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「青天を衝け」渋沢栄一は何をしたのか?
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戦争、選挙、金融…
世界中のあらゆる事件をネタに…
常に裏で利益をむさぼるある集団がいた…
国際情勢のあらゆる事象の背後には、
常に彼らの存在が見え隠れすると
国際関係学者の藤井厳喜先生は言います。
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こんばんは、エンリケです。
本連載のアーカイブサイトができました。
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過去記事をすべて格納してますので、
ブックマークに入れ、折に触れ読んでみてください。
57回目の配信です。
<「国家の生存をかけて断固として“振る舞う”時来
たり」>
同感です。
さっそくどうぞ
エンリケ
◆本連載のバックナンバーはこちらで
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ご意見・ご感想はコチラから
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我が国の未来を見通す(57)
「気候変動・エネルギー問題」(22)
我が国のエネルギー問題(その4)
宗像久男(元陸将)
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□はじめに
1個の偵察気球がトリガーになったとは考えられ
ないですが、“絶好”のタイミングで米国土上空に
飛来したこともあって、2月7日の一般教書演説の
中で、バイデン大統領は「中国との競争に勝つ」と
「新冷戦」のゴングを鳴らしました。
この気球については様々な憶測が流れていますが、
米空軍が破壊して回収しましたので、その狙いや技
術レベルについて近いうちに丸裸にされることでし
ょう。元外務官僚の宮家邦彦氏は、「中国外交部は
気球の動きを知らなかった」可能性があるとして、
中国共産党も対米協調派と非協調派に分かれ、一枚
岩ではないと指摘しています。確かに常識で考えれ
ば、強行路線をひた走る習近平政権であっても、国
防長官の訪中に合わせたように気球を米国本土上空
に飛行させることは考えられないからです。
いずれにしても、ほかの手段による「米中戦争」は
すでに始まっていることは明白ですが、このたびの
気球は、バイデン大統領がさながら真珠湾攻撃のよ
うに、「我が国の主権を脅かせば、米国を守るため
に行動する」とのボルテージを上げる材料になった
ことは間違いないでしょう。
この気球は、2020年6月には仙台上空、21年
9月には八戸上空でも目撃されました。当然、我が
国の領空内でしたが、破壊することはおろかほとん
ど話題にもなりませんでした。この日米の差異こそ
が自国の国防に対する認識の差異そのものでしょう。
「我が国の主権が脅かされれば、断固として主権
を守るために行動する」と首相や防衛大臣が迫力の
ある発言でもすれば、抑止力にもつながったのでし
ょうが、それもなかったので、さぞかし“侮(あな
ど)られた”ことでしょう。
そのような姿勢が尖閣諸島近海の対応にも表れてい
ます。「寸土を失うものは全土を失う」の言葉のよ
うに、中国が着々と既成事実を拡大していることに
対して、そろそろ毅然とした対抗策を講じる時期に
来ていると考えます。このままの“なめられ、侮ら
れっぱなし”を継続すると、ますますエスカレート
する可能性大でしょう。そのうち、ドローンが大挙
して飛来しても、我が国は“なすすべ”がないでし
ょうし、予想される中国側の「偶発的だった」など
の主張に対して、「遺憾である」と発言する程度の
応酬しかできないでしょう。
国防は、いくら立派な戦略3文書を策定しても、実
行動を伴わなければ“絵に描いた餅”になることを
改めて認識してほしいものです。「新冷戦」の中で、
我が国の立つ位置や役割などは明白です。「国家
