こんばんは、エンリケです。
「ライター・渡邉陽子のコラム」。
こんかいは第393号です。
1226に渡邉さんが出演(最終回)された
ニッポン放送ラジオ
「私の正論」(毎週月曜1810-1820)
聞きました?
ニッポン放送ラジオ
「私の正論」(ゲスト:渡邉陽子(ライター))
(毎週月曜1810-1820)
https://podcast.1242.com/show/seiron/
公立学校での国防教育の必要性についても
触れられてましたね。全く納得です。
4回にわたる放送は、意外に存在しない
「庶民目線に寄り添った国防ばなし」でした。
じつに良い内容だったと私は感じています。
アーカイブはコチラで聞けます。ぜひどうぞ。
https://podcast.1242.com/show/seiron/
なお、本連載のアーカイブサイトでも
https://okigunnji.com/watanabe/
全4回分のアーカイブを聞けるようにしています。
よろしければお聞きください。
では今日の記事、
「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
の30話目。
プレスは軍最大の敵、という言葉を聞いたことがありますが、
火箱さんのプレス対策は、参考になるところ大かもしれません。
早速ご覧ください。
エンリケ
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『ライター・渡邉陽子のコラム (393)』
神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(30)
渡邉陽子(ライター)
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こんばんは。渡邉陽子です。
2022年最後のメルマガになります。今年も1年ありがとうございま
した。読者のみなさまと管理人のおき軍事様に心より感謝申し上げ
ます。
今年は配信していただき始めて以来、初の1か月以上の休載という
大変残念な記録を打ち立ててしまいました。自分のスケジュール管
理の甘さが招いた失態です。
防衛関連では、最後の最後に防衛3文書が閣議決定、反撃能力が明
記されるという大きなニュースが届きました(ちなみに12月26日の
ラジオ「わたしの正論」(*)収録は閣議決定前でした)。
日本の防衛における転換点のひとつになったと思います。
先日、私が自衛隊関連の仕事を始めて以来の同業者かつ友人から、
「自衛隊を応援したいほど中道でなければならない」と言われ、そ
の通りだと改めて思いました。応援する気持ちが強ければ強いほど
その熱い気持ちを抑え、客観的視点で読者に伝えることこそ、ライ
ターという職業のなせる業だと思います。そしてその文章から読者
の方が自発的に自衛隊に興味を抱いたり、知りたいという探求心を
持ってくださったりしたら、それこそライター冥利に尽きるという
ものです。
来年も精進します。みなさま、よいお年をお迎えください。
(*)ニッポン放送ラジオ「わたしの正論」
https://podcast.1242.com/show/seiron/
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■神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(30)
世間では自衛隊をおぞましい戦闘集団、殺し屋集団と思っている人
もいる。
確かに自衛隊は事故も起こすし悪事を働く弱い隊員もいる。火箱は
それも含め、秘密事項を除きありのままの現実を見てもらいたかっ
た。
だからなにか不祥事、トラブルが発生した際は、すぐに記者クラブ
にピンナップしに行った。彼らに伝えない限り、国民にも伝わらな
いからだ。「また事故起きたんですか?」と言われるほど出し、
「申し訳ありません、以後気をつけます」と言いながら出し続けて
いると、次第に記者たちから「陸幕は隠していない」と思われるよ
うになっていった。
ほかの部署の人間が隠そうとすると徹底的に抗戦した。陸幕広報に
対しては、ほかの部署から「そういうことまで話してもらっちゃ困
る」と、同じ組織ながら敵のように思われることもあったが、それ
にもひるまなかった。
「事実があるのになんで隠す?」
「いま原因を調べているところだから」
「それは原因がわかった時点でまた報告すればいいだろ!? 何時
何分に起きたっていう事実だけは確かなんだから、それだけをまず
は伝えないといけないだろう」
「まだQ&Aができあがってない」
「だから全部用意できなくても、確実にわかっている事実だけ一刻
も早く出すんだって。そこさえわかっていれば記者は記事書けるじ
ゃないか。新聞記事ってのはそうなっているだろ?」
いつ、どこで、誰が、なにを、なぜ、どのようにという5W1Hのうち
「なぜ」の部分が後回しになっても、なにが起きたかという事実関
係だけで新聞記事の1段目は成り立つ。事故や事件の背景となる詳
細は2段目以降だ。その詳細がわかってから初めて発表するのでは
遅すぎる。
広報に勤務してそのことを知った火箱は、だからこそ新聞の1段目
の情報をなによりも早く提示することが大事だと考えた。そもそも
新聞社はとっくに事実関係については掌握している場合が多く、あ
くまでも言質が欲しいのだ。ならばなおさらわかっている情報だけ
でも先に出すべきだという姿勢を貫いた。
これは陸幕長になっても変わらず、隠す必要のないことまで公表し
ない原稿を渡されると「俺は言うよ」と自ら直した。
自衛隊は、ややもすればひとりよがりになりがちなところがある。
任務の独特の閉塞性ゆえ、思考が世間と微妙にずれつつあっても気
づかず進んでしまう危険をはらんでいる組織でもある。
だからこそ火箱は「自分たちは常に(マスコミを通して)国民の目
にさらされているのだ」という感覚を研ぎ澄ませた。これこそが、
異動先を知ったときに「俺の状況終わった」とまで思った陸幕広報
での勤務経験で培った大きな財産だった。
今と同様、当時も自衛隊に好意的なメディアとそうでないメディア
は明確にわかれていたが、火箱は媒体や記者によってどこまで伝え
るかの線引きを変えることはしなかった。また、記者の関心ごとに
ついて自分のコメントでは記事にならないと判断した場合は、陸幕
長や陸幕の各部長への取材をセッティングしたり、それがかなわな
い場合は「陸幕広報として、その件についてこういうことではない
か」などとフォローした。そこに「親自衛隊」「アンチ自衛隊」の
垣根はなかった。
その姿勢が信用につながり、当時はアンチの媒体でも自衛隊に好意
的な記事を書いてくれるところが出たほどだった。もちろん事故が
起きればがっつり責められたが、その際も「事実は事実。だがおか
しな憶測をなぜ加えるのか」と、火箱のほうも容赦なく文句を言っ
た。そんなやりとりを記者たちと続けているうちに、しまいには記
者が書いた原稿を見せて「火箱さん、こんな感じでいいですか」と
言ってくるような一幕もあったほどだ。
記者たちにありのままの自衛隊を見てもらいたいとの思いから、防
衛庁でのやりとりだけでなく、彼らを全国の部隊、現場に連れて行
くことを積極的に企画した。防衛記者研修である。
戦車への体験搭乗、雪の積もった酷寒の演習場でのテント宿営や自
衛隊用スキー体験、銃剣道体験など。ひとえに現場で汗を流す自衛
官を実際に見てもらいたかったからだ。
当時の産経新聞の岡論説委員から教わった「百聞は一見に如かず、
百見は一験に如かず」という言葉は体験、経験を重視する火箱の胸
に響いた。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
2022年
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「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
を刊行。
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