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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。お仕事の依頼など、問い
合わせは以下よりお気軽にどうぞ
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こんにちは、エンリケです。
あなたも、
インテリジェンスのプロフェッショナル・樋口さん
(元防衛省情報本部分析部主任分析官)に聞きたい
こと、書いてほしいこと、ありますよね?
コチラからお知らせください。
https://okigunnji.com/url/7
さてきょうの記事。
テーマは、パルチザン、レジスタンスです。
なぜウクライナ人はロシア人を憎んでいるのか?
への深い知悉が生まれる地域研究ダイジェスト版と
言って差し支えない内容です。
こういう話を聞きたかった、という思いでいっぱい
です。単なる伝聞にすぎない紛争が、多面的な立体
として息づいてきました。
さっそくどうぞ。
樋口さんに聞きたいことがあれば、
いつでもこちらからどうぞ。
https://okigunnji.com/url/7/
エンリケ
おたよりはコチラから
↓
https://okigunnji.com/url/7/
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ウクライナ情報戦争(10)
ロシアによる弾圧と虐殺の歴史
─ウクライナ・パルチザンの戦い─
樋口敬祐(元防衛省情報本部分析部主任分析官)
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□はじめに
ロシア軍によるウクライナ民間人の虐殺がしばしば
報道されています。
一方でキーウ近郊のブチャにおける虐殺について、
「ブチャの大虐殺はイギリスとウクライナの計画と
判明して騒がなくなった」とツイート(11月12
日)されている日本の元政治家の方もいらっしゃい
ます。
このツイートに対し日本ファクトチェックセンター
は、12月12日この情報は「誤り」と評価し「ウクラ
イナと英国の計画であることを示す根拠はなく、虐
殺に関する調査はその後も進められています」とし
ています。
今回は、最初にロシアによるウクライナ迫害と弾圧
の歴史を、簡単に振り返ってみたいと思います。
歴史を遡ると、ロシアはウクライナ人を長い間迫害
していました。ロシア帝国によるウクライナ支配が
始まったのは17世紀末でした。さらに18世紀後
半には黒海方面へと進出し、オスマン帝国の保護を
受けていたクリミア・ハン国から、クリミア半島を
奪いました。
ロシア帝国時代(1721~1917年)は、ロシア人はウ
クライナ人を隷属民として取り扱い、多くのウクラ
イナ人が農奴として搾取され、差別されていました。
ウクライナ人は、ウクライナ語の使用を禁止され、
さらに監視され行動を制限されていました。
19世紀後半から20世紀初頭にかけてウクライナ
の民族運動が活発化すると、ロシア帝国は出版や新
聞の言論統制を行ない、反抗的な者を厳しく処罰し
ました。処刑、強制収容所送り、シベリア流刑など
によってです。
1917年のロシア革命で、ロシア帝国が崩壊すると、
ウクライナは独立し、ウクライナ人民共和国が成立
します。
しかし、レーニン政権は独立を認めず軍事侵攻し、
4年に及ぶ戦闘の末、ソビエト軍がウクライナを制
圧し、1922年にウクライナはソビエト連邦に編入さ
れてしまいます。ウクライナ人はソビエト連邦時代
にも弾圧され、多くのウクライナの知識人や民族運
動家が処刑されました。
レーニンの死後、スターリンが独裁を強めるように
なると、ウクライナ支配はより強化されていきます。
1932~33年にかけて、スターリンは強制的な農業集
団化政策により、ウクライナ農民の土地を没収し、
強制労働に従事させます。
穀倉地帯といわれるウクライナにおいて、そこで採
れる作物はほとんどが輸出にあてられ、ウクライナ
の人々の食料は制限されていました。推定で400万
人から1000万人のウクライナ人が餓死したとされて
います。輸出用の食料が目の前にあるにもかかわら
ずです。
第二次世界大戦がはじまると、ドイツ侵攻によりウ
クライナは独ソ戦の舞台になります。ウクライナ人
の死者数は兵士、民間人あわせて800万人から1400万
人と推定されています。大戦中最大の犠牲者を出し
た民族とされています。
これらのウクライナの人々は、ドイツとの戦争によ
って殺害されたのですが、実態としてはソ連による
迫害といえると思います。なぜなら、ソ連軍は危険
な前線にはウクライナ兵を意図的に投入し、ドイツ
侵攻の際は、ウクライナの民間人が危険にさらされ
てもソ連軍は守らなかったとされているからです。
プーチン大統領は、2021年7月12日に発表した自
らの論文の中で、ロシア人とウクライナ人は、歴史
的に一つの民族であると主張しています。しかし、
実際は上記のような歴史的迫害があり、ウクライナ
戦争においても、まだまだ調査中ですが、ロシアに
よる民間人に対する残虐な行為は続いています。
そのような歴史を踏まえつつ、今回は、ウクライナ
のパルチザンへのロシアの対応などについて述べて
みたいと思います。
▼パルチザンの現状
前回は簡単なパルチザンの歴史から現在のウクラ
イナのパルチザンについて述べました。では、どれ
くらいのパルチザンがいるのでしょうか?
