配信日時 2022/12/26 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(200)】 自衛隊の真価を問われる時代の幕開け   桜林美佐(防衛問題研究家)

200回目の美佐日記。

キリ番の200回記念号を本日迎えました。
これも、お忙しい中時間を割いて記事をご提供くだ
さっている桜林さんと関係者の皆様のお陰です。
この場を借りて改めて御礼申し上げます。

桜林さんの記事を拝読するたび、頭を駆け巡るのが、
創刊当初、ある退役軍人さんからいただいた
「小じんまりした自衛隊礼賛メディアにしないで欲
しい。自衛隊のダメなところがあればどんどん指摘
批判してほしい」ということばでした。

桜林さんは、自衛隊に「耳の痛い話」をズバリと投
じます。そしてそれは常に、自衛隊を良い方向に導
く頂門の一針です。

防衛軍事安保国防分野でそれができる数少ない識者
のひとりが桜林さんです。個人的には、元空自将校
の評論家・潮匡人さんに通じるものを感じています。

単なる批判屋でなく、単なる追従者でもない。
識者としてホンモノなのでしょうね。

斯様なホンモノの方の言葉を伝える機会をいただけ
ていることに感謝しています。

桜林さんには、毎回貴重なおはなしを聞かせていた
だき感謝の気持ちでいっぱいです。
今後ともよろしくお願いいたします。


では今年最後の「美佐日記」、さっそくどうぞ。



エンリケ



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桜林美佐の「美佐日記」(200)

自衛隊の真価を問われる時代の幕開け


桜林美佐(防衛問題研究家)

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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和4年最後の日記
がなんと200回目となりました。

とうとう安保「3文書」が閣議決定され、また、5
年後に防衛費の総額を約43兆円とし、GDP比を
2%に到達させることになりました。

岸田政権がこれを実現させたのは、意外さもありま
すが、核兵器廃絶の理想を強く持っていた岸田首相
だからこそ、あの安保法制の時のような大きな反対
運動なども起きずにできたと言えるのかもしれませ
ん。

その意味では、歴史の面白さといいますか、人間の
意志を超越した運命の巡り合わせを感じざるを得ま
せん。

宗像さんが指摘されていたように、現憲法下でこれ
だけ進歩するということは、翻れば憲法改正は遠の
くとも言えます。

また、何もかも今の憲法が悪い、そのせいで自衛隊
は何一つできない、といった極論を言っていた人た
ちにはちょっと分が悪いかもしれません。

やはり、全てが憲法のせいではなくて、今まで(第
二次安倍政権まで)の政治が国防をサボタージュし
てきた、と言ってしまっていいようにも思います。
時代背景もあるとは思いますが。

ただ、相変らず「必要最小限」の但し書きがストー
カーのように常にくっついているのはうっとうしい
ですよね。

しかし、こればかりは憲法を変えない限り消えない
言葉なのでしょう。憲法で「戦力は保持しない」と
しているので、わが国が持っているのは近代戦争を
遂行できる「戦力」ではなくて、あくまでも「自衛
力」=自衛のための必要最小限の実力だからです。

しかし、その「最小限」とは何かという概念が今後
はもっと柔軟性を持つようにも思います。これまで
国会答弁などでは「攻撃的兵器」と言われるものを
持たないことでした。

つまり「攻撃的」でなければ、理論上は空母でも長
距離ミサイルでも原子力潜水艦でも持てることにな
ります。

であれば「必要最小限」や「防御的兵器」という概
念は、使い方しだいでいかようにも変幻自在と言え
るでしょう。理論上は「防御的な」長距離弾道ミサ
イルや核も認められ得るとも言えます。

「反撃能力」に反対する新聞なども「これは必要最
小限度とは言えないだろう」といった、あくまでこ
れまでの政府答弁や感情にもとづいた見解が多いよ
うです。

一方で、再三お伝えしているように、日本の防衛体
制は長年のムリがたたり、ひどい体を騙し騙しよう
やく動かしている状態になっています。まずはその
回復から始めなくてはなりません。

 この前提を知らない人は、日本も一気に目を見張
る軍事国家になると思っているかもしれませんが、
目下は「正常化」と考えるのが妥当だと思います。

 また、防衛増額に伴う増税議論は国民の意識を揺
るがすかもしれず懸念はしていますが、これは財源
の4分の1に相当する部分についての話で、実際に
は、財務省はこの財源の4分の3を捻出しようとし
ています。私はこのことについて感慨深く捉えてい
ます。

 これまで防衛省・自衛隊には「憲法に縛られてい
る」「財務省に(予算を)絞られている」の「縛ら
れ」「絞られ」の被害者的感覚がありました。実際
にそうだったのだと思います。

 しかし、これからはある意味「縛られている」
「絞られている」の言い訳ができない時代が始まる
と言えます。

戦後のわが国では、陸海空自衛隊が力を合わせない
ほうがいいという風潮の下、軍が強力になることを
避けるべしという考え方が常にありました。そして、
3自衛隊が予算を奪い合う構図にさせられていたの
です。

 それが今、急速に統合が進み、統合幕僚監部にお
いて統合運用を念頭にした防衛力整備が進められる
ようになっています。

 軍はとかく「兵器というおもちゃを欲しがる」と
思われがちであることから、理解され難かった各幕
僚監部から上がってくるものが、同じ制服の人たち
によって「統合」のフィルターがかかるという、自
衛官にとっては責任とプレッシャーが一段アップす
ることになるのではないかと想像します。

 これまで陸海空の横通しの意志疎通が足りなかっ
たところも、良くも悪くも、壁が取り払われること
になるのでしょう。そのためにも、お互いの役割り
に対し理解を深めることへの(とりわけ国土防衛に
ついて)必要性をこれまで以上に強く感じます。

 ある意味「弱められていた自衛隊」から、いきな
り強くなれと背中を押されステージの真ん中に立っ
た自衛隊。さあ「お手並み拝見」という今、まさに
真価を問われる時代の幕開けと言えるのではないで
しょうか。

 さて、今年も最後まで拙い身辺雑記にお付き合い
頂き本当にありがとうございました。新たな年が皆
様にとって愛と喜びに溢れたものでありますようお
祈りしています。どうぞ良いお年をお迎え下さい!


<おしらせ>

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の(!?)YouTube企画『Boei Cafe』始まりました。
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前回の、内閣官房参与で安倍元首相のスピーチライ
ター谷口智彦さんの4回シリーズも引き続きどうぞ
よろしくお願いします。
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(さくらばやし・みさ)



桜林さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
このURLからお知らせください。

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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)、
「陸海空 軍人から見たロシアのウクライナ侵攻」
(ワニブックス)




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(代表・エンリケ航海王子)
 
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