配信日時 2023/01/23 05:08

【本の紹介】帝国陸海軍の軍人ものがたり

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「青天を衝け」渋沢栄一は何をしたのか?
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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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きょうは、陸軍の石原莞爾中将、海軍の高木惣吉少将
に関する作品をご案内します。

石原莞爾と言えば
・「天才」の名を欲しいままにした
・満洲国設立の中心人物
・敗戦時の裁判での態度が有名
・東條英機と犬猿の仲
という印象です。

石原莞爾
山形県出身。明治22年1月18日~昭和24年8月15日。
大正7年陸大卒業。陸大教官となりドイツに出張。
戦史研究を行う。
昭和3年(1928)、関東軍参謀。同6年満洲事変を実行
し、翌年の満洲国設立に至る事態を主導する。
同10年参謀本部作戦課長。11年、戦争指導課長とし
て、世界最終戦論に基づく軍事政策を立案する。
12年に作戦部長に就任も支那事変拡大に反対し東條
英機と対立し関東軍参謀副長に転出。14年陸軍中将・
第16師団長を最後に16年予備役編入。このあたりか
ら東亜聯盟運動に力を注ぐ。


『石原莞爾 満州ふたたび』
早瀬利之 著
出版年月日:2019/10/18
判型・ページ数 :四六版・320ページ
発行:芙蓉書房出版
https://amzn.to/3JKUlsX

◆目次

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第1章 満州丸
第2章 刺 客
第3章 満州協和会
第4章 前線基地へ
第5章 綏芬河
第6章 満州里へ
第7章 軍略会議
第8章 哈爾濱の春
第9章 日産、満州の宴
第10章 黄砂吹き荒れる
第11章 満州建国大学
第12章 東條の陰謀
第13章 最後の講演
第14章 星降る街に
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この本は、
満洲国の再建に孤軍奮闘する石原莞爾の苦悩と葛藤
を描いたノンフィクションです。

支那事変の発端となった第二次上海事変(昭和12年
8月)で作戦失敗の責任を負い参謀本部作戦部長を辞
任した石原莞爾は、関東軍に左遷され、東條英機参
謀長の下で参謀副長となりました。

この人事は、実は石原本人の希望だったそうです。
東條と甘粕正彦によって植民地化されていた満洲国を、
“五族協和”“王道楽土”の独立国に戻すことが目
的だったとか。

ところが、犬猿の仲といわれた東條との確執はより
激しくなり、夢破れた石原は昭和13年8月参謀副長
を辞めて帰国の途に就きました。

この1年間の石原の動きを克明に追い、彼
を取り巻く人々との熱い交流を描いています。


『石原莞爾 満州ふたたび』
早瀬利之 著
出版年月日:2019/10/18
判型・ページ数 :四六版・320ページ
発行:芙蓉書房出版
https://amzn.to/3JKUlsX



つぎは高木さんです。

『終戦の軍師 高木惣吉海軍少将伝』
工藤 美知尋 著
出版年月日:2021/04/22
判型・ページ数:四六版304ページ
発行:芙蓉書房出版
https://amzn.to/3sMevMY



高木惣吉(たかぎ・そうきち)
海軍少将・軍事評論家。
明治26(1893)年11月10日熊本県人吉市出身。大正4年12月海軍兵学校(第43期)卒、昭和2年海軍大学校卒。
昭和5年、財部海相秘書官、この間、ロンドン会議後の海軍、政界の経験をするも結核のため1年療養。
12年臨時調査課長。14年海大教官。15年調査課長。17年舞鶴鎮守府参謀長。19年海軍省教育局長などを歴任。
同年9月海軍省出仕となり、米内光政、井上成美らの内意を受けて終戦工作に動き、
近衛文麿、細川護貞らと連絡、東条内閣の打倒に尽力。東条暗殺計画にも関係した。
昭和18年海軍少将。20年9月東久邇内閣の内閣副書記官長。戦後は著述活動に従事。昭和54(1979)年7月27日逝去。
著書に「太平洋海戦史」「私観太平洋戦争」「自伝的日本海軍始末記」「高木惣吉日記」などがある。

