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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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こんばんは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。
今回は、
WW2でドイツ国防軍が使用。WW2で最も知られた兵器
の1つであり、生産停止後も独自の存在感を発揮し
続けた伝説の名銃・MP38&MP40サブマシンガンです。
『MP38&MP40サブマシンガン』
アルハンドロ・デ・ケサダ (著), 床井 雅美 (監修),
加藤喬 (翻訳)
2022/5/12 発行
https://amzn.to/3yvXWrj
武器オンチの日本人に
特におススメです。
bullet と ammunition の違い。
このメルマガの読者だけは、
この違いを正確にわきまえ、
きちんと使い分けられるようにしておいてください。
では今日の記事、さっそくどうぞ。
エンリケ
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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編
Takashi Kato
イージス戦闘システム(1)──ミサイル防衛の概
要
加藤喬(元米陸軍大尉)
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□「人類は極めて運が良かった」
12月11日、25日間に及ぶ月周回任務を終えたアル
テミス1号がカリフォルニア州サンディエゴ沖の太
平洋に無事着水しました。
同宇宙船が月軌道から捉えた地球の姿に感じ入っ
た読者諸氏もいらっしゃることでしょう。漆黒の宇
宙にポツンと浮かぶ青い地球は、我々が知る限り生
命が存在するたった一つの星。今のところ人類が生
息可能な唯一の惑星環境でもあります。過酷極まり
ない宇宙のただ中で、我々がここにこうして生きて
いる事は「奇跡」のようにも思えます。
たとえば地球の軌道。太陽に近すぎもせず遠すぎ
もせず、生命誕生に欠かせない液体水が存在可能な
生存可能圏にあります。また、重力や核力をはじめ
宇宙を統制する物理法則には「定数」と呼ばれる値
が含まれていますが、これらが今あるものと異なる
と、恒星や惑星そして銀河が生じず「生命なき宇宙」
になっていた可能性もあります。実験や観測から
導き出された定数には理論的必然性がなく「たまた
ま」現存の数値になっているのですが、それが生命
誕生に都合がいいものだったわけです。
我々の存在を可能にした地球軌道や定数を意図的
「微調整」と見る場合、人々は神にその理由を求め
ます。「慈愛に満ちた神が、ヒトにとって最適の環
境になるようなカラクリを宇宙に仕組んだ」という
解釈です。
その対極が「物理定数がたまたま生命発生に適し
ていたからこそ人間が産まれた」という考え方です。
物理学において、宇宙の成り立ちをヒトの存在に
絡めることから「人間原理」と呼ばれます。
以前にもご紹介したカク・ミチオ博士やローレン
ス・クラウス博士など量子力学やひも理論の専門家
は「生命が発生しなかった惑星はもちろん、そもそ
も星自体が形成されなかった宇宙も数限りなく存在
する」との多元宇宙論を提唱。「無数の宇宙の中で、
地球がヒトを宿す環境に至ったのは偶然だ」と説
明します。
私は信心というものに乏しく、神の御名を口にす
るのは憚られます。一方、人間原理が「説明」なの
か「詭弁」なのかは議論の分かれるところでしょう。
多元宇宙論には惹かれますが、実験や観測によって
立証も反証もできないという問題を抱えています。
いずれの視点に同意するかは詰まるところ好みの
問題。宗教、哲学、科学など人それぞれの「探求心」
をもっとも満足させるものが「答え」になります。
とは言うものの、筋金入りの理論物理学者でも主
観的には「人類は極めて運が良かった」と感じるの
が本音ではないかと思います。
神の慈愛で生かされているにせよ、はたまた天文学
的数の偶然が重なって生きているにせよ、その幸運
を台無しに奇跡の連鎖を断ち切ってしまうのが核戦
争。惑星間文明となる夢を自ら打ち捨てる愚、無意
味、破廉恥は万人の目に明らかです。交戦者である
プーチン、ゼレンスキー両首脳はもちろん、岸田首
相やバイデン大統領ら各国指導者もアルテミスが送
ってきた地球の姿をいま一度、「親も子もある一人
の人間」として見つめ直すべきです。
ロシア軍による空襲でウクライナの電力施設破壊が
進む一方、ロシア領土にもウクライナ軍のドローン
攻撃が及び始めました。戦争は確実にエスカレート
しています。「世界は核戦争の危険水域に近づいて
いる」そんな不安にかられる師走です。
▼イージス戦闘システム(1)ミサイル防衛の概要
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるため
には相手より優れた武器を持たねばなりません。兵
器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく続
いているのはこのためです。よく指摘される武器の
効用に「抑止力」(deterrence)があります。
刀を抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内
の勝ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒
的な破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器
を手放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマ
の裏面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。