の生存をかけて断固として“振る舞う”時来たり」
と考えます。果せるかな。
▼GX実行計画の概要
さて前回、GX(グリーントランスフォーメーショ
ン)実行計画(昨年12月22日)の基本的な考え
方のみを紹介しましたが、その項目を追ってみると
面白いことに気がつきます。
「1.はじめに」に続く大項目は、「2.エネルギ
ー安定供給の確保を大前提とした脱炭素の取組」と
なっています。この項目名から、「エネルギーの安
定確保が脱炭素より優先順位が高くなっている」こ
とがわかります。ウクライナ戦争によるエネルギー
確保がクローズアップされていることもあって、脱
炭素一辺倒だった「クリーンエネルギー戦略」から
優先順位を“差し替えた”ようです。
本メルマガでもすでにとりあげましたように、ロシ
アが武器とて資源を利用し、欧州列国がそれまでの
脱炭素最優先を“背に腹はけられない”とドイツな
どは石炭よりもCO2を排出する褐炭火力発電まで
活用することを決めたのでした。
一方、電気料金の値上げ以外などには直接の痛みが
ない我が国は、当然ながら「脱炭素」の追及を決し
て諦めたわけではありません。エネルギー確保を「
大前提」にしながらも「脱炭素」にしっかり取り組
むと宣言しています。そのための今後の対応は、次
のような内容になっています。
まずは、「徹底した省エネルギーの推進。製造業の
構造転換」です。つまり、我が国の得意な省エネと
非化石エネルギーへの転換を目指して国を挙げて推
進しようとしています。
2番目には「再生可能エネルギーの主力電力化」を
掲げ、その目標として「2030年度に36~38
%の確実な達成を目指す」としています。2021
年現在の比率は約22.1%(水力7.8%、太陽
光9.3%、バイオ4.1%、風力0.9%など)
ですから、再エネの大幅アップを目指そうとしてい
ます。その内容は、太陽光発電、洋上風力発電、揚
水発電所、蓄電池などについて詳細にとりあげ、地
熱、水力、バイオマスはそれらの言葉が出てくるだ
けですので、太陽光発電、洋上風力発電などがメイ
ンとなって、再エネのシェアを伸ばそうとしている
ように読み取れます。
3番目には、「原子力の活用」です。その目指す比
率は、20~22%(現在は5.9%)です。安全
最優先で再稼働をすすめることと次世代革新炉への
建て替え、再処理工場の竣工、運転期間の延長、廃
炉などについて記載されています。
エネルギー資源の約7割以上を火力発電に依存し、
その結果、自給率が12%と先進国で最低の我が国
ですが、その火力発電所も「脱炭素」の要求もあっ
て廃止が相次ぎ、令和3年度まで714万キロワッ
ト(原発7基分に相当)の供給力が失われました。
詳細は後述しますが、これらから、CO2を出さな
い原発政策の見直しは、エネルギー安定確保上も脱
炭素を追求する上でも必須の政策であることがわか
ります。
そして4番目に「水素・アンモニアの導入」を掲げ、
「自給率の向上や再生可能エネルギーの出力変動
対応にも貢献することから安定供給にも資する、カ
ーボンニュートラルに向けた突破口となるエネルギ
ーの一つである」としています。しかも、水素・ア
ンモニアの導入拡大が産業振興や雇用創出などにつ
ながるとして、政府主導でかなり力が入った表現と
なってします。これについても後述しましょう。
こののち本項は、「カーボンニュートラル実現に向
けた電力・ガス市場の整備」、「資源確保に向けた
資源外交など国の関与の強化」、「蓄電池産業」、
「資源循環」、「運輸部門のGX」(「次世代航空
機」「ゼロミッション船舶」「鉄道」「物流・人流」)、
「脱炭素目的のデジタル投資」、「インフラ」、
「カーボンリサイクル/CCS」(「カーボンリサ
イクル燃料」「バイオものづくり」「CO2削減コ
ンクリート」「CCS」)、「食料・農林水産業」
と続きます。
続いて、GX実行計画の大項目は、「3.『成長志
向型カーボンプライシング構想』の実現・実行」と
続き、今後10年間で150兆円を 超える巨額の
GX投資を官民協調でいかに実現していくかに焦点
が移ります。
そして、「4.国際展開戦略」、「5.社会全体の
GX の推進」が取り上げられ、最後に「6.GX
