配信日時 2023/01/12 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (394)】神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(31)   渡邉陽子(ライター)

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下よりお気軽に
どうぞ

E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://wos.cool.coocan.jp

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こんばんは、エンリケです。

「ライター・渡邉陽子のコラム」。
こんかいは第394号です。

昨年1128~1226にかけて渡邉さんが
出演(全4回)された

ニッポン放送ラジオ
「私の正論」(ゲスト:渡邉陽子(ライター))
(毎週月曜1810-1820)

のアーカイブはコチラで聞けます。ぜひどうぞ。
https://podcast.1242.com/show/seiron/


本連載のバックナンバーサイトでも
聞けるようにしています。
https://okigunnji.com/watanabe/
よろしければどうぞ。

きょうの配信は、
「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
の31話。

冒頭文を拝読し、
紅葉に美を感じるのも日本人くらいだね、
とその昔聞いたことを思い出しました。

では、ことし最初の配信、早速ご覧ください。


エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (394)』

 神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(31)

  渡邉陽子(ライター)

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こんばんは。渡邉陽子です。
2023年が始まりました。年始早々、とても素敵な記事を見かけまし
た。あるフランス人がTwitterで「日本では桃が川を流れる音を表
現する擬音語があるらしく、日本人なら誰もがわかるらしい。桃が
川を流れる音?」と書き込んだところ、瞬時に多くの日本人から
「どんぶらこ」という書き込みがあり、「本当に即答だ」と驚いた
そうです。確かに、たいがいの人はわかりますね!
ちょっと話がずれますが、この記事を読んで、虫の鳴き声を「ノイ
ズ」ではなく「声、音色」と認識するのは日本人とポリネシア人だ
けという説も思い出しました。
それでは本年もどうぞよろしくお願いいたします。


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■神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(31)

広報時代に忘れられない大きな出来事が2つある。
ひとつは朝霞駐屯地の警衛が、元自衛官に刺殺された事件だ。
銃を奪うのが目的で、現場には犯人のOD色の軍手が残されており、
そこから「これ、うち(陸上自衛隊)のじゃないのか?」という話
になった。
マスコミは容疑者が逮捕される前にその人物の名前と元自衛官であ
ることを突き止め、陸幕広報に問い合わせてきた。だがこんな一大
事のときに限って広報室の面々は出払ってしまっており、対応でき
るのが火箱ひとりしかいない。まだ報道B担当の駆け出しだったか
ら、その重圧たるや相当なものだった。だが、言うべきことは言う
という姿勢はここでも通したかった。元自衛官の名前や所属してい
た部隊などの情報も、すでに火箱のところに届いていた。
ところが「長官への報告が済んでいないから陸幕広報はまだなにも
言うな」というお達しが届いた。とはいえ、記者たちは陸幕広報室
に殺到している。すでにテレビのニュースでも容疑者の名前が出て
いたから、隠していてもまったく意味はない。それでも「陸幕広報
は言うな」と言う。上からの指示と記者との間に立って、火箱は頭
を抱えた。
そのときひとりの記者が「火箱さん。自分が容疑者の名前を出すの
で、それに応じる形にしたらどうでしょう」と言ってきた。自分が
元自衛官の名を言ったり文書を配ったりすると報道発表となり、長
官(内局)の顔を潰すことになってしまう。だが記者から「元自衛
官の名前は○○ではないですか?」と尋ねられたら、「調べてくる」
といったん下がり、それから「調べた結果、該当する人間かはわか
りませんが同姓同名の隊員はいました」と返せる。これならば報道
発表にはならず、さらに記者たちも裏が取れたことになる。うまい
手だった。
さらに「どういう隊員でしたか」と聞かれたので、「ナイフを持っ
ていたということはマニア的なところがあったのかもしれないが、
勤務中にそういう面は見られなかった」と答えた。
火箱が取材対応にこだわったのは、この事件で自衛隊に対する誤っ
たイメージを国民に抱いてほしくなかったからだった。ナイフによ
る犯行だったから、「自衛隊はナイフを振り回す訓練ばかりしてい
るのではないか」「殺し屋みたいな訓練ばかりやっているのではな
いか」と誤解されることだけは避けたかったのだ。
実際、「ナイフを用いた訓練は毎日やっているのか」という質問も
あり、「銃剣をつけた状態での訓練はするが、ナイフはレンジャー
訓練などにおいて携行が許されており、主は蛇やカエルを裁くため
の生存自活のため使用する。一般隊員にはそういう訓練の科目はあ
りません」と、いちばん伝えたいことをはっきり言った。

もう1件は横須賀で起きた、海上自衛隊の潜水艦なだしおと遊漁船
の衝突事故である。
この事故に陸幕広報として関わっていたわけではないが、自衛隊が
一方的に悪者に扱われている報道を見るほど「応援しなければ」と
いう思いが強まった。
確かに事故が起きたのは遺憾なことだ。国民を救うべく自衛隊が多
くの死者の生起に関わったのは残念である。
このとき、マスコミは「なだしおの乗員は見ているだけだった」と
いう救助された女性のコメントを誇張するかのように、なだしおの
隊員が誰も助けず無視していたかのように編集された映像を流し、
国民に「自衛隊は溺れている人を見殺しにした」という印象を刷り
込んだ。火箱からすれば、悪質な情報操作だった。実際、この情報
には誇張のあったことが後に判明しているほか、救助された女性の
コメントについても、海上保安庁長官が誤解であると数回否定して
いる。
事故の後、記者たちは海幕広報に詰めていて、陸幕広報には息抜き
に来るような状態だった。そこで火箱は記者たちに「この報道おか
しいんじゃないの? 新しい事実だって出てるのに、なんでそこは
無視するんだ」。すると記者が言った。「その事実は自衛隊に有利
な話じゃないですか。それを書いてもデスクが載せてくれないんで
す」
国民に向けて発信する内容がゆがんでいるとわかっている記者もい
た。しかし火箱は、このときも「自衛隊は叩いておけばいい」とい
う空気を感じ取っていた。誤解が後から訂正されようが、海難審判
で双方に責任ありと判決が出ようが、とにかく「悪いのはすべて自
衛隊」だった。



(つづく)


(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
2022年 https://amzn.to/3ar7IBq
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