ウクライナ戦争を機に露中が接近し、世界は民主主
義圏と権威主義圏に二分された感があります。この
新たな力関係を背景に、台湾侵攻の可能性が取沙汰
されています。
最悪の事態を想定し備えるのが平和の基本ですから、
防衛努力は粛々と進める必要があります。同時に、
勢いを増す「好戦的世相」に飲み込まれない冷静
な状況判断も求められます。
「プーチン大統領は予防措置として核による先制攻
撃を検討している」「中国軍が2025年までに核
弾頭を1500発配備する」「北朝鮮はアメリカを
射程内に収めるICBMを開発中」
ネットをななめ読みするだけで、物騒な記事がいく
らでも見つかります。日本を取り巻く環境は「今そ
こにある危機」のオンパレードと言ってよく、この
苦境にどうやって対処するかは抜き差しならない課
題です。
また、ロシア海軍黒海艦隊旗艦「モスクワ」がウク
ライナの対艦ミサイルにあえなく撃沈されたことか
ら、二重三重の防空システムが果たして目算通りに
働くのかという憂慮も聴かれます。そこで今回から
数回にわたり、日本を核攻撃から守るミサイル防衛
の要「イージス・システム」を取り上げます。第1
回はミサイル防衛の概要です。
飛来するミサイルの迎撃は3段階に分けられてい
ます。まず、ミサイルが発射され上昇している間に
撃ち落とすブースト・フェイズ(上昇段階)、ミサ
イルから切り離された弾頭が大気圏外を慣性飛行し
ているところを狙い撃つミッドコース・フェイズ
(中間段階)そして再突入中の弾頭を破壊するター
ミナル・フェイズ(最終段階)です。
上昇段階はミサイルが低速で標的としても大きい
ため捕捉しやすい利点があります。しかし、敵国の
領空内に何らかの迎撃システムを侵入させなければ
ならず実行は容易でありません。
中間段階では弾頭が予測可能な弾道飛行をしている
ので、レーダーで捕捉追尾した情報をもとにミサイ
ルの姿勢を微調整し、直撃させることは理論的に可
能です。しかし極めて高度なテクノロジーと運用知
識が必須となり、これが本ビデオの「弾丸を弾丸に
命中させるようなもの」との比喩に繋がっています。
最終段階は発射から迎撃までに時間的な余裕があ
り、より精密な追尾が可能です。しかし極めて高速
で落下してくる大陸間弾道弾や潜水艦発射弾道弾の
場合、迎撃射程が短くなるのは否めません。
三者三様の長所と短所がありますが、日本では現
在のところ中間段階を担当する海自のイージス・シ
ステムと、最終段階を受け持つ陸自のパトリオット・
ミサイルが配備・運用されています。
教材ビデオ:
DOES Aegis Combat System Work? Japan Tests Sh
ow Yes! - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=csdtDywIKKY&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=264&t=14s
(本エピソード0:00から始まります)
基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Interception(インターセプション)迎撃
Bullet(ブリット)弾丸
シナリオ(カウンターを0:18に合わせてくださ
い)
Missile interception is like hitting a bullet
with a bullet.
(ミサイルの迎撃は、弾丸に弾丸を命中させるよう
なものだ)
(今回のエピソードは1:39まで続きます)
英語一言アドバイス:
bulletは「弾丸」のことです。銃から発射され標的
に向かう飛翔体を指します。弾薬(ammunition)は、
弾丸と火薬が入った薬莢、そして発火薬の雷管の総
称です。したがって「弾がない」とか「弾をくれ」
という場合は “Out of ammunition” “Give me a
mmunition”が適切です。ブリット(弾)とアミュ
ニション(弾薬)は同義語ではありません。本メル
マガの読者諸氏には知っておいていただきたい軍事
用語の豆知識です。
発音サイト:
bulletの発音 bullet pronounce - Google Search
http://okigunnji.com/url/164/
参考サイト:
イージスシステム イージスシステム - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0
パトリオット・ミサイル パトリオットミサイル
- Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB#PAC-3%E5%BC%BE
アルテミス一号から見た地球 Photos: Artemis 1
captures first images of Earth on trip to Moon | Astronomy.com
https://astronomy.com/news/2022/11/photos-artemis-1-captures-first-images-of-earth-on-trip-to-moon
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン』(いずれも並木書房)がある。
追記
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『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
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ブックレビューの投稿はこちらから
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
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