を実現する新たな政策イニシアティブの実行状況の
進捗評価と見直し」で結ばれています。
▼GX実行計画に関する「気づき」(全般)
本メルマガの当初に触れましたが、CO2の排出の
割合を復習しておきましょう。ビル・ゲイツ氏が指
摘していたように、年間510億トン排出されるC
O2の割合は、(1)「ものをつくる」が最も多く
31%、(2)「電気を使う」が29%、(3)「ものを育
てる」が19%、(4)「移動する」が16%、(5)「冷
やしたり暖めたりする」が7%と「人間の活動」の
ほぼすべてがCO2排出につながります。
つまり、「脱炭素」に本気になって取り組むのであ
れば、これらのCO2排出源のすべてを断ち切る必
要があります。本実行計画を読むと、(1)に関し
ては、「カーボンリサイクル」の内訳の中に「CO
2 削減コンクリート」の導入支援、(3)に関しては、
「バイオものづくり」の普及拡大、(4)に関しては、
「運輸部門のGX」なども確かに謳われてはいま
すが、明らかに、(2)の「電気を使う」に重視(偏重
というべきか)していると読み取れます。(5)の冷暖
房など快適な生活の追求に至っては、(2)に含まれる
と考えているのか、冒頭の「省エネルギーの推進」
以外に読み取れるところがありません。
本メルマガは、「本当に地球は温暖化に向かってい
るのか」にはじまり、「CO2など地球温暖化ガス
の存在と気候変動には決定的な相関関係はない」「
CO2は地球のために必要」「人間が日常の営みを
行なう限り『脱炭素』は不可能」、「全体の約3%
しか排出しない日本が仮に『脱炭素』を実現しても
地球温暖化回避にさほど影響はない」という立場を
貫いていますので、逆に、全体としては、GX実行
計画の“ほどよさ”を容認できます。
それよりも、もし本実行会議が、「『脱炭素』とい
う大方の人たちが表立っては反対できない大義名分
を活用して、未来永劫にエネルギーを安定確保する
ための政策を推進する」という“したたかさ”が背
景にあるとすれば、賞賛に値すると考えています。
端的なイメージは、「脱炭素」>「脱原発」、つま
り、「脱原発」のアレルギーを「脱炭素」を活用し
て緩和するために、「脱炭素」、なかでも(これま
た大方が反対しない)再生可能エネルギーを全面に
出すような“したたかさ”です。
それが事実なら、我が国の歴史の中で、その時代時
代の国家戦略(各種政策)は“したたかさ”という
ことに関しては微塵にも感じられませんでしたので、
GXはそのような歴史を大きく塗り替える可能性
がありますし、優秀な官僚や実行会議のメンバ―が、
ドイツなどの例をみるまでもなく、再生可能エネ
ルギーなどに絡む様々な問題点を理解していないわ
けがないと思っていましたので、余計に大きな期待
を持ってしまいました。
しかし残念ながら、個々の取り組みを子細に見る限
り、どうも実行計画に書かれていること“以上でも
以下でもない”と解釈するのが妥当のようです。次
回以降、それら個々の取り組みに内在する課題など
を取り上げて一緒に考えてみましょう。最近、多様
な業務に忙殺されております。区切りが良いので今
回はここまでにします。
(つづく)
(むなかた・ひさお)
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【著者紹介】
宗像久男(むなかた ひさお)
1951年、福島県生まれ。1974年、防衛大学校卒業後、
陸上自衛隊入隊。1978年、米国コロラド大学航空宇
宙工学修士課程卒。陸上自衛隊の第8高射特科群長、
北部方面総監部幕僚副長、第1高射特科団長、陸上
幕僚監部防衛部長、第6師団長、陸上幕僚副長、東
北方面総監等を経て2009年、陸上自衛隊を退職(陸
将)。日本製鋼所顧問を経て現在、至誠館大学非常
勤講師、パソナグループ緊急雇用創出総本部顧問、
セーフティネット新規事業開発顧問、ヨコレイ非常
勤監査役、公益社団法人自衛隊家族会理事、退職自
衛官の再就職を応援する会世話人。著書『世界の動
きとつなげて学ぶ日本国防史』(並木書房)
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