海軍省調査課長として海軍政策立案に奔走し、 東条
内閣打倒工作、東条英機暗殺計画、終戦工作に身を
挺したといわれる高木惣吉少将。

地味な経歴のわりに不釣り合いな名声を得ている感
を持つこの人物についての評伝、ということで興味
を惹かれました。

中身はこんな感じです。


◆目次
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プロローグ 高木惣吉の人物像――七十七忌法要で
語られた素顔
「今の日本が平和なのは高木さんの終戦工作のおか
げ」―森元治郎氏
「〝京都学派〟は高木人脈」―鈴木成高氏
「死の休息」―石田百合子さん
「高木さんの存在は日本海軍の神経中枢だった」―
扇一登氏
「戦前、戦後、外務省の仕事に協力してくれた人」
―宮崎勇氏
「京都学派は高木さんの戦略と戦術の網にかかった」
―高山岩男氏
 内田一臣、中村悌次、二人の元海幕長のスピーチ
「何事にも必死な高木さんは偉大な師」―新名丈夫氏

第一部 高木惣吉の原点と海軍人生
貧窮の家庭に生まれる/海軍兵学校、海軍大学校と
エリートコースに乗る/フランス駐在、妻静江への
想いを手紙に託す/第一次世界大戦後の情勢/海軍
省に戻り、大臣秘書官に/結核による長期療養後、
海軍大学校教官として復帰/海軍良識派提督の更迭/
二・二六事件の発生/軍務局員と海大教官を兼任

第二部 海軍省調査課長時代
初代海軍省調査課長に就任/防共協定強化問題と高
木惣吉/日独伊三国同盟の成立/ブレーン・トラス
トと高木惣吉/「日米了解案」と高木惣吉/難航す
る日米交渉/東条内閣の出現と日米開戦

第三部 東条内閣打倒工作と高木惣吉
舞鶴鎮守府参謀長時代/憲兵による「京都学派」に
対する弾圧/松前重義と海軍省調査課/高松宮と細
川護貞/高木、東条・嶋田の戦争指導体制に絶望/
高松宮、東条独裁体制の崩壊を図る/高木、岡田啓
介元首相に伏見宮工作を依頼/高木、嶋田海相更迭
工作に着手/東条・嶋田の総長兼任に海軍内でも怒
り沸騰/東条暗殺に突き進む高木惣吉/高木、東条
暗殺を決意!/高木・岡田に東条暗殺を表明/「聖
断」による終戦構想の萌芽/岡田・東条の対決/最
後の手段は暗殺!

第四部 終戦工作に奔走する高木惣吉
高木に終戦工作の密命下る/小磯内閣の命脈尽きる/
各方面で胎動する終戦への模索/対ソ交渉案/八
月九日午前零時、ソ連軍侵攻/無条件降伏か、条件
付き降伏か/歴史的な深夜の御前会議/阿南陸相、
ポツダム宣言に断固反対/再び「聖断」下る

エピローグ 脳裏に浮かぶ四人の顔

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

本著によると、高木さんは
熊本県人吉の貧しい家庭に生まれ、苦学の末海軍大
学校を首席で卒業した帝国海軍エリートでしたが、
健康上の理由(結核)から軍政畑が長く、海軍省調
査課長として海軍政策の立案に深く関与したらしい
です。

結構知られているのが、米内・井上から秘密裏に命
じられた終戦工作にかかわったとされることで、政
財界、官界の情報収集、分析に才を発揮したと言わ
れます。

終戦直前には、東条英機暗殺計画の立案もしていた
そうです。

注目すべきは
安倍能成、和辻哲郎、矢部貞治ら民間の知識人を糾
合して結成された「ブレーン・トラスト」の発案者
であり、西田幾多郎らの“京都学派”の学者と太い
パイプを持っていた、という点です。


今回ご紹介したのは、

『石原莞爾 満州ふたたび』
早瀬利之 著
出版年月日:2019/10/18
判型・ページ数 :四六版・320ページ
発行:芙蓉書房出版
https://amzn.to/3JKUlsX


『終戦の軍師 高木惣吉海軍少将伝』
工藤 美知尋 著
出版年月日:2021/04/22
判型・ページ数:四六版304ページ
発行:芙蓉書房出版
https://amzn.to/3sMevMY



でした。


エンリケ

追伸

「国家エリートの仕事」は結果評価です。
こういう大前提をもったうえで過去の人
のはなしに接することが重要と感じます。

『石原莞爾 満州ふたたび』
早瀬利之 著
出版年月日:2019/10/18
判型・ページ数 :四六版・320ページ
発行:芙蓉書房出版
https://amzn.to/3JKUlsX


『終戦の軍師 高木惣吉海軍少将伝』
工藤 美知尋 著
出版年月日:2021/04/22
判型・ページ数:四六版304ページ
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三井・三菱財閥をわずか一代で超えた男の経営學
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