインフォメーションとインテリ
ジェンスの訳語として使われているため、両者の意
味が混在していることにあります。
一方で、欧米の有識者の間では両者は明確に区別さ
れています。状況を正しく判断して適切な行動をす
るため、また国際情勢を理解する上では、インテリ
ジェンスの知識は欠かせません。
本書は、筆者らが初めて情報業務に関わったころは、
ニード・トゥ・ノウ(最小限の必要な人だけ知れ
ばいい)の原則だと言われ、ひとくくりになんでも
秘密扱いされて戸惑った経験から、ニード・トゥ・
シェア(情報共有が必要)の時代になった今、初学
者にも分かりやすくインテリジェンス用語を伝えた
いとの思いから作り始めた用語集が発展したもので
す。
意見交換を重ねているうちに執筆賛同者が増え、結
果として、事典の中には、インテリジェンスの業界
用語・隠語、情報分析の手法、各国の情報機関、主
なスパイおよび事件、サイバーセキュリティ関連用
語など、インテリジェンスを理解するための基礎知
識を多数の図版をまじえて1040項目を収録する
ことができました。
当然網羅していない項目や、秘密が開示されていな
いため、説明が不足する項目、現場の認識とニュア
ンスが異なる項目など不十分な点が多数あることは
重々承知していますが、インテリジェンスや国際政
治を研究する初学者、インテリジェンスに関わる実
務者には役立つものと思っています。
『インテリジェンス用語事典』
樋口 敬祐 (著),上田 篤盛(著),志田 淳
二郎(著),川上 高司(監修)
発行日:2022/2/10
発行:並木書房
https://amzn.to/3oLyWqi
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(ひぐち・けいすけ(インテリジェンスを日常生活に役
立てる研究家))
樋口さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
このURLからお知らせください。
↓
https://okigunnji.com/url/7/
【著者紹介】
樋口敬祐(ひぐち・けいすけ)
1956年長崎県生まれ。拓殖大学大学院非常勤講師。
NPO法人外交政策センター事務局長。元防衛省情報
本部分析部主任分析官。防衛大学校卒業後、1979年
に陸上自衛隊入隊。95年統合幕僚会議事務局(第2
幕僚室)勤務以降、情報関係職に従事。陸上自衛隊
調査学校情報教官、防衛省情報本部分析部分析官な
どとして勤務。その間に拓殖大学博士前期課程修了。
修士(安全保障)。拓殖大学大学院博士後期課程修
了。博士(安全保障)。2020年定年退官。著書に
『国際政治の変容と新しい国際政治学』(共著・志
學社)、『2021年パワーポリティクスの時代』(共
著・創成社)、『インテリジェンス用語事典』(共
著・並木書房)、『2023年野蛮の時代-米中激突第
2幕後の世界-』(共著・創成社)
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