戦争開始時には、ウクライナには多くのパルチザン
がいてそれらによるゲリラ活動が、対ロシア戦の主
体になるとの予想もありました。当然明確には判明
しませんが、数的には多くないようです。
最前線のロシア軍の背後にいる特殊作戦部隊を含む
活動中のパルチザンなどはせいぜい数百人とされて
います。そしてパルチザン的な活発な活動は、南部
のヘルソンとザポリージャ地域に集中しています。
2014年以降ロシア軍が支配しているクリミアでは、
少数の精鋭のパルチザンが活動しているようですが、
兵站やその他の支援が限られているため、攻撃は少
ないとされます。
また、親ロシア派が支配してきたウクライナ東部に
おける活動も限定されていて、活動しているパルチ
ザンは100人未満とされます。ゲリラ戦も南部に
比べれば軽微なもので主にサボタージュ、農作物の
火災に限定されているようです。
▼ロシアの対応
ウクライナのパルチザンに対し、ロシア側も手を
こまねいているばかりではありません。何しろ、ロ
シアでは第二次世界大戦中、ナチスドイツに対抗す
るためパルチザンは盛んでした。当然、内務省の機
関などはパルチザンの取り締まりについてもノウハ
ウがあったと考えられます。
実際FSB(連邦保安局)や軍、国家警備隊などは、
自らまたは地元の警察などを使って次のような対抗
策をとっていました。
ウクライナ戦争の初期の段階では、ロシア軍はウク
ライナ東部で戦ったヘルソン市の地元住民のリスト
を入手し、ザキストカ(*)と同様の手口で警察と
ともに反ロシア的な住民を標的にして襲撃しました。
*ザキストカ:掃討作戦などとも訳されるが、民家
を1軒1軒襲って住民を殺害していくやり方。
これらの襲撃でヘルソン市の200人以上が行方不
明になりました。そのためウクライナのパルチザン
は地下深く潜り、組織の再編成を行なうことになっ
たとされます。
ウクライナの反転攻勢以降は、パルチザン狩りも活
発化しています。早朝に大勢の警察や親衛隊が小さ
な町を包囲しパルチザン狩りが行なわれるといいま
す。こうしてロシア刑務所に送られたパルチザンは
1500人と推定されています。(11月19日付 中
央日報)
▼残虐性はロシア軍の伝統か
戦争初期段階のロシア軍撤退後のキーウ近郊ブチャ
での虐殺の画像は、世界に衝撃を走らせました。し
かし、ロシア軍によるウクライナにおける戦時の残
虐行為は歴史的に例外ではないという指摘がありま
す。(2022.4.6 CNN)
同記事によれば、1979年~89年までのソ連のアフガ
ニスタン侵攻における犠牲者について、国際人権団
体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の報告は
「100万人を超えるアフガニスタンの民間人が殺
害されたとみられる。大半は空爆の犠牲者だ。行方
不明は数万人。その多くは裁判も経ずその場で処刑
された」としています。
1994~96年の第1次チェチェン紛争では、首都グロ
ズヌイにおけるわずか2カ月の戦闘で2万5000人前
後の民間人が殺害されたとされています。(ロシア
の人権問題専門家)
1999~2009年の第2次チェチェン紛争では、99年12
月下旬から2000年2月上旬までの最初の1カ月余の
間に、少なくとも98人以上の民間人が裁判なしに
処刑されたといいます。(HRW)
また2000年、国際人権連盟は、ロシアはチェチェン
で「裁判なしの処刑、殺人、身体的虐待、拷問を行
なった。敵対的行為に直接関与しない人々に対し意
図的に重大な危害を加え、故意に民間人を攻撃した」
と明らかにしています。
2015年にロシアが内戦に介入したシリアにおいて
は、ロシアの爆撃によって8683人の民間人が殺
害されたとシリア人権監視団体は述べています。
冒頭にも書きましたように、ロシアは歴史的に平
時からウクライナ人に対する迫害や弾圧を加え、戦
時においては相手国に対し虐殺や拷問を繰り返して
います。
さらに、ウクライナ戦争でこの傾向を加速させた理
由の一つは、SNSなどを活用した市民からの情報提
供にもあると思います。ロシア軍としては、ウクラ
イナ国民が皆パルチザンだと思って対応せざるを得
ないからです。
逮捕され解放されたウクライナ人のインタビュー記
事では、尋問でスマホを調べられたという記事を多
く見ます。
▼ウクライナのパルチザンの教科書
ウクライナのパルチザンには、戦いのための教科
書がありました。約300ページもある『抵抗活動
コンセプト(ROC:Resistance Op
erating Concept)』です。
これは、アメリカの特殊部隊が欧州で活動する兵士
