配信日時 2023/02/22 09:00

【陸軍工兵から施設科へ(71)】 「大衆と歴史が証明する」という妄言  荒木肇

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戦争、選挙、金融…
世界中のあらゆる事件をネタに…
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国際情勢のあらゆる事象の背後には、
常に彼らの存在が見え隠れすると
国際関係学者の藤井厳喜先生は言います。


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知られざる重要組織「自衛隊警務隊」にスポットを
当て、警務隊とは何か?の問いに応えるとともに、
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おはようございます。エンリケです。

「陸軍工兵から施設科へ」第71回です。

戦後日本(というか20世紀以降の日本)には、こ
ういう陰惨で暗い吐き気を催すような空気感がへば
りついてましたね。共産主義や全体主義が幅を利か
せるとこういうことになってしまう、という証明で
しょう。

さっそくご覧ください


エンリケ

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陸軍工兵から施設科へ(71)

「大衆と歴史が証明する」という妄言


荒木 肇

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□はじめに

 あの頃は誰もが中国など、今のように脅威となる
など誰も予想しませんでした。わが国は平和を謳歌
し、インテリ(あるいはその予備軍と自任する青年)
たちは貧しかったアジアの国々に引け目を感じて
いたのだと思います。

 それが中国やアジアへの贖罪気分になっていたの
でしょう。戦前の日本人は悪かった、あの気持のよ
い中国の方々に迷惑をかけた、それが知識人を気取
る人たちの流行でした。中国の紅衛兵(こうえいへ
い・文化大革命の活動の中心になった子供たち)の
写真を見て、「見ろ!社会主義の子供たちの目は輝
いている」と真面目に語った教育学者がいました。
あれはカルトにひたった目ですよと発言したわたし
はボロクソにいわれ、もうゼミに来なくてよいと言
われました。

 今から思えば、そういうときに同調するのが保身
に長けた大人というものでしょう。それにしても、
みんな流行に染まり、同じことを言う人が多すぎま
した。現在もまだ、その名残が続いているのは、日
本人の特徴なのでしょうか。

▼本多氏の情けなさ

 明らかに、当時の新聞記事は、ためにするための
虚報だろうという主張に対して、新聞記者本多勝一
氏はどう答えたでしょうか。月刊誌「諸君!」の誌
上で『雑音でいじめられる側の目』と題して反論し、
「最後の手段として、この2人の少尉自身に、直
接証言してもらうよりほかにありませんね」という
文章を書きました。

 直接に戦闘に参加できない大隊副官と大隊砲小隊
長だった、だから白兵戦を行なったなど信じられな
いという山本七平氏に対して、この反論です。2人
はすでに虚偽報道のおかげで死刑になり、この世に
はいない方々でしょう。

 しかも、毛沢東主席がいたなら戦争犯罪人を死刑
などせずに生かしておいて、本人たちに反省をさせ
ただろうと手放しの中国共産党を賛美しています。
南京の解放(この言葉のうさん臭さ)、国民党軍が
撤退したあと(1949年4月)に南京に入った
「解放軍」の人道ぶりを讃えるのでした。そうすれ
ば、本人のたちの口で真相が明らかになったと言う
のです。

 そういうことではなく、当時の新聞記事を事実だ
と言うのなら、自分で調べて伏せ字になっていた「
○官」の○を調べるべきだろうというのが山本氏の
主張でした。それへの反論が「死者を呼び戻せ」と
いう暴論です。

▼大衆と歴史が審判する

 「週刊新潮」は鈴木明氏の告発の相手となった元
毎日新聞記者を直撃しました。あの150人余りを
日本刀で斬った両少尉の話は事実かということです。
すると、浅海記者は「わたしの周囲のインテリは、
あのような指摘があっても、(ああした)状況が
なかったとは疑いません。何が真実かは大衆と歴史
が審判してくれますよ」と答えました。

 インテリ、大衆、歴史の審判・・・懐かしい言葉
です。自分がインテリだと自任する「進歩的文化人」
たちは日本中いたるところにおりました。大衆だ
って確かにいっぱいいて、大衆食堂で飯を食い、大
衆酒場で焼酎を飲んではオダをあげる若者もよく見
かけました。


▼「世界」の記事『韓国からの通信』のウソ

 まるで明日にでも革命が起こり、社会が変わると
いうような妄想をもつ人は確かに少なくなりました
が、まだまだ反体制、反政府の主張をするのは当然
の流行でした。

 その人たちのバイブルだったのは、岩波書店が出
していた「世界」という雑誌です。その中に、韓国
の朴正熙(パク・チョンヒ)が率いる軍事政権の非
道ぶりを伝える記事が載りました。1973(昭和
48)年5月から連載が始まります。『韓国からの
通信』というのです。

 韓国は朴氏のクーデター以来、国民の自由を奪い、
人権を抑圧し、非道な内政をしているというもので
した。8月には野党の大統領候補だった金大中(キ
ム・テジュン)氏が東京のホテルから韓国中央情報
局(KCIA)の工作員によって拉致されました。
確かにひどい話ではありますが、世論(気分)は
韓国軍事政権への嫌悪を高めます。

 韓国の現状はどうなっているんだ、軍人がやりた
い放題をしているという、今とはちょっと違った嫌
韓気分がマスコミを中心に流されました。その良い
材料となったのは、匿名の韓国人インテリによるレ
ポートでした。正義感に後押しされて、進歩的知識
人たちは大いに韓国と軍事政権を罵りました。

 当時、韓国の多くの人たちは北朝鮮による武力侵
攻の再現を恐れていました。朴政権は確かに民主化
を抑圧もしましたが、部族国家を近代的な国民国家
にしようとしていたのです。韓国は地域、血縁によ
る結束が強く、いわゆる国民としてまとまることが
難しいクニでした。朴氏はそうした中で民力を向上
させ、そうしたなかで国民意識を育てようとしたの
です。

 『韓国からの通信』は善良な民主的知識人たちが
弾圧され、ひどい目にあわされている地獄のような
韓国社会を伝えました。今から見れば、ウソと誇大
描写に満ちたレポートばかりでした。韓国社会の実
態とはまるで違っていたのです。ところが、それを
信じて「韓国の非道な政権を援助するような自民党
はだめだ」と主張した人たちがとても多かったこと
だけは確かです。

 さて、連載は1988(昭和63)年まで続きま
すが、80年代半ば以降の記事は岩波新書にはなり
ませんでした。というのは、記事の多くがウソだっ
たからです。

 この後、2003(平成15)年に突然、この匿
名氏が名乗り出ます。どうしてかは分かりませんが、
彼は1972(昭和47)年から93(平成5)年
まで、ずっと日本で暮らしていた評論家です。

 こんな得体の知れない人たちが活躍した時代でし
た。


(つづく)


(あらき・はじめ)


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●著者略歴
 
荒木  肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。
 
著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか―安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!―昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊―自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。
 

『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
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