のために、過去のパルチザンの活動や戦術などを体
系化したものでUSSOCOM(米特殊作戦軍)において
特殊作戦部隊の教育を行なうJSOU(統合特殊作戦大
学)が発行したものです。
2008年ロシアがジョージアに侵攻したことを契機に
作成が開始され、2013年に完成しました。
ネット上で公開されているとともにAmazonでも販売
されています。
ウクライナは2014年のロシアによるクリミア侵攻
を契機にこの教科書を使ってパルチザン活動を準備
してきたのです。
次回は、「偽旗作戦」VS「機密情報積極開示」と
いうテーマについて記述したいと思います。
□出版のお知らせ
このたび拓殖大学の川上高司教授監修で『インテリ
ジェンス用語事典』を出版しました。執筆者は本メ
ルマガ「軍事情報」でもおなじみのインテリジェン
ス研究家の上田篤盛、名桜大学准教授の志田淳二郎、
そしてわたくし樋口敬祐です。
本書は、防衛省で情報分析官を長く務めた筆者らが
中心となり、足かけ4年の歳月をかけ作成したわが
国初の本格的なインテリジェンスに関する事典です。
2017年度から小学校にプログラミング教育が導入さ
れ、すでに高校では「情報科」が必修科目となって
います。また、2025年の大学入学共通テストからは
「情報」が出題教科に追加されることになりました。
しかし、日本における「情報」に関する認識はまだ
まだ低いのが実態です。その一因として日本語の
「情報」は、英語のインフォメーションとインテリ
ジェンスの訳語として使われているため、両者の意
味が混在していることにあります。
一方で、欧米の有識者の間では両者は明確に区別さ
れています。状況を正しく判断して適切な行動をす
るため、また国際情勢を理解する上では、インテリ
ジェンスの知識は欠かせません。
本書は、筆者らが初めて情報業務に関わったころは、
ニード・トゥ・ノウ(最小限の必要な人だけ知れ
ばいい)の原則だと言われ、ひとくくりになんでも
秘密扱いされて戸惑った経験から、ニード・トゥ・
シェア(情報共有が必要)の時代になった今、初学
者にも分かりやすくインテリジェンス用語を伝えた
いとの思いから作り始めた用語集が発展したもので
す。
意見交換を重ねているうちに執筆賛同者が増え、結
果として、事典の中には、インテリジェンスの業界
用語・隠語、情報分析の手法、各国の情報機関、主
なスパイおよび事件、サイバーセキュリティ関連用
語など、インテリジェンスを理解するための基礎知
識を多数の図版をまじえて1040項目を収録する
ことができました。
当然網羅していない項目や、秘密が開示されていな
いため、説明が不足する項目、現場の認識とニュア
ンスが異なる項目など不十分な点が多数あることは
重々承知していますが、インテリジェンスや国際政
治を研究する初学者、インテリジェンスに関わる実
務者には役立つものと思っています。
『インテリジェンス用語事典』
樋口 敬祐 (著),上田 篤盛(著),志田 淳
二郎(著),川上 高司(監修)
発行日:2022/2/10
発行:並木書房
https://amzn.to/3oLyWqi
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(ひぐち・けいすけ(インテリジェンスを日常生活に役
立てる研究家))
樋口さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
このURLからお知らせください。
↓
https://okigunnji.com/url/7/
【著者紹介】
樋口敬祐(ひぐち・けいすけ)
1956年長崎県生まれ。拓殖大学大学院非常勤講師。
NPO法人外交政策センター事務局長。元防衛省情報
本部分析部主任分析官。防衛大学校卒業後、1979年
に陸上自衛隊入隊。95年統合幕僚会議事務局(第2
幕僚室)勤務以降、情報関係職に従事。陸上自衛隊
調査学校情報教官、防衛省情報本部分析部分析官な
どとして勤務。その間に拓殖大学博士前期課程修了。
修士(安全保障)。拓殖大学大学院博士後期課程修
了。博士(安全保障)。2020年定年退官。著書に
『国際政治の変容と新しい国際政治学』(共著・志
學社)、『2021年パワーポリティクスの時代』(共
著・創成社)、『インテリジェンス用語事典』(共
著・並木書房)
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(代表・エンリケ航海王子)
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